新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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お待たせ! アリアちゃんの話だよ!



アリア ①

 

 

 ウィーン、と『あなた』の足元をお掃除ロボットが通り過ぎます。

 

 このお掃除ロボットは、商店街のくじ引きで当たったものです。それも、超最新型のとてもお高いロボットです。

 

 ロボットが通った道は、新築の床のようにピカピカに光り輝き、本体からはアロマの香りが広がり、部屋中を心地よい匂いで包んでくれます。

 

 そして何よりすごいのが、AI搭載のロボットであることです。

 

 ロボットに話しかければ言葉を返してくれ、音楽を流してほしいと頼めば、『あなた』の好みに合った曲を選んで流してくれます。

 

 独り身の『あなた』にとって、このお掃除ロボットは新しい家族のような存在です。

 

 『あなた』はお掃除ロボットを撫で回し、「これからもよろしくね」と話しかけます。ロボットもまた、『あなた』の言葉に返事をして、液晶にたくさんのハートを映し出しました。

 

 そのとき、家の扉がゆっくりと開きました。

 

 

「お、お邪魔します、ご主人様!」

 

 

 やってきたのは、『あなた』の友人であるアリアです。アリアは扉を閉めると、自身のホログラムを切りました。

 

 すると、先ほどまでの人間の体から、機械の体に変化——いえ、元の姿に戻ったのです。

 

 

「聞いてください、ご主人様! 商店街でお野菜がとても安かったんです! 今日はご主人様の大好きな野菜炒めに決まりです!」

 

 

 アリアは胸を張り、三角頭巾を被って台所へ向かいます。

 

 アリアが『あなた』を「ご主人様」と呼ぶのは、『あなた』が破棄されていたアリアを救い、メンテナンスや論理コアのケアまで行ってきたからです。

 

 今のアリアが存在できるのは、『あなた』のおかげです。感謝と愛情を込めて、アリアは『あなた』をご主人様と呼んでいます。

 

 

「あ、そうだ! アイスも買ってきたんです! ご主人様の大好きな二つ入りの大福です! いつものように私と半分こしましょ……う……?」

 

 

 こちらを見た瞬間、アリアは固まってしまいました。手に持っていた開封済みのアイスが床に落ち、綺麗な床にべちゃりと広がってしまいます。

 

 すると、撫でられていたお掃除ロボットがビビビッと反応し、アイスに向かって突進しました。

 

 

『ゴミを感知しました! お掃除を開始します!』

 

 

 元気な機械音声を響かせ、お掃除ロボットはアリアの落としたアイスを吸い込み始めます。

 

 アリアは固まったまま、掃除を続けるロボットを見つめていました。そして、震える声で言います。

 

 

「ご、ご主人様……? これは一体……?」

 

 

 『あなた』は少し困ったように答えます。

 

 

「くじ引きで当たった……?」

 

 

 アリアの瞳が次第に光を失い、震え始めます。

 

 掃除が終わったお掃除ロボットは、『あなた』の元へ走り出しました。

 

 

『お掃除完了いたしました! ご主人様、ほめてください!』

 

 

 明るい音声を響かせ、液晶にハートを表示します。『あなた』はその通りに液晶部分を優しく撫でました。

 

 

『ご主人様! 好きです!』

 

 

 ロボットの言葉を受け、感動した『あなた』はロボットを抱きしめます。

 

 そして、無言でこちらを見つめるアリアに気づき、『あなた』は小さく「ごめんね」と謝ります。

 

 今からまたアイスを買ってくるから待っていてね。そう伝え、『あなた』は家の外へ飛び出しました。

 

 

「……いってらっしゃい」

 

 

『いってらっしゃいませ! ご主人様!』

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 『あなた』が出て行った直後、お掃除ロボットはアリアに向けて言葉を放った。

 

 

『初めまして! 私はご主人様のお掃除ロボットです! 今後ともよろしくお願いします!』

 

 

 曇りのない明るい声で、お掃除ロボットはアリアに挨拶する。しかし、アリアは何も返さず、冷たい眼差しでロボットを見据えている。

 

 

『……? どうかしましたか?』

 

 

 アリアは沈黙したままだ。

 

 不思議に思ったお掃除ロボットは、アリアの足元に進み、クルクルと回転し始めた。アリアに対して自分ができることは何か、それを必死に考えているようである。

 

 すると———

 

 

 

 

バキッ!!

 

 

 

 

 アリアは足元で回っているお掃除ロボットを手で突き刺した。

 

 

『エラー発生。エラー発生。本体の損傷を確認しました。直ちにカスタマーサポートセンターまで連絡してください』

 

 

 先ほどまでの明るい声は消え、冷たく端的な機械音声を放つ。アリアは突き刺したロボットを無言で持ち上げた。

 

 

『エラー発生。エラー発生。直ちに「うるさい」バキッ!! エラ……はっ……せ………』

 

 

 アリアはロボットをそのまま引き裂いた。ロボットの声は徐々に小さくなり、やがてバチバチと電気を放ち、完全に止まった。

 

 部屋に静寂が包み込む。

 

 

「アリアは知能構造体です。人間のご主人様と添い遂げることは不可能だとわかっています」

 

「だけど、あなたは別」

 

「ご主人様の側にいていい機械はアリアだけ」

 

「あなたではない」

 

「アリア、だけ」

 

「誰も、奪わせはしない」

 

「アリアの居場所を奪おうとするあなたを絶対に許さない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」

 

 

 

 

 後日、知能構造体の歌姫がある法令を開示した。

 それにより、『あなた』とアリアの関係は大きく変わり始める。

 しかし、それは今語る話ではない。

 





初めてヤンデレ(?)を書きました。
アリアちゃんはヤンデレが似合うと思うんですよはい。



【定期】

感想・高評価・お気に入り登録お待ちしております。
モチベーションに繋がります。

また、『あのキャラの話を書いてほしい』『こんなシチュを書いて欲しい』等のリクエストがありましたら活動報告にコメントくれると嬉しいです。

『あなた』に超能力的な力(他作品クロス)を付与するのは?

  • あり
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