新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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リクエストにあったビビアン!!
……を書こうと思いましたが、【とくせい:あまのじゃく】が発動したので初投稿です。


ビビアン・バンシー ①

 

“うぁ……っ!!”

 

 

 腕の中で冷たくなっていく彼女に対し、僕は何もできず、涙を流すことしかできなかった。

 

 

「泣か……ないで……大丈夫……なのです……」

 

 

 僕を守るためにランドンから祝福を受けた彼女は、自分の身体が崩れ去っているのにも関わらず、慈悲の籠もった笑みを向けながら、僕の瞳から流れ落ちる涙を優しく拭った。

 

 

「もう、『あなた』を傷つける人はいない……」

 

 

 僕の頬に触れていた彼女の手が、力なく地面へと落ちていく。僕はその手を掴み、必死に彼女に語りかける。

 

 しかし、彼女は再び笑みを浮かべた。

 

 

「さようなら、私の最愛の〇〇……『あなた』に真の祝福が訪れますように……」

 

 

 握っていた彼女の手が僕の手からスルリと抜け、地面へと倒れた。

 

 僕は彼女を抱きしめ、泣き叫ぶ。

 

 しかし、もう彼女が目を覚ますことはない。

 

 死体の山で溢れかえるランドンの研究室に、僕の声だけが冷たく響き渡る。

 

 

“認めない……”

 

 

 瞳の奥が、焼けるように熱を帯び始める。

 

 

“こんな結末は……ッ!!”

 

 

 バチバチと何かが弾けるように、僕の身体の奥から光が溢れ出す。

 僕の意志が籠もった光が、全てを包み込む。

 

 

 

 

“僕は認めないッッッ!!!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……きて……」

 

 

 まるで、発熱したCPUを冷ますファンのように身体中の血液が循環し、身体の熱を冷ましていく。

 ぼんやりした頭の中に、彼女の声が響き渡る。

 

 

「起きてください! もう朝ごはんの時間なのです!」

 

 

 目を開けると、そこには僕の顔を覗き込みながら身体を揺する彼女の姿が入ってきた。

 そして視界の端に映る、謎の文字列。

 

 

 

 

【Earth.306 XX年XX日XX時XX分】

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()

 

 ()()()へと帰って来れたことに安堵しつつ、僕は身体を起こし、彼女へと笑顔を向ける

 

 

“おはよう、ビビアン”

 

 

「おはようございます、ねぼすけさん♪」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 あの日。

 

 ディナがランドンの実験台にされようとした、あの日。

 

 僕は死ぬはずだった。

 

 僕とビビアンによって長年の計画が破綻するとは思っていなかったランドンは、半狂乱になり、僕に銃を向けた。

 

 僕は「ざまあみろ」と思いながら目を瞑り、自分の人生を振り返った。

 

 両親に捨てられ、ホロウで彷徨っていたところをランドンに拾われた。

 それからは、奴隷のように一生こき使われる、クソみたいな人生だった。

 

 だけど、そんな僕の前に、ビビアンが現れた。

 

 自分よりも他人を第一に考え、誰にでも優しく接するビビアン。

 

 白黒でクソッタレな僕の人生に、彩りを与えてくれたビビアン。

 

 彼女さえ無事なら、それでいい。

 

 願わくば、彼女に真の祝福が訪れますように。

 

 そう願いながら、命が終わる瞬間を待っていた。

 

 ———パン。

 

 銃声の乾いた音が耳に入る。

 

 次に来るのは、痛みだろう。

 

 じわり、じわりと異物が身体に侵食し、熱を帯びた痛みが広がっていく———

 

 

 

 ()()()()()()

 

 

 

 何故か、痛みは襲って来なかった。

 

 僕はゆっくりと目を開ける。

 

 すると、目の前に彼女が立っていた。

 

 ランドンから僕を守るように、両手を広げて。

 

 彼女の腹部から、血がじわじわと広がり始める。

 

 静寂があたりを包み込んだ。

 

 

「ぐふっ……」

 

 

“ビビアンッッッ!!”

 

 

 力を失ったビビアンが、地面へと倒れていく。

 

 僕はすぐさま彼女を抱き抱えた。

 

 ビビアンを受け止めた右手が、べちゃりと嫌な音を立てる。熱を帯びた血が、手のひらを赤く染めていく。

 

 

“ビビアン!! ねぇ、返事をしてよ、ビビアンッッ!!”

 

 

 僕は必死にビビアンの名を呼んだ。

 けれどビビアンは僕の声に応えず、虚ろな目で薄気味悪い実験室の天井を見上げているだけだった。

 

 そのとき、

 

 ふと、ビビアンの瞳に光が宿った。

 

 美しい真紅の瞳が、僕を射抜く。

 

 

「良かった……」

 

 

 ビビアンは慈悲のこもった笑みを浮かべ、僕の頬を優しく撫でた。

 

 そして、その手は力なく地面へと落ちていく。

 

 僕は目の前の出来事を受け入れられず、ただ茫然と、彼女の瞳の色が虚ろになっていくのを見つめていることしかできなかった。

 

 周囲の人間たちがランドンを取り囲み、ランドンは何か声を荒げていた。

 

 だけど、僕の耳には何も入ってこない。

 

 ドクリ、ドクリと心臓の音が激しくなる。

 

 呼吸が荒くなり、身体中が熱を帯び始める。

 

 ———バチリ。

 

 視界が弾けた。

 

 僕の感情に呼応するように、身体の奥から光が溢れ出す。

 

 それはやがて、限界に達した。

 

 

“うあああああああああああっ!!!!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……きて……」

 

 

 まるで発熱したCPUを冷ますファンのように、身体中の血液が循環し、身体の熱を冷ましていく。

 

 ぼんやりとした頭の中に、彼女の声が響き渡る。

 

 

「起きてください! もう朝ごはんの時間なのです!」

 

 

 目を開けると、そこには僕の顔を覗き込みながら身体を揺する彼女の姿があった。

 

 理解が追いつかない。

 

 なぜ、ビビアンが生きている?

 

 僕を庇って死んだはずでは……?

 

 そして視界の端に映る、謎の文字列。

 

 

 

【Earth.306 XX年XX日XX時XX分】

 

 

 

「大丈夫、なのです……?」

 

 僕を庇って死んだはずのビビアンが、心配そうに僕を覗き込んでいる。

 

 意味が分からない。

 

 脳が理解を拒み続け、それに反応するかのように、胃が逆流し始める。

 

 

“うっ……ごぼっ……ッ!!!”

 

 

「きゃああああっ!? 〇〇ッ!? 誰かッ!! 誰か来てくださいッ!! 〇〇が、〇〇が……ッッッ!?!?」

 

 

 ———これが始まり。

 

 これは、僕が彼女に祝福を与えるための呪いの物語だ。

 

 





つづくよ。


【定期】

感想・高評価・お気に入り登録お待ちしております。
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また、『あのキャラの話を書いてほしい』『こんなシチュを書いて欲しい』等のリクエストがありましたら活動報告にコメントくれると嬉しいです。

『あなた』に超能力的な力(他作品クロス)を付与するのは?

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