新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
4〜5話完結になるように作ってます。
また、曇らせではないと思うので、曇らせニチャリストはあまり期待しない方がいいかもです。
じぶんがなにものなのか。
どうしてここにいるのか。
なにひとつわからない。
もじゅーるにふぐあいがあるのか、きおくかいろにあくせすしても、なにものこっていない。
そもそも、ぼくはほんとうにそんざいしているのだろうか。
みちゆくひとたちは、みんなぼくにきづかず、すぐとなりをとおりすぎる。
まるで、はじめからそこにそんざいしていないかのように。
わからない。
なにも、わからない。
ぼくはなにものなのだろうか。
どうしてぼくはこんなところにいるのだろうか。
なにもわからないはずなのに、なにかたいせつなことをわすれているきがする。
このきもちはなんなのだろう。
このいたみはなんなのだろう。
わからない。
ぼくには、わからない。
幾千ものループを繰り返すうちに、いくつか分かったことがある。
ビビアンが死ぬと、僕はこの基準点へと戻ってくる。
そして、この力は、僕の意思では発動できない。
どれだけ感情を昂らせても、あの現象を再現することはできなかった。
おそらく、感情が限界を越えることも条件の一つなのだろう。だが、それだけでは足りない。
幾千ものループの中で、ビビアン以外にも多くの人間が命を落とした。そしてその中には、僕の大切な友人もいた。その友人が命を落とすたび、僕の感情は限界を超えた。
だが、基準点には戻らなかった。つまり、このループを引き起こす条件は一つだけ。
ビビアンの死。
そしてもう一つ、嫌というほど思い知らされた事実がある。
どれだけ足掻こうと、
どれだけ未来を変えようと、
ビビアンは必ず死ぬ。
僕がどれだけ彼女を守ろうとしても、彼女は必ず僕を庇って命を落とす。
ランドンの元から逃げたこともあった。だが、そのたびにランドンの手先に追われビビアンは僕を庇って死んだ。
手先を退けても同じだった。
エーテリアス。
ホロウレイダー。
どこからともなく現れた敵に襲われ、そして、やはり彼女は僕を庇って死んだ。
ならばと、ランドンを殺したこともある。だが結果は変わらなかった。
ランドンの部下。
彼に救われた人間たち。
彼らが僕を狙い、そして再びビビアンが僕を庇って死ぬ。
何度繰り返しても同じだ。
何度策を練っても同じだ。
必ず、ビビアンは僕を庇って死ぬ。
まるでこの世界そのものが、ビビアンの命を奪おうとしているかのようだった。
多くの人を見捨てた。
多くの人を殺した。
それでも、僕はビビアンを救うことはできなかった。
彼女はいつも、僕の腕の中で儚く散る。
気が狂いそうだった。
同じ光景を、何度も何度も見続けることに。
何度もビビアンの死を目にすることに。
何をしても、彼女を救えないという事実に。
それでも、僕は諦めない。
必ず、どこかに突破口があるはずだ。
ビビアンが死ななくていい世界線が。
きっと、必ず———
落ちていく。
深海へ沈むように、
暗く、冷たく、静かに。
音は水の底のように歪み、遠ざかっていく。
周囲の気配も、何もかもが遠い。
頭上の光だけが、ゆっくりと離れていった。
小さく。
小さく。
まるで、世界から切り離されていくようだった。
もうこのまま、深淵に沈んでしまってもいい。
そう思った瞬間。
バチリ。
視界が弾けた。
それは、これまでのループとは明らかに違う感覚だった。
鋭い光。
激しい衝撃。
そして次の瞬間、全身を焼くような痛みが走る。
身体が、崩れていくような、皮膚が分解されていくような感覚。
痛い。
痛い。
痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
耐えきれず、僕は目を見開いた。
次の瞬間———
水の底から一気に引き上げられるような感覚が、全身を貫いた。
信号機の電子音。
車のエンジン音。
ざわめく人の声。
ゆっくりと目を開くと、僕は交差点の真ん中に立っていた。
見たことのない建物。
見たことのない街。
見たことのない光景。
そして視界の端に浮かぶ、謎の文字列。
「おい! 何やってんだ! 轢かれてぇのか!?」
クラクションと怒鳴り声が響く。気付けば、何台もの車が僕の周囲で止まっていた。後ろには長い渋滞が形成されている。
“す、すみません!”
反射的に謝り、僕は交差点から飛び出した。
運転手は舌打ちをして車を発進させる。それに続いて走り出した車から出た排気ガスの匂いが、僕の鼻を刺した。
『本日はお客様感謝デー! ルミナスクエア全店で———』
大音量の広告が街に響く。
見上げると、そこには巨大なビジョンがあり、広告のセール品の映像が次々と流れていた。
周囲の人々が怪訝そうに僕を見る。
だが、そんなことはどうでもよかった。
ここはどこだ?
なぜ基準点じゃない?
何が起きている?
思考がまとまらない。
そのときだった。
僕の耳に、聞き覚えのある声が届いた。
———ビビアン。
間違いない。
ビビアンが誰かと楽しそうに話している。
僕はすぐさま走り出した。
人混みを押し分け、見知らぬ道を駆ける。
ただ、その声だけを頼りに。
やがて視界の端に、彼女の姿が映った。
胸の奥が熱くなる。
見知らぬ世界で唯一知っている存在。
安堵が一気に込み上げた。
“はぁ……はぁ……ビビアン……!”
距離が縮まる。
心臓の鼓動が激しくなる。
そして———
“……え?”
そこにいたのは、確かにビビアンだった。
何度も見てきた顔。
何度も守ろうとしてきた少女。
だが———
僕の知っているビビアンじゃない。
彼女は、もっと小さかったはずだ。
もっと幼かったはずだ。
なのに目の前のビビアンは、僕の記憶よりも背が高く、
そして———
眩しいほど美しく成長していた。
「パエトーン様!! パエトーン様!!」
ビビアンが歓声を上げる。
「今日はなんて素敵な日なのでしょう! パエトーン様お二人と一緒にお出かけできるなんて!」
「ちょっとビビアン、大袈裟じゃない?」
「あはは。そんなに喜んでくれるとは思ってなかったよ」
そして。
ビビアンの隣には。
僕の知らない人物が立っていた。
「ほら、早く行こう! お兄ちゃん、ビビアン!」
「はっ、はひぃ!? パエトーン様が私の手を!?」
「ちょ、ちょっと待ってリン! もう少しゆっくり……!」
“ビ……ビアン……?”
手を伸ばした瞬間。
身体が後ろへと引きずられた。
世界が遠ざかる。
ビビアンが遠ざかる。
視界が黒に塗りつぶされていく。
やがて、視界全てが完全な闇に染まった。
「……きて……」
まるで、発熱したCPUを冷ますファンのように身体中の血液が循環し、身体の熱を冷ましていく。
ぼんやりした頭の中に、彼女の声が響き渡る。
「起きてください! もう朝ごはんの時間なのです!」
目を開けると、そこには僕の顔を覗き込みながら身体を揺する彼女の姿が入ってきた。
そして視界の端に映る、謎の文字列。
ビビアンがこちらを不思議そうに見つめるが、それを気にする余裕はなかった。
基準点へと帰って来れたことにいつもは安堵を感じるはずなのに、今の僕には気持ち悪さしか出てこない。
幾千も繰り返してきたループに、新たな謎が生まれた瞬間だった。
ビビアン発表日 : 3月6日
ビビアン実装日 : 4月26日
この話のパク……参考作品 : 『僕が愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ』
※一応ネタバレ防止のためにじませてます。気になる方はコピペしてみてください。
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『あなた』に超能力的な力(他作品クロス)を付与するのは?
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あり
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なし
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構わん、好きにしろ