新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
シリオンにも発情期はあるのか。
誰もが一度は疑問に思う問いですが、その答えはNOです。
ですが、シリオンならではの求愛行動は数多く確認されているそうです。
例えば、サメのシリオンは文字通りアプローチが激しくなり、まるで周囲へ「自分のものだ」と主張するかのように、彼氏の体へ歯形を残します。
うさぎのシリオンは、夫(予定)の胸へ顔を埋め、プゥプゥと鳴きながら強く抱きつきます。
ヤギのシリオンは、いつも以上に落ち着きがなくなり、尻尾を頻繁に振りながら甘えた声を上げます。
某宗主に至っては、年がら年中発情しているのではないかと思うほど、旦那(決定事項)を毎日のように自室へ連れ込み、WIPE OUTしています。
シリオンより人間の方が発情しているのではないかとツッコミを入れたくなりますが、とはいえ某宗主はアラサーです。そういう時期なのだから仕方ないのでしょう。
「あーっ! 今、他の女の人のことを考えていましたね!? 今はあたしのことしか考えちゃダメなんですよっ!!」
物思いに耽っていると、膝の上に座る『あなた』の姉弟子、橘福福がぷくーっと頬を膨らませながらこちらを睨んでいました。
「まったく……少し油断すると、すぐ他の女の人のことを考えるんですから……。『あなた』はあたしの弟弟子なんですから、あたしのことだけ考えていればいいんですよっ!」
なかなか重い発言ですが、当の本人はぷんぷんと可愛らしく怒っているだけなので、不思議と重たくは感じませんでした。
『あなた』は苦笑しながら福福の頭を優しく撫でます。
「むふぅ~。分かればいいんですよっ♪」
すると福福は満足そうに息を漏らし、『あなた』の胸へ顔を埋めました。
ゴロゴロと虎らしい低い喉音を響かせながら、体をすり寄せてきます。
さらには、ぐるりと仰向けになってお腹を見せ、「ここも撫でてください」とでも言いたげな視線を向けてきました。
『あなた』が優しくお腹を撫でると、福福は気持ちよさそうに目を細めます。
そして額をこつんと合わせれば、満足そうな笑みを浮かべながら、再びゴロゴロと喉を鳴らしました。
「そうだっ!! 『あなた』はチュールって知っていますか!?」
突然何かを思い出したように、福福は勢いよく体を起こしました。
チュールといえば、ペット用のおやつだったはずです。
細長いチューブ状の袋に液状のおやつが入っており、ペットが夢中になって舐める人気の商品です。
福福が言っているのも、そのチュールのことなのでしょうか。それとも、『あなた』の知らない別の何かなのでしょうか。
「ふっふっふっ……どうやらその顔は知らないみたいですねっ! なら、あたしがチュールを教えてあげますっ!!」
そう宣言した直後、福福は『あなた』へ勢いよく顔を近づけ、頬をぺろりと舐めました。
頬から耳へ。
耳から額へ。
額から鼻へ。
まるで大型の猫にじゃれつかれているような感覚に、『あなた』は思わず苦笑します。
しかし、それが口へと移った瞬間、これはペットからの愛情表現とは異なるものだと理解しました。
「んむぅ……んっ……っちゅ……」
『あなた』の口に入った福福の舌は、『あなた』の存在を確かめるように、妖艶で、艶かしく『あなた』の口内を蹂躙していきます。
息が苦しくなるのに加え、福福から伝わる熱が『あなた』を支配し、視界が少しずつ霞んでいきます。
『あなた』は目を凝らし、福福へと視線を向けました。
そこには、いつもの可愛らしい少女の姿はありませんでした。
あったのは、1匹の獣。
色欲を身に纏い、『あなた』を自らのものにしようとする雌の姿があったのです。
「んっ……ちゅっ…………ぷはぁっ……」
何分、何時間も感じるほど蹂躙された『あなた』は、ようやく酸素を取り込むことができました。
息を切らしながらも視線を福福に向けました。
しかしそこにいたのは、先ほどまでの様子とは打って変わって、いつもの可愛らしい福福の姿でした。
「これがチュールです! どうでしたか!?」
目をきらきらと輝かせながら問いかけてくる福福に、『あなた』は苦笑を浮かべ、その頭を優しく撫でました。
「むふぅ〜♪♪」
福福は満足そうに目を細めると、再び『あなた』へと身を擦り寄せます。
ゴロゴロと喉を鳴らしながら甘えるその姿は、先ほどまでの様子が嘘だったかのように、いつもの可愛らしい姉弟子そのものでした。
先ほどの行為は狙ってやったのか。
それとも本当に無意識だったのか。
『あなた』には分かりません。
あぁ……某宗主の旦那(確定事項)の苦労を笑えなくなる日も、そう遠くないのかもな……
そんなことを考えながら、『あなた』は遠い目をしつつも、福福を優しく抱きしめるのでした。
『あなた』に超能力的な力(他作品クロス)を付与するのは?
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あり
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なし
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構わん、好きにしろ