新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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私がシーザーを持っていないため、キャラの解像度が低いかもしれません。
それと、正月休みが終わったため投稿頻度が落ちるかもしれません。
別で投稿している小説もありますので……
申し訳ございませんが、ご了承ください。




キング・シーザー ①

 

 

 

「ほ、ほら!! 早くオレ様の後ろに乗りやがれ!!」

 

 

 真っ赤な顔で『あなた』にバイクの後ろへ座るよう催促しているのは、キング・シーザーでした。

 ことの発端は、『あなた』が「バイクに乗ってみたい」と口にしたことです。

 

 『あなた』は普通自動車免許は持っていますが、二輪免許は所持していません。郊外の住人の中には「普通免許さえあれば問題ない」「そもそも免許なんて必要ないだろ」と言う者もいますが、真面目な『あなた』は無免許運転をよしとしていませんでした。

 

 アニメや漫画に登場するバイク乗りに憧れを抱いている『あなた』は、漫画を読みながら思わずぽつりと呟いてしまいます。バイクに乗ってみたい、と。

 

 もしその場にバーニスがいたなら、問答無用で『あなた』の腕を引っ張り、バイクの後部座席に縛りつけたうえで、ニトロフューエル全開で郊外を爆走していたことでしょう。

 

 しかし、その場にいたのは、ブックカバーを付けた本を真剣に読んでいたシーザーだけでした。

 

 呟いてしまったことに気づいた『あなた』は、慌てて口を押さえます。そして、近くにバーニスがいないことを確認し、そっと胸を撫で下ろしました。

 

 ところが、妙な視線を感じた『あなた』は周囲を見回します。すると、本と『あなた』を交互に見比べているシーザーと目が合ってしまいました。妙な視線の正体は、彼女だったのです。

 

 『あなた』がどうかしたのか、と声をかけると、シーザーは肩をびくりと震わせ、顔を赤く染めながら不自然に視線を泳がせ始めました。

 

 やがてシーザーは、読んでいた本を勢いよくパタンと閉じると、無言で『あなた』の手を掴み、ズカズカと歩き出します。そして、そのまま『あなた』を連れ出した結果が、冒頭の場面というわけです。

 

 

「お、おい!! お前がバイクに乗りたいって言ったんだろう!? は、早くしろっ!! じゃないと、バーニスたちに見つかっちまうじゃねぇか!!」

 

 

 自身の後ろをバンバンと叩きながら、シーザーは『あなた』を急かします。しかし『あなた』は、頬を掻きながら反論しました。

 

 

「な、なに? “掴む場所がないから危ないだろう”だと? ……そ、それは……掴む場所といえば、オレ様の肩とか……お腹とか……む、胸とか……。と、とにかく、オレ様に掴まっていれば大丈夫だっ!!」

 

 

 シーザーは茹でだこのように顔を真っ赤にしながら、『あなた』を半ば強引にバイクの後部座席へと乗せます。『あなた』はこの程度の強引さには慣れているため、渋々ながらも彼女の言う通りにしました。

 

 ただし、『あなた』はせめてヘルメットだけは着けさせてほしいとシーザー頼みました。するとシーザーは自分のガレージへ駆け込み、昔使っていたヘルメットを持って戻ってきて、『あなた』に差し出しました。

 

 少し年季は入っていましたが、安全性は申し分ないらしく、『あなた』はそのヘルメットを装着します。

 

 

「これでいいだろう? ……何? “シーザーの匂いがする”だって? ……ばっ、ばかっ!! そんな恥ずかしいことを言うなっ!!」

 

 

 ゴツン、とヘルメット越しに軽い衝撃が走りました。なるほど、確かに安心感は抜群だ。『あなた』は一人でそう納得しました。

 

 

「……嫌なら返せよ。新しいのを買ってきてやるから。……えっ? 嫌じゃない? むしろ、いい匂いで安心する……? っ!? このっ……!! も、もういいっ!! さっさと行くぞっ!!」

 

 

 シーザーはぷいっと顔を背け、勢いよくエンジンを吹かします。その際、「いい匂い……ふへへ……」と小さく漏らしていましたが、その声が『あなた』の耳に届くことはありませんでした。

 

 

「……よしっ!! それじゃあ、行くぞっ!!」

 

 

 シーザーの掛け声と同時に、バイクは勢いよく走り出します。想像以上のスピードに驚いた『あなた』は、身体を支えるため、シーザーの腹部に腕を回してぎゅっとしがみつきました。

 

 

「っっ!?!?」

 

 

 その行動がシーザーを刺激してしまったのか、バイクの速度はさらに上がってしまいます。

 

 早く止まってほしいと願いながら必死にしがみつく『あなた』と、テンションが最高潮に達しているシーザー。二人のバイクデート(?)は、シーザーが『あなた』の感触に満足するまで、しばらく続くのでした。

 

 ちなみに、シーザーが読んでいた本は、恋人同士がタンデムデートを楽しむラブロマンス漫画でした。

 しかし、その事実を『あなた』が知ることはありません。

 

 もし知る日が来るとすれば、それはきっと、荒野の走り屋を束ねる首領な女性が、『あなた』の恋人になった時でしょう。

 

 





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