新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
カラカラカラ——。
ホロウ内に、金属バットが地面を擦る音が響き渡ります。
先ほどまで辺りをうろついていたエーテリアスたちは、いつの間にか姿を消していました。
何体かはバットで駆除したものの、大半はその音を聞いた瞬間、一目散に逃げ出していったのです。
よく見ると、物陰から震えながらこちらを窺っているエーテリアスまでいます。
しかし、今の目的はエーテリアスではありません。
『あなた』は今、獣狩りの最中なのです。
パァンッ、と乾いた銃声が響きました。
それと同時に、『あなた』はバットを水平に振り抜きます。
手に伝わるのは、軽い衝撃だけでした。
「っ!? 化け物が……!!」
狼のシリオンは『あなた』へ向けて発砲しながら、必死に距離を取ります。
その射撃は正確でした。
しかし、『あなた』は飛来する弾丸を一発残らずバットで弾き返しながら、ゆっくりと狼のシリオンへ歩み寄っていきます。
「ピギャッ!」
「アギャッ!」
弾き返された弾丸は、物陰に隠れていたエーテリアスの頭部を次々と貫いていきました。
一体、また一体とエーテリアスが断末魔を上げながら消滅していきます。
その光景を目の当たりにした狼のシリオンは、恐怖に支配されていきました。
「なんだよ……なんなんだよ、お前はぁっ!?」
狼のシリオンは錯乱したように叫び、残った弾丸をすべて『あなた』へ撃ち込みます。
しかし、その一発たりとも『あなた』へ届くことはありません。
やがて弾切れになると、狼のシリオンは銃を振りかぶり、最後の抵抗とばかりに殴りかかりました。
ですが、『あなた』はバットで銃を弾き飛ばすと、そのまま狼のシリオンの腹部へ鋭い蹴りを叩き込みます。
「ごぼっ……!!」
狼のシリオンは背後のコンテナへ激しく叩きつけられ、血を吐き出しました。
カラカラ……。
カラカラ……。
バットを引きずる音が、ゆっくりと近づいてきます。
「ひっ……」
狼のシリオンは恐怖に顔を引きつらせながら後ずさります。
ですが、背後にはコンテナ。
もう逃げ場はありません。
「なんだよ……なんなんだよ、お前はァ!? カリュドーンの連中か!? それとも……っ!?」
狼のシリオンは必死に何かを叫び続けます。
しかし、その声は『あなた』の耳にはまったく届いていませんでした。
「わ、わかった!! 金ならやる!! 食料だってやる!!」
『あなた』は震えながら命乞いをする狼のシリオンを一瞥すると、何も言わずバットを構えます。
「ひぃっ!! 頼むっ!! もう二度とカリュドーンの奴らには近づかない!! だから……だからァッ!!!」
左足を踏み込み、グリップを強く握り締めます。
狙うのは当然、頭部。
恐怖で震える狼のシリオン——モルスの耳に、一つの声が届きました。
“……人の妹を撃っといて、許されるわけねェだろうが”
バ ギ ィ ッ
「もうっ!!!! 本当に何をやらかしてくれているんですの、このバカ兄貴はっ!!!!」
『あなた』は今、郊外の一室で正座をしています。
隣には、血に濡れた金属バット。
正面には、怒り心頭の愛しのマイシスター。
家の外では、頭に包帯を巻かれて気絶しているモルスを囲むように、郊外の人々が集まっています。
その視線には、怒りと同情が半々に入り混じっていました。
「いくらポンペイおじ様の仇だからといっても、限度というものがありますのっ!! もし本当に死んでいたらどうするつもりでしたのっ!?」
「ちゃんと手加減はした」という言い訳をしましたが、ルーシーにはまったく通じません。
カリュドーンの子やタイムフィールド家の名を汚すだの、次から次へと説教が飛んできます。
それでも『あなた』は悪びれることなく、黙ってルーシーの説教を受け続けていました。
やがて、ルーシーはふっと息を吐きます。
「……で?」
少しだけ声の調子を落とし、『あなた』を見つめました。
「どうして、モルスの奴をぶん殴ったんですの?」
『あなた』は真っすぐルーシーを見つめ返し、迷いなく答えます。
“ルーシーを撃ったから”
ルーシーは目を見開きました。
そして、ゆっくりと視線を落とします。
「……いつの話をしていますの」
「それに、直撃したわけじゃありませんの。ヘルメットを少しかすめただけで……」
“それでも、撃ったことには変わりない”
短い返事でした。
ですが、その一言だけで十分でした。
ルーシーは唇をぎゅっと結び、小さく呟きます。
「……ほんと、バカ兄貴ですの」
次の瞬間。
ルーシーは『あなた』へ飛びつくように抱きつきました。
何年ぶりかも分からない妹からの抱擁に、『あなた』は目を丸くします。
どうすればいいのか分からず両手を宙にさまよわせていると、ルーシーは胸へ顔を埋めたまま、小さく震える声で言いました。
「……もし、お兄様に何かあったら……私は……っ」
肩が震えています。
胸元へ、温かな涙が落ちました。
『あなた』は静かにルーシーを抱きしめ返します。
“……ごめん”
その言葉を聞くと、ルーシーはポコポコと胸を叩き始めました。
「ごめんじゃ済みませんわ……バカお兄様」
『あなた』は何も言わず、ルーシーの気が済むまで抱き締め続けます。
「——頭を、撫でてくださいまし。昔みたいに」
『あなた』は優しく微笑み、幼い頃と同じようにルーシーの頭を撫でました。
その手の温もりを確かめるように、ルーシーは『あなた』をさらに強く抱き締めます。
「お兄様は、おバカですの……」
“……うん”
「今日みたいな危ないことをして……」
“……ごめん”
「私の知らないところで、アリスの許嫁になって……」
“それは……その……”
「お兄様は……私のお兄様なのに……」
「……ずるいですわ」
困ったように笑う『あなた』を見上げ、ルーシーは涙で濡れた瞳のまま微笑みました。
「だから……これは、お仕置きですの」
一度だけ鼻をすすり、少しだけ頬を赤く染めながら宣言します。
「今日一日、お兄様は私の物になってもらいますの」
「誰が何と言おうと——」
「絶対に、お兄様は渡しませんわ……♡」
もしR18版のルーシーを書くとしたら、今までのお兄様の行動を思い出しつつ、アリスに取られてしまうことを想像して1人慰める……的な????
あと、アンビーの話って救い欲しいですか?
一応、少年を斬れないアンビーの代わりに11号やトリガーが少年を……的な構想はあるんですケド……
【追記】
↑の展開は追い打ちの曇らせ展開でぇ……
別に、これを救い的な話だとは思ってなくてぇ……
でも死は救済って聞くし、自分が犯してきた罪(無罪)を自分で裁くって言うのも一応救済ではあると思ったりしてぇ……
『あなた』の台詞は?
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地の文だけで表現してほしい
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今くらいのセリフ量が良い
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もう少し喋ってほしい
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めちゃくちゃ喋ってほしい