新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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ルシアーナ・オクシスィース・テオドロ・デ・モンテフィーノ ① 続

 

 

 カラカラカラ——。

 

 ホロウ内に、金属バットが地面を擦る音が響き渡ります。

 

 先ほどまで辺りをうろついていたエーテリアスたちは、いつの間にか姿を消していました。

 

 何体かはバットで駆除したものの、大半はその音を聞いた瞬間、一目散に逃げ出していったのです。

 

 よく見ると、物陰から震えながらこちらを窺っているエーテリアスまでいます。

 しかし、今の目的はエーテリアスではありません。

 『あなた』は今、獣狩りの最中なのです。

 

 パァンッ、と乾いた銃声が響きました。

 それと同時に、『あなた』はバットを水平に振り抜きます。

 手に伝わるのは、軽い衝撃だけでした。

 

「っ!? 化け物が……!!」

 

 狼のシリオンは『あなた』へ向けて発砲しながら、必死に距離を取ります。

 

 その射撃は正確でした。

 しかし、『あなた』は飛来する弾丸を一発残らずバットで弾き返しながら、ゆっくりと狼のシリオンへ歩み寄っていきます。

 

「ピギャッ!」

 

「アギャッ!」

 

 弾き返された弾丸は、物陰に隠れていたエーテリアスの頭部を次々と貫いていきました。

 

 一体、また一体とエーテリアスが断末魔を上げながら消滅していきます。

 その光景を目の当たりにした狼のシリオンは、恐怖に支配されていきました。

 

「なんだよ……なんなんだよ、お前はぁっ!?」

 

 狼のシリオンは錯乱したように叫び、残った弾丸をすべて『あなた』へ撃ち込みます。

 

 しかし、その一発たりとも『あなた』へ届くことはありません。

 

 やがて弾切れになると、狼のシリオンは銃を振りかぶり、最後の抵抗とばかりに殴りかかりました。

 ですが、『あなた』はバットで銃を弾き飛ばすと、そのまま狼のシリオンの腹部へ鋭い蹴りを叩き込みます。

 

「ごぼっ……!!」

 

 狼のシリオンは背後のコンテナへ激しく叩きつけられ、血を吐き出しました。

 

 カラカラ……。

 

 カラカラ……。

 

 バットを引きずる音が、ゆっくりと近づいてきます。

 

「ひっ……」

 

 狼のシリオンは恐怖に顔を引きつらせながら後ずさります。

 ですが、背後にはコンテナ。

 もう逃げ場はありません。

 

「なんだよ……なんなんだよ、お前はァ!? カリュドーンの連中か!? それとも……っ!?」

 

 狼のシリオンは必死に何かを叫び続けます。

 しかし、その声は『あなた』の耳にはまったく届いていませんでした。

 

「わ、わかった!! 金ならやる!! 食料だってやる!!」

 

 『あなた』は震えながら命乞いをする狼のシリオンを一瞥すると、何も言わずバットを構えます。

 

「ひぃっ!! 頼むっ!! もう二度とカリュドーンの奴らには近づかない!! だから……だからァッ!!!」

 

 左足を踏み込み、グリップを強く握り締めます。

 狙うのは当然、頭部。

 

 恐怖で震える狼のシリオン——モルスの耳に、一つの声が届きました。

 

 

 

 

“……人の妹を撃っといて、許されるわけねェだろうが”

 

 

 

 

 

 

 バ ギ ィ ッ

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうっ!!!! 本当に何をやらかしてくれているんですの、このバカ兄貴はっ!!!!」

 

 『あなた』は今、郊外の一室で正座をしています。

 隣には、血に濡れた金属バット。

 正面には、怒り心頭の愛しのマイシスター。

 

 家の外では、頭に包帯を巻かれて気絶しているモルスを囲むように、郊外の人々が集まっています。

 その視線には、怒りと同情が半々に入り混じっていました。

 

「いくらポンペイおじ様の仇だからといっても、限度というものがありますのっ!! もし本当に死んでいたらどうするつもりでしたのっ!?」

 

 「ちゃんと手加減はした」という言い訳をしましたが、ルーシーにはまったく通じません。

 カリュドーンの子やタイムフィールド家の名を汚すだの、次から次へと説教が飛んできます。

 

 それでも『あなた』は悪びれることなく、黙ってルーシーの説教を受け続けていました。

 やがて、ルーシーはふっと息を吐きます。

 

「……で?」

 

 少しだけ声の調子を落とし、『あなた』を見つめました。

 

「どうして、モルスの奴をぶん殴ったんですの?」

 

 『あなた』は真っすぐルーシーを見つめ返し、迷いなく答えます。

 

 

“ルーシーを撃ったから”

 

 

 ルーシーは目を見開きました。

 そして、ゆっくりと視線を落とします。

 

「……いつの話をしていますの」

 

「それに、直撃したわけじゃありませんの。ヘルメットを少しかすめただけで……」

 

“それでも、撃ったことには変わりない”

 

 短い返事でした。

 ですが、その一言だけで十分でした。

 ルーシーは唇をぎゅっと結び、小さく呟きます。

 

「……ほんと、バカ兄貴ですの」

 

 次の瞬間。

 ルーシーは『あなた』へ飛びつくように抱きつきました。

 

 何年ぶりかも分からない妹からの抱擁に、『あなた』は目を丸くします。

 どうすればいいのか分からず両手を宙にさまよわせていると、ルーシーは胸へ顔を埋めたまま、小さく震える声で言いました。

 

「……もし、お兄様に何かあったら……私は……っ」

 

 肩が震えています。

 胸元へ、温かな涙が落ちました。

 『あなた』は静かにルーシーを抱きしめ返します。

 

“……ごめん”

 

 その言葉を聞くと、ルーシーはポコポコと胸を叩き始めました。

 

「ごめんじゃ済みませんわ……バカお兄様」

 

 『あなた』は何も言わず、ルーシーの気が済むまで抱き締め続けます。

 

「——頭を、撫でてくださいまし。昔みたいに」

 

 『あなた』は優しく微笑み、幼い頃と同じようにルーシーの頭を撫でました。

 その手の温もりを確かめるように、ルーシーは『あなた』をさらに強く抱き締めます。

 

「お兄様は、おバカですの……」

 

“……うん”

 

「今日みたいな危ないことをして……」

 

“……ごめん”

 

「私の知らないところで、アリスの許嫁になって……」

 

“それは……その……”

 

「お兄様は……私のお兄様なのに……」

 

「……ずるいですわ」

 

 困ったように笑う『あなた』を見上げ、ルーシーは涙で濡れた瞳のまま微笑みました。

 

「だから……これは、お仕置きですの」

 

 一度だけ鼻をすすり、少しだけ頬を赤く染めながら宣言します。

 

 

「今日一日、お兄様は私の物になってもらいますの」

 

 

「誰が何と言おうと——」

 

 

 

 

「絶対に、お兄様は渡しませんわ……♡」

 

 

 





もしR18版のルーシーを書くとしたら、今までのお兄様の行動を思い出しつつ、アリスに取られてしまうことを想像して1人慰める……的な????

あと、アンビーの話って救い欲しいですか?
一応、少年を斬れないアンビーの代わりに11号やトリガーが少年を……的な構想はあるんですケド……


【追記】
↑の展開は追い打ちの曇らせ展開でぇ……
別に、これを救い的な話だとは思ってなくてぇ……
でも死は救済って聞くし、自分が犯してきた罪(無罪)を自分で裁くって言うのも一応救済ではあると思ったりしてぇ……

『あなた』の台詞は?

  • 地の文だけで表現してほしい
  • 今くらいのセリフ量が良い
  • もう少し喋ってほしい
  • めちゃくちゃ喋ってほしい
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