新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
「ほら見て。夕陽だよ。綺麗だね……」
レミエールは水平線の彼方へと沈んでいく夕陽を指差した。
海は茜色に染まり。
波は穏やかに寄せては返す。
辺りに人影はなく、聞こえるのは静かな波音だけだった。
今日一日、レミエールといろいろな場所を巡った。
それはまるで、真っ白だったキャンバスへ少しずつ色が重なっていくような、空っぽだった心が、少しずつ満たされていくような心地の良い感覚だった。
なのに。
胸の奥では、鋭い痛みが広がっていく。
心は満たされている。
それなのに。
苦しい。
切ない。
寂しい。
どうしてなのか、自分でも分からなかった。
「……ねぇ、今日はどうだった?」
波打ち際に立ったまま、レミエールが静かに問いかける。
「私はね、とっても楽しかった」
こちらへ振り向かない。
けれど、純白の羽が小さく揺れている。
その羽だけで、彼女が本心から笑っていることは分かった。
「100年前に失った『あなた』との時間が、戻ってきたみたいで」
「止まっていた時間が、また動き出したみたいで」
「本当に、楽しかった」
一拍置いて。
彼女は、小さく息を吐く。
「でも、それ以上に……」
ゆっくりとこちらを振り返る。
夕陽を背負ったその表情は、逆光で見えない。
けれど。
「——痛かった」
頬を伝う涙だけは、はっきりと見えた。
「おかしいよね」
「『あなた』とまた出会えたのに」
「嬉しくて」
「楽しくて」
「心が躍ってるはずなのに」
「とっても、痛いんだ」
きっと。
彼女は笑っている。
俺に心配をかけないように。
いつものように笑おうとしている。
それでも涙だけは止まらず、茜色に染まった海へぽたり、ぽたりと落ちていく。
「『あなた』は『あなた』なのに」
「もう、私の知ってる『あなた』じゃない」
少しだけ首を横に振る。
「……ううん、違うね」
「きっと『あなた』は、私の知ってる『あなた』なんだと思う」
「でも」
「心の奥では、こう思ってる」
「もう、『あなた』はいないんだって」
一つ一つの言葉が棘のように胸へ突き刺さる。
どうして。
どうしてこんなにも苦しいのだろう。
この感情の名前を、俺は知らない。
「『あなた』は悪くない。いつまでも過去に囚われてる私が悪いの」
そう言って、レミエールは夕陽へ向かって歩き出す。
まるで。
沈んでいく夕陽と一緒に、この世界から消えてしまうかのように。
手を伸ばそうとした。
けれど、腕は動かない。
呼び止めようとした。
けれど、言葉にならなかった。
「だからね、今日でおしまい♪」
いつものように明るい声。
だけど。
震えていた。
泣くのを必死に堪えていることが、その声だけで伝わってくる。
「軍も」
「任務も」
「ホロウも」
「エーテリアスも」
「そして——私も」
「もう、『あなた』を縛るものは何もない」
「世界のためとか」
「みんなのためとか」
「そんなものは、もう忘れていいの」
レミエールが、遠ざかっていく。
「『あなた』はもう、自由なんだ」
ふわり、と。
純白の羽が広がった。
舞い散る羽根は雪のように空を漂い、静かに海へと降り積もっていく。
「今日は私のわがままに付き合ってくれて、ありがとね」
「これでもう、思い残すことはない」
夕陽が水平線の向こうへ沈んでいく。
世界が少しずつ暗く染まり、夜が訪れる。
孤独が、静かに僕を包み込んでいく。
「最後に『約束』を果たせて、本当によかった」
「——バイバイ」
これで
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地の文だけで表現してほしい
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今くらいのセリフ量が良い
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もう少し喋ってほしい
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めちゃくちゃ喋ってほしい