新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
“——待って”
「……っ」
今度こそ、伸ばした手は彼女の手を確実に掴んだ。
もう二度と離さないと誓うように、レミエールの手を優しく、そして強く握りしめる。
“僕も……本当に楽しかった”
今日一日、胸は何度も躍り、高鳴った。
それは、かけがえのない思い出になった。
“でも、レミエールと同じように——痛かった”
ズキリ、ズキリと、胸の奥を鋭い痛みが突き刺す。
その痛みは今も消えずに残っている。
きっと、彼女も同じなのだろう。
“苦しくて、切なくて、寂しくて。キミと一緒にいるだけで、心が痛いんだ”
「なら——」
レミエールは僕の手を振り払おうとする。
けれど、僕は決して離さなかった。
“でも、この痛みからは逃げちゃダメなんだ”
「っ……」
彼女の手を引き、そっと自分のほうへ引き寄せる。
そして、その瞳を真っ直ぐ見つめながら言葉を紡ぐ。
今度こそ、この想いをちゃんと伝えるために。
“——きっと、僕は大切な何かを忘れている。キミとの、大切な何かを”
レミエールは悲しげに目を伏せる。
それでも、僕は止まらない。
止まってはいけない。
“でも、この痛みがキミとの繋がりなんだ”
痛い。
苦しい。
切ない。
寂しい。
今すぐ逃げ出したくなるほど、この胸は悲鳴を上げている。
それでも、逃げてはいけない。
逃げてしまえば、本当に終わってしまう気がするから。
“忘れてしまった何かを思い出せるとは限らない”
“この痛みが消える保証もない”
“だけど、この痛みがあるから、キミと繋がっていられるんだ”
レミエールは涙を流しながら、僕の言葉を静かに受け止めていた。
僕はそんな彼女の涙を優しく拭い、想いを重ねるように言葉を紡ぎ続ける。
“僕は、キミとの繋がりを途絶えさせたくない”
“キミと、ずっと繋がっていたいんだ”
「っ……」
何も覚えていなくても。
この胸から溢れ出す感情だけは、本物だった。
“失ってしまったものはたくさんある”
“そのせいで、キミを傷つけてしまうかもしれない”
“それでも、僕はキミと一緒にいたい”
“僕とキミだけの時間を過ごしたい”
“僕とキミだけの思い出を、作りたいんだ”
「……っ!!」
ぽろぽろと涙が溢れ続ける。
想いもまた、止まらない。
それはきっと、彼女も同じなのだろう。
だからこそ、止めてはいけない。
この想いは、言葉にして伝えなければならないのだから。
「ねぇ、これからもずっと……私のそばにいてくれる……?」
“当たり前だよ、
この温もりは忘れない。
この愛は、絶対に忘れない。
忘れてはならない。
なぜなら——
“「約束だよ」”
レミエール/ラミル編、これにて完結です。
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