新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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レミエール・ダン/ラミル ① 終 

 

 

 

 

“——待って”

 

「……っ」

 

 今度こそ、伸ばした手は彼女の手を確実に掴んだ。

 もう二度と離さないと誓うように、レミエールの手を優しく、そして強く握りしめる。

 

 

“僕も……本当に楽しかった”

 

 

 今日一日、胸は何度も躍り、高鳴った。

 それは、かけがえのない思い出になった。

 

 

“でも、レミエールと同じように——痛かった”

 

 

 ズキリ、ズキリと、胸の奥を鋭い痛みが突き刺す。

 その痛みは今も消えずに残っている。

 きっと、彼女も同じなのだろう。

 

 

“苦しくて、切なくて、寂しくて。キミと一緒にいるだけで、心が痛いんだ”

 

「なら——」

 

 レミエールは僕の手を振り払おうとする。

 けれど、僕は決して離さなかった。

 

 

“でも、この痛みからは逃げちゃダメなんだ”

 

「っ……」

 

 彼女の手を引き、そっと自分のほうへ引き寄せる。

 そして、その瞳を真っ直ぐ見つめながら言葉を紡ぐ。

 今度こそ、この想いをちゃんと伝えるために。

 

 

“——きっと、僕は大切な何かを忘れている。キミとの、大切な何かを”

 

 

 レミエールは悲しげに目を伏せる。

 それでも、僕は止まらない。

 止まってはいけない。

 

 

“でも、この痛みがキミとの繋がりなんだ”

 

 

 痛い。

 苦しい。

 切ない。

 寂しい。

 

 今すぐ逃げ出したくなるほど、この胸は悲鳴を上げている。

 それでも、逃げてはいけない。

 逃げてしまえば、本当に終わってしまう気がするから。

 

 

“忘れてしまった何かを思い出せるとは限らない”

 

 

“この痛みが消える保証もない”

 

 

“だけど、この痛みがあるから、キミと繋がっていられるんだ”

 

 

 レミエールは涙を流しながら、僕の言葉を静かに受け止めていた。

 僕はそんな彼女の涙を優しく拭い、想いを重ねるように言葉を紡ぎ続ける。

 

 

“僕は、キミとの繋がりを途絶えさせたくない”

 

 

“キミと、ずっと繋がっていたいんだ”

 

 

「っ……」

 

 何も覚えていなくても。

 この胸から溢れ出す感情だけは、本物だった。

 

 

“失ってしまったものはたくさんある”

 

 

“そのせいで、キミを傷つけてしまうかもしれない”

 

 

“それでも、僕はキミと一緒にいたい”

 

 

“僕とキミだけの時間を過ごしたい”

 

 

“僕とキミだけの思い出を、作りたいんだ”

 

 

「……っ!!」

 

 ぽろぽろと涙が溢れ続ける。

 

 想いもまた、止まらない。

 

 それはきっと、彼女も同じなのだろう。

 

 だからこそ、止めてはいけない。

 

 この想いは、言葉にして伝えなければならないのだから。

 

 

 

 

 

「ねぇ、これからもずっと……私のそばにいてくれる……?」

 

 

 

“当たり前だよ、()()()

 

 

 

 

 この温もりは忘れない。

 

 この愛は、絶対に忘れない。

 

 忘れてはならない。

 

 なぜなら——

 

 

 

 

“「約束だよ」”

 

 

 

 





レミエール/ラミル編、これにて完結です。
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