新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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シグリッド、めちゃくちゃ面白ぇ女なのだ
レミエール完凸させて、パチンコで溶かしてお金無いなったけど絶対引くのだ



シグリッド・ドゥ・ラズール ①

 

 

『ウーーーー、ウマダッチ!! ウーーーー、ウマピョイウマピョイ!!』

 

 今巷で流行りの大人気ソーシャルゲームで、ようやくトゥルーエンドを迎えることができた『あなた』は、そのご褒美とも言えるライブシーンを見ていました。

 

 スマホの画面には、ウマ耳と尻尾を生やした可愛らしい女の子たちが、元気いっぱいに歌い、踊っています。

 

 これまで費やしてきた膨大な時間と課金。そして、担当キャラとの数え切れない思い出が、走馬灯のように頭の中を駆け巡っていきました。

 

 長かった。

 ここまで来るのに、本当に長かった。

 

 何度も失敗率2%を引き当て、ファン数を稼ぐのを忘れて目標レースに出場できず、ライバルに敗北する。

 

 いくら課金してサポートカードを強化しても、運やプレイング一つで結果はあっさり覆ってしまいます。そんな数々の理不尽を乗り越えた先に待っているこのライブが、どれほど感極まるものなのかは、このゲームをプレイした者だけが知ることができるのです。

 

 滲んだ瞳で笑顔を振りまく担当キャラを見ていると、こちらも思わず涙が溢れてきます。ようやく、ここまで来られたのだ、と。

 

 胸いっぱいに達成感が広がる、感動的なライブシーン。……なのですが、一つだけ、どうしても気になってしまうことがありました。

 

“(うまぴょいって何なんだ……???”)

 

 そして、『あなた』の肩に頭を預け、一緒にライブを見ているシグリッドもまた、まったく同じ疑問を抱いていました。

 

(うまぴょい……?? これは一体何なのだ?? そもそもこの“げぇむ”は何なのだ?? 某と同じ馬のシリオンが走って踊っている?? 何故歌う?? 何故踊る??)

 

 見た目は仕事のできるクールな美女。ですが、中身は超おもしれぇ女であるシグリッドは、考えれば考えるほど思考が迷宮入りし、表情が目まぐるしく変わっていきます。

 

(……はっ)

 

 そこで、何かを悟ったように目を見開きました。

 

(これは、某への“めっせぇじ”に違いない。恋人にお願いしたいことがある。だが、恥ずかしくて直接は言えない。そうなのであろう? だから、この“げぇむ”を通じて遠回しに某へ“あぴぃる”をしている……)

 

 そこまで考えたシグリッドは、口元を緩めました。

 

(ふふっ……愛いやつめ)

 

 でへへっ、と締まりのない笑みを浮かべたかと思えば、すぐさま表情を引き締めます。そして再び、「むむむっ」と唸りながら首を傾げ、眉を顰めました。

 

(そういえば、先ほど温泉旅行券が当たったと喜んでいた……)

 

 数秒の沈黙。

 そして。

 

(つまり、こやつは某と二人きりで“らぶらぶ”温泉旅行へ行きたいということか!?!?)

 

 思考はさらに加速します。

 

(つまりつまり、某との新婚(予定)旅行ということなのか!?!?)

 

 そこまで妄想が飛躍した瞬間。シグリッドの頬はみるみる真っ赤に染まり、両手で顔を包み込むように押さえました。

 

「でへへへ……」

 

 誰にも聞こえないほど小さく漏れた笑い声。そのまま身体をイヤンイヤンと左右にくねらせ、一人で幸せそうに悶え始めます。

 

 しかし、そんなシグリッドの暴走など知る由もない『あなた』は、ライブ映像にすっかり夢中になっていました。

 

 担当キャラの晴れ舞台から一瞬たりとも目を離すことなく感動に浸り続けていたため、隣で繰り広げられている壮大な勘違い劇には最後まで気づくことはありませんでした。

 

(しかし、すぐ隣にそなたの愛馬がいるというのに、“げぇむ”の馬のシリオンにうつつを抜かすとはどういうことだ。浮気か? 浮気なのか? 浮気は許さんぞ!! ガルルルルル!!」

 

 馬らしからぬ唸り声を上げながら、『あなた』の耳をガジガジと甘噛みするシグリッド。ですが、『あなた』はそんな彼女の頭を優しく撫でました。きっと「構ってほしいのだろう」と思ったのでしょう。

 

「くぅーん♡♡♡」

 

 途端に甘えた声を漏らし、尻尾をブンブンと振り回すシグリッド。その姿は、まるで主人にべったり懐いた大型犬そのものでした。

 

(……はっ!! いかんいかん。空域巡警局の総務次官である某が、このように雄へ媚びる声を漏らすとは言語道断。本来の目的を思い出すのだ。きっと温泉旅行以外にも伝えたいことがあるはずだ。考えろ。考えるのだ!!)

 

 そうして再び思考を巡らせていると、ライブから流れてきた歌詞を耳にした瞬間——シグリッドの脳裏へ電流が走りました。

 

『ウーーーー、スキダッチ!! ウーーーー、ウマポイ!! ウマウマウミャウニャ、3.2.1.ファイ!!』

 

(!!!!!!!!!!)

 

 シグリッドの身体が、雷に打たれたかのようにビーンと硬直します。

 

(うまぴょい……すきだっち……うまぽい……3、2、1“ふぁい”……!!)

 

(つまり、うまぴょいとは……)

 

 

 

 

 

(夜伽!!!!!)

 

 

 

 

 

 ついに、頭の中のパズルのピースがすべて繋がったようです。

 

 脳内ではガ◯レオのOP流れ始め、カレンダーや式場の予約、役所での各種手続きらしき映像が、猛烈な勢いで駆け巡っていきます。

 

(こやつは某と温泉旅行へ行き、お互いの体を清め、某とまぐわいたい……そういうことなのだな!!!!)

 

 謎は完全に解けました。

 “恋の魔力”は無限大。2人の間に“最愛”の“ヒトツボシ”が生まれ、そのまま“KISSして”ハッピーエンド。計画通り、完璧〜♪

 

 そんな妄想だけが、シグリッドの頭の中で一直線に突き進んでいきます。

 

 シグリッドの瞳はとろんと潤み、頬はほんのり赤く染まりました。熱のこもった視線を『あなた』へ向けます。

 

 しかし当の『あなた』は、その視線に気づくことなく、担当キャラの晴れ舞台に夢中になっていました。

 

「ふふっ、ふふふふふっ……!!」

 

“(……??? 面白いダジャレでも思いついたのかな???)”

 

 後日、シグリッドと共に温泉旅行へ行き、夜が明けても永遠に続く夜のターン制バトルをする羽目になるのですが、今の『あなた』がそれを知る由もありませんでした。

 





『ゼンゼロ×スパイダーマン』や『ゼンゼロ×幻想殺し』の小説を妄想してたけど全く筆が進まないのだ
それと、リクエストいただいたリナの話もすごくビビッと来たので頑張って構想を練ってるのだ

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