新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
「今日はスターライトだ!!」
“いーや、スパイディーマソだ!!”
ルミナスクエアの映画館の前で、クモのシリオンである『あなた』とビリーは言い争いをしています。
今流行りの『スパイディーマソ』を観るか、それとも、再上映中のスターライトを観るか。お互いに引くことなく熱弁し続けています。
「スパイディーマソなんて公開されたばっかじゃねぇか! また来週観ればいいだろ? スターライトは今週で終わっちまうんだぞ!?」
“そんなこと言って、先週も観たじゃん!”
「スターライトは何回見ても色褪せない名作なんだよ! お前だって毎回感動して泣いてるじゃないか! だったらスパイディーマソじゃなくてスターライトを観るべきだぜ!」
“スパイディーマソだって待望の新作なんだぞ! マルチバースやらなんやらでシリーズが不調だったけど、今作だけは絶対面白いって!”
「確かに、スパイディーマソがお前と同じ生体ウェブを使えるようになったのは気になるけどよぉ……」
“だろ!? だったらスパイディーマソで決定だ!!”
ビリーがスパイディーマソを観るのに納得しかかったその時、それを遮るように声を上げる人物がいました。
「ちょっと待ったー!! 今日観るべきは『ホビーストーリー5』だよっ!!」
声を上げた人物、リンは、カウボーイの人形と宇宙飛行士の人形を掲げて『あなた』とビリーに言いました。
「あの衝撃的なエンディングから7年!! もう続編が作られないと思ってたあのホビーストーリーに新作だよっ!? これを観ないとか、あんたたち本当にファンなの!?」
「いやー……そうは言ってもよ、店長……俺たちの中でホビーストーリーは3で終わってるというか……」
“……あんまりこういうことを言いたくないんだけど、4がねぇ……”
「えぇ!? 4面白かったじゃん!!」
『あなた』とビリーの反応に驚きの声を上げるリン。そのまま、ホビーストーリー4の良いところを熱弁し始めます。
また始まった……と深いため息をつく『あなた』とビリーでしたが、そこへアキラが現れリンの肩に手を置き言いました。
「みんな観たい映画は違うようだから、ここはジャンケンで勝った人の映画を観ようじゃないか。当然、僕が勝ったら僕が観たい映画を観てもらうからね」
「おっ? もう1人の店長も観たい映画があるのか?」
「まあね」
最も平等で公平な案に『あなた』は笑みをこぼし、肩を回します。
“良いね。絶対勝ってスパイディーマソを観るからな”
「いーや、ホビーストーリー5だからねっ!!」
「スターライトだっ!!」
「よし、それじゃあ、いくよ?」
「「「“ジャーンケーン、ポンっ!!!!”」」」
「わァ……」
“アッ、アァ……”
「わぁ!? 泣いちゃったニャ!?!?」
「それに何か、ちいさくてかわいくなってるわ……」
「ちょっとプロキシ!? 映画観てから2人がおかしいんだけど、一体何を……ってプロキシ!?!?」
「イヤッ、イヤイヤ!!!!」
「ヤダーーーーッ!!!!」
記念すべき第70話がこんなので良いのだろうか……
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