新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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ドキドキッ!? 真夏のファンタジィリゾート編 ポロリもあるかもよ?
儀玄 ①


 

 

 妄想エンジェルの宣伝効果により、今年のファンタジィリゾートは例年以上の賑わいを見せていました。

 

 『離島シューティング』に『熱波サーフィン』、釣りにお土産屋さん。そして夜にはキャンプファイアーなど、イベントは盛りだくさんです。

 

「なぁ、そこの姉ちゃん? 俺と一緒に遊ばない〜?」

 

「い、いやです……っ」

 

 そして当然、このイベントを利用してナンパするお客も、いつも以上に現れるのでした。

 

 金髪に日焼けした肌、首元にはギラギラとしたアクセサリー。片手にはサーフボードを抱えた、いかにもなナンパ師が、女性客の一人に声をかけています。

 

 男はサーフボードを盾にするようにして周囲からの視線を遮りながら、女性の肩へ馴れ馴れしく手を回します。

 

「良いじゃん良いじゃん♪ ちょーっとだけで良いからさ♪ あっ、もしかして調子が悪い? なら、俺がホテルまで連れてってあげるよ♪ ほら、ね?」

 

「やっ、やめてください……! だ、誰か……っ!」

 

 女性は必死に助けを求めようとします。

 ですが、恐怖で声が震え、思うように声が出ません。

 

 周囲の人々も楽しげな雰囲気に気を取られているのか、彼女の異変に気づく様子はありません。

 

 そのまま女性は男に肩を掴まれ、砂浜を連れていかれそうになります。

 

 ですが——。

 

「嫌よ嫌よも好きのうちってね♪ は〜い、一名様ご案な〜〜……あがっ!!」

 

 

 

 ゴッ!!

 

 

 

 突如、男の後頭部に鋭い衝撃が走りました。

 

「」

 

 男は白目を剥き、その場にドサリと倒れ込みます。

 そして次の瞬間。

 倒れた男の身体をガシリと掴み、そのまま軽々と担ぎ上げる人物がいました。

 

 『あなた』です。

 

 『あなた』は担ぎ上げた男を片手で支えながら、怯えている女性へと視線を向けます。

 

 どうやら怪我はないようです。

 『あなた』は女性に無事かと尋ねると、ここは危険だから早く安全な場所へ行くよう促します。

 

「あっ、ありがとうございます……!!」

 

 女性は何度も頭を下げると、駆け足でこの場から離れていきました。

 

 それを見届けた『あなた』は、担いだままのナンパ師をどうするべきか考えます。

 

 そのときでした。

 周囲から、ざわざわと声が上がり始めます。

 

「あ、あの人は……!?」

 

「離島シューティングでぶっちぎりのスコアを出してた……!」

 

「確か、雲嶽山の……」

 

「まさか、あの人って……!」

 

 どうやら、周囲の人々も『あなた』の正体に気づき始めたようです。

 その声を耳にした『あなた』は、自然と鼻が高くなります。

 

 そうです。

 『あなた』こそが、『流派東方不敗』を極め、新エリー都一の射撃の名手であり、雲嶽山の未来を支える人物。

 

 その名も——。

 

 

 

 

「「「「いつも雲嶽山の宗主とイチャイチャ(一方的)してる旦那さん!!!!」」」」

 

 

 

 

 違う違う、そうじゃ、そうじゃなーい(白目)

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 DSKBDKPIアラサー嫁(確定)の旦那さん(もう逃げられないゾ)こと『あなた』は、ファンタジィリゾートにて警備員のボランティアをしていました。

 

 きっかけは、パエトーン兄妹からのお願いでした。

 

 

 

『久しぶり師範! 急で申し訳ないんだけど、ファンタジィリゾートで警備員をやってくれないかな? 私たち、お土産屋さんのお手伝いをしなきゃいけなくなっちゃったんだけど、思ってた以上にお客さんが多くて……』

 

『ロスカリファからの知り合いにも浜辺の警備をしてもらってるんだけど、彼女だけじゃ回らないんだ……』

 

『……えっ? 儀玄師匠にお願いすればいいだろって? ……えーっと、それは何というか、その……お兄ちゃん!』

 

『あっ、あぁ……師匠にも頼んだんだけど、断られてしまってね。それで、師範にお願いすることになったんだ』

 

『もちろん、お礼はちゃんとあるよ! タイムフィールド家とモンテフィーノ家が共同で建築したホテルがあるんだけど、そこの最上級スイートルームを予約してあるんだ!』

 

『当然、2人分のね。だから頼むよ、師範』

 

『お願い師範!』

 

 

 

 というやり取りがありました。

 

 何故、愛弟子2人の様子がどこか慌ただしかったのか。

 何故、2人分の予約がしてあるのか。

 何故、断ったはずの儀玄——もとい、雲嶽山のメンバー全員が一緒にファンタジィリゾートへ来ているのか。

 考えれば考えるほど、疑問は尽きません。

 

 しかし、可愛い愛弟子たちからの頼みです。

 

 それに、最上級スイートルームまで用意してくれるというのですから、断る理由などありませんでした。

 

 さらに幸運なことに、新たな友人との出会いもありました。

 

「うむ、見事な手刀であった。これが、雲嶽山の術法……いや、流派東方不敗の技か」

 

 『あなた』の一連の動きを見ていたシグリッドは、興味深そうに頷きながら言いました。

 

 そう、新たな友人とは、ロスカリファからやってきたシグリッドでした。

 

 シグリッドは、鍛え抜かれた『あなた』の肉体を目の当たりにすると、是非とも手合わせをしてほしいと懇願しました。

 

 そして『あなた』はシグリッドと拳を交え、互いに汗を流しながら手合わせをすることで、さらに友好を深めたのです。

 

 今では、背中を預けられるほどの友。

 そしてファンタジィリゾートに蔓延るナンパ師どもを駆逐する護衛団——いや、調査兵団と化していました。

 

「角度を意識して、風を切るように……か。なるほど。こうか?」

 

 違う。こうだ。

 そう言わんばかりに、『あなた』は次なるナンパ師へ向かって手刀を繰り出しました。

 

「何という素早い手刀……。某でなければ見逃してしまうな」

 

 『あなた』は満足そうに頷くと、次のターゲットを発見しました。

 

 そして今度は、シグリッドにもやってみろと促します。

 

「言葉よりも、実際に行動したほうが身につくということであるな。あい、分かった」

 

 次の瞬間。

 シグリッドの姿が、一瞬だけブレました。

 そして、数メートル先。

 そこには、先ほどまで女性客へ声をかけていたナンパ師の背後に立つシグリッドの姿がありました。

 

 直後。

 

 

 

 ゴキィッ!! 

 

 

 

 

 砂浜に、なんとも嫌な音が響き渡ります。

 

「「「…………」」」

 

 周囲の人々が一斉に青ざめ、シグリッドへ視線を向けます。

 

 ですが、『あなた』だけは違いました。

 むしろ満面の笑みを浮かべながら、シグリッドへ親指を立てています。

 

 よくやった。

 そんな意思が、言葉にせずとも伝わってくるほどでした。

 

 これで、ファンタジィリゾートに蔓延る不純物を駆逐できます。

 

 あとは、例の高級スイートルームへ戻り、眼下に広がる景色を眺めながら、一人でのんびり高級ドリンクでも飲んで楽しむとしましょう。

 

 『あなた』がそんなことを考えていた、その瞬間でした。

 

 

 

「ふむ。問題なく警備に励んでいるようだな。感心、感心」

 

 

 

 背後から、聞き覚えのある声が響きました。

 『あなた』は振り返りながら、いつものように軽く挨拶をしようとします。

 

“やぁ、儀玄。遅かったね”

 

 そんな言葉をかけようとした、その瞬間。

 

 ゾワリ。

 全身を、悪寒が駆け抜けました。

 

 ゴゴゴ……と大気は震え、バイオリンとオーケストラ、そしてコーラスを交えた絶望感溢れるBGMが耳に響きます。

 

 まるで、本能そのものが警鐘を鳴らしているかのように。

 『あなた』の背筋が、凍りつきます。

 

 当然、振り返った先にいたのは儀玄です。

 ですが、普段の修行服ではありません。

 

 身につけているのは、百式やアカツキを思わせるほどの黄金の水着。

 

 それも、ただの水着ではありません。

 そう、スリングショット。

 

 V2アサルトバスターガンダムのVの字もびっくりの黄金のえっぐいスリングショットを身につけた儀玄が立っていたのです。

 

 横から覗いたら絶対見えてしまう布領域。

 それは一体何を隠しているのか。

 何を守っているのか。

 謎が謎を呼ぶDSKB水着でした。

 

 ただ。

 ただ一つだけ、分かることがあります。

 それは——

 

 

 

“(このDSKBDKPIアラサー嫁(逃れられぬ運命)を現世(ファンタジィリゾート)に放ったら、この世の全ての青少年の性癖が歪んでしまう……ッッッ!!!)”

 

 

 このままでは、全世界の男性のビームサーベルがSTAND UP TO THE VICTORY してしまいます。

 そうなる前に。

 現世の平和を、秩序を、青少年を守るために。

 『あなた』は拳を握りました。

 

 

 タタタタタンッ!!!!

 

 

 『あなた』はその場で素早く十回以上も地面を蹴りつけます。

 

 すると、その身体がブレたかと思った次の瞬間、『あなた』は儀玄の背後へと、一瞬にして移動していました。

 

 

“(この一撃に、全てを込める……ッッッ!!!!)”

 

 

 『あなた』が放つ最終奥義。

 それは、『あなた』自身が流派東方不敗になること(?)。

 右手に全身の力を込め、儀玄の後頭部へと狙いを定めます。

 

 そしてついに。

 『あなた』の存在そのものを懸けた、最後の月牙天衝(手刀)が放たれました。

 

 しかし——。

 

 

 

「凄まじい、熱の籠った視線だな。恥を忍んで着てきた甲斐があった」

 

 

 

 『あなた』の最後の月牙天衝(手刀)は、見事なまでに空を切りました。

 

 そして、同時に——。

 

 

 

 ズドンッッッ!!!!

 

 

 

 誇り高き雲嶽山宗主、儀玄のいちげきひっさつのアッパーカットが、『あなた』の腹部へと突き刺さりました。

 

“かはっ……!!”

 

 『あなた』の身体が宙へと浮き、そのまま砂浜へと倒れ込みます。完全敗北です。

 

 ですが、そんな『あなた』を儀玄は優しく抱き起こすと、そのまま軽々と抱き上げました。そして、お姫様抱っこの状態へと移行します。

 

「さぁ、アキラとリンが用意してくれたホテルへ行こうか」

 

 儀玄はそう言うと、何事もなかったかのようにホテルへ向かって歩き始めます。

 

 そんな二人の姿を、少し離れた物陰から見守っている人物たちがいました。

 

 アキラとリンです。

 ただし、アキラの目には、リンの手がしっかりと被せられていました。

 

 リンとリンに目隠しをされたアキラは儀玄と『あなた』を見送ります。

 二人の姿が見えなくなったところで、リンはようやく手を離しました。

 

「これで、良かったのかな……」

 

「すまない、師範。僕たちにはどうしようもなかったんだ……」

 

 ナンパ師狩りから帰ってきたシグリッドは、胸で十字架を切るパエトーン兄妹を不思議そうに見つめるのでした。

 

 

 

「今のは瞬歩だな!!」

 

「違いますよ潘さん。あれは飛廉脚です!!」

 

「いえ、あれは響転ですね」

 

「……全部違う気がするのだけど……」

 

 

 





ポロリ(誇り高き雲嶽山宗主、儀玄のいちげきひっさつのアッパーカット)

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