新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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リン ①

 

 

「これは大問題だよっ! 新エリー都の秩序に関わる大事件だよっ!!」

 

 恋人のリンに呼ばれたと思ったら、第一声がこれでした。

 

 リンがロスカリファへ行っていたこともあり、『あなた』とリンがこうして直接顔を合わせるのは久しぶりです。

 

 しかも、今回の待ち合わせ場所はRandom Playでも『あなた』の部屋でもありません。最近できたばかりの高級ホテルです。

 そのため、『あなた』もそれ相応の覚悟を決め、いつも以上に身だしなみを整えてやってきたのです。

 

 ——それなのに。

 

「見てよこれっ!! 高校生が、それも人前で、ちゅっ、チューしてるんだよっ!! 信じられるっ!?」

 

 これです。

 リンはスマホに写った高校生カップルの写真を突きつけながら、顔を真っ赤にしてぴゃーぴゃー騒ぎ続けています。

 

「これじゃあ新エリー都じゃなくて、新エロー都だよっ!! 多子若齢化待ったなしだよっ!!」

 

 『あなた』は大きなため息をつきながら、部屋の奥にあるソファへ腰掛けました。

 ふわりと身体がソファへ沈み込み、柔らかな感触が全身を包み込みます。

 さすがは高級ホテルのソファです。

 家のソファでは、もう満足できなくなるかもしれません。

 

 ——などと、現実逃避をしながら天井を見上げます。

 

 その間にもリンは、キャーキャー、ぴゃーぴゃーと顔を赤くしながら両手を振り回しています。

 かと思えば、今度は顔を手で覆い、そのままベッドへ突っ伏してしまいました。

 どうやら、しばらくはこの調子が続きそうです。

 そんなリンを見かねて、『あなた』は問いかけました。

 

“今はそういう時代なんでしょ。ていうか、何でそんなに騒いでるの? リンには関係なくない?”

 

 するとリンは、怒っていますと言わんばかりに腕をピーンと伸ばし、頬をぷくっと膨らませました。

 

「関係ないけどさっ!! でも、ズルいじゃんっ!!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、『あなた』の眉がピクリと動きます。

 

“ズルいって、何が?”

 

「エレンばっかイチャイチャしててズルいっ!! 私だってイチャイチャしたいもんっ!!」

 

 『あなた』は「ふーん」と目を細めました。

 そして、ゆっくりとソファから立ち上がります。

 

“……リンもしたいんだ?”

 

「あたりっ!! ……まえ……だょ……」

 

 勢いよく答えたリンでしたが、直後に自分が何を言ったのかを理解したようです。

 みるみるうちに顔が赤くなり、先ほどまでの威勢が嘘のように小さくなっていきます。

 

「……うぅ」

 

 リンは視線を逸らしながら、指先をちょんちょんと合わせています。

 リンは自分の発言を改めて自覚し、真っ赤になりながら、みるみるうちに小さくか細くなっていきます。

 

 『あなた』はリンのスマホを取り上げ、先ほどの写真を見せながら尋ねました。

 

“このカップルみたいなキス、したいんだ?”

 

「そっ、それはっ、そにょ……っ」

 

 先ほどまでの威勢はどこへやら。

 マスコットのように小さくなったリンは、真っ赤な顔で指をチョンチョンと合わせながら、『あなた』から顔を背けます。

 しかし、『あなた』のターンは終わりません。

 

“ていうかさ、リン……ちょっと、ズルいよ?”

 

「ず、ズルいってなにがっ!?」

 

“人を煽るだけ煽っておいて、いざそういうことをしようとするとすぐ逃げるじゃん”

 

「にっ、逃げてないですけどっ!?」

 

 リンは顔を真っ赤にしながら反論します。

 ですが、その声には先ほどまでの勢いがありません。

 

「……っ」

 

 『あなた』が一歩近づくと、リンは反射的に一歩後ろへ下がりました。

 

“……逃げてるじゃん”

 

「ち、違うもんっ! これはその……心の準備がっ!」

 

“心の準備?”

 

「そうっ! ひゃあ!?」

 

 しかし、後ずさるうちに、どんどん追い詰められていきます。そしてついに、背中が背後の壁にぶつかりました。

 

 顔を赤く染めたリンは、ゆっくりと近づいてくる『あなた』を押し除けようとします。しかし、『あなた』の手によって腕は抑えつけられ、抵抗はできません。

 

“あの日、リンが手を出しておいてそれっきり。キスすらさせてくれない。でもこうやって人の気持ちも知らずに煽る……もう、我慢の限界なんだけど?”

 

「ふえぇ!?」

 

 『あなた』はリンの耳元で囁きます。

 

“ホテルに呼んで、人のことを煽って。……これって、もう合意ってことだよね?”

 

「そっ、それは……っ」

 

 今にも破裂しそうなほど真っ赤に染まり、キュッと目を瞑るリン。

 このまま距離を詰めれば、リンは『あなた』を受け入れるでしょう。

 だからこそ、『あなた』はあえて一歩後ろへ下がり、リンとの距離を取りました。

 

「えっ……なんで……?」

 

 リンは目を見開き、『あなた』を見つめます。

 

“リンが何も言わないってことは、同意じゃないってことでしょ? それだと、性犯罪者になっちゃうからね。だから、今日はここまで”

 

 そう言って離れていく『あなた』を、リンは呆然と見つめます。

 

 やがて、リンはフルフルと小さく体を震わせます。そして、リンは顔を上げ、『あなた』を見つめました。

 頬は赤く、目は潤んでいます。

 その表情はとても妖艶で、『あなた』の背徳心を強く刺激しました。

 

「いや……じゃない」

 

 リンは『あなた』の袖をキュッと握り、甘えた声で言いました。

 

 

 

 

「おねがい……私を『あなた』でいっぱいにして……♡♡♡」

 

 

 

 





おいおいどうなってんだ?
真夏のファンタジィリゾート編とか言っておいて、もれなく全員ホテルインしてるじゃねぇか!!
こんなんただのラブホテル編じゃねぇか!!

どれが好き?

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