新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
『あなた』は激怒しました。
必ず、かの
しかし、『あなた』には術法が分かりません。
できることといえば、あらゆる食材をダークマターへと変える
体術や術法では敵わず、
このままでは、儀玄に搾りに搾り尽くされ、つくしのような体になってしまいます。
もっとも、それはそれで幸せなのではないか、という考えが一瞬よぎったのも事実でした。
しかしそれでも、男としてやられてばかりではいられません。
『あなた』は、儀玄を倒す術を見つけるため、インターノットの海へとダイビングを始めました。
そして、ついに見つけたのです。
儀玄を倒すことのできる術を。
儀玄をギャフンと言わせることのできる流派を。
その流派の名は——–
『流派東方不敗』
【以下回想】
『何をしておる!!自ら膝をつくなど、勝負を捨てた者のすることぞ!!立て、立ってみせぃ!!!!』
『そうだ、(腹上)死を恐れてどうする!!敵(嫁)を恐れてどうする!!俺はキング・オブ・ハート!!そしてお前はその弟子!!最強の男だ!!』
『足を踏ん張り、腰を入れんか!!そんなことでは、悪党のわし一人倒せんぞ、このバカ弟子がぁ!!』
『この魂の炎!!極限まで高めれば、倒せないものなど、ない!!』
『嫁の心すら分からぬものに、何がわかる!!』
『お前の熱意が俺に火をつけた……お前が強くなればなるほど、俺も燃える!!』
『東方不敗は!!』
『王者の風よ!!』
『全新!!』
『系裂!!』
『『天破侠乱』!!』
『『見よ!東方は紅く燃えている!!!!』』
「ほう、珍しくお前さんからお誘いがあると思ったら、なかなか面白い術を身につけたようだな」
適当観の庭にて、『あなた』は拳を構え、儀玄と向き合っていました。
流派東方不敗を修めた『あなた』は、以前とは比べものにならないほどの力を手に入れていたのです。
その姿を見た福福は尊敬の眼差しを向け、兄弟子たちもまた、面白そうに決闘を見守っていました。
『あなた』は静かに息を吐き、精神を統一させていきます。
その心は、まさに明鏡止水でした。
「なっ……体が黄金に光っている!?」
釈淵が驚きの声を上げます。
しかし、その声すら気にならないほどに、『あなた』の精神は研ぎ澄まされ、されどその心は烈火のごとく燃え盛っていました。
「あ、あの構えはっ!?」
「知っているのか、福姐!?」
『あなた』は溢れ出すエネルギーを胸の前に集束させます。
やがてそれは、黄金に輝く拳のオーラとなって形を成しました。
「あれは、流派東方不敗における最終奥義……『石破天驚拳』ですっ!!!!」
「な、なんだって!?」
「……ねぇ、お兄ちゃん。あれ、そんなにすごいの?」
「……瞬光。お兄ちゃんにも、分からないことはたくさんあるんだ。分かってくれ」
「そ、そっか……」
数ヶ月に及ぶ修行の成果が、今まさに結実しようとしていました。
獣の咆哮とともに、『あなた』は石破天驚拳を儀玄へと放ちます。
空気を裂き、震わせながら迫る一撃。
これぞ、流派東方不敗の最終奥義。
この技を破れる者など、存在しない———!!
「ふむ……」
ぺちん。
まるで蚊を叩き落とすかのように、儀玄は石破天驚拳を弾き落としました。
“???????????”
意味がわかりません。
あのぉ、石破天驚拳ですよ?
流派東方不敗の最終奥義なんですよ?
師匠からも完璧な石破天驚拳って認めてもらったんですよ?
もっとこう、「ぐぅぅぅぅぅ!!!!こ、これが流派東方不敗の最終奥義、石破天驚拳ッッッ!!!!」的な感じで受け止めてくれません?
あの、人が必死に努力した数ヶ月間を一瞬にして無駄にさせるのやめてもらっていいですか??
そのとき、『あなた』は気づきます。
石破天驚拳には、その先があるのだと。
石破天驚拳にゴッドフィンガーを重ねる究極奥義———
石破天驚ゴッドフィンガーが存在するのだと。
『あなた』は額の汗を拭い、右手に力を込め始めました。
「あ、あの構えはっ!?」
「知っているのか、福姐!?」
「……お兄ちゃん?」
「……こっちを見ないでください」
右手にエネルギーが集束した、その瞬間———
「まあ、待て」
気づけば、目の前に儀玄が立っていました。
『あなた』の右手は、がっしりと掴まれてしまいます。
「正直に言おう。見直したぞ」
その一言で、『あなた』はついに儀玄に認められたのだと理解しました。
石破天驚拳は通じませんでした。
しかし、そこに至るまで積み重ねてきた努力と覚悟は、確かに儀玄へと届いていたのです。
胸の奥に、じんわりと温かいものが広がっていきました。
この数ヶ月間は決して無駄ではなかったのだと、ようやく実感できた瞬間でした。
すると、儀玄がぽつりと言いました。
「実は私も、流派東方不敗については多少知っていてな。その中に、お前一人では使えない技がある」
その言葉に、『あなた』は戸惑いを覚えます。
1人では使えない技。
師匠から教えられていない技に、『あなた』は首を傾げます。
「そう、私と一緒でなければ使えない技だ」
困惑が深まる中、儀玄は静かに告げました。
「その技の名は———
石破ラブラブ天驚拳だ」
緊急警報!!緊急警報!!E-エマージェンシーコール!!
『あなた』の身に危険が迫っています!!
誰か!!
「おっと、どこへ行こうというのだ?」
肩をがっしりと掴まれ、『あなた』は逃げることができません。
「この技はその名の通り、使用者同士の仲を深めなければ使えない。ならば———これ以上は言わなくても分かるな?」
獲物を見つけた野獣のような眼光が、『あなた』を射抜きました。
『あなた』は即座に、兄弟子や姉弟子たちに助けを求めます。
「ひゅ、ひゅ~ひゅひゅ~♪♪」
「さて……今日の晩御飯はっと……」
「二、三日、修行の旅に出てくるわね」
「瞬光、私もついていきます」
ウソダドンドコドーン!!!!
どれほど泣き叫んでも、誰一人として振り返る者はいませんでした。
「さあ……二人きりの修行といこうじゃないか♡」
その後のことを詳しく知るものはいません。
ただ唯一分かることは、シリオンならば適当観の外にいても気づくほどの異臭が、適当観から溢れ出すということでしょう。
ウワアアアア!アナタモリチャバダンギジマセヨ!ネルヌニロッケポンニョッチョギンニョカリアニランマリエヨ~~
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