立向居のヒーローアカデミア   作:takkanpakkan

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ラビットヒーロー・ミルコ

「お前、私の舎弟になれ」

 

「……はい?」

 

 あまりに唐突な言葉に、ユウキは思わず聞き返した。

 

 舎弟? 

 舎弟といえば、ヤクザの世界で兄貴分と盃を交わした子分のことだろう。

 ミルコさんとの接点といえば、先ほどサッカー前に少し言葉を交わした程度。顔見知りですらなかった。

 

 意図を汲みかねていると、舌打ちを一つして歩み寄ってくる。

 ユウキが思わず身構えると、正面で立ち止まり、じっと見下ろした。

 

「立向居、だったな。さっき……私のシュート、受け止めたよな。どんな個性だ?」

 

 どうやら、先ほどの“ゴッドハンド”に興味を持ったらしい。

 

「は、はい! オーラを手の形に実体化させることができます! こんな感じで……」

 

 ユウキはそう言って、小さな手をオーラで形作ってみせる。

 

「……違うな」

 

 即座に、ミルコさんは切り捨てた。

 

「さっきの技は、こんなひ弱なもんじゃなかった」

 

「ゴ、ゴッドハンドは特別で、まだ安定して出せないんです。今まで出せたのも、二回だけで……」

 

 ゴッドハンドを出せたことがよほど嬉しかったのか、ユウキは思い返して少し照れたように笑う。

 

 だが、ミルコさんは疑うような視線を向けたままだった。

 

 

 

 ──二回しか発動していない。それであの防御力(・・・・・)

 

 ミルコの脳裏に先ほどの掌が映る。

 個性には、しばしば「強個性」「弱個性」と揶揄されることがある。

 ヒーロー向きで汎用性の高いものは強個性。

 使い道が乏しい、あるいは明確な上位互換が存在するものは弱個性とされがちだ。

 

 基本的に、ランキング上位のヒーローは強個性を持つ。

 だが例外もいる。

 弱個性を、努力と技術でトップクラスの強個性へと昇華させた者たちだ。

 

 例えば、ベストジーニスト。

 繊維を操る個性"ファイバーマスター"を、数百、数千単位で制御することで、対応力を飛躍的に高めたヒーローである。

 

 個性は生まれ持った時点で完成ではない。

 強個性であろうと弱個性であろうと、研鑽次第でいくらでも伸びる。

 

 だが──

 歳はまだ中学一年生。

 発動回数はたった二回。

 それにも関わらず、ミルコの蹴りという最高峰の攻撃を抑え込む力。

 世界的に見ても、稀有な個性であることは明白だった。

 

 ミルコは改めて、立向居ユウキを観察する。

 気弱そうな性格、おとなしげな顔立ち、身長も低く、頼りなく見える。

 

 ──こんなガキに、私の蹴りが止められた? 

 

 ミルコは、信じがたいものを見るようにユウキを見下ろす。

 視線を受けて、ユウキはきょとんとした顔をしていた。

 

「立向居、どうやってゴッドハンドを作った? (・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 プロヒーローの目から見ても、ゴッドハンドはすでに実戦で通用する技である。

 個性そのものが“ゴッドハンド”ではなく、"手を実体化する能力"だとすれば、あの構え、溜め、巨大化の発想はどこから来たのか。

 

 ヒーロー科の学生であれば、個性を伸ばす過程で思いつく可能性もある。

 だが、中学生があの完成度の技を一人で作り上げるとは考えにくい。

 

 ミルコが興味を持ったのは、ユウキ本人だけではない。

 ゴッドハンドを“教えた誰か”の存在だった。

 

 中学生でも扱える単純な動作と制御で、効果は抜群。

 間違いなく、名のあるヒーローか、個性研究者──あるいは敵。

 

 ユウキを「舎弟に」と言った目的も、ゴッドハンドを鍛錬相手として利用するためであり、そしてその協力者の情報を引き出すためだった。

 

 ミルコの思惑を知らないユウキは核心を突く問いに息を呑む。

 

 ──夢の記憶を参考にした。

 そんなこと、言えるはずがない。

 

 背筋に冷や汗が伝う。

 

「あ、憧れの人が、教えてくれて……」

 

 ユウキは言葉を濁す。

 だが、それで納得するほど、ミルコは甘くない。

 具体的な名前を出さないユウキを、じっと睨みつける。

 

「言えないんです。ごめんなさい!」

 

 誤魔化せる相手ではないと悟り、ユウキは戦略的撤退を選んだ。

 踵を返し、全力で駆け出す。

 

 まさか自分相手に正面から逃げるとは思っておらず、ミルコは一瞬、呆然とした。

 間抜けな逃走劇を見て、悪人の可能性がやや下がり、眉間の皺が緩む。

 

 ミルコは去っていく背中を見送り、次の瞬間、ビルの屋上へ一息で跳躍する。

 

 ──なぜそこまで言いたくないのかは分からないが、逃がす気は最初からない。

 

 

 

 

 慌てて帰宅し、背後に姿がないことを確認してから、ユウキはようやく安堵した。

 その夜は、疲労もあってすぐに眠りに落ちる。

 

 翌朝。

 グローブをはめながら、いつものように庭へ出た。

 

 昨夜の出来事は、ユウキにとっても予想外だった。

 脳裏に浮かぶのは、あの問い。

 

 ──どうやってゴッドハンドを作った? 

 

 ゴッドハンドは、円堂守の祖父が考案し、円堂守自身が現代に甦らせた伝説の技だ。

 夢を見ているからこそ、ユウキは個性の発現と同時に扱うことができた。

 

 だが、第三者から見れば、起源が気になるのは当然だろう。

 今後も同じ質問をされる可能性は高い。

 夢の存在が個性の範疇に含まれるかも分からないし、正直に話したところで異常者扱いされるだけかもしれない。

 

 黙るのが、一番安全だ。

 だがヒーローという、注目を集める職業を目指す以上、いつかは向き合わなければならない。

 

「……考えてても、仕方ないか」

 

 頬を叩き、気持ちを切り替える。

 ユウキはタイヤの前に立った。

 

 昨日、ゴッドハンドを発動できたことで、何が必要なのか、ぼんやりとだが掴めてきた。

 

 重要なのは、守りたいという意志。

 助けたい、役に立ちたいという、原点の感情だ。

 

 目を閉じる。

 昨日、怯えていた人の姿を思い出す。

 

 ──守りたい

 

 思いを強くするほど、体の奥からオーラが湧き出し、右手に集まってくる感覚があった。

 

 行ける。

 

 ユウキはタイヤを掴み、放り投げる。

 迫り来るタイヤに、いつものように右手を突き出した。

 

「ゴッドハンド!」

 

 青いオーラが集束し、大きな掌の形を作る。

 掌は包み込むように確かにタイヤを受け止めた。

 

 だが、拮抗は一瞬だった。

 オーラは粉々に霧散し、削りきれなかった勢いがそのまま体を打つ。

 踏ん張り、タイヤを止めた。

 

 完全な発動には至らなかったが、長らくの停滞を打ち破った感覚があった。

 胸の奥から、確かな手応えが込み上げる。

 

「……へぇ。そういう特訓してんのか」

 

 背後から、聞き覚えのある声。

 振り返ると、そこにはミルコさんが立っていた。

 

「──っ!?」

 

 驚きで声も出ないユウキに、ミルコさんは平然と続ける。

 

「昨日の夜、つけてたからな」

 

 そう言うと明後日の方角を指差す。

 

「……まさか」

 

 ミルコさんが指差したのは、向かいの住宅の屋根だった。

 後ろを確認して、撒いたつもりでいた自分が馬鹿らしくなる。

 道ではなく、屋根伝いに追っていたのだ。

 

「す、ストーカーですよ! いいんですか、それ! 仮にもヒーローでしょう!?」

 

 執着ぶりを糾弾するユウキだったが、ミルコさんは余裕を崩さない。

 

「ヒーローから逃げた奴が何言ってんだよ。昨日の続きを聞きに来ただけだ」

 

「言いませんよ!」

 

「生意気な口きくじゃねぇか」

 

 ユウキの頬をつまむ。

 

「あにうるんれすか……っ」

 

「言うまで、何度でも来るからな」

 

 戦慄が背筋を走る。

 ユウキは手を振り払って距離を取った。

 

「仕事してください!」

 

「ちゃんとしてる。仕事の合間にだよ、朝と、定時後にな」

 

「そんなに来たら本業に支障が出ますよ!」

 

「私は事務所を構えてもなけりゃ、サイドキックもいねぇ。つまり、私が事務所だ」

 

「自由すぎます!」

 

 何を言っても、軽く受け流す。

 楽しそうに笑う様子からして、完全に揶揄われているのだろう。

 

 息も絶え絶えなユウキを一瞥すると、ミルコさんは満足したのか背を向けた。

 

「次はもてなしの準備もしとけよ、舎弟」

 

「舎弟じゃないですし! 誰がなるもんですか!」

 

 結局、終始ふざけ倒したまま去っていった。

 

 緊急性はないと思っていた悩みが、最優先事項に変わる。

 突如降り立った災害──ミルコ。

 

 ユウキは、今にも泣きそうになっていた。

 

 

 

「立向居、大丈夫か?」

 

「……大丈夫、じゃ、ないかな」

 

 ミルコさんの襲来から一週間が経った。

 机に伏しているユウキを心配して、切島くんが声をかける。

 

 ユウキの顔は、明らかにやつれていた。

 

 ミルコさんは言っていた。

 朝と、定時後に来ると。

 

 つまり、平日で言えば登校前と放課後だ。

 ──そして、本当に来た。しかも毎日である。

 

 朝練しようと庭に出たら、いる。

 放課後、帰宅して自主練しようとしたら、いる。

 サッカー部で帰りが遅くなった日は、いなかった。

 さすがにもう帰ったかと思ったら──家の中で、母と夕飯を食べていた。

 

 着実に、ミルコさんは立向居家を侵食していた。

 

 今朝は、起きたら母と一緒に朝食を取っていた。

 雑談で盛り上がっている。

 

 ユウキは慌てて食事を終え、朝練を始めたが、彼女は家から出てこない。

 特訓を終えて戻ると、姿がない。

 ヒーロー活動に出たのかと思い、母に聞くと、にこやかに告げられた。

 

「ゲストルームで、寝てるわよ」

 

 ──自宅だと思われている。

 

 母は最初こそ戸惑っていたが、根が真っ直ぐなところが気に入ったらしく、娘ができたかのようにすっかり甘やかしているようだ。

 

 ユウキは心の底から絶望した。

 

 そこからの記憶は曖昧だ。

 気づいた時にはもう学校に着いていた。

 

「……切島くんが、俺の癒しだよ……」

 

「何言ってんだお前。熱でもあんのか?」

 

「ねぇ、やっぱりあそこの二人って」

「うんうん、仲良くて推せるよね」

 

 クラスメイトが騒々しい中、切島くんは呆れつつも、何があったのかと話を聞いてくれた。

 心の安寧を保つため、ユウキは家の現状を洗いざらい話す。

 

 最初は驚いていた。

 状況もそうだが、住み着いた相手があまりにもビッグネームだったからだ。

 

 ラビットヒーロー・ミルコ。

 プロヒーローの中でもチャート上位に位置し、

 若さも相まって、一桁入りは確実視されている実力派。

 なお、ユウキも後に調べてわかったことである。

 

 個性"兎"は、身体能力の強化に加え、優れた聴覚による探知能力も併せ持つ。

 一人で完結できる、希少なタイプのヒーローだ。

 

「……大変そうだけどさ。良かったな」

 

 話し終えると切島くんはそう言った。

 

「何が?」

 

「特訓、見てもらえてんだろ? プロヒーローなんて、ゴッドハンド安定させるには最高のコーチじゃねぇか」

 

 盲点だった。

 

 確かにミルコさんは、毎回最初にゴッドハンドの話題を振るものの、それ以降は口出しせず、黙って特訓を見ていることが多い。

 

 不思議に思っていたが、もしかすると見守ってくれていたのかもしれない。

 

 プロヒーローの中でも屈指の武闘派。

 聞けば、いくつも改善案を出してくれるだろう。

 

 だが。

 

 ──対価は、きっと要求されるだろう

 

 つまり、ゴッドハンドをどうやって作ったのか、その答えだ。

 悩むユウキの肩を切島くんが叩いた。

 

「気に入らなくて聞きたくない気持ちも分かるけどさ。ヘソ曲げ続けんのは、カッコ悪いぜ。ヒーローになるんだろ?」

 

 ──ヒーローになる

 

 その想いだけは、曲げたくなかった。

 

「……そうだね。やっぱり、聞いてみるよ」

 

 決意した瞬間、始業のベルが鳴り響く。

 

「おう。今度また特訓しような。硬化の課題、整理できたからよ」

 

 切島くんはそう言って、席に戻った。

 

 一時間目の国語の授業が始まる。

 ユウキは窓の外を眺めながら、どう説明するか、頭を巡らせていた。

 

 ゴッドハンドは円堂さんの技だ。

 嘘はつきたくないが、すべてを話せるわけでもない。

 

 どこまで話すべきか。

 どこまで話せば納得するのか。

 

 学校にいる間、答えは出なかった。

 

 

 

「ただいま」

 

 玄関のドアを開けると、リビングから談笑する声が聞こえた。

 ヒーロー活動を終えたのだろう、ミルコさんが母と向かい合って座っている。

 

「おかえり」

「おかえりなさい」

 

 二人の声が重なった。

 

 まるで家族が一人増えたかのような光景に、ユウキは気恥ずかしさと居心地の悪さを覚え、曖昧に会釈をすると足早に自室へ向かった。

 

 グローブを手に取り、庭に出る。

 夕暮れの空は朱色に染まり、昼とはまったく違う表情を見せていた。

 

 いつものようにタイヤの前に立ち、特訓を始める。

 しばらくすると、背後から気配を感じた。

 

 振り返ると、彼女が立っていた。

 手には一本の人参を持っている。母からおやつとして渡されたのだろう。

 

 こちらの視線に気づいたのか、人参を口に運ぶのをやめて口を開いた。

 

「珍しいな。私に用か?」

 

「……いつも見ているみたいなので、何かアドバイスをもらえないかと思って」

 

 ユウキの言葉に、ミルコさんはにやりと口角を上げる。

 

「じゃあ、ゴッドハンドを──」

 

「いいですよ」

 

 唐突な返事に、彼女はきょとんとした顔をした。

 

「ゴッドハンドをどうやって習得したか。教えます」

 

 驚きは隠しきれていない様子だったが、ユウキは構わず続ける。

 

「ゴッドハンドは円堂守さんの技です」

 

「彼は俺と似たような個性を持っていて、俺は彼に近づきたい一心で、見様見真似で習得しました」

 

「彼は今、遠いところにいます。こちらから連絡を取ることはできませんし、向こうは俺のことを知らないと思います」

 

 結局、ユウキは夢の存在を、現実に存在する人物に置き換えて語ることを選んだ。

 

 円堂守という人物が何者なのか。

 調べればすぐに結果は出ることだろう。

 

 だが、あらかじめ話しておくことで、それ以上踏み込ませないという意思表示のつもりだった。

 

 ミルコさんは、ユウキの目をじっと見つめる。

 その視線は鋭く、しかし敵意はない。

 

 しばしの沈黙。

 風の音だけが、やけに大きく聞こえた。

 

「……分かった、それで納得してやる」

 

 ようやく、ミルコさんが口を開く。

 

「約束だ。私も気づいたことは言ってやる」

 

 なんとか、乗り越えた。

 先ほどまでの張り詰めていた空気が散っていくのを感じ、ユウキは胸をなで下ろした。

 思わず深く息を吐く。

 

「……いつか話してもらうぞ」

 

 釘を刺す声にユウキは愛想笑いで誤魔化す。

 

 指導の準備のためか、縁側に人参を置き、こちらへ歩み寄ってくるミルコさん。

 目の前に立ち止まった瞬間、先ほどまでの真剣な表情は消え、どこか獰猛な笑みが浮かんだ。

 

「さてと、まずな──お前はバカだ」

 

「え」

 

 思わず、間の抜けた声が出る。

 

「立向居。お前、ヒーローになりたいんだよな?」

 

「……はい」

 

「じゃあ、なんで決まった位置、決まったタイミングで衝撃が来るタイヤ相手に特訓してんだ?」

 

 一瞬、言葉に詰まる。

 

「ゴールキーパー目指すなら、それでいい。ボールは見えるしな。だがヒーロー相手は人間だ。状況は毎回違う。臨機応変に動けなきゃ意味がねぇ」

 

「例えばだ。相手の攻撃に合わせて、瞬時にゴッドハンドを出す。そういう練習をしなきゃ、実戦じゃ通用しねぇ」

 

「ゲリラ戦までやれとは言わねぇ。だがな、少なくとも──」

 

 そして、タイヤを指差す。

 

「こんなハリボテ相手にしてるだけじゃ、すぐ死ぬ」

 

 ──確かに、その通りだ

 

 言葉は乱暴だが、誇張でもなかった。

 

「……分かりました」

 

 流石は戦闘のプロ。

 指摘事項は腑に落ちるものだった。

 ユウキが答えると、ミルコさんは満足そうに頷いた。

 

「よし。じゃあ、今からやる特訓は──」

 

 言葉を放ちながら笑みを浮かべる。

 今までの指摘には納得感が先んじていたのにも関わらず、嫌な予感が背筋を走る。

 

「私との対人戦だ」

 

「……なんでそうなるんですか!?」

 

 思わず声を荒げるユウキに、ミルコさんは肩をすくめた。

 

「文句言うな。私の経験上、一番手っ取り早ぇんだ。集中して対人戦をやれるかどうか。それで個性も戦闘力も伸びる」

 

 そう言うと、普段着のまま構えを取った。

 

「このミルコ様が、タダで相手してやるんだ。感謝しろ」

 

 勢いに押され、ユウキも慌てて構える。

 

「……は、はい!」

 

「よし。始めるぞ」

 

 次の瞬間、二人は同時に踏み込んだ。

 

 殴り、蹴り、突き、投げ、関節技。

 無手の暴力が、容赦なく叩き込まれ、庭には人体を破壊する不快な音が響く。

 

 結局、初回の対人戦は経験者による可愛がりで終わった。

 

 

 

 その日、ユウキはこれまでの特訓とは比べものにならない痛みを、心と体に刻み込まれた。

 その一方で、ミルコの表情はどこか晴れやかだった。

 

 トラウマを植え付けられたユウキだったが、命の危機に瀕していると、より集中力や思考力と高まりを実感する。

 

 複雑な胸中なれど、その日以降、タイヤ特訓だけでなく、筋力トレーニングと組み手が特訓に追加された。

 

 しばらくの間、組み手の時間になるとユウキの悲鳴とミルコの笑い声が庭に響くようになった。

 ユウキは否定するが、暴れん坊のミルコに付き従いながらも、教えを乞うその姿は──舎弟そのものであった。




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