がたん、ごとん。
桜は夢を見ていた。それが夢であると自覚するのに、あまり時間はかからなかった。
夢であると知れたのは、そこが見知らぬ場所であったからか。
辺りを見回しても、既視感が存在しないものばかりであった。気がつけば、乗り物に乗っている。床に座っている。
その乗り物に乗っているのは桜だけでは無かった。それは人間だろうか。断定は出来ない。目に映る人は、等しく靄が掛かっていた。
がたん、ごとん。
時折揺れるこの乗り物は、これまた靄の掛かった人物が運転している。
靄は頭部にのみ掛かっており、身体は見ることが可能であった。そこから分かることは、乗り物を運転しているのは子供だという事実のみである。
更に周りを観察する。座席には、十四人座っていた。
すると、桜は靄が掛かっていない人物を発見する。その人物には見覚えがあった。ダンテである。彼の傍に近づこうとすれば、突如乗り物は停止した。
「ヴェル。メフィはおなかペコペコ」
言葉が鼓膜を震わせる。その声を出したのは運転手であった。乗り物を停止させ、隣に座る人物へ声を掛けたらしい。隣の人物は言葉を聞いた後、口を開いた。
「全員、下車」
何処か気怠さを感じるその声を起点に、座っていた者達が動き始める。その者達は見えていないのか、急停止の影響で四つん這いになっている桜を気にも留めなかった。立てかけられている武器を持っていきながら、乗り物を降りていく。
「はぁ……最近身体が固くなってるんだがな」
「グレッグ〜。お年寄りみたいなこと言わないの、私までそんな気がしてくる」
「ムルソー君に按摩を頼まばいかがならむ?」
会話をしながら一人、また一人と消えていく。
その中には、ダンテの姿も存在していた。どうにか立ち上がろうとする桜だったが、身体が動くことは無かった。
世界が音を立てて崩れてゆく。罅割れた鏡のように、世界の端から消え去っていく。崩れた先は一寸先も見えない闇ばかり広がっていた。やがて、桜は闇に飲まれることになる。
その闇は、不思議と心地よいものであった。
場は変わり、間桐家リビングである。
そこでは現在、説教が行われていた。死人を彷彿とさせる姿をした男、間桐雁夜がそれは見事な仁王立ちをしていた。対して床に正座をし、こんこんと詰められているのは燃え盛る時計頭、ダンテである。
説教の内容は、当然ながら桜殺害のことであった。勿論、そこに桜の姿はいない。彼女は部屋で熟睡している。雁夜は口を開く。声は冷え込んでおり、返答を間違えれば殺されるのではないかと錯覚するほどであった。事実、雁夜は返答次第でダンテを自害させるつもりである。彼の桜への思いは、重かった。
「―――なんで桜を殺した?」
少ない言葉数だったものの、ダンテにはそれで充分だった。彼の脳裏に目を赤く光らせる男が浮かぶほど、雰囲気が近しいものになっている。彼はしどろもどろになりながらも返答をした。
<えっと、その……わざと殺したわけじゃないんだ。気づいたら、身体が勝手に動いていたというか―――。>
彼の時計の音は、弱々しいものになっていた。それほどまでに今の雁夜は恐ろしかった。
雁夜から発せられる空気が更に重くなる。彼は右腕を動かし、令呪をこちらに見せつけた。ダンテはその様子を見たことで、慌てて付け足した。
<ち、違うんだ!あんな方法で蟲を取り除く気はなかったんだよ!>
その言葉も事実である。彼は宝具を用いて蟲を取り除こうとしていたが、あそこまで暴力的なものではなかった。
では何故、彼は桜を殺害したのか。
答えは簡単であった。『バーサーカー』として召喚されたからである。
ダンテは『都市』の人間ではあるが、非人道的な人間ではない。無関係の人物を殺せるほど、彼の人間性は死んでいなかった。ましてやそれが、自身のマスターが助けたいと願う人物であれば尚更。
しかし、バーサーカーのしての彼には厄介な性質が存在していた。彼は、記憶を失う前の人格が時折出てくることがあるのだ。その人格は目的を達成する為に犠牲は厭わない。その事を雁夜は勿論、ダンテも知る由もなかった。
雁夜が令呪を発動させようとすると、ダンテの懐から音が鳴った。ダンテは慌てて懐を探る。中から出てきたのは、一枚のPAD端末であった。それを確認したダンテは、何処か安心した様子を見せる。
かちかちと音が早まった時計は、新たな声によって止められた。
「落ち着いて下さい、ダンテ。事情はファウストが説明いたします」
凛とした声である。静かで透き通るその声は、雁夜の動きを止めるには充分であった。
彼は画面を雁夜に見せた。
そこに写っていたのは、白い女性であった。きめ細やかな銀髪にほんのり桜色に染まった頬と唇。月の光のように照らされている肌と、此方を覗く理知的な青眼。思わず美しいと思ってしまう程に、女性は綺麗であった。
「私はファウストです。ダンテの仲間であり、貴方が一生に一度出会うか出会わないかの天才です」
ファウストと名乗る女性は驚くほど傲慢であった。仲間が殺されそうになっているにも関わらず、あまりにも自尊心に満ちた発言をしたのである。
ダンテは無いはずの頬をひくつかせた。発言に機嫌を悪くしたかと思い、恐る恐る雁夜の顔を覗く。そこには能面のような顔があった。彼は言葉を発さない。
「まずは謝罪を。この度はダンテが桜さんに対し危害を加えてしまったこと、心よりお詫び申し上げます」
先程、あり得ないほどの傲慢さを見せた人物とは思えないほど丁寧な謝罪であった。しかし、その謝罪文には感情が存在せず、形式だけの謝罪と言っても良かった。
更に空気が冷え込んでいく。雁夜の手の甲に血管が浮き出る。ダンテはもう無理かもしれないと思う。あまりにも相性が悪すぎた。ファウストと交代してから僅か十秒足らず、部屋は極寒の嵐となった。
それに気づいているのか、あえて無視をしているのか。ファウストはそのまま言葉を続けた。
「ダンテには『バーサーカー』の適性は存在していません。ですが、バーサーカーとして召喚に成功しました。これはおそらく、聖杯が召喚を限りなく成功するように手を加えたのでしょう」
ファウストは目を閉じ、手を顎に当てながら喋り続ける。突如として話がすり替わっているが、雁夜はそれを指摘しない。目は睨んでいるものの、行動を起こす気配は無い。どうやら説明を聞いてはくれるようだ、とダンテは息を吐くような動作をしながら、そう思った。
一方、憤怒の中にあった雁夜は別のことで焦っていた。
彼の熱された激情は、既に鎮火されていた。怒りが一周回って冷静になってしまったのだ。
冷静になった頭で、雁夜は気付いた。気づいてしまった。
既に、雁夜は聖杯戦争に参加する理由が存在しないことに。
彼の目的は、間桐家から桜を解放することであった。手段は文句しか無かったものの、ダンテは間桐臓硯の核を破壊した。間桐鶴野は気がつけば家からいなくなっていた。
つまりはもう誰一人としていないのだ、桜を脅かすものは。
彼は首筋に冷や汗が流れ、組んでいる腕は少しばかり震えている。
本来なら歓喜すべきそれを、雁夜は素直に喜べなかった。
「ファウストが知る限り、英霊とはその人物の一側面を引き出して現世に呼び出された存在です。逸話に剣に関するものがあれば『セイバー』として、弓の逸話が存在するのなら『アーチャー』として呼び出すことが可能とされています。しかし、貴方には『バーサーカー』としての逸話がありません。側面を持ち得ていないにも関わらずバーサーカーとして召喚されたのは、適性を判別するものが何一つ無い私たちを英霊として召喚するために、聖杯は一時的にダンテに対して細工をしたと考えられますね。その証拠に、桜さんを殺害していた時のダンテは異様な雰囲気を発していました」
<……止めなかったの?>
「貴方が桜さんを蘇生した直後、端末が起動したので止めることは出来ませんでした。ついでに言っておきますと、その光景を知っているのは、『黄金の枝』が共鳴した時のように記憶が流れてきたからです」
雁夜はファウストの話を聞いていなかった。
英霊として呼ばれる者達は、何かしらの望みを持ってこの戦争へと参加をする。それはダンテも例外では無い。では、もしここで聖杯戦争を降りようとすればどうなるだろうか。
雁夜から見たダンテは、仲間に対しては温厚かつ理性的な人間だ。それは短い関わりでも感じることが出来た。だが、目的を果たすためなら命を捨てられるようにも見えている。
桜を殺したように、用済みになったマスターも殺されるのではないか。それどころか、桜をまた殺そうとするのではないか。雁夜はその思考を止めることが出来なかった。可能性を裏付けするものがあったのもいけないだろう。
ダンテは『単独行動』が可能である。決してそのスキルを持っているわけでは無いが、彼には魔力が絶えず流されている。
故に、マスターは召喚をされるために必要な部品や手順でしかなく。その後マスターに従うかは彼次第なのだ。
雁夜には一つの悪癖があった。それは、自分の出した結論に疑問を抱かない事である。
勘違いを訂正するなら、ダンテは話が通じる。聖杯戦争を降りることを伝えても、彼は快く頷いてくれる。だが悲しいかな、彼は直前の行動によって信用を失っている。その仲間であるファウストも同様であった。
雁夜は一つの結論を出した。聖杯を勝ち取った後、穏便に帰ってもらう。そんな結論を。
こうして、降りられるはずの戦いに雁夜は参戦することになった。
「ですから、聖杯によってダンテに別人格が植え付けられたと推測が出来るのです」
<そーなの!?>
雁夜が結論を出した直後、聞いていなかったファウストの説明が終わった。
今更もう一度説明を頼むことも出来ない雁夜は、極めて真面目そうな顔をしながら口を開く。
「桜ちゃんを殺した理由は分かった。だが、しばらくは桜ちゃんに近づくなよ」
<うん、分かったよ。本当にごめんね。雁夜にも、桜ちゃんにも申し訳ないことをした。>
ダンテはそれは見事な土下座を披露した。被害者であるはずの雁夜が申し訳なくなるほどの土下座であった。
雁夜は反省した様子のダンテを見て、許すことにした。
一応は助けてくれた人物なのだ。そもそも、英霊なのだから価値観が違うのは当然だ。と雁夜は思った。ダンテは信用は無かったものの、好感度は高かった。
部屋中に撒き散らされた極寒の空気は、既に離散している。問題が一つ解決し、穏やかな空気になっていく。
その中で、雁夜は先程から疑問に思っていたことを聞くことにした。
「バーサーカー。さっき女性が写ってたPAD端末が、お前の宝具なのか?」
彼はファウストの事をダンテとの会話である程度知っていた為、別の事を聞いた。
雁夜の目にはダンテのステータスが写らないため、問答をしなければならなかった。
既に端末にファウストの姿は写っておらず、暗い画面のみになっている。
<うん。『
ダンテはその質問を受けると即座に答えた。雁夜はこの宝具が桜を蘇生したものなのかと訝しむ。
そのまま彼は説明を続ける。
<この宝具には、私達が巡ってきた旅路が載ってるんだ。もちろんそれだけじゃないけどね。>
<例えば、私の仲間を召喚して指揮も出来るんだよ。後はね、ファウストと会話をしたみたいに、これを通じて会話も出来るんだ。>
彼がそう言った直後、端末から光が溢れ出す。いや、光だけではない。同時に鎖も溢れ出す。
「バーサーカー!?」
<なっなんで、まだ発動してないのに!>
鎖が光を伴って絡みつく。その先は、ダンテの頭であった。その光景に慌てながらも既視感を覚える雁夜。それは、ダンテが桜を蘇生した時の光景に酷似していた。
鎖は止まらない。
時計に吸い込まれ続ける鎖は、何かを引き上げようとしているのか更に加速する。
どうにか鎖を引き剥がそうと暴れるダンテ。しかし、鎖も抵抗をする。
鎖が部屋中に伸ばされていく。壁、天井、床。ありとあらゆる場所に伸びたそれは、間にあるものを貫きながら固定された。
端末から何かが出てきた。それは、人の手だろうか。光と鎖を掻き分けて、手が伸びてくる。その手には大きなランスを持っている。
次に見えたのは、頭部だ。輝かしい金髪。鮮やかな黄金色に輝くそれは、丁寧に整えられていることが遠目からでも分かる。少しずつ顔が露わになってゆく。覗く瞳は紅く光り、辺りを忙しなく見渡していた。その目はダンテを視認した直後に止まり、そちらを穴が空くほど見つめてくる。
そして、口が出た瞬間。
「管理人どぉぉおおぉっのぉぉお!!!!!」
絶叫。
それは―――号砲であった。
そのように表現するしか無いほどに、大きな声が響き渡る。
妖怪屋敷とも呼ばれていた間桐邸には、とても似合わない明るい声だ。
雁夜は思わず耳を抑えてしまうほどである。
声が更に張り上げられた。
「幼き子供に手を出すとは何事でありまするか!ファウスト君が事情を説明してくださったが、当人はまだ許しておりませぬぞ!此度は代表として、しぃ〜っかりと説教をしまする!覚悟なされ!」
端末から完全に身体を抜いた女性は口早に喋りながらダンテの傍に近寄り、そのまま肩を掴むと前後に揺らし続ける。
<ドンキホーテ…?一体どうやって……。>
「なに、正義のフィクサーを目指すものとしてこの程度のことは出来なければならぬ!ちょぉ〜っとファウスト君やイサン君にも手伝ってもらったが、当人の力があってこそ!」
<話が通じないのは久しぶりだ……。>
感情豊富なその女性は、怒っているかと思えば一転して目を輝かせる。ドンキホーテと呼ばれた女性は、小柄な体型に似合わない身の丈以上の突撃槍を持っていた。服装は色以外はダンテの服装に酷似している。顔は非常に整っており、美人というほか無い。だが、大量のバッジなどが服についており何処か残念な印象を与えていた。
「なぁ」
底冷えする声がダンテたちを包んでいく。
ダンテが先程まで感じていたそれが、再び姿を表した。ブリキの玩具のように、声がする方向へ身体を向けるダンテ。ドンキホーテは状況を理解していないのか、ダンテの動きに合わせるばかりだ。
「これ、どうするんだ?」
声の主は雁夜であった。彼は額に青筋を立てながら、辺りを見回す。
部屋は荒れに荒れていた。
鎖が机やシャンデリアなどを貫通し、空中に吊るされている。壁や天井には鎖が這いずった痕跡がはっきりと残っていて、穴も所々出来ていた。床には硝子が飛び散っておりまともに歩くことすらままならない。
だが、一番主張が激しかったのは鎖であった。
部屋中に張り巡らされたそれは、縦横斜めに何重と重なっている。身動き一つ取るだけで、鎖が音を鳴らす。そしてなにより、雁夜は空中に浮かんでいた。鎖が絡まり、家具などと一緒に吊るされていたのだ。
<……ははは。>
「ぁ……まっまぁ気にするでない。旅には犠牲は付き物というではあるまいか?」
「はぁ…」
乾いた笑い声を出すダンテと、言い訳をするドンキホーテ。そして深い溜息を溢す雁夜。
桜が起きるまでに、掃除をすることが確定した三人組であった。
意外にも、掃除は一時間もかからず終わりを迎えた。
長かったのは、雁夜の説教と質問の数々であった。
端末から出てきた女性は何者なのか、どんな関係なのか、そもそもあの鎖は何なのか、いい加減宝具について説明しろ。このような質問をし続ける彼に対し、ダンテは答え続けた。
以下抜粋である。
「彼女は何者なんだよ?」
<私の仲間で、名前はドンキホーテっていう子。正義のフィクサーに憧れていて、戦闘力は一番ある。>
「仲間は何人呼び出せるんだ?」
<最大十二人。全員呼び出すにはかなりの魔力を消費するから、後2日ぐらい経たないと無理だと思う。今の限界は、ドンキホーテ入れて五人かな。」
「あの鎖は何だったんだ?」
<分かんない...。>
「宝具の効果は?」
<仲間に指示をすることでバフを掛けられるのと、仲間を蘇生することが出来るよ。>
ルポライターとして優秀だった雁夜と、囚人を束ねる管理人として日々努力を続けたダンテ。必要な情報だけを淀み無く伝達する姿は、どちらも様になっていた。
ちなみにだが、ドンキホーテは問答が始まった時点で買い物に行っている。壊れた家具の買い替えや食事の材料を買うためだ。
決して、説教が怖いから逃げ出した訳では無いのだ。
そんな彼女は現在、冬木の商店街にいる。
服装はそのままに、足早に間桐邸から抜け出してきた彼女はあちこち興味深そうに見回していた。彼女は興奮した様子で、魅惑的なほど紅い目を輝かせながら辺りを散策する。
「ドンキホーテ、落ち着いて下さい」
それを窘めるように声を掛ける女性が一人、ファウストである。ドンキホーテに買い物をさせれば無駄遣いを確実にするだろうと判断したダンテが、目付役として召喚したのだ。
「むぅ、しかしファウスト君。こんなに平和な所は初めて見たのでありまするぞ!」
「えぇ、私もここまで平和な所は見たことがありません」
商店街には朝早くから多くの人々が行き通っている。学生や主婦、サラリーマンなど職業や年齢などは違うものの皆一様に笑顔を浮かべており、楽しそうに暮らしていた。到底『都市』では見られない光景である。
「ファウスト君!当人はあそこに行ってみたいのだが!!」
ドンキホーテが声を高らかに上げながら提案をする。大きく動かされた指先は、古ぼけた駄菓子屋に向けられていた。外には旗が掛けられており、あいすくりぃむ、とひらがなで書かれている。
「私としても異世界の食べ物には興味がありますが、先に買い物を済ませることが最優先事項です」
提案を断るファウストであったが、興味があると言うのは嘘では無いらしく、そわそわとした様子を見せている。ドンキホーテは肩を落とし、しょげた顔をした。
「ドンキホーテ、早く来て下さい。買い物を済ませたら寄ってあげます」
「本当でありまするか!?」
提案を断られたことで落ち込んだ様子を見せていたドンキホーテであったが、ファウストの言葉を受けて顔を輝かせた。余程嬉しかったのか、鼻息が荒くなりファウストに抱きつく。
「暑いので離れて下さい」
「ふふん、ファウスト君なら分かってくれると思っていましたぞ!」
ファウストは抱きついてきたドンキホーテを引き剥がすと、雁夜に渡された買い物のメモを確認したかと思えば、すぐに歩き出した。ドンキホーテは鼻歌を歌い、スキップをしながら後ろを付いていく。
その姿は、仲睦まじい親子のようであった。
「ふふっ見てセイバー。あの二人、とても仲良しだわ」
「アイリスフィール。私の周りから離れないように言ったではないですか」
「まぁまぁ、ほら。今度はあのお店に行ってみましょう?」
「はぁ…」
今宵、聖杯戦争。その一幕が明けられる。
「ふぉぉおおお!!? こっこれはあの伝説のフィギュア『特色フィクサー赤い霧。24/1スケール』ではありませぬか!!! 赤い霧殿が唯一出したグッズであり、生産された数も非常に少ないことから高額で取引されると噂の!!!」
「ふむ……何故『都市』の人物のフィギュアが此処に……」
「お客様、此方の商品を買われますか?現在半額になっているのですが」
「ファウスト君!!!!!!」
「駄目です」
多分、始まるだろう。