完全版・セイウンスカイは正論男に褒められたい   作:春華ゆが

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セイトプ


幕間 side of another girl.
ナリタトップロードによる「タイム・フォア・アポカリプス」


 

 

「はーっはっはっ! ボクは何者にも負けない、だから君も全力で来たまえ!」

 

 ああ、誰かの声が聞こえる。

 でも一体誰だっただろうか、声だけじゃわからない。

 この声にははっきりと、聞き覚えがある気がするのに。

 

「私は、走るだけ。そのためだけに、このトレセン学園に来たの」

 

 この声も、聞いたことがある気がする。先程とは違う声。

 また、わからない。

 わかるのは、どちらも大切だった気がするというだけ。

 そのことだけしか、わからない。だけど確かに大切で、私の大事な何かだったような。

 ……あれ、そもそも。そもそも、ここはどこだろう。

 上も下も景色は虹色塗れで、全身の感覚がふわふわしていて。そんなどこか不安定な心地よさが、なんだかとっても気持ちよく身体の隅々までを包んではいるけれど──。

 

「──はっ」

 

 黒鉛混じりの木の匂いが鼻をつく。

 目を開けば数㎝先に薄茶色の木目が見える。

 身体は今顔の下から聞こえるそれと同じになるみたいに、ギシギシと音がなりそうなほどに節々が痛い。特に肩の裏の辺りから腕のほうまで、引っ張られるような感覚が……って、私の顔が両腕の上にどしりと乗っかってるじゃないか。

 そんなふうに、私が自分の全体図の状態を認識するまでにおよそ数秒。背中を丸めて前屈みになって、全身の重みを痣ができてしまうまで二つの腕に預けて。

 何を隠そう、私は自室の机で居眠りをしていたのだ。

 

「……はあ」

 

 そして、そんな状態で夢を見ていた。二人のウマ娘のことを、夢に見ていた。

 睡魔に負けてしまう直前まで資料を読み込んでいた、二人のウマ娘のことを。

 私にとって、ライバルでありたい人のことを。

 改めて、机の上に広げたものを確認する。

 所狭しと並べ立て、そのくせその上に突っ伏して若干くしゃくしゃにしてしまった二人のウマ娘についての資料。皐月賞をまさに明日に控えたというところで、私はある二人のウマ娘のことが頭から離れなくなっていた。

 大事なライバル、そう思っているからこそ。

 だからこそ、緊張してしまう。意識してしまう。

 なんといっても、初めてのGⅠでもあるのだから。

 クラシック三冠の初戦、皐月賞。一生に一度きりの大事なレース。その出走リストに私ナリタトップロードは名前を連ねていて、二番人気というそれなり以上の扱いを受けている。

 ならば私は、その期待には応えたい。期待を受け止めて、精一杯に走りたい。

 そう思うのが多分、私の走る一番の理由なのだろう。

 期待に応えること、期待に応えられる自分になること。

 そんな私になるために、それだけじゃなくて絶対負けられないと思える相手を見つけたからこそ、私は去年の冬にトゥインクル・シリーズでデビューした。

 トレセン学園で向けられる期待、対抗心、絶対負けない負けたくないって気持ち。

 自分の中のそれを見出すのがデビューというもので、そうして生まれた感情の器がいっぱいに満たされるのがトゥインクル・シリーズというもの。

 だから私は、夢の扉を叩いたのだ。

 そして次の皐月賞も、夢をまた見せる場所。

 私も、夢を見ている場所だ。

 机の灯りでスマホの時計を見てみれば、まだ午前の一時半。

 まだ、というにはそれなりに遅い時間かもしれないけど、それでも大人しくベッドに向かって布団にくるまる気にはなれなかった。

 そうして私が視線の所在に困ってふと窓の外に目を向けると、ビー玉を砕いてばら撒いたような星空一つ。眩く煌めく瞬きに、思わず祈るように目を伏せて。

 うん、まだ明るい。ならもう少し起きていても、きっと寝坊なんてことにはならないだろう。

 そんな言い訳にもならないような言い訳を、誰にでもないどこかへこぼして、改めて私は先程までも見ていた二人のウマ娘の資料へと視線を落とす。

 テイエムオペラオーとアドマイヤベガ、私のライバルたちの資料へ。

 そして資料には書いていない、私だから知る二人のことにまで、想いの手を届かせてゆく。

 まずは、テイエムオペラオー。オペラオーちゃん。

 ちょっと小さな背丈の、だけど目の前に立つとそんなふうには思えない子。

 私から見れば断然後輩で、私のチームで言えばスカイちゃんと同学年らしい。彼女の自信たっぷりの態度は、年下だってことをついつい忘れてしまうくらい立派なものだけど。

 そんな彼女はあの学園でも最強のチーム<リギル>の一員で、デビュー当初こそ少し苦戦したものの今では順調に勝利を重ねている。後輩とはいえ、レースの上では同期。

 なによりもその威風堂々とした振る舞いを見ていると、負けられないなと思うのだ。

 やっぱり年齢なんて関係ない、互角でありたいと。

 ……私にあんな感じができるって意味じゃないけど。そういう意味でもやっぱり、オペラオーちゃんはすごい。語彙の少ない私なりに尽くせる、私からの評はこんな感じ。

 私の、ライバル。

 そしてもう一人、アドマイヤベガ。アヤベさん。

 私とは、同じクラスの同級生。

 ……一応。教室の中では何度か話はしたけれど、薄く色を持つ緋色の瞳がこちらを向いてくれることは少ない。けれどその回数と興味がまったくのゼロではないから、私はずっと彼女に話しかけつづけている。

 ……と思う。少しくらいは、気にかけてくれていたら嬉しいな、とは思ってしまう。

 そう思う理由の一つにはもちろん、彼女が血筋とそこから来る素質によって、デビュー前から有望だと見込まれたウマ娘だというのはあるのだろうけど。

 アヤベさんのお母さんは、私でも、多分誰でも知ってるような有名なウマ娘。だから当然、彼女は大きな期待を背負っている。

 親を通して、常に比較されている。

 私にはあまり考えが及ばせられない、そういう類の期待だった。期待に応えたい私としては、推し量れないほどの期待を抱えるアヤベさんを気にかけてしまうところはあるのだろう。

 けれど彼女はそんな期待も先入観も少しも意に介さないかのように、ただひたすらに己だけを見据えてトレーニングを続けている。

 聞けばチームにも所属せず、新人トレーナーとの一対一の担当形式を選んだらしい。多分、それだけ彼女は自分の力を信じているということ。

 そして、それだけ他人とは関わろうとはしないということ。

 その在り様は強い。その覚悟は綺麗だ。

 だけどどこか、何かがあれば崩れてしまいそうな繊細さを持つ。

 まるで硝子細工のような立ち振る舞いが、どうしても見過ごせなくて。

 ……それがもう一つ、私がアヤベさんを気にかける理由だ。お節介なのはわかっている。けれどきっとこれも期待の形の一つだから、私はその気持ちを手放したくない。私のライバルへの、期待。大切な人には、壊れてなんかほしくない。希望にも似た、期待だ。

 たとえ耳を澄ませても、誰かの寝息がうっすら聞こえるだけだろう午前二時。

 ますます窓の外の空は一面の黒と対照的に輝きを増し、先程までの夢の中よりも色鮮やかな世界が広がっていた。

 空は、世界は、果てしなかった。

 星の海に肩まで浸かり、思考は更に深く、深く。より、綺羅の中へ沈んでいく。

 だってまだ私は、思考を尽くせてなどいないのだから。

 夜は、閉じない。

 まず、オペラオーちゃん。オペラオーちゃんがチーム<リギル>に入った理由は、彼女からすれば至極当然のものだった。彼女は最強なのだから、最強のチームが相応しい。

 そしてその最強のチームの中ですら、その中での絶対的強さを掲げようとする。彼女は自らの実力を、微塵も疑ってはいないのだ。

 誰が全力で立ち向かってこようとも、己の全力はより上を行くと信じている。

 全身全霊の勝負なら、誰相手でも跳ね返せると信じている。

 ……私では、オペラオーちゃんのように考えられるとは思えない。期待に応えるということは追い求めているけれど、それ以上を求めて掴み取ろうとすることは。勝ちたいとは当然思うけれど、すべてを敵に回しても勝てるなんてことは。

 だから私にとってはある種、オペラオーちゃんは遠い遠いところにいる人。

 憧れの一つ、だった。

 次は、アヤベさん。アヤベさんがチームという選択肢をそもそも選ばなかったのは、そうやって一人で練習する時間を作りたかったからだろう。

 チームに所属すれば併走トレーニングなど数々の効率的なトレーニングが自分をより強くしてくれるけれど、アヤベさんが選んだのはその道ではない。

 メリットとデメリットは当然わかった上で、彼女はチームに所属しなかった。

 それも実績は当然存在しない、新人トレーナーとの一対一を選んだ。

 多分それだけ、自分一人でなんとかしようと思っているから。

 すべては余計な口出しだと、そう断じてしまえるから。

 ……きっと彼女なら、それができるのだろう。ひたすらにストイックに、それでも硝子細工は折れずに磨きつづけられる。

 自分だけで勝つことを、誰にも依らないことを強さとして持つことができる。

 やっぱりアヤベさんも、私からは先の先にいる。

 まだ掴めない、憧れの人だ。

 そうして、最後にもう一つ考える。自分の、私のことを。自然と、だった。

 ライバルを見て、私はどうしたいのか。

 違いを見据えて、私はどうなりたいのか。

 そういう考えが、睡魔を微かに孕んだ頭の中に自然と浮かんでいた。

 私のライバルの二人には、道が見えている。

 だから二人には、選ぶチームのやり方がある。

 そこが、一つ見つかる私と他者の明確な差。となれば当たり前のように、私にとってのチームがなんなのかというのも、直面せざるを得ない議題だった。

 乳白色のデスクライトは、私の顔を少し広い額から顎の下までぴかぴかと照らしていた。瞼を閉じても真っ暗にならないくらい近くで、ギラギラと。

 お陰で夜の闇が深まるたびに、星空の静けさに反して爛々と目は冴えていく。

 ひょっとしたらこんな時間にこんなに元気なのは、今日はトレセン学園全体で私だけかもしれない。今名前を挙げたオペラオーちゃんもアヤベさんも、とっくに明日、正確にはもう今日のレースに向けて寝ている頃だろう。

 これでもクラス委員長として、規則正しくちゃんとした生活をしておきたい、みたいな気持ちはもちろんあるのだが。なんだか今日は、そこで立ち止まる気分じゃない。夜も深く底まで更けて、眠気の混じった思考は朧気になりつつある。

 この状態では考え事をするには向いていないけど、そんな時だからこそ頭に浮かぶものがあった。先程から、いやそれよりももっと前、きっとデビューした時よりもさらに前。

 どんな頃よりずっと前、卵から孵った雛が、頭の上にくっついた殻の破片を不思議に思うように。最初の最初から、私の頭の中に最初からくっついていた疑問点。

 私から私への、ハウ・アバウト・ミー。

 私はなぜ、<アルビレオ>にいるのだろう。

 私はなぜ、<アルビレオ>のリーダーなのだろう。

 私はなぜ、<アルビレオ>に入ったのだろう。

 そんな疑問を、他の誰でもない自分自身に問うために。時間感覚の薄れた深夜三時頃、私は遥か過去へと思考の矢を飛ばす。形のない虚数の矢文、そしてそれを受け取るのは今はもういない過去の私。だけど今に連なる、どこかで覚えたままの過去の私。

 過去の私は、どうして<アルビレオ>に入ったんだっけ。

 もちろん今でもちゃんと知っていて覚えていることを、今一度。

 クラシック三冠の大一番、皐月賞の最直前。すべての準備が終わって、本番のその瞬間が終わるまでも十二時間を切っている。そんなタイミングが、今。この今だからこそ、私は私に問いかけた。はじまりの理由、私が走る意味のまた一つ。そこへ思考を巻き戻す時間は、十二分に存在するのだから。

 まだ、まだ終わりではないから。

 終わりの時は、まだ来ていないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とは言っても、チーム<アルビレオ>と私の出会いは深く語れるほど劇的なものではない。わざわざ長い歴史をたどることもなく、成り行きで入った、の一言で済ませてしまえるかもしれない。私が道を歩いていたら、トレーナーさんが声をかけてきた。だから入った。そうしたらリーダーになった。……こう並べてみると、流石にあっさりすぎるか。

 今日はもう少し、掘り下げてみよう。

 あの日にあった、なんでもないけど運命だったはじまりに。

 その日、多分それなりに天気は良かった。そして珍しく、私はクラスの業務に追われていなかった。なのでこれまた珍しく、のんびりと構内を静かに走っていたのだ。柔らかな日差しを一身に浴びることのできる、校舎の外にある気持ちのいい中庭。腰掛けながら弁当を食べられるようなベンチも何個かあって、ゆっくりするにはいい場所だ。

 なんて、今思えばスカイちゃんみたいなことを考えながら、過去の私はだらだらり。

 そんな感じで中庭の中心部に足を踏み入れた時、なんだか露骨に中庭の真ん中だけ人口密度が少ないことに気がついた。そして大体同時に、その理由にも。

 大声を張り上げる少し背丈の大きい男性が、中庭のちょうど真ん中で何やらお手製の縦看板を持って陣取っていたからである。

 看板にはそこそこの達筆かつ情熱が滲み出る筆致で、こう書いてあった。

 

「チーム<アルビレオ>、メンバー募集」

「根性、努力、気合溢れるウマ娘を待つ」

 

 多分これを見て、他の子は引き気味になっていたんだろうことはわかる。トレーナーさんの意志の強すぎそうな顔つき目つきも、だいぶ人を寄せ付けないのだろうことはわかる。その二つのことは、目の前の異様と呼べる光景を見て瞬時にわかったのだけど。

 

「すみませんっ、お話聞かせてもらえませんか!」

 

 私はその姿を見て、すぐさま未来のトレーナーさんに声をかけていた。

 ……今から考えても、どうして声をかけたのかはいまいちはっきりしない。

 多分結構「根性、努力、気合」には惹かれた点はあると思うし、逆にトレーナーさんがあまりにも人を寄せ付けなさすぎて哀れに思ったというか、放って置けなかったところもあると思う。とはいえやっぱり明確な理由はなくて、根拠は薄いといえば薄いかも。前者は単純すぎるし後者は単なるお人好しと言われれば私自身でも否定はできないのだが、ともかく私とトレーナーさんの出会いはそんな感じだった。

 そこから、<アルビレオ>は始まった。

 

「おっ、興味があるんだな! 我がチーム<アルビレオ>に! なんと今なら入ればそのままリーダーになれるぞ!」

「えっ、本当ですかっ!? ……って、それは誰もまだいないってことですよね」

「まあ、そうではある。だがいずれ天下を取るチームだ! そのメンバー一号にならないか、ええと」

「ナリタトップロードと言います! これから、よろしくお願いしますねっ!」

 

 ……といった感じであれよあれよと意気投合して、気持ちは同じだと言わんばかりに固い握手を交わして。そうして私はチーム<アルビレオ>に入り、そのまま即座にリーダーに就任した。私たち二人の語らいは周りを近寄らせないくらいの熱気だったけど、そんなトレーナーさんのやる気満点な態度に少なからず沸き立つものがあったのも事実だ。

 だから多分、私は<アルビレオ>に入った。こんな感じの、複合的な曖昧な理由で。

 結局ここまで掘り下げてみても、どちらかと言えば取るに足りないような、私のライバルたちが自らの居場所を選んだ理由には届かないような。

 

(……でも)

 

 くるりと椅子を回し、窓の外の深黒に目を向ける。

 網膜の先の細胞一つ一つに、瞬く光を湛えた星の粒が突き刺さってくる。

 あのあまねく星々の煌めきは、今を生きる輝きじゃない。過去の光が今現在にまで届いているのだと、昔何かで読んだことがある。何百光年、私たちの何千倍も速い途方もない光速の話だ。

 だけど過去が今に光るという意味では壮大な宇宙のスケールだからこその話ってわけじゃなくて、案外どこにでもある話なのかもしれない。

 たとえば星の名を冠する<アルビレオ>も、その名の通りに光りつづけるのかもしれないと。

 もしかしたら成り行きで始まったかもしれない極小点の小さな瞬きは、しかして今まで絶え間なく続いている。数々の人を巻き込んで、ひとつの星から連星へと変わるように。

 私はチーム<アルビレオ>のリーダーとして、今までよりもっと色々な人と接するようになった。歳の違う子、性格の違う子。

 大体私より年下だけど、そんな中で時折見せる顔がどことなく大人びて見える子もいる。

 たとえば、スカイちゃんとか。

 あの子は自分で思っているより大人で、自分で思っているより深く考えている。

 だから、支えてあげないといけないと思う。

 チームメイトに寄り添うのが、リーダーの役割だから。

 なにより、近しい人を放っておけるわけがない。

 役割だからってだけじゃなくて、これが私のしたいこと。

 そして、出会いがあれば別れもある。忘れられない、別れ。私に憧れて入ってきたけれど、チームの練習に着いていけなくて辞めてしまった子。

 あれはもうだいぶ昔になってしまったもう過去と呼べるその日、スカイちゃんが受け取ってくれた脱退届。頑張っていてくれたのに、着いてこれないと思ってしまったあの子。

 諦めてしまったのは、その子が悪いんじゃない。少なくとも私は、そう思う。

 悪いのは、彼女の弱音を汲み上げられなかった私の方だ。

 一人きりの場所に閉じ込めさせてしまった、私の。

 あそこにあった事実と感情はきっと、ずっと忘れられない。私の無力を示す出来事。

 彼女は叶えたい夢を抱えてこのチームに入ったのに、私の至らなさがそれを届かない夢に変えてしまった。二度と起こしたくないと思う、苦い思い出だ。

 チームのリーダーとして抱える、記憶しなければならない刻まれた過去だ。

 過去だけど、忘れなければ意味は続くから。

 そうやって、私は<アルビレオ>のリーダーとして色々なことを経験してきた。支え、導き、頼られる立場だ。その立ち位置から人を見ていたのが、今までの自分だった。教室とは違う、もう一つの居場所の意味だった。

 でも、だった。でも今の私は、今までとは少しだけ違うのだ。

 あと十時間ちょっとすれば、私は皐月賞の出走者だ。

 愛想よく、元気よく、人当たりがいい。そういうような私のリーダーとしての素養なんてものは、ターフという戦場では灰塵に帰す。

 そこで必要なのは、期待に応えられる実力だ。

 才能だ。

 そんなの誰しもが持ってるわけじゃないのに、けれどそれを当たり前のように要求してくるのが、トゥインクル・シリーズという厳しい世界。だけど私はだからこそ、期待に応えられるようになりたいんだ。

 もう少しで、私は一つの終わりを迎える。

 別の私に、なるために。期待が、私を変える。

 期待。嬉しいことに私は、その才能と実力を期待されている。皐月賞でも二番人気。そしてそうなれば裏腹に膨らむのが、期待に応えられるかという不安だ。

 期待は、強さを押し測る。

 けれど本当の強さは、走ってみなくてはわからない。

 だから誰もが全力で、時には期待を覆すために走るのだ。

 時計を見れば、もう午前の四時だった。これなら寝るのは諦めて、徹夜してしまった方がよさそうだ。不思議と時間が進むたびに、峠を越えたみたいに眠気は薄れてくる。

 気持ちが昂り、目が冴えてくる。皐月賞への想いが、強くなる。

 皐月賞。GⅠレース。改めて認識するのは、それが一生に一度きりのクラシック三冠だということ。勝つのも負けるのも、一度だけ。

 その一度でオペラオーちゃんやアヤベさんを振り切って、私が頂点に立たねばならない。

 勝つためには、そうしなきゃいけない。私が超えなきゃいけないハードルは、並大抵のものじゃない。やっぱり、緊張する。不安だって、無いと言えば嘘になる。……でも、立ち向かえる理由はあるんだ。こんな私に勇気をくれる、大切な人が一人いるから。同じ皐月賞の大舞台で強敵相手に勝利し、晴れやかに笑ってみせた人がいる。

 私の、憧れの人だ。

 もちろんその人との差は、まだまだ遠くて果てしない。当然あちらもぐんぐん逃げていくから、追いつけるかもわからない。だけどいつか、胸を張って同じ舞台に立てるなら。そう願うのが、私の軸を作ること。そんな気持ちが、私に勇気をくれるもの。

 そう思えるのが、あなたから私に貰えた強さ。

 憧れのあなたに届くため、皐月賞では負けられない。

 大きく大きくだけど絶対に掴み取りたい夢を、いと高き天の先に掲げた。

 夢はいつだって、頂点にて手が届くものだから。

 頂への道のりは、確かに今だって歩んでいる途中なのだから。

 やがて、緩やかに太陽は昇る。

 待ち望んだ、その日が来る。

 皐月賞までのすべての努力、すべての気持ち。

 それが結ばれ、終わる日。

 一つの終末が、やってくる。

 

 

 

 

 

 

 当日は雨が降っていた。だからといってターフの上で傘なんてさせないので、初めての勝負服姿はびしょ濡れからスタートだ。とはいえ雨の中でも踏み締めるバ場はそれなりに良好、今日の調子も悪くない。寝不足もテンションを上げてむしろいい方向に働いている気がする。

 今日の私、もしかすると、来てます。

 

「中山メインレース、皐月賞。十七人のウマ娘の出走を、観客が今か今かと待ち侘びています」

 

 そんな実況が聞こえて、いよいよ皐月賞なんだ、と改めて実感する。体がじんわり、尻尾の先まで熱を持つ。見ているだけで目頭が熱くなりそうな芝の青、青、青。私は今ここに立っているのだと、蹄鉄越しの地面の感触が何よりもそれを教えてくれた。やらなきゃ。勝たなきゃ。改めて、そう決意を固めた。

 そんなふうに一人浸っていたところに、我関せずといった感じで話しかけてくる声があった。聞き覚えのある、仰々しい声音。

 振り返ってみれば、見知った顔と背丈のちっちゃくて可愛らしい後輩。の、はずの子。

 勝負服を着ていると、その威容はますます強大に感じられる気がした。可愛らしいなんて思わせてくれないというか、いやいつもは結構思わせてくれるんだけど、今日のあなたはなんというか、オーラが違う。

 

「ごきげんよう、トップロードさん」

「はい、オペラオーちゃん! 今日は、よろしくお願いしますっ」

 

 態度に立ち振る舞い、いつも通りの語り調子。オペラオーちゃんも絶好調、みたい。なら、相手にとって不足はない。精一杯の言葉で、私も応える。

 

「オペラオーちゃん、気合満点ですね。私も負けてられません」

「当然さ、ここからボクの伝説が始まる。その幕開けを告げるには、皐月賞の場ほど相応しいものはない!」

「……流石、ですね。負ける気なんてないって感じですか」

 

 今日のテイエムオペラオーは五番人気。チャンスは十分にあるけれど、絶対なんて言える人気順じゃない。それでも、彼女はこう言ってのけている。

 そう在れるのが、オペラオーちゃんの強さ。

 誰が敵に回っても、己を貫ける強さなんだ。

 

「ボクは勝つよ。五番人気、上等じゃないか。それほど敵は強大だという、超えるべき壁が素晴らしいということだ。もちろんトップロードさん、君もね」

「はい。オペラオーちゃんをガッカリさせるような走りは、しないつもりです」

 

「それでいい。自分の実力は、自分が一番よく知っている。だからボクは今日ボクが勝つと確信しているし、君も自らの勝ちを疑わない。なら、それでいい」

 相変わらずオペラオーちゃんは、悠々とした態度を崩さない。けれど触れれば火傷してしまいそうなほどその心の内が燃えていることは、外からの私でも見てとれた。それならば己の熱情に直に触れているオペラオーちゃんは、一体どれほどの執念を勝利に燃やしているのだろう。

 ならば私も、対等な言葉を返そう。

 彼女が謳う最強への宣言と相見えるに相応しい、覚悟を示すための言葉を。

 

「はい。人気順じゃ、勝敗はわかりません。期待をどれだけかけられても、それに応えられるかはわかりません。期待はあくまで期待で、薄い氷のようなもの。それですべては決まらない」

「なるほど。それでも、君は」

「そうですね。それでも私は、期待に応えたいです。期待が不安定なものだからこそ、応えたいんです。だってそうしなければ、期待が無意味になってしまうから」

 

 形がどうあれ。結果がどうあれ。私は、期待に応えたい。人を支えていたつもりなのに、いつの間にか自分も支えられるようになっていた。

 期待を向けられる、かけられる側になっていた。

 だから私にできることは、みんなの期待は無責任なものじゃないって証明することだ。

 背負った期待を、報わせることなんだ。

 

「みんなが支えてくれている。私のために頑張りを割いてくれている。だから私はそれを肯定するために、勝ちます。努力は必ず報われるのが、チーム<アルビレオ>ですから」

「なるほど、それが君のチームの絆か、トップロードさん」

「はい。チームのためにも、勝ちます」

 

 そしてそのチームに居る、一人の憧れのためにも。そう、告げた。私が勝つと、告げた。

 雨はまだまだすだれのように降りつづけ、互いの勝負服はびしょびしょだ。それでももちろん、この場から立ち去るなんてあり得ない。

 私たちは戦うためにここにいる。間近に迫った戦場から、何かを掴むために。

 

「チーム、か。それならボクがチーム<リギル>に入ったことも知っているかな」

「はい。学園最強って言われてるチームですよね」

「そうとも。一筋縄ではいかなかったけどね。<リギル>に入れるような才能があるのかって、トレーナー君にも言われたよ。君が期待される側なら、ボクは期待されない側だからね」

「……それは」

 

 初めて聞く、オペラオーちゃんの弱い言葉。けれどそれは儚く祈るものではなく、壮大な戯曲のイントロダクションに過ぎなくて。

 やっぱり、彼女はすごい。

 私からは、遠い。

 

「でも、ボクは実力で<リギル>のトレーナー君を認めさせた。<リギル>はボクを見出してくれた。そのことには、感謝しているのさ。観客がいなければ、どんな素晴らしいオペラも万雷の喝采を受けられないからね!」

「強いですね、オペラオーちゃんは。やっぱり、負けてられない」

「そうとも、ボクは強い。そのことを、この皐月賞で証明する。最強集団であるチーム<リギル>の大看板を背負うだけの力があると、この闘いで高らかに宣言するのさ」

「それがオペラオーちゃんの、チームとの絆ですか」

「そういうことだとも、トップロードさん。至ってシンプル。勝てばいい」

「はい。でも、負けませんよ」

「もちろん。その上で、ボクが勝つ」

 

 最後は互いに言葉をぶつけて、そうして会話は閉じられた。お互いの、チームのために。そしてもちろん、自分自身のために。そのために勝つ。

 互いの違いと同じ想いを、確かめた。遠く離れたぶん、近づいた。

 ……まだ時間は残っていた

 。ゲート前の片隅に目をやると、一人空を見上げている人影があった。

 夜空色の勝負服、蜘蛛糸のように透き通って伸びる長髪。そんなふうに揺らめいて一人雨に濡れる人影に近付いて、いつものように声をかける。

 きっと、いつもとは違う時間になるだろうけど。

 今日の彼女もまた、普段とは違う彼女だろうから。

 

「こんにちは、アヤベさん」

「……こんにちは、トップロードさん」

「今日は、よろしくお願いしますねっ」

「ええ。よろしく」

 

 アヤベさん相手だと相変わらずぎこちない私、いつかはもっと仲良くなれるだろうか。とはいえぎこちなくとも、今日は伝えたい言葉があるのだから。そうやって言葉を紡いでいけば、必ずその先で繋がれると<アルビレオ>が教えてくれたから。

 

「アヤベさん。私の今日の目標の一つが、あなたです。一番人気、実力も才能も折り紙付き。でも今日私が勝つってことは、あなたにも勝つってことです」

「そうね。でも、勝つのは私。私は勝って、勝って、勝ちつづけるの。そのためだけに、ここにいる」

「なるほど。結構、強気な発言ですね」

「傲慢と言われようと、構わない。それでもそれが、たった一つの私の願いなの」

「願い、ですか」

 

 願い。走ることが本能と呼ばれるウマ娘でも、走りに更に想いを込めることはある。

 楽しい、嬉しい、悔しい。そんな気持ちがレースには籠っている。

 様々の気持ちを形作る雛形が、願いというものなのだろう。

 願いを軸に、ウマ娘はみんな走るんだ。

 みんな、みんな。

 誰だって。

 ならば、私にだって。

 

「それなら、私にも願いがあります。勝利を捧げたい、相手が」

「……そう。捧げたい人が、いるのね」

「はい。その人は昔この皐月賞で、華々しい勝利を見せてくれました。夢を与えるウマ娘ってこういうことなんだって、初めて私にそう思わせてくれました」

「それは、大切な人ね」

「……でも、その人は今苦しんでます。はっきりは見せてくれなくて、まるで闇の中であえぐみたいにたまに苦しそうなのが見えます。理由は教えてくれません。優しい子だから。だから私にできるのは、夢を与えることくらいです」

 

 ……そう私が祈りを捧げるのは、チーム<アルビレオ>にいる私の憧れ。

 去年のこの皐月賞でも最高の勝利を見せてくれた、スカイちゃんだった。

 そして彼女への憧れの始まりにある皐月賞のステージに、私は今立っている。

 今なら、あの時の恩返しができる。

 きっと、今の私なら。

 

「その人は、光を見つければそれを手に取れる人です。どれだけ悩みもがいても、立ち上がる方法を知っている人です。だから私は、その人に光を見せてあげたい。そう思うのが、私の願いです」

「……あなたも、自らの祈りを誰かに捧げるのね」

「あなたも、って……もしかして、アヤベさんも……?」

「いいえ、あなたと私は違う」

 

 私の言葉をあらかた聞き終えて、今までにないくらい理解を添わせてくれて。

 それでも最後に出てきたのは、境目を作る言葉だった。

 そのまま、彼女は話を続ける。断絶を垣間見せながら、けれど私たちのうちに確かな同一性を感じさせる話を。これが多分、彼女なりの人への理解の示し方。

 やっぱり今日、少し近づけた。

 

「あなたのまわりにはきっと、たくさんの人がいる。今話してくれた誰かも含めて、たくさんの人が」

「はい。きっと<アルビレオ>にいなきゃ、出会えなかった人たちです」

「あなたはその状況を選んだ。チームという、状況を。だから、私とは違う」

「……そうですね。やっぱり、違うかもしれません」

「でも」

 

 そこで一旦口を切って、朱みを帯びた彼女の目がこちらを見据える。少しだけ、ほんの少しだけ背の高い私の方を見上げるような格好だった。だからその時の彼女は、紛れもなく私の眼を見ていたのだと、思う。

 瞳は重なっていたのだと、思う。

 

「でもそれは、あなたのつながりは大事にした方がいい。きっと、ね」

 

 大事にした方がいい。そんなアヤベさんの言葉はいつも通りそっけなく聞こえたはずなのに、なぜだか今までのどの言葉より私の心に沁み入った。多分、アヤベさんの本心から話してくれたひとことだったからだと、思う。

 

「……はい、大事なものです。大事だから、私はそのために勝ちます。背負った期待も、届けたい夢も、私の居場所になってくれるチームのみんなも。みんな大事だから、そのために負けません」

「……そう。負けるつもりは、ないから」

 

 最後はそっけなくそう言って、アヤベさんはゲートに向かっていった。もうそろそろレースが始まる時間かと思い、私もくるりと踵を返す。アヤベさんを、追いかけるように。

 いつか、並び立てるように。

 アヤベさんだけじゃない、オペラオーちゃんにだって。

 負けるつもりなんて、ない。

 準備は万全、気合も十分、そしてそれは誰しも同じ。

 だからレースに絶対はなく、だから私たちの走りは止めどなく人の心を震わせる。

 さあ、行こう。

 すべてが美しい終わりを迎える、2,000m先のゴールへと。

 終わりの、始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外からテイエム! 外からテイエム! 外からテイエムオペラオー! 大混戦となった皐月賞、大外一気に突き抜けたかテイエムオペラオー!」

 

 負けた。多分二分ほどしかないようなレースは、走っている間だけとても長いように感じられる。五感を研ぎ澄まし、全身全霊を尽くしているから。

 それでも終わってみればあっさり、一瞬だ。たった数分に全部を込めて、だからこそ刹那の闘いで結末は決まってしまう。終わりは、来る。

 負けた。最後の最後、ぎりぎりで届かなかった。いや、正確には猛烈な勢いで追い抜かれた。私の末脚を遥かに超える、まさに豪脚とも言えるあの切れ味。あれが、テイエムオペラオー。有言実行、期待では測れない実力を見せるということを、オペラオーちゃんはやってのけた。

 私はあと一歩の三着。十分、立派な結果だ。胸を張れる、だろう。

 だけどクビ差ハナ差のその三着は、絶対に覆せない差でもある。

 負けた。私の皐月賞は、終わった。期待を背負い、夢を抱いて。

 チームの皆に、スカイちゃんに、勝利した姿を見せたかったのに。

 憧れのあなたのように、勝ちたかったのに。

 

「くっそおおぉぉぉおおぉ!!!」

 

 負けた。だから思いっきり、叫んだ。

 膝だけを地面について、吠えるように全身で。突き動かされるように、叫んでしまっていた。

 全部全部、今日のためにあったもの全部を吐き出して、叫んだ。

 叫び終わったら、心にぽっかりと穴が空いた。

 がらんどうで何もない、なんでも詰め込める大きな穴だ。

 これで終わり。本当に、すべてが終わった感覚があった。燃え尽きたとも、形容できるような。

 ……だけど、だった。大きく空いた隙間には、すぐに別のものが入ってきた。終わった私の中に、新しい感覚が満たされていった。別の私に、なるみたいに。

 

「トップロードさん、よく頑張ったー!」

「次のレースも、期待してるぞー!」

 

 私を讃える、声だった。一番じゃなかったのに。負けてしまったのに。それでも期待してくれる、みんなの声だった。私は負けてしまった。期待に応えられなかった。だけど、次がある。まだ、この先がある。

 すべてが終わったなら、その後に始まりがやってくる。だから終わっても、諦めなくていい。

 そう思わせてくれる、声だった。

 そして、私を支えてくれるその声の中に。

 チームのみんなの、声が聞こえた。

 

「次こそ勝つ! そのために特訓だ、トップロード!」

 

 そんなふうに、元気いっぱいのトレーナーさん。

 

「トップロード先輩、お疲れ様でした。あなたの道はまだ、続きます」

 

 そんなふうに、普段とは打って変わって優しい言葉をかけてくれるキングちゃん。

 

「トップロードさん、ありがとうございます。いいレース、見せてもらいました」

 

 最後に、そんなふうに、私のメッセージを受け取ってくれたスカイちゃん。

 他にもチームのみんなが、さまざまの言葉を私にかけてくれる。

 一緒にこの結果を、噛み締めてくれる。

 負けた。けれど、それですべては終わらない。一人になんか、ならない。みんながいるから、私は終わりの先へ進める。それならば、前に進もう。

 たとえ歩むべき行く末が、どれほど苦しい道であっても、だ。

 頂点への旅路は、いまだ麓すら見遣ること能わず。

 果てしなく遠い道のりは、世界の果てまで続くかもしれない。

 たとえしっかり続いているとしても、長く永くまだ遠い。

 されど終末の時もまた、いまだ黙示録の喇叭は一つとして鳴らず。

 目指すべき場所へは世界の果てまで行かねば踏み締めることが叶わないとしても、世界が終わらなければいつかはたどり着けるのだ。

 それに、もしも。もしも恐怖の大王が空から来たりて、世界を暗黒に染め上げたとしても。世界が終わってしまったとしても、それでも走りつづければいい。

 どうしようもない苦難が待っていても、諦めず走りつづければいい。

 一度すべてが終わってしまったとしても、必ず人は立ち直れるのだから。

 世界は終わっても、人は終わらない。

 もう一度、世界を始めればいい。

 世界の終わりこそが終わるまで、苦しみを乗り越えればいい。

 少なくとも、私はそうありたい。

 それだけ期待される才覚があるからこそ、声援を受けられるからこそ走れるというのもあるけれど。なによりも私には仲間がいるから、私は世界の終わりが絶望じゃないって思えるんだ。

 チーム<アルビレオ>という、かけがえのない仲間がいるから。

 助けてくれて、支えてくれて。

 それを互いに繋ぎ止め合える、最高の仲間がいるんだから。

 だから、私は終わらない。

 そして仲間が苦しんでいる時、その時は必ず助けるんだ。

 あなたが決して、終わってしまわないように。

 憧れのあなたが苦しみを抑えられなくなった時だって、必ず手を差し伸べる。

 たとえ、世界が終わっても。

 誰一人として、終わらせたりなんかしない。

 だって私は、チーム<アルビレオ>のリーダーなんだから。

 あなたの、仲間なんだから。




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