ワザマエ!~シノビが行く、魔法科の流儀~   作:集風輝星

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すいません、ちょっと展開が思いつかなくて…


『忍者』 結局模擬戦を行わん

まだ時間がある…ということで、少しカフェテリアで時間を潰すことにした。席に座り飲み物を一口。そのまま端末を開いて読み物でもしようかとした辺りで、声を掛けられた。

 

「大河さん!」

 

「…ほのか?」

 

そこには何故かほのかが居た。確かにこのタイミングのほのかの行動は描写されていなかったが、まさかカフェテリアで会うとは…

 

「奇遇だな。同じタイミングでカフェテリアに居るなんて」

 

「えへへ…実は、そうでもないんですよ」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「深雪が、今日大河さんが部活連棟に行くって言ってたので…ちょっと立ち寄ってみたら、丁度大河さんが出てくるところで。そのままついてきちゃいました」

 

「…んん?」

 

…何故だ?何故俺が部活連棟に行くからと、彼女が付近に立ち寄るんだ?深雪から話を聞いているなら、達也も深雪も居て、校舎的にも近い生徒会室の方に向かうのではないか?どうしてこっちの方に…

 

「それより!大河さん、風紀委員になるんですよね!それって、とってもすごい事じゃないですか!」

 

「…深雪。ペラペラしゃべりすぎだろ…」

 

原作を見ていて思っていたが、『四葉』であることを隠したい癖に、達也の実力を誇示したり、『キャスト・ジャミング』の話をペラペラしたりと、ちょっと危機感足りてないよな、序盤の深雪…

まあ、『忍者』としての本職である諜報員としての性が、ツッコミを入れたくなっているだけなのかもしれないが。

 

「あっ…!深雪を怒らないでください!今朝方、生徒会長とお話されているのを見ていて…それでお昼に生徒会室に行ったって言うから、何を話したのか気になって、無理を言って聞き出したんです…」

 

「…見てたのか」

 

彼女の行動にはずっと違和感を覚えていたのだが…今確信した。

彼女の行動目的は、達也や深雪ではなく…

 

「ほのか、君、俺に何か話したいことがあるんじゃないか?」

 

「えっ!?」

 

俺と話すことが目的なのではないだろうか。

事実、初めて出会った時も、折角深雪と話せる機会だったのに、それを棒に振ってほぼ俺としか会話していなかった。若干自意識過剰かもしれないが、CADを盗んだ際も俺に気づきかけていた。あれは少なからず俺の事を意識していたという事になる。

 

「うう…えっと…その…」

 

そして、その予想は見事的中していたらしく、ほのかは素直に話してくれた。なんでも、過去に化け物に襲われた際に俺に助けられたのだと。

妖魔の被害者か…いくらなんでも見ていたら誰か分かったはずなので、俺が周囲に気を配れないレベル…中級妖魔のいずれかと戦った時だろうか。

 

「あの!あの時は、ありがとうございました!」

 

「ああ…気にしなくていいよ。未来の友人に怪我が無くて、当時の俺も喜ぶだろう。むしろ俺のほうこそすまない、覚えていなくて」

 

「い、いえ!気になさらないでください!こうしてお礼が言えただけでも!」

 

やたら多くペコペコ礼をしてくるほのか。どうやら随分と尊敬されてしまったようだ。しかし…こんなところで原作との差異が生まれていたとは。やはり、俺が知らないところで原作からの変化が生じていても察知することができないな…

そんな事を考えながら、端末に表示された時間を確認すると…

 

「…やっべ!もう始まってるじゃん!」

 

「えっ、何がですか?」

 

「こっちの話!ごめんちょっとこれで払っておいてくれ!」

 

もうすでに達也の模擬戦が始まる時間であった。俺は慌てて第三演習室へ向かう。ほのかには悪いとは思うが、ほのかの分も合わせた額のクレジットを渡したので、支払いには問題がないはずだ。

 

「ちょっと、大河さん!?…あの時のもう一人の方にも、お礼言っておいてくださいって言えなかった…」

 


 

「…あちゃ~、間に合わなかったか~」

 

第三演習室。急いで向ってきたつもりだったが、そもそも達也の模擬戦が秒で終わってしまっているのも相まって、もはや終了ムードが流れていたそこに、俺が途中入室してきた。

 

「おっ、篠川。十文字との会談はどうだった?」

 

「どうだったも何も、半ば無理矢理風紀委員にさせられましたよ…」

 

「どうやらお眼鏡にかなったようだな」

 

摩利は面白そうにしばらくケラケラと笑っていたが、やがていたずらを思いついた悪ガキのような表情を浮かべる。うわあ、絶対余計なこと思いついているよ…

 

「達也君。服部を倒したばかりでお疲れかもしれないが、一つ頼まれごとをしてくれないか?」

 

「そこのバカとの模擬戦ならお断りしておきますが」

 

「おいおい、断ると言いながら、それを頼んでくることを察知してるじゃないか」

 

「まずバカ呼ばわりを訂正させてもらっても?」

 

「「却下」」

 

「んぎぎぎぎぎ」

 

こいつら…!マジでいてこますぞ!?服全部ひん剥いて畑に頭からぶっ刺して犬神家の一族みたいにしてやろうか!?

 

「しかしな、達也君の実力はこうして生徒会長と風紀委員長によって担保されたが、篠川の実力は十文字以外に証人が居ないというのもなあ」

 

「…別にそう言うの要らないんですけど…」

 

「…お兄様、大河との模擬戦。深雪も見たいです」

 

「…深雪の頼みなら、仕方ないな」

 

「仕方なくないけど?」

 

早くない?落ちるの。ちょ~っと上目遣いでおねだりされただけじゃんお兄様。一瞬過ぎるでしょ、いくらシスコンでもさ!

 

「よし、決まりだな!時間もないし、さっさと始めるぞ!」

 

「え?マジでやるの?導入雑過ぎない?なんとか言ってやってよ服部副会長」

 

「…二科生にも侮れない奴がいるというのは分かったが、篠川、お前もそうだとは断定できん」

 

何気にダメージから回復していた服部副会長に助け舟を求めたが、残念ながら願いは届くことはなかった()

 

ということで早速始まってしまった模擬戦。ルールとしては、殺傷ランクの高い魔法の使用禁止・素手以外の物理攻撃禁止・捻挫以上の怪我を与えるような攻撃禁止ぐらいだ。

 

「では…はじめ!」

 

開始の合図と共に、達也は服部戦とは打って変わって後退を選択する。これは近接戦を最も得意とする俺に近づきたくないというのもあるだろうが、俺に服部を倒したサイオン波の合成が効かない為と思われる。

そもそもアレでダメージが入る原理は、魔法師がサイオンを知覚情報として認識できるからなので、サイオンを認識できない俺にそれは通じない。だから、先ほど使った魔法では俺を倒せない為、一度距離を取ったのだろう。

 

対する俺は、下がる達也を追いかけるようにして走り出す…その際、俺の体から重なっていたかのように、()()()()()()が顔を見せる。演習室にどよめきが走った。

忍法『双影(ふたつかげ)』。『影分身』の上位版であり、実体のある分身を生み出すことができる。

 

二手に分かれた俺は、達也を若干挟撃する形になりながら距離を詰める。達也が片方の俺に特化型CADの照準を合わせるのに見越して、もう一人の俺がその照準を妨害するべく攻撃を行う。

制服のジャケットを脱ぎ、それを振るう。ジャケットはまるで生きているかのような挙動を見せながら、達也がCADを握る腕に絡みつく。『布砦』という忍法だ。これで達也は上手く照準を合わせることができない。

 

『布砦』を使っていない方の俺が、達也に肉弾戦を仕掛ける。達也は有効打を取られないように左腕だけで器用に捌くが、やはり片腕が使えなくなっているハンデは大きい。遊ぶのは終わり、手早く終わらせよう…と思って攻撃のスピードを上げようとしたのだが、少し遅かったらしい。

ほんの一瞬のスキを狙い、達也はCADを自由に動かせるほうの腕に持ち替えた。『再成』を使わずにこの持ち替え速度、手癖だけなら『忍者』並みだ。

 

単一放出系魔法による衝撃波で俺を吹き飛ばす。吹き飛ばされる俺だが、所詮は達也の通常魔法。さほどの威力は出ない。しかし距離は稼げる。

達也は自身を拘束するもう一人の俺にも攻撃をしようとするが、ジャケットを手繰り寄せて近接戦闘に持ち込んだ俺に苦戦している。

 

吹き飛ばされた俺は、自身の髪を引き抜いて、それを投擲する。忍法『闇蜘蛛(やみくも)』。髪や糸などの細いものを利用して相手を切り裂く忍法である。

 

攻撃を察知した達也は、その射線上に俺の分身が来るように移動する。流石にそうなっては俺も防がざるを得ない。そうくるのならと、俺が達也の背後に陣取って挟み撃ち…とまで考えたところで。

 

「双方、やめ!」

 

摩利によってストップが掛けられる。いざ戦い始めて高まってきていた俺たちは、その最中の終了に若干不満そうな表情をする。

だが、深雪以外の面々の表情が驚愕で彩られているのをみて、流石にやり過ぎたのだと自重する。

 

「篠川、お、お前…ふ、二人になって…」

 

「二人?何を言ってるんですか?」

 

「いやだから…あれ!?一人しかいない!?」

 

あっという間に『双影』を解除し一人に戻る。ジャケットも元通りだ。

服部を倒した達也でもかなり奇異の目で見られていたというのに、俺に居たってはびっくり箱でも見ているかのような表情をされている。

 

「篠川…お前、何をした?」

 

「…まあ、俺は『忍者』なのでね」

 

「…ってことは、篠川君も九重八雲さんの弟子さんなの?」

 

「…」

 

無言の肯定…に見せかけた表情を作ってみれば、「じゃあ、今のが忍術…」と納得した様子の真由美。いや、忍法だから()そこのところよろしくね。

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