真一がマガジンを取り替える隙を縫い、再び相手から放たれた弾丸が二人を襲う。浩太は身体を屈めながら、ポケットに入れていたマガジンを真一へ渡した。これが、最後の弾丸だ。残りは積み荷の中にある。
真一は、空になったマガジンを落とし、叩き込むように交換した。
「これが無くなったらヤバいな……」
真一が身を乗り出そうとした時、車内が突然激しく揺れた。
浅香通りに出ると、浩太はハンドルを一気に回す。トラックは左へ傾ながらも凄まじい音をたてながら車体を反転させた。トラックがようやく浅香通りに出たことにより、浩太は一気にスピードを上げ、西顕寺まで一直線に走り抜けようとしたが、一つだけ誤算が生じた。
小倉駅から二人を付け狙っていた暴徒の大群が銃声を聞き付け西顕寺の前に集まっていたのだ。一人が、二人のトラックに気付き嘯く。
「最悪だ!くそ!」
浩太は砂津橋を諦めるしかなかった。トラックは、そのまま浅香通りを走り、小倉駅北口、浅野方面へ行くことを余儀なくされた。
しかし、二人にとって僥倖だったのは、あのトラックを撒けたことだ。頭が働く人間を相手にするよりは、暴徒を相手にする方が現状では楽だ。さすがに、走る車のスピードには追い付けない。
みるみる距離を離していき、暴徒の姿が見えなくなったのは、砂津大橋を渡りきってからだ。浩太は胸ポケットから煙草を取りだし火を点けた。
「やられたぜ……まさか、あんな場所にたまってやがったとは……」
「まあ、結果は良い方だろ。現にこうして生きてるしな」
「……そうだな。死ぬよりはマシか」
真一に煙草を差し出す。
「奴ら何者だろうな。いきなり訳分かんねえ質問してきたと思ったら、銃ぶっ放すなんざ正気じゃねえよ」
「正気じゃないんだろうよ。朝、起きたら人間が喰われてました。笑い話にもならない。俺だって時と場所次第じゃ、ああなってたかもな……」
浩太は、窓から煙草を捨てた。入れ替わりに、真一が煙草に火を点ける。
「けどよ、キチガイにしては喋り方は普通だったよな。なんて言うか、宗教家みたいでよ」
「……やめてくれ。あんなのが教祖になった集団なんて考えたくもない」
浩太が鼻を鳴らし、窓の外へ顔を向けた時、サイドミラーに写っていたのは、まさにそのトラックだった。油断していた。あの暴徒の集団は、まず二人を追い掛けてきていた。つまりは、あのトラックには目もくれていなかったということだ。取るべき道は一つしかなかった二人は危機を乗り越えた安心感から小倉駅周辺ならば、どんなルートを使おうが二人がいる砂津大橋へ辿り着くことができることを忘れてしまっていた。
「ひゃはははは!んなとこで何を遊んでやがんだぁ?そんなに車同士のファックが見てえのかよ!」
無線から流れてきた喧々たる声に、浩太は奥歯を噛み締めた。
もう本当に眠い!ww
誤字脱字あったら教えてくれたら嬉しいです!