スーパーロボット大戦 無限戦争 マリ・ヴァセレート包囲網 作:ダス・ライヒ
名前:スパルタン・アーサー(本名アーサー・ロバーツ)
性別:男
年齢:21
階級:大尉
装備:専用ミョルニル・アーマー
概要:連邦軍のスパルタンⅤを増やすためのプロパガンダ部隊の隊長。元はブラックな企業でこき使われるアルバイター。
両親が早くに死に妹を進学させてやりたいがため、破れかぶれでスパルタンⅤに志願したが、あれよあれよという間に高性能なアーマーを持たせられ厚待遇で迎えられた。
上層部にとって実力は並み程度でも、顔や声は極めて整っていて、気質はよくも悪くも小市民的で、強い力に溺れて傲慢にならず、逆に過剰に神経質にならず、求めた通りそれ以上でも以下でもない完璧な成果や動きをしてくれる都合の良い奴。
皆が思い浮かべる英雄的な言動が上手く、それに憧れた民間人や一般兵による志願が当初に比べ倍増したため、上層部からの評価はとても高い。
アーサー本人も体よく使われ、多数の人を戦場に向かわせている自覚はあるが、妹の学費等多くの援助を受けている身である上、周りからの称賛される現状に抜け出したくないというのが本音。
ミョルニル・アーマー(外見はバトルスピリッツの鉄騎皇イグドラシル)
アーサー専用に作られた機体で性能は上澄みで、プロパガンダのため、白と金を基調にマントを翻すヒロイックな外見をしている。
武装は背部のユニットをマントにした以外は、ブラックナイトスコード・カルラにそっくり。
何があっても生き残れるように高い防御性能を持ち、ビーム等のエネルギー攻撃を吸収するマントに強固なビームシールドを発生させる盾、標準装備のシールドの三重の防御により鉄壁となっている。
キャラ提供はRararaさん
遂にカンゼンダーは本隊を動かし、本格的にマリを追い込もうとしていた。
「なんで、なんでこんなにも!?」
続々と集まってくる連邦軍や同盟軍の部隊に、戦闘中のマリは困惑し始める。これがカンゼンダーの差し金であることは、まだ知らない。
「クソっ…! 俺は、俺は…!?」
その彼女のライジングフリーダムガンダムを守るイモータルジャスティスガンダムを駆るケンジローであるが、先にマリが行った大量殺戮の光景が目に浮かんでか、共に戦い続けるべきなのかと迷い始める。
引き金を引いたのはケンジローではないが、彼女の大量殺戮を間接的に手伝ってしまったことに、罪悪感を覚えてしまった。
そればかりではなく、ウィルティネクス軍の純血派の洗脳や他者の身体に憑依して負担を駆け続けるなどのマリのなりふり構わない行動で、彼女に協力し続けて良いものかと迷いを抱いている。
『なにしてるの!? 後ろ守って言ったでしょ!』
「っ!? 済まない!」
そんなマリと共に戦い続けることに疑念を抱き始めたケンジローのジャスティスの背後より、敵機がビームサーベルで斬りかかってきた。これにケンジローは気付かなかったが、マリは気付いてビームライフルでその敵機を撃ち抜き、自分に背後の敵機の処分を負かせた彼を注意した。
「俺を助けたってことは、信用してるってことか? このお守りをくれたように」
信用していないのなら助けないはずだが、わざわざ隙を晒してまで自分を助けてくれたので、ケンジローはマリが自分を信用していると思い始める。
それならば、いらない物をお守りとして押し付けたこのブレスレットを渡しはしない。助けたのはまだ信用していることだと思い込み、ケンジローはマリを信じて戦い続ける。
「連戦の影響なのか、動きが鈍りつつあるな…! 仕掛けるなら、今だ!」
先遣隊のみならず、本隊と言う長期戦で疲労しているのか、フリーダムとジャスティの動きが鈍り始めていた。
これを見逃さなかったのは、これまで戦闘に参加してこなかったDKのスローターダガーで構成された特殊MS大隊であった。仕留めるチャンスと思い、直ぐにDKは手勢のスローターダガー全機と共に両名に特攻を仕掛けた。
『っ!? 側面よりダガー! 通常のダガーとは違うぞ!』
「黒いダガー!? あいつ等!」
後方を警戒するケンジローより、DKのスローターダガー大隊の接近を知ったマリは、ガンダム・エアリアル改修型で殲滅した中隊が属する部隊だと気付き、即座に迎撃行動に出る。
ファウンのダガーのパイロットたちとは違い、DKの大隊に属するパイロットたちの技量は高く、一機落とすのに何発もビームやレールガンを放たなければならない。
「本隊到着の時間を稼げなかった挙句、何の成果も挙げられないままでは、処分されるのは確実! どうせ死ぬのなら、奴を道連れに!」
DKは失態を犯したことで、自分と部下たちが消されることが分かってか、マリを道連れにしようと全員で特攻を仕掛けたのだ。
自分の命を顧みないスローターダガーの突撃に、多数の敵機との交戦で疲弊している両名は迎撃しきれず、何機かの接近を許してしまう。
「こいつら、特攻を!?」
『一緒に死ね!』
接近してきたスローターダガーをビームサーベルで切り裂いたケンジローのジャスティスであるが、敵機は斬られながらも、自爆しようと張り付いてきた。これをバルカン砲を撃ち込んで撃破すれば、僚機の爆発を目晦ましに次なるスローターダガーが特攻してくる。
これにケンジローは驚くも、生き延びるために対応すべく、バルカン砲を引き続き掃射し、動きを止めてからビームライフルを撃ち込んで撃破した。
「貴様だけは、確実に!」
次々とケンジローに差し向けたスローターダガーは撃破されていくが、中隊規模で突撃するDKは、マリのフリーダムだけは確実に仕留めるべく、残る全てのダガーで特攻を仕掛ける。
ケンジローのジャスティスとは違い、マリのフリーダムは反応は速く、秒単位で次々と撃ち落とされていくが、命を顧みない自殺攻撃の降下は凄まじく、三機のダガーが懐に飛び込むことが出来た。
それでもマリの対応が速く、早くも二機が素早く抜かれたビームサーベルで切り裂かれたが、DKのダガーはエールストライカーを外し、相手に突っ込ませ、目晦ましとしてビームライフルで破壊した。
「もらったぁ!!」
相手がエールストライカーの爆発で動きを止めたところで、DKは乗機の両腰のビームサーベルを抜き、二刀流でマリのフリーダムに斬りかかった。対応が遅れた彼女は、シールドブーメランで防いでしまい、その盾を失う。
「くっ! 無念!!」
確実な一撃が与えられなかったので、DKは無念の気持ちを抱きながら、放たれた反撃の斬撃を受け、乗機のスローターダガーと運命を共にする。
残るダガーもケンジローに殲滅され、無残な残骸を晒し、DKの大隊は壊滅した。
『マスター! そちらに新手が!!』
「こいつら、時間稼ぎのために!」
DKの大隊を壊滅させたマリとケンジローであったが、直ぐに新手が迫っていた。
「こら! 止まるな! 殺されたいか!?」
一方でハイドラガンダムを駆るバギは戦いもせず、自分の視界に見える戦闘から離脱しようとする両軍を監視する督戦していた。逃げようというものなら、即座にハイドラの火器を照準して逃げれば殺すと脅す。
何機かは脅しに屈して戦闘へと戻るが、数機は無謀にもバギのハイドラに立ち向かおうとしていた。
『て、テメェをぶっ殺せば、逃げられるはずだ!』
「ンン~!? き、貴様! この俺に逆らう気か!? 戻らんと、本気で殺すぞ!」
これにバギは火器を向けて戻るように告げるが、逃亡者等は数が多いことで有利だと思い込んでいるのか、ハイドラに挑んできた。
『黙れ! この数で行けば、例えガンダムなど!』
「馬鹿め! このハイドラガンダムは、この世界のガンダムとは違い、一騎当千の兵器なのだ! 貴様らガラクタ風情のマシンなど、物の数では無いわ!!」
『が、ガンダムの顔がモノアイに!?』
数で押せば勝てると思い込んでいた逃亡者等であったが、バギが言った通り、異世界で開発されたハイドラガンダムは一騎当千の戦闘力を持っており、ガンダム顔からジオングのようなモノアイ顔に変え、口部からビーム砲を連射し、次々と逃亡者たちの機動兵器を破壊していく。
そればかりか、ハイドラのパワーは凄まじく、背部の蛇の首の如く長いショルダークローは並の機動兵器を引き裂いてしまう程だ。ビーム砲を内蔵しており、間合いに居ない敵機の対処も可能であった。
『ひ、ひっ!? た、助け…』
「命乞いをするつもりだろうが、敵前逃亡は死罪だ! 見せしめのため、八つ裂きにしてくれるわ! ワハハハッ!!」
最後に残った一機のパイロットは、命乞いを始めようとしたが、ハイドラガンダムに捕まってしまう。ショルダークローのビーム砲はビームサーベルの発生機構を備えているのか、ハイドラは四刀流となっていた。見せしめのため、バギは敵前逃亡を許すことなく、高笑いしながら彼の乗機を四つのビームサーベルで八つ裂きにした。
『我が第178対地MS大隊の標的はオルドリンのガンダムだが、敵地上戦力の掃討に入る! 大隊各機、対地攻撃開始!』
「了解!」
デアハルト・クリーガー中尉が属するケッサリアに乗ったグスタフ・カールの大隊は、標的であるマリのフリーダムを攻撃せず、遺跡を占領した地上に居る英霊たちの機動兵器に攻撃を開始する。対地攻撃に特化した大隊の一斉攻撃により、伊隅ヴァルキリーズの一員である
「高原、朝倉!? 幾ら死なないとはいえ、よくも!」
同じ分隊に属していた
「うわっ!? このMS擬きが!」
築地の不知火に僚機が次々と撃墜されていく中、ケッサリアを撃墜されたデアハルトは直ぐに墜落していくSFSから乗機を離れさせ、降下しながら彼女の不知火にビームライフルを撃ち込む。ろくに狙いをもせずの射撃であるため、躱されて敵機の左手が持つ突撃砲の連射の反撃を受けた。
「えぇい、MS擬きめ!」
数発被弾したが、グスタフ・カールの装甲が何発か耐えてみせた。が、これ以上の被弾は致命傷になるので、デアハルトは即座にシールドで掃射を防御し、頭部バルカン砲やビームライフルで撃ち返す。が、築地は英霊なのか反射神経が常人の倍であり、それすらも避けて不知火で落下中の敵機に体当たりを仕掛けた。
『のわっ!?』
「これで!」
体当たりを受けてバランスを崩したデアハルトのグスタフ・カールに対し、築地は乗機が右手に持つ長刀を振るい、装甲を切り裂いた。だが、装甲が厚い所為か撃破には至らず、直ぐに反撃のビームサーベルによる斬撃が彼女の不知火に炸裂する。
『やってくれたな! こいつ!!』
「そんな…! ここまでだなんて…!」
ビームの刃は容易く不知火を切り裂き、築地を消滅させた。
「操縦不能か! 一機しか落としてないのに!」
築地の長刀による斬撃が致命傷となってか、デアハルトのグスタフ・カールは地上へと墜落し始めていた。戦果が不知火一機であることに悪態を付きつつ、墜落の衝撃に備え、何かに掴まってその時を待つ。彼のグスタフ・カールは同盟軍の方面へと墜落し、黒煙を上げて機能を停止した。
「ここは同盟軍の方か。戦時なら撃ち殺されるか捕虜にされているところだが、今は共闘中だ。助けて連邦に返還してくれるだろう」
掴まっていたおかげで軽傷で済んだデアハルトは墜落した乗機から降り、自分の墜落した場所が同盟軍の領域内であると、マリたちの方へ向かっていく同盟軍機の集団を見て気付く。
戦時下であれば撃ち殺されるか捕虜にされているところだが、今は共闘と言う特別作戦中なので、連邦軍に返還されると思い、向かっていくダナジンの中隊に助けを求めた。そのダナジンの中隊を率いるのは、バンデル大尉であった。
「おーい、助けてくれ!」
『っ!? その声は…!』
偶然かご都合主義か、デアハルトの助けを求める声は、バンデルのダナジンに聞こえた。デアハルトの声に聞き覚えがあったバンデルは、ガルダーゴンの決戦の苦い思い出を思い出す。
当時は中尉だったバンデルは、ガルダーゴンの決戦でダナジンを駆っていたが、戦友を含めてデアハルトが所属するグスタフ・カールの大隊の攻撃を受けた。多数の同僚が戦死し、防衛線が崩壊する中、掃討戦に移行した彼の大隊は、敗走中のバンデルの部隊を執拗に追撃した。
その際にバンデルの戦友は、デアハルトが駆るグスタフ・カールの攻撃を受けて死亡する。バンデルのダナジンも撃墜されたが、彼は無傷で脱出に成功していた。乗機から降りて脱出の最中、バンデルは戦友の仇がデアハルトであると分かった。
『ん、降りようとしていたか? へへへ、遅かったな! ほれ、火を消してやるよ!』
戦友の仇はデアハルトであると分かったが、彼は機体からわざわざ降り、撃墜されたダナジンのコクピット内に向け、小便を掛けると言う死者に対する侮辱的な行動に出た。それを目撃したバンデルは怒りに燃え、持っている拳銃で撃ち殺そうとしたが、デアハルト機の他にグスタフ・カールが多数いるため、戦友の仇を取れず、逃げるしかなかった。
「見付けたぞ…! 戦友の仇…!」
その仇が、いま目の前で生身の状態で居るのだ。
ここでやらねば、チャンスは巡ってこない。
そう思ったバンデルは、デアハルトを踏み殺そうと彼の方へ向かう。
『お、おい…! なんだ!? 助けてくれるんじゃないのか!?』
「助ける…? ガルダーゴンの事、覚えているか?」
『あぁ、俺も居たよ! 激しい戦いだったな…だが、今は共戦中だぜ? 俺を連邦軍の方へ…!?』
「あれを覚えていないとはな…! なら、仇を取らせてもらう!」
『へっ?』
踏み潰すような勢いで着地したダナジンに、デアハルトは抗議の声を上げる。これにバンデルはガルダーゴンの事は覚えているのかと問えば、デアハルトは脱出し損ねた敵のパイロットに小便を掛けると言う蛮行を話さず、激しい戦いだったとだけ答えた。
そればかりか図々しく助けて自軍の方へと送れと頼んでくるので、バンデルの怒りは頂点に達し、デアハルトを踏み潰そうと右足を上げる。これにデアハルトは鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべ、数秒後に自分は踏み殺されると気付き、逃げ出そうとする。
『う、うわっ!? や、止めろ! 共戦中だぞ!!』
「俺の戦友の遺体に向け、小便を掛けた奴が言う事か!」
『ギャァァァッ!?』
逃げながら止めるように告げるデアハルトであったが、怒りに燃えるバンデルは聞かず、彼をダナジンの大きな足で踏み潰した。踏み潰される絶叫が聞こえる中、肉や骨が潰される音を鳴らしながらデアハルトは絶命した。
「ハハハッ! こんな意味不明な作戦に参加した甲斐があったな! 仇を取れるなんてよ!」
デアハルトを踏み潰したバンデルは、このカンゼンダーの私的な目的である作戦に参加した甲斐があったと大喜びする。
「これで前に進める! さぁて、作戦を成功させ、少佐に昇進だ!」
復讐を果たしたバンデルは気分を高揚させ、狂気的な笑みを浮かべていた。
そんな気分が頂点となっているバンデルは、この気分で作戦を成功させ、少佐へと昇進するためにマリたちに向けて攻撃を始めた。目標としたのは、シュラク隊であった。
「フハハハッ! 死ねェーッ!!」
標的にしたシュラク隊に向け、不気味な笑みを浮かべながらバンデルは乗機であるダナジンのダナジンキャノンを放った。直ぐに散会されて回避されてしまうが、バンデルはお構いなしにダナジンのビームバルカンを乱射する。
「この雑魚共がァーッ!!」
これも当たらず、むしろ一方的にビームを撃ち込まれるばかりだ。そればかりか、高度な連携で次々と僚機を撃墜され、押されている。
「ば、馬鹿なァ!? 俺は、俺は復讐を果たしたんだぞ! 何もかも上手く行くはずだろォーッ!?」
次々とビームを撃ち込まれ、アラームが鳴り止まないコクピット内で、何事も上手くいかないことにバンデルは喚き始める。
「ケイト、ペギー、行くよ!」
『あぁ!』
『了解!』
ガンブラスターを駆るマヘリア・メリルに率いられた同型機を駆るケイト・ブッシュやペギー・リーは、彼女と同じく左手にビームサーベルを持ち、内蔵火器を乱射するバンデルのダナジンに向け、同時にビームの刃を突き立てた。
「復讐物はハッピーエンドだろォ! なんで、なんで俺がこんな目に!? 嫌だァーッ!!」
三機のガンブラスターのビームサーベルで串刺しにされたダナジンを駆るバンデルは、爆発していくコクピット内で、復讐を果たした自分が死ぬのはおかしいと喚き散らしながら死ぬことを嫌がり、爆発に呑み込まれて消滅した。
「あの、監督。出番はまだですか?」
「まだだ! いつでも出撃できるように、メットは被っとけ!」
連邦軍のファウン戦線の基地にて、アーサー・ロバーツことスパルタン・アーサーは、戦闘指揮所を見ている上官に自分の出番はまだかと問う。出撃待機を命じられてか、ヘルメットは被っておらず、整った顔立ちである素顔のままであった。
彼はスパルタンⅤを増やすためのプロパガンダ部隊の隊長であるが、本当の隊長は監督と呼ばれている軍の宣伝課に属する初老の中佐だ。長年にわたってプロパガンダに貢献しており、多数の入隊者を増やした。
自分の気に入る瞬間でしか撮らない拘りの強い気難しい職人気質な男で、軍のプロパガンダに長年に渡って貢献しているにも関わらず、その拘りの所為で中佐止まりであった。本人が自分が好む物を撮り続けるため、昇進を敢えて断っていると言う噂もある。
実力は本物なようで、このおかげで軍の宣伝課に居座り続けることが出来るのだ。
アーサーの話に戻そう。
彼は元ブラック企業に扱き使われる派遣社員であったが、両親が早くも亡くなり、妹の学費を稼ぐために破れかぶれでスパルタンⅤに志願した。結果は専用ミニョルアーマーの適性ありと認められ、見事にスパルタン・アーサーとなった。
アーサーの小市民的な性格、言われた事だけをやる忠誠心、顔も声も整った俳優以上の演技力、力に溺れない己を律する心を持ち合わせていたので。上層部にとってこれほど都合の良い人材を逃すわけには行かなかった。欠点とすれば余り戦闘力が無いことだが、ミニョルアーマーの性能で補えばよいので、問題は無かった。
上層部と言うか、宣伝課の言われるがままであるが、アーサーは皆が思い浮かべる英雄的言動が上手いので、その影響もあってスパルタンⅤの志願者はうなぎ登りであり、おかげで損失した分の補填を済ますことが出来た。
当のアーサーも多くの人々を危険な最前線に向かわせている自覚はあるが、妹の学費の援助や軍のプロパガンダとしての高い給料、周りからの称賛される現状から抜け出したくないのが本音だ。これほどの好待遇ならば、前線でいくら人が死のうがどうでも良かったのだ。
アーサーのミニョルアーマーはプロパガンダの為か、大変ヒロイックなデザインをしている。背部ユニットのマントにした以外は、ブラックナイトスコード・カルラに似ていた。
死んでは士気に関わるのか、何があっても生き残れるように高い防御力を誇り、マントにはビーム等を含めるエネルギー攻撃を吸収する機能が含まれている。ビームシールドを発生させる盾もある。アーマーの標準装備のシールドは三重であり、まさに鉄壁であった。
そんな高価な装備を与えられたアーサーは、今か今かと真の部隊長である監督と共に戦況を映し出す映像を見ながら待っていた。だが、当の指揮権を握る監督は自分が拘る瞬間が来ていないのか、出撃しようとしなかった。
「味方の損害は凄いんですが。それに同盟軍もやられてる…!」
「そりゃあ見れば分かる。相手は強いな。お前でも、死んでしまうかもな」
「あんなのと戦えと言うのか…!」
戦況を知らせる映像では、味方が次々と撃破される様子が映し出されている。これを見る限り、マリと英霊たちは圧倒的な戦闘力を持っていると分かる。
当の監督も長年の経験で敵が強いことを理解しており、いくら高性能なミニョルアーマーを身に着けたアーサーでも、死んでしまうかもしれないと口にすれば、彼は出撃に対して恐怖心を抱くようになった。
そんな彼の気持ちを察してか、監督は安心させる言葉を掛ける。
「安心しろ。カンゼンダーかなんか知らないが、んな奴の指図でも、御上が大事なお前さんをあそこへ放り出すことは決して無い。出すとすれば、あの滅多やたらに撃ちまくる空飛ぶガンダムが撃ち落とされた時だ」
出撃するのは、マリのライジングフリーダムガンダムが撃墜され、地上に落ちた時であると笑みを浮かべながら告げた。
「そん時が俺が求める瞬間よ! カッコよく撮ってやるから、お前も俺の期待通りに動けよ? 良い画が撮れれば、ギャラもタップリで、妹さんも秀才が通うような大学に行ける学費が稼げる。しっかりやれ」
「はい、監督!」
監督が求める瞬間は、マリのフリーダムが撃墜され、それをアーサーが撃墜したように見せる物であった。
その瞬間を撮れれば、上層部は大いに喜んで給料もタップリ出て、妹を高い学力を持つ者だけが通える高額な学費で有名な大学に通えるようになると告げると、アーサーはやる気を出し、元気な返事をしてヒロイックなヘルメットを被り、出撃の合図を待った。