スーパーロボット大戦 無限戦争 マリ・ヴァセレート包囲網   作:ダス・ライヒ

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ガオゾンダーMk-Ⅱ
ゾンダリアンのペンチノンが生み出した十四体目のゾンダーであるEI-15、あるいはGGGメカパーツロボ、ガオゾンダーとも呼ばれるゾンダーロボをタニス博士が更に発展させた疑似ゾンダーロボ。本作オリジナルの疑似ゾンダーロボ。
外見は偽ガオガイガーだったEI-15よりも更にガオガイガーに近くなっているが、どちらかと言えば偽ガオファイガーに近い。
実戦向きの体形になったことから戦闘力も高く、膝にドリルがあるのでドリルニーも使える。ちなみに、ゾンダーヘルアンドヘブンは使えない。
タニスがより実戦向きにしたいのか、腕ごとぶん回すゾンダーマグナムが普通に発射するロケットパンチになったり、胸のライオン顔からビームを発射したり、指先が機銃になったりと武装面ではガオガイガーに全く似ていない。そればかりか、ミサイルポッドまで装備している。

尚、バイオネットで短期間ながら運用され、護と幾巳のオオガイゴーと交戦したこともある。
無論、ガオガイガーに近い外見でありながら、機銃やミサイル、ビームを発射する兵器にしたことで二人の怒りを買い、ヘルアンドヘブンでコアを引き抜かれ、抜け殻となったMk-Ⅱは粉々にされた。
オリジナル設定なので、原作の勇者王ガオガイガーや続編である覇界王には登場しない。

マス・ライダー軽装型(ウィルティネクス仕様)
異世界より盗用と言うか、盗んだ技術で作られた強化外骨格。
データを奪ったヴィンデル・マウザー一派のみならず、ヴィンデルの息の掛かった者たちの勢力でも使用されている。
ウィルティネクスでは、軽装型が軍の治安部隊や警察特殊部隊によって運用されている。尚、主に女性陣から不評な極薄インナータイツは、着心地の良い男女兼用黒タイツに変わっている。
カンゼンダーの私兵にもマス・ライダーの強化外骨格が使用されており、主に彼の護衛か偵察に使われている。
外見のベースはスターウォーズのストームトルーパーの一種であるショアトルーパー。カラーリングは森林迷彩。


第21話

 マリがクレアラと対峙する数刻前、異世界転移をする装置がある遺跡を死守している英霊たちは、迫り来る多数の連邦軍相手に奮戦していた。

 

「クソっ、こいつら無駄な抵抗を!」

 

 遺跡の制圧を命じられたスパルタン・レイヴァーことクリス・レイヴァーは、激しい抵抗を見せる英霊たちの行動を無駄な抵抗と言って、早期に制圧しようと増援の歩兵中隊と共に一斉に攻撃を仕掛ける。

 残る自身の小隊のスパルタンⅤ全員を引き連れての攻撃であり、この攻撃によってアレクサンダー・カラスは耐え切れないと判断し、遺跡の屋内へと退避を始める。

 

「後退しろ! 私が殿を務める!」

 

 退避を命じたカラスは自身が殿となり、突撃してくるスパルタンⅤに自分の得物である複合武器のボー・ライフルで射撃を続ける。

 ボー・ライフルの火力はスパルタンⅤが身に着けているスパルタンⅢ用のミニョルアーマーのシールドを一発で剥がしてしまう程で、拳銃弾に対して高い防弾機能があるアーマーすら貫通してしまう程だ。ライフルかライトマシンガンを持って突撃したスパルタンは、次々とカラスの射撃で撃ち殺されていく。

 

「死ねっ!」

 

 だが、カラス一人で数十名のスパルタンⅤを抑えきれるものではない。接近を許し、アーマーの腕力で捻り殺されるところだが、ボー・ライフルは近接戦闘もこなせるように作られており、先端に電流を発生させ、近付いてきたスパルタンを突いた。

 シールドで守られているが、数秒ほど叩き付けることによってブラスターライフルと同じくシールドを一撃で剥がせるので、二振り目でスパルタンを倒すことが出来た。

 

「アァァッ! ブッ!!」

 

「す、スパルタンが…!?」

 

「一時後退する!」

 

 最後の一人の顔面に電撃部分を叩き込めば、ヘルメットを貫通する。直ぐに引き抜けば、後続の歩兵はカラスに恐れをなしてか後退を始めた。

 

「今が退き際か!」

 

 これを退き際のチャンスを捉えたカラスは、即座に他の英霊たちと合流すべく遺跡の奥まで後退する。

 

「カラス!」

 

「ガウリ隊長か! マスターはどこに居る?」

 

 奥まで後退した英霊たちと合流したカラスは、話し掛けてくる忍び衣装のガウリにマスターであるマリの居場所を問う。

 

「フリーダムは撃墜され、何所にいるか見当が付かん! だが、我々が存在していると言う事は、マスターが生きていると言う事だ」

 

「確かにな。外での戦闘がほぼ休止状態だ。こちらには歩兵や戦闘車両が殺到しているが」

 

「なら、ここも持たんということだな。遺跡の奥でこんな物を見付けた」

 

 ガウリはフリーダムが撃墜されたことを伝え、マリの居場所が見当もつかないと答えたが、自分らが存在しているのは、マスターが健在という証だと告げた。

 この知らせにカラスは笑みを浮かべるが、連合軍の歩兵や戦闘車両が遺跡に殺到しているので、それをガウリに伝えれば、彼は時期に制圧されるのは時間の問題と捉える。

 遺跡に何か使える物が無いかと探していたのか、ガウリは見付けた物をカラスに見せる。

 

「G? 美しく輝く宝石だが、この秘宝が何の役に立つのか…」

 

 それはGと言う紋章が輝く美しい宝石であった。

 この美しい輝きに見惚れるカラスであるが、秘宝とされる宝石が何の役に立つのかと疑念を抱いた。

 それはGストーンと呼ばれる勇者王の異名を持つ獅子王凱や防衛組織「GGG」に属する勇者ロボやメカに活用されている六角形の結晶体である。主に複製品である地球製、探せば見付かるであろう赤の星でそれなりに製造されたJジェイル、反対の効果を持つ簡易量産型のゾンダーメタルの三種しかない。

 ガウリが遺跡の奥で見付けたGストーンは、原石とされる結晶体であるGクリスタルから作られた純正の物だ。どうやら、この遺跡は三重連太陽系に関係する物のようだが。

 だが、今の両者はその石が光り輝く獅子の絆で正義に導き、生きようとする意志を持たせる神秘の宝石であると言う事を知らない。

 

「だが、マスターであれば何かわかるかもしれん。俺はこれをマスターに届ける。ヤーパン忍法すり足の術であれば、外の連合軍に気付かれぬかもしれぬ」

 

「それが逆転の奇策になればの話だが…」

 

「これがマスターの脱出(エクソダス)の成功の要因ともなれば、例え一パーセントの確率でも賭ける価値はある!」

 

 カラスの疑念に対し、ガウリはこのGストーンの使い方をマスターであるマリが知っていると思い、これを敵中に居る彼女の下へ届けると言い出す。Gストーンの輝きでその可能性を信じたいカラスであるが、成功の確率は極僅かに等しいと思う。

 それでもガウリはやる気であり、この世界からの脱出(エクソダス)を成功させるべく、Gストーンを落とさぬように懐へと仕舞った。

 

「よし、お前が言うのならここは私たちが持たせよう。マスターに対する探索はそう多くは無いはずだ。行け!」

 

「俺たち英霊(サーヴァント)は死なん! いずれ何処かの戦場(いくさば)で会おうぞ!」

 

 決意を決めた両名はそれぞれの役目を果たすべく、押し寄せる連合軍と交戦を始めた。

 

「退けっ! いま貴様らに構っている暇などない!!」

 

 逆転の奇策であるGストーンをマリに届けるべく、ガウリはヤーパン忍法で目前に殺到する連合軍の歩兵らをクナイや手裏剣で薙ぎ倒しながら強行突破を行う。

 

「あの忍者擬きを行かせるな! ぐっ!?」

 

「お前たちの相手はこの私だ!」

 

「死にぞこないめ! あの男から殺してしまえ!」

 

 味方の歩兵らを次々と始末しながら進むガウリを止めようとするスパルタン・レイヴァーであったが、カラスが一人のスパルタンⅤを倒してそれを妨害する。

 邪魔をされたことに腹を立てるレイヴァーは、他のスパルタンⅤ等と共に得物であるボー・ライフルを持って挑んでくるカラスの排除に向かった。

 

「こ、こいつ! 本当に人間か!?」

 

 無謀にも得物一つで挑んだ相手を甘く見ていたレイヴァーであったが、次々と配下と仲間のスパルタンⅤを仕留めながら迫るカラスに恐怖を覚えていた。

 

「フルクラムのゼブに比べれば、こんな奴らはトルーパー以下だ!」

 

 そんなカラスも、スパルタンⅤよりも恐ろしいラサット族の戦士と何度も交戦しており、近接戦闘に切り替えたボー・ライフルでスパルタンを次々と仕留めていく。

 適合者で専用ミニョルアーマーを身に着けたスパルタンⅤならカラスの方が負けていたが、不適合者のⅢ用アーマーを身に着けただけの集団なので、このように圧倒できるのだ。

 

「畜生が!」

 

「うぉ!?」

 

 打撃でシールドを削られたレイヴァーは体当たりを仕掛け、カラスを転倒させた。それからナイフを素早く抜き、彼の顔面に刃を突き立てるが、躱されて電撃部を当てられる。だが、離れる間近にカラスの脇腹にナイフを突き刺すことに成功する。

 

「ヌワァァァッ!?」

 

 相手が痺れて離れた後、カラスはトドメの一撃を顔面に打ち込んでレイヴァーを殺害する。

 

「くっ、相打ちか…!」

 

 脇腹に刺されたナイフから滴り落ちる自分の血を見たカラスは床に地面を着き、力尽きて消滅してしまった。

 

『遺跡の方の抵抗はまだ続いているのか?』

 

『予想以上に残存戦力の抵抗が激しく…』

 

『残った戦力をそちらへ回せ! これ以上、カンゼンダー氏を苛立たせるな!』

 

『巨人に関しては…?』

 

『ミサイル攻撃で仕留める。付近の部隊を退避させよ!』

 

 レイヴァーと相打ちとなったカラスが倒れて消滅しても、残った英霊たちによる抵抗は続いていた。

 これに苛立つ作戦司令部はカンゼンダーの顔色窺いをしてか、早期に制圧しようとマリの討伐に回している戦力を増援として遺跡の攻撃部隊に送り込んだ。偽ウルトラマンセブンのラクサスの問題もあるが、それに関してはミサイル攻撃で仕留めると決め、付近の部隊に退避を命じる。

 

 

 

『庶民共がァ! 貴族の執事であるこのわしを殺そうとしてんじゃねェ! このクソ共がァーッ!!』

 

 偽ウルトラマンセブンとなったラクサスが暴走し、連合軍と交戦を始めた現在。マリは首狩り殺人鬼であるクレアラに追い詰められていた。

 

「ヒヒヒッ! そこを動くんじゃないよォ! 顔が傷付いちゃうからねェ!」

 

 自分の顔立ちを見て興奮するクレアラは不気味な笑みを見せ、両手に握る大鎌で首を切ろうとしている。動くなというクレアラに、マリは何処を行けば逃走できるかと模索している。

 尚、クレアラはマリが不老不死であることを知らず、この作戦に参加させられていた。無論、カンゼンダーは先のガレンド同様に使い捨てるつもりであったが、彼女は全く知る由も無い。

 

「さぁ、その首を…!」

 

『首になるのは貴様の方だ!』

 

「うぇ!?」

 

 興奮し、大鎌を振るわんとしたクレアラであったが、背後から高速で迫るガウリの声に意表を突かれ、思わず動きを止めてしまった。

 

「隙ありィ! ヤーパン忍法、首切りの術ゥ!!」

 

 凄まじい速度でクレアラに接近したガウリは十八番のヤーパン忍法と言うか、背中に背負った忍者刀を素早く引き抜き、その首を見事な腕前で斬り落とした。

 

「アレェェェッ!? 私が!? 私が、首ィィィッ!?」

 

 余りにも早く首を斬り落とした為に、クレアラは首を胴体から切断されていたにも関わらずまだ生きていた。

 自分が首を斬り落とすはずが、自分の首が斬り落とされたことにクレアラは宙を舞いながら驚愕する。首だけで驚愕しており、実に奇妙で残酷な光景だ。だが、地面に転がり落ちる頃には生命活動を停止し、胴体から斬り落とされた屍の首と成り果てる。

 

「マスター、貴殿に届けたい物がある!」

 

 首を切断されたクレアラの首の根元から鮮血が噴き出す中、ガウリはマスターであるマリに届けようとしていたGストーンを彼女に渡す。

 

「あんた、この宝石を届けるために…?」

 

「ふっ、脱出(エクソダス)には犠牲がつきものだ。例えその犠牲が俺であろうともな」

 

 マスターの下へ辿り着くまでに付近の連合軍の攻撃を受け、ガウリは重傷を負っていた。これにマリはGストーンを受け取ってから治療をしようとするが、マスターの魔力を消耗させたくないガウリは断り、犠牲はつきものだと告げる。

 

「我々英霊にはそれが何なのか分からん。だが、マスターには何か分かるはず…!」

 

「ありがとう。おかげで、この世界からの脱出が出来るかも…」

 

「英霊冥利に尽きるものよ…! 案ずるな、英霊は死なん。ただ次の出番が来るまでの間、消えるだけだ…!」

 

 役目を果たしたガウリは、そのまま力尽きて消滅してしまった。

 

「これ、あの勇者の…!」

 

 ガウリが命を懸けて自分に届けたGストーンを見て、マリは惑星ヘルガーンの戦場で出会ったガオガイガーを駆り、超AIの勇者ロボを率いる勇者王、獅子王凱を思い出す。

 

 彼はどんな状況でも諦めず、勇気を持って先頭に立ち、同じ志の仲間たちであるディバイン・ドゥアーズとと共に、ヴィンデル・マウザー一派が送り込んだ強大な刺客たち、連邦軍の最高戦力であるスパルタンⅤの適合者軍団、同盟軍の最高戦力であるレゾルグ・バルバ率いる「十指」の全戦力、ディスコード・ディフェーザーの強大な戦士たちに挑み、激闘を繰り広げた。

 そんな激戦区に武器商人「ブラックジャック」の命令でディバイン・ドゥアーズに協力するように命じられ、獅子王凱と彼をサポートするGGGの面々と出会ったのだ。

 

「あんたにこれを渡そう」

 

「なにこれ? ポケベル?」

 

「困った時はそいつを押してくれ。直ぐに俺たちGGGが駆け付ける」

 

「まぁ、後で返しておくわ。呼んだ後にね」

 

「どうしようもない時は俺たちに頼ってくれ。なに、俺も結構みんなにいつも助けてもらっている。たまには、助けてもらってもいいじゃないか」

 

 惑星ヘルガーンでの激戦後、マリは凱からGGGポケベルを渡された。

 いらぬ物を渡されたと迷惑がるマリであったが、凱の熱意に押されて思わず受け取ってしまう。何かの役に立つかと思い、返そうと思って今も持っている。

 

「まさか、こうも速く呼ぶ状況になるなんて…」

 

 Gストーンでポケベルを思い出したマリであったが、まだ自身の力で状況を打破できると思い、広い場所へと移動する。

 

「でも、まだ困った状況じゃない…! どうしようもない時は、あんた達に頼るわ。勇者王」

 

 ポケベルにまだどうしようもない状況ではないと話し掛けたマリは、Gストーンと共にポケベルを懐へと仕舞い、魔法陣を魔法で描いて最終手段として温存していたガンダム・エアリアル改修型の召喚を行う。

 

「こんな私の過去を知っても、助けてくれるかどうか疑問だけど」

 

 自分の過去の行いを知ったとしても、凱を含めるGGGの面々が助けてくれるかどうか疑念を抱きつつ、マリは魔法陣から召喚されて空高く舞い上がるエアリアルに続いて飛んだ。

 

 

 

『もう一匹は何処へ逃げた?』

 

 カンゼンダーに従うタニス博士の命を受けたアギダの偵察隊が、逃亡を図ろうとしていたウォルマを捕らえていた。

 異世界の全地形対応索敵トランスポーター、通称AT-RTの上に跨る偵察隊員、それもマス・ライダーらは、付近に居たケンジローも見掛けて追跡を行っていたが、見失ってしまい、探そうと辺りを見渡している。

 

『あいつだけで良いそうだ。放っておけ。時期にくたばるさ』

 

 これにケンジローが思わず息を殺して隠れる中、ウォルマ一人で十分と言われたのか、ウォーカーに跨る三名は戻っていく。

 パイロットが馬に跨った騎兵の如く露出しているが、顎部のレーザー砲や身軽で足も速くて、追われれば危険なので、それが過ぎ去ったのを確認したケンジローは一安心し、何所へ向かったのか過ぎ去るその背中を見ていた。

 

「あの傭兵、一体どうなるんだ…?」

 

 捕まったウォルマの処遇が気になるケンジローであるが、今の彼には助ける手段どころか、自分のことで精一杯であった。

 

「ライフル一丁じゃ、あのウォーカーには無謀過ぎる…済まない…!」

 

 助けようにも、ライフルでAT-RTに挑むのは無謀と判断し、ケンジローは謝りながらその場を離れた。正しい判断であるが、傍から見れば冷酷で卑怯な物だ。見捨てた後ろめたさを覚えながら、ケンジローは周囲を警戒しながら逃げ続ける。

 

『貴様の父親、ホモだそうだな!? 気持ちが悪い!』

 

『気持ち悪い奴! 近寄るんじゃねぇ! 俺を犯そうってんだろ!?』

 

『汚いんだよ! 土民みたいに、クソを食ってるんだろ!?』

 

『なぜその女子(おなご)を犯さん!? 貴様、それでも兜家の男か! 女に同意など求めるな! 力尽くで屈服させてこそ兜の男じゃ!』

 

『貴様の性根を叩き直すため、ファウン戦線へと送る! そこで敵を情け容赦なく殺し、現地の男どもを殺し、女を犯して真の男となれ! 真の男となるまで我が本家の敷居を跨ぐことを許さん!』

 

 ケンジローが目を瞑りながら逃走する最中、ファウンに来るまでの思い出したくも無い嫌な経緯が脳裏に浮かんでくる。

 亡命しようとした実父がゲイであり、それを理由に同性愛者扱いを受け、信用していたはずの戦友から嫌悪され、いじめを受けた。罵られた挙句に暴力を受け、階級の低い者たちからは嫌がらせを受ける始末。それを上司に報告すれば、水を掛けられ、数十人にリンチされたこともある。

 本家から呼び出しを受ければ、ありえないことに、女性を強姦してゲイで無いことを証明しろと命じられた。無論、ケンジローがそれを受け入れられるはずも無く、断れば本家は激怒し、彼を処刑場と揶揄されるこのファウン戦線に送り込んだ。

 

「なんで今さら、こんなことを…!」

 

 思い出したくも無い嫌な記憶を思い出し、ケンジローは自己嫌悪に陥るが、それでもいつかこの戦争だらけの世界から脱出できると信じ、生き残ろうと走り続けた。

 

「くそっ! 離せ! 離しやがれェ!!」

 

「まだ暴れてますが、麻酔弾を使いますか?」

 

「いや、寝ていては素体にならん」

 

 一方でマス・ライダーらに捕まったウォルマは、拘束を解こうと抗う。

 暴れる彼にアギダは麻酔弾を見せながら眠らせるのかと問えば、護衛のマス・ライダーを伴って現れたタニス博士は不要とジェスチャーをしながら答え、彼の顔を掴んで見る。

 

「ふ、俺の見込んだ通り、俺のガオゾンダーMk-Ⅱの素体に相応しい人材だな」

 

「な、何をする気だ!? お前らの言う事など聞かんぞ! いっそのこと殺せ!」

 

「聞かない? 殺す? ふふふ、お前の意見なんて求めちゃいないんだよ…! おい、こいつを立たせろ!」

 

 尚も強気で抵抗を見せるウォルマに、タニス博士は気に入って彼を拘束しているマス・ライダーらに立たせるように命じた。無理やりウォルマが立たされる中、タニスはサイボーグの身体からある物を取り出す。

 それはゾンダーメダル、否、疑似ゾンダーメタルであった。

 先に述べた通り、タニスはヴィンデルや己の目標のためにバイオネットに潜入し、疑似ゾンダーメタルの生成方法を盗むだけに至らず、率先して拉致や人体実験などの悪事を行っていた。だが、総帥であるドクター・タナトスが狂気に陥ると、自身も素体にされることを恐れ、取れる物だけを取って自分の世界へと逃亡した。

 

「な、なんだそれは!? や、止めろ! 離しやがれ!」

 

「無駄に抵抗するな! 喜ぶが良い! お前は俺のガオゾンダーMk-Ⅱの素体となるのだ!」

 

「グワァァァッ!? ぞ、ゾンダー…!」

 

 タニスが何をするのか本能的に理解し、抑え付けられているウォルマが必死に拘束を解こうとするが、マス・ライダーの力は軽装型であっても腕力は強く、軍人の彼でも堅い拘束は解けなかった。そんな嫌がるウォルマにタニスは疑似ゾンダーメタルを無理やり埋め込み、彼をゾンダー人間へと変えてしまった。

 

「よし、奴を素体としてガオゾンダーに搭載しろ」

 

 ゾンダー人間となったウォルマを運び込んでいた「EI-15」よりも更にガオガイガーに近くなったゾンダーロボ「ガオゾンダーMk-Ⅱ」に搭載するように作業員らに命じれば、タニスはその様子を見ながら笑みを浮かべる。

 

「疑似ゾンダーロボや紛い物のウルトラマン、それに連合軍の精鋭たち相手にするには、スコア8にせねばならんな。フフフ、だが、ただでは済まん。そんな状態でEI-15の十倍以上の戦闘力を誇る俺のガオゾンダーMk-Ⅱが確実に勝利する!」

 

 タニスは自分の有能さをカンゼンダーに知らしめるべく、ガンダム・エアリアル改修型を駆るマリに連合軍や偽ウルトラマンセブンの相手をさせ、消耗したところで自分のガオゾンダーで倒そうと目論んでいた。

 

「精々俺のために魔女を疲弊させてくれよ…! 軍の阿保共に老害、クズのひきニート共! そうすれば、俺の立場は盤石だからな! ブハハハッ!!」

 

 マリと共に空高く飛び立つガンダム・エアリアル改修型を見たタニスは敢えて出撃せず、これから死ぬであろう連合軍とラクサスを嘲笑い、自分の思い通りの結果となるように壊滅するのを願った。




もうちょっとだけ書きたいけど、一万字になるのでここで投稿。

次回からエアリアル改修型VS連合軍&カンゼンダー軍団。
ケンジローの過去も明らかに…?

ウォルマをゾンダー人間にして、ガオゾンダーMk-Ⅱの素体にしちゃったけど、大丈夫かな…?
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