スーパーロボット大戦 無限戦争 マリ・ヴァセレート包囲網 作:ダス・ライヒ
異世界の不老不死の女であるマリ・ヴァセレートの手により数百年の眠りから覚めた古の勇者王ガオライガー。
その誕生の経緯は、
機界昇華による三重連太陽系の滅亡を前に、緑の星と赤の星の主張は対立。赤の星の指導者アベルの複製をリーダーとするソール11遊星主の暴走を危惧した緑の星の指導者であるカインが、その対抗手段としてジェネシックガオガイガーを開発する中、その対立の原因となった次元ゲート「ギャレオレア彗星」を先に通り、惑星ファウンがある宇宙へと逃れた難民たちが居た。
滅亡を目前とする三重連太陽系から逃れようとする難民たちを率いるのは、緑の星の指導者カインの師にして前指導者であったアーロイン。カインの妻であるマザーの母であった。即ち、天海護ことラティオの母方の祖母にあたる。
カインに科学と技術のイロハを教えたアーロインもまた優れた科学者であったが、弟子のカイン程ではない。
平和主義者であり、滅亡を前にして対立した両星の指導者たちの事を憂いていた。これが、先行して三重連太陽系から脱出する要因となる。
争いを嫌う者達や同志、脱出を志願した難民を率いてギャレオレア彗星を通り、別の宇宙へと向かうアーロインであったが、最後まで残ることを決めたカインは師を守ろうと思い、ジェネシックガオガイガーの設計図のコピーとデータを渡した。
平和主義者であるアーロインはジェネシックの強過ぎる力を断るが、道の宇宙への脱出は危険を伴うので、守る手段は必要と説くカインの説得に応じ、それを受け取って難民たちと共にギャレオレア彗星を通り、別の宇宙への脱出を成功させた。
尚、ラティオとギャレオンはアーロイン率いる難民たちが逃げた宇宙へと逃亡するはずであったが、ギャレオレア彗星が誤作動を起こしたのか、我らが勇者王の宇宙へと行ってしまう。
だが、この誤作動が無ければ、獅子王凱はサイボーグ・ガイにならず、勇者王ガオガイガーは誕生せず、平和を謳歌していたはずだが、別の問題が発生する。
それは、ラティオが天海夫妻に引き取られることなく、三重連太陽系再建を目論む一派に指導者に仕立てられ、悪い方向へと飛躍すれば、三重連太陽系帝国初代皇帝ラティオ一世となり、高い科学力と軍事力を背景に宇宙制覇に乗り出していたことだろう。
天海夫妻に愛情をこめて育て上げられた優しい少年ではないので、暴君ラティオとして宇宙を恐怖で支配していた可能性が高い。
その後の三重連太陽系の末路は、勇者王ガオガイガーの物語を知る者たちならご存じの通り、宇宙の終焉を待たずにして滅亡した。
だが、希望は残され、機界昇華を企むゾンダーは、カインが託した最後の希望であるガオガイガーが討ち取った。
そして、ソール11遊星主との戦い。ジェネシックガオガイガーの復活。覇界王の誕生と言った戦いが起こるが、ガオライガーの誕生とは関係が無いので、滅亡する宇宙から逃れたアーロイン率いる難民たちの話に戻そう。
ギャレオレア彗星を通り、別宇宙への脱出に成功したアーロイン率いる難民たちであったが、苦難の道のりであった。
出来る限りの三重連太陽系から持ち出した科学力と技術をもってしても、道の宇宙での居住探索は犠牲者の数は増え続けるばかりであった。
多くの犠牲者を出しながらもようやく見つけ出したのが、数百年後に地球人類が入植する惑星ファウンだ。
緑の星と同じ環境を有するこの惑星を安住の地として決めたアーロインは、直ぐに入植を始める。無論、機界昇華を目指すゾンダーを率いるZマスターが自分たちを探していると思い、身を隠すため、大規模な惑星開拓を敢えて行わなかった。
だが、ただ隠れているわけではない。有事に備え、開拓と並行して対抗手段を開発していた。
それこそが、ジェネシックガオガイガーの設計図を基に開発した対ゾンダースーパーメカノイド「ガオライガー」である。
地球でギャレオンからもたらされたデータを元に開発されたガオガイガーと同じく、Gストーンを用いるスーパーメカノイドだ。ガオガイガーとは、腹違いの兄妹とも言える。
コピーのジェネシックガオガイガーの設計図を持っているとはいえ、アーロインはカイン程の実力は無い。そればかりか、ジェネシックは余りにも強力過ぎた。当の開発した本人であるカインが、コアユニットであるギャレオンを対ゾンダー用に改装するほどである。
そこでアーロインは自分なりにジェネシックを敢えて弱体化させ、安定化を果たすことにした。
胴体をギャレオンの兄妹機キャレオンとその手足となる四つのメカ。背中で飛行ユニットとなる飛行型のメカの六つを合わせ、ガオライガーとなるのだ。
地球側は政治と時間の影響で半ば突貫作業の様であったが、アーロインらが逃げた宇宙にはゾンダーが攻め込んでこなかったのか、それなりの年数を重ね、約三機のガオライガーの建造と多数の試験を熟すことが出来た。
この試験のおかげか、ガオライガーをベースとしながらも合体機構を廃した量産機「ガイラー」の開発に成功。ゾンダーに対する防衛体制を万全にすることが出来た。
だが、一向にゾンダーが攻め込んでくることなく、せっかくの万全の防衛体制は隕石や宇宙怪獣以外に機能しなかった。
量産機であるガイラーの存在もあってか、ガオライガーは不要となり、六つのメカに分離されてあの開かずの間と化した格納庫に死蔵された。
試作機ゆえに破棄される予定であったが、もしもの時に備え、ゾンダーの襲来を経験することなく亡くなったアーロインの遺言に従い、子孫たちは保管を決定したのだ。
悪用を防ぐためか、起動に必要なGストーンは、獅子王凱のような勇者にしか見えない細工を施され、後に近くあの開かずの間の格納庫がある遺跡となる場所へと保管されることとなる。
そこから更に時は遡り、対ゾンダーの防衛力は無意味と判断されて軍事力となり、新たな新天地を目指す一派と三重連太陽系再建を目的とする一派に分かれ、惑星ファウンを去った。
最低限の自分たちの領域を守れるくらいの微々たる戦力しか残っておらず、ファウンに残った者たちは、隠れながらも平穏な日々を送っていた。
だが、ここで平穏が崩れる前触れが起こる。
それは、生存権拡大のために地球人類が各地に放った移民船団であった。最初にファウンに降り立ったのは、その先遣隊である宇宙探検隊である。
無用な争いを嫌う残留者たちは隠れていたが、探検隊に発見されてしまう。
探検隊は自分たち人類よりも先にファウンに居住していた三重連太陽系の難民たちの存在に驚くが、彼らの言語が地球で言うラテン語であったのか、どうにか理解し、移住してくるであろう移民船団に彼らの存在を秘匿することを約束する。
残留者たちの住む地域を人が住めない
それから数百年の時が流れ、ファウンにUCNの植民地政府が出来上がり、地球のような大都市が幾つも建設される中、永遠なる闘争を目論むヴィンデル・マウザーの仕業で、ファウンがあるこの宇宙も闘争の宇宙に呑み込まれた。
どうにか隠れ続ける残留者たちであるが、地球の探検隊に発見されたと同様に何百年も隠れ続けることは出来ず、遂に見付かってしまう。
見付けた人物は己の完全と完璧を求め続ける男、否、支配されている哀れな男、フォルコメンハイト・カンゼンダーだ。
彼は三重連太陽系の難民たちの子孫たちがファウンに住んでいると探検隊の古い資料で見付け、その科学力を手中に収めるべく、惑星ファウンのUCN植民地政府を転覆させ、支配下に置いた陰謀論者たちで傀儡政権を作り、彼らが済む危険地帯に武装した陰謀論者たちを引き連れて乗り込んだ。
武力で残留者たちが秘匿している三重連太陽系の科学力を引き渡すように要求するカンゼンダーであるが、悍ましい本性を見抜いた残留者たちの指導者はこれを拒否。銃を突き付けられていたが、決してその首を縦には振らなかった。
三重連太陽系の難民たちの子孫にしてファウンの残留者たちを、カンゼンダーの洗脳で自分たちを陥れる陰の政府と信じ込んでいる陰謀論者たちは、感情を制御できず、衝動のまま指導者を射殺した。
指導者を殺されたことで、残留者たちは祖先から受け継いだ力を開放して激しく抵抗。先祖が超常能力を持つ三重連太陽系の難民たちの子孫なのか、その抵抗は凄まじく、陰謀論者たちの大部分は返り討ちにされた。だが、残留者たちの力量を図るための咬ませ犬であり、弱点を見抜いたカンゼンダーは彼らを虐殺した。
残留者たちは全滅したが、カンゼンダーから三重連太陽系の科学力やGストーン、ガオライガーを守ることが出来た。
三重連太陽系の科学力の入手に失敗したカンゼンダーは、完璧主義に支配されているがゆえに己の失敗を認めず、責任の全てを残った陰謀論者たちに押し付けた。彼らをワザと暴走させ、惑星ファウンを地獄へと変えたのだ。
気紛れでファウンを滅ぼしたのではない。感情的な理由で行ったのだ。
そして、現在に至る…。
「どういうことだ…!? 完璧な私ではなく、不完全なあの女を選ぶと言うのか…!?」
フォルコメンハイト・カンゼンダーは完璧主義者の歪んだ思いで生み出されたがゆえに、自身から見れば不完全で歪な存在であるマリ・ヴァセレートがGストーンに認められ、六つのメカと合体、即ちファイナルフュージョンしてガオライガーとなったことを認められなかった。
「今すぐあのふざけた玩具を叩き壊せ! 早くしろォ!!」
その古の勇者王の姿にカンゼンダーは怒りを覚え、驚愕するアギダの胸倉を掴んで直ちにガオライガーに攻撃を集中しろと怒鳴り付ける。悍ましい形相で告げられたため、アギダは恐怖を覚えて通信機を使って指示を送る。
「全ユニットへ通達! 直ちに目前のガオガイガー擬きを攻撃せよ! 繰り返す! 直ちに攻撃せよ!!」
この指示に応じ、残っているカンゼンダー指揮下の部隊が攻撃したが、ガオガイガーに比べれば小柄であるガオライガーはその身軽さの機動力を以て全てを躱し切る。
「な、なんだあの機動力は!?」
『だが、これほどの集中砲火を躱し切れるはずが!』
『食らえ! サーモリック爆弾!』
殆どの攻撃を避けるガオライガーであるが、ブリアとEIー15を初めとする疑似ゾンダーロボの大群による総攻撃を躱し切ることが出来ず、食らえばひとたまりもない爆弾をブリアの一機が投げ付けた。
「プロテクトシェード!」
躱し切れない爆弾に対し、ガオライガーはガオガイガーのプロテクトシェードと同じ機能を持つ左腕の盾を構え、その爆弾を完全に防ぎ切った。
『五千キログラムサーモバリック爆弾が効かにゃぁぁぁッ!?』
「武器は…? ウィルライフル!」
スーパーロボットでもタダではな済まない爆弾を完全に防がれてしまったことに驚愕するブリアの機長を余所に、ガオライガーは右手からガオガイガー系には一切使われていなかった射撃武装を召喚し、それを無数の敵集団に向けて撃ち込めば、一撃で重装甲のブリアやEIー15、疑似ゾンダーロボは吹き飛ぶ。
「ウィル、ソォォォド!」
ライフルである程度を一掃すれば、次に勇者王ガオガイガーより前の歴代の勇者ロボたちが使っていた剣を右手に出し、凄まじい対空弾幕を躱しながら次々と敵ロボット等を切り裂いていく。その切れ味は歴代の勇者ロボが使ってた剣と同様に抜群であり、一振りするだけで重装甲のブリアが真っ二つになる程だ。
「ウィル、ランサー!」
剣の切れ味は抜群であるが、間合いに入らなければ斬れないので、マリは扱い易さを重視してか、脳内で抱いた槍をイメージし、歴代の勇者ロボたちの使用頻度が少ない右手に槍を召喚した。
マリは普段からバスタードソードを武器として使っているが、ガオライガーのウィルソードはいつもの得物のように振り回せない。扱い易さを重視してか、槍を作成したのだ。
ある程度は離れていても、剣とは違って突きや斬り払いができるので、可動域の邪魔となる盾を分離して地面に落としてから槍を振るい、瞬く間に周囲に居た敵集団を一掃する。
「が、ガオゾンダーMk-Ⅱだ! ガオゾンダーMk-Ⅱをぶつけろ!」
余りのガオライガーの強さに恐れをなしたタニスは、ご自慢のガオゾンダーMk-Ⅱをぶつける。
『ゾンダー…!』
「来たわね!」
タニスの命で攻撃を始めたガオゾンダーMk-Ⅱが放つミサイルを躱し切ったマリのガオライガーは、直ぐにその自慢の機動力と小回りの良さを活かして接近し、槍の間合いに入ろうとするが、巨大な疑似ゾンダーロボはロケットパンチを行う。
あっさりと破壊された疑似ゾンダーロボのEIー15のゾンダーマグナムとは違い、大きさの影響で四倍の威力を誇るが、当たらなければ意味がない。それを躱して胴体を槍で突いたガオライガーであるが、ガオゾンダーMk-Ⅱはタニスご自慢の疑似ゾンダーロボであるのか、ゾンダーバリアで弾いてしまう。
「これが、ゾンダー…?」
『ゾンダーッ…!』
槍が効かなかったがマリは臆さずに直ぐに距離を取る。逃げようとするガオライガーに対し、ガオゾンダーMk-Ⅱは胸部のビーム砲を発射して追撃してくる。更に飛ばした右腕を戻せば、ガオゾンダーは両手の指先の機銃やミサイルポッドを連射して更なる追撃を仕掛けた。
凄まじい弾幕であるが、マリのガオライガーは左腕に遠隔操作で戻したプロテクトシェードの盾で防ぎ切り、ウィルライフルで反撃する。その後、ガオライガーMk-Ⅱの情け容赦ない攻撃は続いた。
「何を手こずっている?」
「えっ? 相手は見た目通り、パワー不足なので時期に倒せるかと…」
「直ぐに倒せ! 貴様が自慢げに語っていた温存しているマークⅡとやらを全て投入しろ!!」
「は、はいィィィッ!!」
ガオライガーはガオゾンダーMk-Ⅱに比べ機動力では勝っているが、火力と防御面ではかなり劣っていた。時期に倒せると言うタニスに対し、苛立っているカンゼンダーは温存している三機のガオゾンダーMk-Ⅱを全て投入しろと怒鳴り付けられたので、慌てて出撃させる。
『ゾンダー…!』
既に素体三体分は確保されており、待機中の機体に搭載されていた。タニスの命で起動したガオゾンダーMk-Ⅱ三機は、同時に背部ユニットのスラスターを吹かせ、格納庫から出撃する。目的地は、同型機と交戦中のマリのガオライガーである。
「このガオガイガー、機動力重視の奴なの!?」
『ゾンダー…!』
機動力を活かし、ガオゾンダーMk-Ⅱを翻弄するガオライガーであるが、開発者であるアーロインの設計思想ゆえに火力が不足し、何所を突いても決定打には至らなかった。相手のガオゾンダーMk-Ⅱも火力と防御、大きさで言えば圧倒的であるが、相手が小回りが利くスーパーロボットなので、全く攻撃は当たらない。
だが、継続能力においては非人道的の疑似ゾンダーロボであるガオゾンダーMk-Ⅱが勝っているので、いずれかガオライガーは敗北するだろう。それを待てないカンゼンダーは、タニスに温存していたガオゾンダーMk-Ⅱ三機を投入を命じる。
これで、ガオライガーの敗北は決した。
『ゾンダァァァッ!!』
「はっ!? あれが四機!?」
背後から同時に膝のドリルニーを食らわせようと接近してくるガオゾンダーMk-Ⅱ三機に対し、ガオライガーを駆るマリは戦慄する。
ここで終わったと思ってしまったマリであるが、彼女の難敵に立ち向かおうとする勇気と助けを求める勇気に応え、三機の勇者王が駆け付ける。
『ブロォウクン、マグナァムッッ!!』
一機のガオゾンダーMk-Ⅱの頭部に炸裂する高速回転する剛腕の拳、その名もブロウクンマグナム。
それを叩き込んだのは知る者なら知るあの勇者王、その名は…。
『良く助けを乞う勇気を出してくれたな! その気持ちに応えるのも、俺たちGGGの役目だ!』
「オォォォッ! ま、まさか…!?」
「あ、あれが…!?」
「そ、そんなはずは…!? この、この大量虐殺者を、大罪人を助けに来たとでもいうのかァ!?」
その名はガオガイガー。
背中には鋼鉄の黒き翼ステルスガオー。両肩には新幹線のライナーガオー。両膝にドリルを付けた黒い両脚ドリルガオー。先ほど飛ばした高速回転する両手の剛腕ブロウクンマグナム。胸の中央の気高き獅子の顔であるガイガー。勇ましい顔を持つスーパーロボットこそが、我らの勇者王ガオガイガーである。
この勇者王の到来を予期しない者たちは驚愕し、完全に予期していなかったカンゼンダーは酷く狼狽えた。
「き、来た…! 本当に来た…! 私なんかの為に…!」
熱意に押されて渡されたGGGポケベルを押すだけで、やって来た勇者王・獅子王凱と半身とも言えるガオガイガーに、マリは来ないかと思っていたが、本当に来たことで感動の余り思わず涙を零した。
「な、なんだ!? 同じのが三機も居るぞ!? 細部は違うが!」
『あんたを助ける気は無かったが、親戚に説得されてな。この
『凱兄ちゃんなら助けると思ってね。僕たち二人の勇者王も来たよ』
『まぁ、あの人なら助けに行くと言うだろうさ』
勇者王ガオガイガーだけではない。後継機であるガオファイガー、勇者王を継ぐ二人の勇者が駆るガオガイゴーも、マリの救援に駆け付けたのだ。
『ブロウクン、ファントム!』
ガオガイガーのブロウクンマグナムに続き、ルネ・カーディフ・獅子王のガオファイガーと天海護と戎道幾巳のガオガイゴーはファントムリングを使ったロケットパンチ、ブロウクンファントムを撃ち込み、残り二機のガオゾンダーMk-Ⅱを吹き飛ばした。
「あ、あれ…ヘルガーンに出て来た…!?」
「ガイア・セイバーズやスパルタンⅤ、同盟軍の十指が総出で敵わなかった化け物共だぞ! か、勝てるわけがねェ!!」
「に、逃げろぉ~!」
三機の勇者王の勇姿に、連邦軍と同盟軍はヘルガーンの戦いで現れたスーパーロボット軍団の武勇伝を思い出し、恐れをなして逃げた。
「あ、あんなのに勝てるわけがねぇ!」
「逃げろ!!」
カンゼンダーの私設軍である生命体の将兵らは三機の勇者王の到来に恐れをなし、軍と同じく逃げ始める。
「か、カンゼンダー様…こ、ここは…?」
「戦え…!」
「ひょっ!?」
「戦えェェェッ! 殺せ! 奴らを皆殺しだ! 勇気などと下らん虚言を狂信するあのカス共を皆殺しにしろォォォッ!!」
「全部出せぇ! 疑似ゾンダーロボも無人機も!!」
三機の勇者王の到来にタニスは戦意を失い、逃げ出そうとしていたが、激昂したカンゼンダーの恐怖に屈し、まだ指揮下にある疑似ゾンダーロボやガオゾンダーMk-Ⅱ四機をぶつける。
「へへへっ、激アツじゃねぇか! あれを歌うっきゃねぇ!」
古の勇者王ガオライガーを含め、四機の勇者王が揃ったことで、灼熱のガイは気分を高揚させ、勇者王たちを称える歌を口ずさみながら戦う。
「見たところ、偽ガオガイガーの発展型の疑似ゾンダーロボか!」
『あの疑似ゾンダーロボ、バイオネットの奴か!』
『あぁ、凱兄ちゃんのガオガイガーを侮辱した偽ガオガイガーだ!』
『見た目は偽ガオファイガーだね!』
有人機や歩兵らが逃げ出す中、疑似ゾンダーロボと無人機はカンゼンダーの命を受けて戦闘を継続していた。
四機のガオゾンダーMk-Ⅱを見た凱は、偽ガオガイガーのEIー15の発展型と即座に理解した。その発展型、未完成ではあるが、交戦経験がある護と幾巳はバイオネットと戦った際に思い出し、ルネは外見がガオファイガー寄りだと口にする。
「だが、勇気を持つ俺とギャレオンのガオガイガーには、そんな兵器を積んだ偽物じゃ勝てないぜ! プロテクトシェェェェド!!」
自分のガオガイガーに向けてミサイルやビーム等で総攻撃してくるガオゾンダーMk-Ⅱ四機に対し、凱はガオガイガーのプロテクトシェードを左手で展開してミサイルを防ぎ切り、ビームを跳ね返した。
疑似ゾンダーロボと言えど、ゾンダーであることには変わりなく、ガオゾンダーMk-Ⅱは即座に損傷部分を再生させ、一機が膝のドリルニーによる攻撃を仕掛けてくる。これにガオガイガーは臆せず、一回り大きい敵ロボットに本物のドリルニーで返す。
「本物の力を思い知れ! ドリルニィィィッ!!」
「ば、馬鹿なァ!? パワーはガオガイガーの十倍以上なんだぞ!?」
勇気を込めた凱のガオガイガーのドリルニーは、殺戮と破壊を目的としたガオゾンダーMk-Ⅱのドリルニーを打ち砕いた。これにタニスが驚愕する中、ガオガイガーは更に追撃の手である強烈なパンチを仕掛け、相手の首を破壊する。
「ゾンダー核!? 気を付けろ! この偽ガオガイガー、ゾンダー核があるぞ!」
首部分を破壊されたガオゾンダーMk-Ⅱは、ゾンダーの再生能力で損傷部分を回復させる。その際に見えたゾンダーコアを見逃さなかった凱は、直ぐに他の二機の搭乗者たちに知らせた。
「確認した! 全く、やってることはゾンダーと変わりないね!」
『こちらも確認したよ! コアを取り出さないと!』
同じドリルニーでガオゾンダーMk-Ⅱにゾンダー核を確認したガオファイガーを駆るルネが報告すれば、護と幾巳も確認したと報告する。
「ゴルディオンハンマーを待っている暇は無い! ヘルアンドヘブンでゾンダー核を取り除き、浄解だ!」
疑似ゾンダーロボであるガオゾンダーMk-Ⅱは、先に述べたと同様にゾンダーと同じく人間をゾンダーメタルを埋め込んでゾンダー人間に変え、ゾンダー核と呼ばれる素体として埋め込んでいる。
これを取り除くことが出来るのは、
攻守一体の技であり、相手の動きを止め、その後は高速で対象に接近し、核を取り除くのだ。核を取り除かれた相手は爆散する。だが、搭乗者に負担を強いる危険な技で、コアを抜き取った後の隙と対象の爆破範囲の影響もあってか、多用は厳禁である。負担なくコアを取り除けるゴルディオンハンマーが開発されて以降、状況によってはあまり使用されていない。
ゴルディオンハンマーを待てない凱がヘルアンドヘブンの使用を決断する中、腹違いの兄妹機であるガオライガーに視線を向ける。
「そのガオガイガー系の合体ロボ、ジェネシックガオガイガーがベースだな? 三重連太陽系の技術で作られたロボなら、ヘルアンドヘブンを使えるはずだ! 手本を見せてやる!!」
凱はガオライガーを一目見るだけで、ジェネシックガオガイガーの流れを組む合体ロボであることに気付いていた。
あのジェネシックを参考にし、三重連太陽系の技術で作られた合体ロボであるなら、受け継がれし最強の必殺技であるヘルアンドヘブンを使えるはずだと思い、目前のガオゾンダーMk-Ⅱに向け、ヘルアンドヘブンを行う。
「ヘルアンドヘブン!」
ヘルアンドヘブンを発動させるため、凱は一度叫んでからボイスコマンドを唱え始める。
「
右腕には攻撃のエネルギーを、左腕には防御のエネルギーを込め、両手を合わせて融合させる。これにより、ガオガイガーのボディ全体が緑色へとなった。確実に成功させるべく、標的のガオゾンダーMk-Ⅱに向けて電磁竜巻を放出して拘束する。
「ウィータ!」
拘束した相手に向け、凱はウィータと言う叫びと共に背中のステルスガオーの推力で対象に突撃し、攻撃と防御を融合させた二つの拳を叩き込んだ。
拘束されているガオゾンダーMk-Ⅱは搭載火器を無茶苦茶に乱射するが、ガオガイガーには全く当たらない。そのガオガイガーはゾンダー核、即ち素体を掴めば、直ぐに抉り出す。
『ゾンダー…!?』
「フン!」
素体を抉り出されたガオゾンダーMk-Ⅱは、内部にヘルアンドヘブンの攻守一体のエネルギーを流し込まれた影響で、ガオガイガーの背後で大爆発を起こした。
「これがヘルアンドヘブンだ! 使う場所も限られ、使い勝手が悪い必殺技だが、これでゾンダー核を抜き取ることが出来る! ジェネシックの元にしているなら、ヘルアンドヘブンが出来るはずだ! 俺がやったことを真似してみろ!」
左腕にゾンダー核を抱えたガオガイガーを駆る凱は、マリが駆るガオライガーに向け、自分が行ったヘルアンドヘブンを参考に実行しろと告げる。
これにマリは自分に迫るガオゾンダーMk-Ⅱに視線を向け、ヘルアンドヘブンを行うガオガイガーと同じポーズを取った。
あれ、勇者王ガオガイガーだっけ?
勇者王といい、クルーゾーといい、ガウリ隊長といい、こうキャラが濃いとね…。
次回もまたヘルアンドヘブンです。