スーパーロボット大戦 無限戦争 マリ・ヴァセレート包囲網   作:ダス・ライヒ

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前回のあらすじ

ヘル・アンド・ヘブン!


二人の凱

 マリの助けを求めるGGGポケベルの発信に応え、GGGの仲間たちと共に救援に現れた勇者王・獅子王凱。

 ガオガイガーで颯爽と駆け付けた凱は、マリが目覚めさせた古の勇者王、ガオライガーがガオガイガーと同じくジェネシックガオガイガーを元にしていると一目で理解し、疑似ゾンダーロボからゾンダー核こと素体を摘出するため、ヘル・アンド・ヘブンを使い、その手本を見せた。

 一連の手本を見ていたマリはその全てを理解し、ヘル・アンド・ヘブンを行おうとするが、射撃兵装であるウィルライフルとウィルランチャーを両手に召喚する。それで何をするか、それは地球製のガオガイガーの系統であるガオファイガーとガオガイゴーに渡すためだ。

 

「援護して!」

 

『えっ? 飛び道具なんて…!』

 

『このガオガイゴーは、射撃兵装は使えないんだぞ!』

 

 援護しろと言われ、思わずウィルランチャーを受け取ってしまったガオガイゴー。だが、護と幾巳は射撃兵装は使えないと言って返そうとするが、ウィルライフルを受け取ったガオファイガーを駆るルネは気に入ったらしく、トリガーガードを潰して無理やりガオライガーより手が大きい乗機に持たせる。

 

「私は気に入ったよ。それに使ってみたかったしね。いらないなら、そいつも貰うよ」

 

『ガオガイガーが、ライフルとランチャーを持つだなんて…』

 

 サイボーグであるが、半分以上が生身であるため、エージェント時代のルネは主に銃火器を使ってバイオネットと戦っていた。

 慣れている銃火器をガオファイガーで使えることを気に入ったルネは、嫌がる護と幾巳のガオガイゴーからランチャーを取り上げ、撃ち易いようにトリガーガードを潰し、両手に装備して戦闘を再開する。

 

「こいつは良い! 生身で戦ってるのと同じ感覚だ!」

 

『が、ガオガイガーじゃなくてガオファイガーが銃と大砲を持って戦ってる…』

 

『ファイティングメカノイドなだけにな。まぁ、射撃兵装のツールがありそうだが…』

 

 超AIの勇者ロボの如く射撃兵装を持って戦うガオファイガーに、ガオガイガーの戦い方ではないと嘆く護。幾巳は戦闘特化型としてガオファイガーが開発されたことを知っていたので、銃火器のツールがあってもおかしくないと呟き、背後から迫る疑似ゾンダーロボに右拳の裏拳を叩き込んだ。

 実際、案としてはあったようだが、凱の戦い方に合わないどころか被害を広げる可能性があることで、却下されたようだ。

 

「ヘル・アンド・ヘブン!」

 

 ガオファイガーが銃火器を持って戦い、ガオガイゴーが従来の格闘戦でその背中を守るように戦う中、獅子王凱のガオガイガーに見習い、マリは必殺技名を叫び、それに合わせてガオライガーはヘル・アンド・ヘブンを構えた。

 その姿、三重連太陽系の技術で作られたこともあってジェネシックガオガイガーを彷彿とさせる。

 

「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ…!」

 

 ヘル・アンド・ヘブンの発動に必要なボイスコマンド、詠唱を行い、右腕には攻撃のエネルギーを、左腕には防御のエネルギーを込め、その二つのエネルギーを融合させるために両手を合わせた。

 

『ゾンダー…!』

 

 こちらに両手を合わせ、最強の必殺技の準備を行うガオライガーに対し、ガオゾンダーMk-Ⅱは搭載火器による一斉射を行う。

 

「ウィータ!」

 

 この一斉射撃と同時にガオライガーはヘル・アンド・ヘブンの発動しており、マリは最後の言葉であるウィータを叫んだ。

 マリが行ったヘル・アンド・ヘブンは、凱が編み出したゾンダー核を摘出する際に行った物ではなく、勇気の度合いによってその威力を上げるビーム状のエネルギー波を放つ本来のヘル・アンド・ヘブン・ウィータであった。

 

「このヘル・アンド・ヘブンは、本来の…!? いけない!」

 

 凱は本来の技を食らった経験か、ガオライガーが行ったのがヘル・アンド・ヘブン・ウィータであることに気付き、止めようとしたが、その威力は意図的に開発者が下げており、ガオゾンダーMk-Ⅱは大破状態となるだけであった。

 

『威力が減っている…!?』

 

『ゾンダー…!?』

 

「ハァァァッ!」

 

 凱が本来の威力より減っていることに驚く中、大破状態で真面に動けず、再生に時間を掛けているガオゾンダーMk-Ⅱに向け、マリのガオライガーはスラスターを吹かせ、攻守一体の突撃を行う。

 

「フン!」

 

 ゾンダー核ごと対象を破壊するのではなく、叩き込んだ拳で核を掴み取れば、そのまま一気に加速を掛け、核を抜き取った本体を引き裂いた。核を引き抜かれ、攻守一体の拳と加速によって上下真っ二つになったガオゾンダーMk-Ⅱは、過ぎ去ったガオライガーの背後で大爆発を起こす。

 

「ちゃんとコアを取っている…!? 加速してゾンダー核を取り出すとは、マーグマグナムに似ているな…!」

 

 そのマリのガオライガーが行ったヘル・アンド・ヘブンに、凱は自身が敵対したゴルディーマーグから超AIのブラックボックスとコアを取り出す際に使用した大技を思い出す。

 

「ほぅ、中々斬新なヘル・アンド・ヘブンじゃないか! 私もやるか! ブロウクンファントム!!」

 

 既に凱が行った技であるが、ルネは知らなかったのか、触発されて彼女もヘル・アンド・ヘブンを行う。

 乗機のガオファイガーにガオライガーから渡されたライフルとランチャーを捨てさせ、迫るガオゾンダーMk-Ⅱに強烈なブロウクンファントムを食らわせて吹き飛ばす。

 

「ヘル・アンド・ヘブン!」

 

 対象であるガオゾンダーMk-Ⅱの動きを電磁竜巻で封じた後、ヘル・アンド・ヘブンの発動に必要な詠唱を行う。

 

「護、ベテランの意地を見せるぞ!」

 

「あぁ! 凱兄ちゃんよりやってるからね!」

 

 こちらを叩き潰さんと迫るガオゾンダーMk-Ⅱを吹き飛ばしたガオガイゴーもヘル・アンド・ヘブンを行うべく、発動に必要な動作を行う。

 

「ユー・ハブ・レフトコントロール!」

 

「アイ・ハブ・レフトコントロール!」

 

『ヘル・アンド・ヘブン!』

 

 その動作を行った後、護のGの力、幾巳のJの力を合わせたヘル・アンド・ヘブンを行う。その瞬間、GとJの力が共鳴した影響か、ガオガイゴーは銀色に輝いていた。機内は強い振動に晒されているが、二人とも慣れており、動じずに目前の標的を捕らえる。

 

『ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ…!』

 

 二人同時に詠唱を行えば、ガオファイガーとガオガイゴーはスラスターを吹かせ、標的に向けて突撃する。

 

「フン!」

 

 最初にガオゾンダーMk-Ⅱに両拳を入れ、ゾンダー核を掴んだのはルネが駆るガオファイガーであった。本来のヘル・アンド・ヘブンではなく、ガオガイガーが最初のゾンダーロボ戦でゾンダー核を引き抜いた凱が編み出したあのヘル・アンド・ヘブンである。

 素早くゾンダー核を引き抜けば、ガオファイガーは核を抱えたまま離れる。数秒後、ゾンダー核を引き抜かれたガオゾンダーMk-Ⅱは大爆発を起こした。

 

『ウィータッ!』

 

 GとJの力を合わせ、全身を銀色に輝かせるガオガイゴーは高速で迫り、ガオゾンダーMk-Ⅱに攻守一体の拳を叩き込む。本来のヘル・アンド・ヘブンであるウィータを唱えているため、破壊してしまう可能性があるが、二人が三重連太陽系出身と凱より長く地球を守ってきた経験で加減はしており、確実にゾンダー核を引き抜いた。

 

「お、俺のガオゾンダーMk-Ⅱが…!?」

 

 ガオライガーにゾンダー核を引き抜かれた挙句、引き裂かれた個体とは違い、ガオガイガーやガオファイガーと同じくガオガイゴーに核を引き抜かれたガオゾンダーMk-Ⅱは大破した。

 自身が丹精を込めて開発したガオガイガーの十倍以上の性能を誇るガオゾンダーMk-Ⅱ全機が、勇者たちが駆るジェネシックの系統であるガオガイガーらに敗北したことにタニスは驚愕して腰を抜かす。

 

「再生する前に、ゾンダー核を浄解する! グリーン戦隊並びブルー戦隊は援護を! 勇者ロボたちもだ!」

 

『了解!』

 

 ゾンダー核を摘出したとはいえ、安心はできない。いくら疑似ゾンダーであっても、その際勢力は本家のゾンダーと同じく例え核の状態でも、時間が経てば再生してガオゾンダーMk-Ⅱに戻る。

 それを理解している凱は、後続でやって来たXウィングやYウィングなどで構成された二個戦隊に浄解の援護を要請する。無論、GGGには超AIを搭載した勇者ロボたちも居るので、彼らにもその支援を要請した。

 

『この地点で野営地を設置している! そこで核の浄解を!』

 

「了解! みんな、あの地点に核を集めろ! そこで浄解する!」

 

 残る疑似ゾンダーロボや無人機が攻撃してくるが、後続のレジスタンス軍の二個戦隊が食い止めているので、凱は指定された野営地に集まるように指示を出し、ガオガイガーたちをそこへ集結させた。

 

「ゾンダー核を奪い返して、パチモンのガオガイガーに再生させようってか? クズ鉄共が! このゴルディーマーグ様がそれを許すかよ!」

 

 宇宙戦闘機集団の攻撃を受けながらも、損害に構わずゾンダー核の奪還を優先する敵無人ロボ集団に対し、マルチロボに分類される勇者ロボ、ゴルディーマーグは宇宙艇から飛び降り、一体を踏み潰した。それからどこから持ってきたのか、両手に持ったレーザーガンを乱射して目前の敵を一掃する。

 

「マーグキャノン!」

 

 レーザーガンを乱射した後、姿勢を低くし、背中のマーグキャノンを撃ち込んで重装甲の無人ロボを破壊した。

 

「とりゃあぁぁぁっ!」

 

 それから得意の徒手による格闘戦を行い、次々と疑似ゾンダーロボや無人機を破壊していく。

 

「隊長たちに近付けさせるか! オラオラオラ!!」

 

 ガオガイガーを支援する竜型ビークルロボ軍団、氷竜、炎竜、風龍、雷龍、光竜、闇竜なども支援のために駆け付けていた。

 

「ゾンダー核は渡さない!」

 

 旧GGGの竜型ビークルロボだけでなく、新生GGGの月龍、日龍、唯一の飛行型である翔竜まで参戦していたのだ。

 これら竜型ビークルロボ軍団は火力を上げるためか、MS用の武装やトランスフォーマーの正義のサイバトロン戦士たちが持つレーザーガンなどで武装しており、迫る敵ロボ集団を迎撃していた。

 

「この先は通しません!」

 

「歪んだ完璧主義者の願望は、絶対に叶えてはならないのさ!」

 

 未だ勝っている物量を活かし、レジスタンス軍やゴルディーマーグ、竜型ビークルロボ軍団がカバーしきれない場所を狙って無人ロボ軍団は突撃を敢行するが、それらを補うようにGGG諜報部に所属する忍者ロボ、ボルフォッグにボルコートが立ち塞がり、クナイで数体を撃破した後、携帯性に優れた連射式のライフルを連射して一掃する。

 

「よし、ここなら集中して浄解できる! ここにゾンダー核を!」

 

 レジスタンス軍と勇者ロボ軍団が敵を食い止めている間に、摘出したゾンダー核を一カ所に集めた。そこから乗機を降りた凱に護、幾巳はゾンダー核を浄解するべく、それらに向けて思念波を浴びせる。

 

『|治療、繊細、切り取り、安全、分解《クーラティオー、テネリタース、セクティオ、サルース、コクトゥーラ》!』

 

 三人同時に浄解の呪文を唱えると、集められたゾンダー核等は少しばかり光り輝いた後、人の姿へと変えた。

 

「おっ、おぉぉぉ…! あ、ありがとう…! ありがとう…!」

 

「あれって…!?」

 

 ゾンダー核から浄解された人々は一様に祈るポーズを取り、涙を流している。

 その中の一人はあのウォルマ・デュレイドであり、タニスにゾンダーメタルを埋め込まれ、ゾンダー人間にされた挙句、ガオゾンダーMk-Ⅱの素体にされていた。

 自分を助けてくれた勇者たちに向け、ウォルマは涙を流しながら感謝の言葉を述べている。このウォルマの姿を見たマリは驚きの声を上げた。

 

「もう弱い者虐めしたり、女性を強姦したり、暴行したり、ネットで誹謗中傷を掻きこ来ましぇん! パイプカットもしましゅッ!! 一生の誓いですからァ!!」

 

「人殺しの兵器は作りません! 人の事も馬鹿にしましぇん! 世の為の人の為、不自由な人たちの助けとなる物を作りますぅ!! 一生掛けて償いますゥ!!」

 

「もうカンゼンダー様の笠を着て威張りません! 弱い者虐めもしません! 他人には誰でも優しく接します!! 一生掛けて償いますゥ!!」

 

 残り三つの素体とされていたのは、マリが憑依していたゲルドバ・デムス、ヒルド・ルートヴェル、バギの三人であった。

 三人とも変貌中の自分の所業を自覚しているが、過去の罪を自覚しているのか、それを恥じてもうしないし、これから一生を掛けて償うことを涙を流しながら誓う。

 

『こいつ等、知ってるか?』

 

「そこのパイプカットするって言ってる奴は、ゲルドバって言うハゲ親父の権力を笠に着て好き放題やってた奴。あとの二人は知らない」

 

『ゾンダーの本来は対ストレス用システムだが、疑似ゾンダーになって、贖罪機能も付いたようだね』

 

 三人とも横暴な人物であったが、ゾンダーコアを埋め込まれ、疑似ゾンダー人間にされて浄解されると、人が変わったように一生を掛けて過去の罪を償うと涙を流しながた訴えている。浄解した三人がこの知らない機能に引くほどだ。

 

「あの怪物ロボの正体は、人間だったのか…?」

 

「俺もゾンダー人間にされて、元に戻されたらあんな風になんのかな?」

 

 この浄解作業の一連を見ていたケンジローは、あの怪物めいたガオゾンダーMk-Ⅱの正体が人間であったことに驚く中、かつては殺戮者であった灼熱のガイこと凱は、ゾンダーにされて人に戻されれば、あんな風に自分の罪を自覚し、一生償うと泣きながら誓うことになると思い込む。

 

「さて、後に残るは…!」

 

「あぁ、あとはフォルコメンハイト・カンゼンダーだけだ!」

 

 だが、戦いは終わらない。

 最後に残っている敵がフォルコメンハイト・カンゼンダーであると理解している灼熱のガイこと少年の凱は表情を変えれば、勇者王の獅子王凱もそれを理解し、その敵を倒すまでこの戦いは負わないと理解する。

 

「あいつを倒さない限り、私と同じ不老不死たちが狙われ続ける…!」

 

 マリもそれを理解した後、直ぐに臨戦態勢を取り、次なるカンゼンダーの攻撃に備えた。

 

 

 

「お、俺のガオゾンダーMk-Ⅱのみならず、疑似ゾンダーロボや無人機も壊滅だとォ…!?」

 

 勇者王・獅子王凱がガオガイガーやガオファイガー、ガオガイゴーを引き連れた直後に形勢が逆転。タニス自慢のガオゾンダーMk-Ⅱはゾンダー核を引き抜かれ、浄解されてしまった。取り返そうとしたが、疑似ゾンダーロボや無人機部隊は壊滅する。

 これを司令室で知ったタニスは非常に狼狽え、フォルコメンハイト・カンゼンダーの方へ視線を向ければ、彼の表情は恐ろしい物となっていた。想定外の出来事の数々に混乱しているのかもしれないが、自分の思い通りにならないことに激怒しているとも捉えられる。

 先ほどまでアギダは、癇癪で殺される恐怖を察してか、司令室から逃げ出し、無線機を取って何処かに連絡を取っている。

 

「俺だ! 同志赤い十月、革命を起こすなら今だ! カンゼンダーは確実にしくじった! 今なら成功率百パーセントだ!」

 

 何者かに通じており、アギダはカンゼンダーがこの作戦で終わると告げ、何かを起こすように催促している。見付かればタダでは済まないと判断してか、逃げ出す将兵たちの一団に加わり、共に逃亡していた。

 

「軍はどうした? なぜ攻撃しない…?」

 

 司令室に視点を戻し、カンゼンダーは連邦軍と同盟軍が降雨げきを始めないことに苛立ち、攻撃しないのかと通信機で問う。

 誰も応答は無かったが、軍がもうカンゼンダーに協力しないと言う事実を突きつけるためか、連邦軍のファルツ装甲軍の一部を率いていたヴィクトール・フーベルトゥス・フォン・ライン・ファルツ准将が返答する。

 

「ファルツ准将か。君の自慢のシュヴァルツリッター隊はどうした? なぜあのフザケタ連中を攻撃しない?」

 

『カンゼンダー先生、軍はもう貴方の要望には応じられません。いや、これからも応じる気も無いでしょう』

 

「どういうことだ? この私は人類が支配者として生み出した存在だぞ? ゆえに私の命令が絶対だ。断ることは許されん」

 

『はぁ、貴方はもうお払い箱と言う事が理解できないようだ』

 

「はぁ?」

 

 攻撃しない訳を問うカンゼンダーに対し、ヴィクトールは応じないどころか、これからも聞く気が無いことを伝える。

 それに眉を顰めるカンゼンダーは、人類が自分を支配者として生み出したと宣い、自分の命令を聞くのは当たり前であり、断ることは許されないと言うが、ヴィクトールは呆れてお払い箱にされていると返答する。

 その返答にカンゼンダーが戸惑う中、ヴィクトールは事実を告げる。

 

『貴方は完璧でないと言う事ですよ。いや、失敗作かな? いい師でしたが、もう貴方から学ぶこともありません。同志ヴィンデル・マウザー氏は、貴方の死がお望みのようで。では、そこで戦死してください』

 

 お前は失敗作。

 そうカンゼンダーに告げたヴィクトールは、ヴィンデル・マウザーがその死を望んでいると答え、通信を切った。

 

「ギニャァァァッ!? た、たしゅけてぇーッ!!」

 

 これを聞いていたタニスは逃げようとしたが、両足をカンゼンダーに破壊され、掴み取られる。喚き散らすタニスは、自分のスライム状の本体を収めている脱出カプセルで脱出を図ろうとするが、カンゼンダーに抑え付けられ、逃げられないようにされる。

 

「ほげェェェッ!? や、止めてェェェッ!!」

 

「どいつもこいつも…! この完全な私が妬ましいのか…!」

 

 サイボーグボディから脱出を図ろうとするカプセルを掴む右手はカンゼンダーの強い怒りを表しており、今にも握り潰そうとしている。

 軍やヴィンデルに見放されたのは、完全なる自分に対する嫉妬だと思い込んでいるカンゼンダーであるが、現場の状況は完全に彼の敗北を示していた。それを認められないカンゼンダーは、禁忌を犯す手段を取った。

 

「全く、どうして生きている奴は役に立たないんだ? 私の望む通りに動かすには、殺す他に無いな…!」

 

「えっ!? エェェェッ!? や、止めてくだちゃい! ちょれだけは!!」

 

「黙れ。生きている貴様は役立たずだ。私の眷属となるため、死ね」

 

「ゴェェェッ!? ヤダァァァッ!!」

 

 カンゼンダーが犯した禁忌とは、殺害した対象の死体を自身の眷属とする死霊術であった。この死霊術は妖邪界の術式を組み込んでおり、戦死者の怨念を使い、カイライとして使役することもできる。

 妖邪界由来の死霊術を受けたタニスは死亡し、その死体と言うかスライム状の本体はカンゼンダーの眷属となり、醜いベトベトな生命体へと変貌する。

 

「私の命令を果たせず、死んだ無能共にも私のカイライとなってもらおう。この私が完璧な存在となるため、死んだ無能な陰謀論者共の共に再び立って戦うのだ」

 

 あれほどの犠牲者を出したにも関わらず、カンゼンダーは未だマリの不老不死を狙っていた。

 自身が神の如き完全な存在となるため、カンゼンダーは戦死者たちをカイライにすべく、空中高く両手を掲げて死霊術を解き放った。

 

『おぉ…!』

 

『恨めし~!』

 

 その術は戦死した両軍の将兵らの遺体を動かしてカイライにしただけでなく、怨念の力で残骸と融合させ、巨大なカイライとなっていた。戦死者のみならず、ファウン事変で死亡した者たちも術の影響を受けてカイライとして蘇っていく。

 

『お、俺のことを、オレの事を馬鹿にしやがってェェェッ!!』

 

 そればかりでなく、ウィルティネクス軍のファウン戦線司令部として使われていた建造途中の巨大戦艦が船首全体を巨大な顔面となり、船体多数に無数の美少女の顔面を浮き上がらせ、恨み筋を吐きながら飛翔していた。

 

『エリートの卑怯者共に薄汚い移民に難民共がァァァッ! この次期ウィルティネクス大統領であるベルドド・デムス様が、皆殺しにしてくれるわァーッ!!』

 

 巨大なカイライとなって蘇った巨大戦艦のみならず、スパルタン・アーサーによって討たれたはずのベルドド・デムスも、RFガウと融合して不気味なカイライとなって復活した。

 

『酒…! 酒ェェェッ!!』

 

『首ィ! 首ィィィッ!!』

 

 ガレンド、クレアラも不気味なカイライとなって復活。

 

『うひゃひゃひゃっ! お前らはワシの獲物じゃァァァッ! どれだけぶっ殺しても、ワシは無罪じゃァァァッ! なぜなら、ワシは高貴な貴族じゃァァァッ!!』

 

 マリが駆るガンダム・エアリアル改修型に踏み潰されたラクサスも、悍ましいカイライとなって復活した。

 

『オォォッ…! 任務、任務ゥ…!』

 

『手柄、オレノ手柄ァ…!』

 

『復讐、復讐だァァァッ!!』

 

 戦死したDK、デアハルト・クリーガー、バンデルもカイライとなって復活し、カンゼンダーの命ずるがままの行動を取る。

 

『あの女、あの女は何処だ…!? 殺してやる、殺してやる…!』

 

 呆気なく落とされたゼファーも、ナイト・ラプターと融合して悍ましいカイライと化している。尚、マイン・ウィクターは肉体が消滅したため、戦死したシンパたちがカイライとなっていた。

 

「やはり、生きている人間よりも死んだ人間の方が使える。その方がこちらの意のままに操れる。陰謀論者やミソジニー共も然りだ」

 

 生きている人間より、死んだ人間の方が使える。

 このカンゼンダーの狂気染みた言葉は、彼の歪んだ完璧主義を表していた。機械を使った方が良いかもしれないが、その機械も役に立たないとあれば、カンゼンダーは生きている人を殺して死んだ人を死霊術で使う事だろう。

 

 

 

「な、なんだこいつ等は!?」

 

「死んでいるのに動いている!?」

 

 このカンゼンダーの狂気の反撃作戦は、マリの救援に駆け付けたGGGやレジスタンス軍などのディバイン・ドゥアーズを驚愕させた。

 何故ならば、戦死者たちの遺体がカイライとなり、自分たちに襲い掛かってきているのだ。驚くのは無理もないだろう。

 

「一体、何がどうなってんだ…!?」

 

「ふぅ、こいつで四度目か? いや、ゾンビは初めてだな」

 

 サムライトルーパーである烈火のケンジローとなったケンジロー・カブトは、初めて経験する異常事態に困惑していたが、ジョンソンは似たような敵と交戦経験があるのか、悠長に葉巻を加え、ライターで火を付けて一服していた。

 

「スネークドラゴンに比べれば、造作も無い。もう一度、殺すまでだ」

 

 マンドーもそれなりの場数を踏んでいるのか、全く動じることなくブラスターピストルの再装填を行う。

 

「カイライ…つっても、ゾンビって奴だな、こりゃあ」

 

「戦死した兵士たちをこんな形で…! 許さない!」

 

 ジョンソンにマンドーは動じず、直ぐに迎撃態勢を取る中、灼熱のガイこと凱は自分が知るカイライよりも、動く死者ことゾンビに近いと表し、勇者王・獅子王凱は戦死した将兵たちを死んでもなお戦わせるカンゼンダーに怒りを覚える。

 

「灼熱のガイ、行けるか!?」

 

「へっ! もう燃料投下されて燃え滾って激アツだぜェ!!」

 

「あぁ、俺も激アツだ! あんな奴に、負けるわけにはいかない! 俺も勇気の炎を燃やすぜ! 行くぞ、ギャレオン!!」

 

 勇者王・獅子王凱は灼熱のガイに準備が出来ているかどうかを問えば、もう一人の、少年の凱は燃え滾って激アツであると答えれば、勇者王の凱も勇気の炎を燃やし、ガオガイガーに搭乗する。

 

「不思議だ…あの二人を見ていると、自然と勇気が湧いてくる…! あれが、勇者と言う奴か…!」

 

 この二人の凱は恐るべき死者の大群と対峙しているにも関わらず、絶望どころか勇気の炎を燃やしていた。

 勇者王・獅子王凱は勇者王の名の如く勇者として勇気の炎を。

 次世代のサムライトルーパーである灼熱のガイこと凱はその灼熱の如く闘志の炎を。

 その二人の背中を見ているだけで、ケンジローは自然と勇気が湧き、恐怖が打ち消されていく感覚を覚える。

 

「あの絶望的な状況にも関わらず…! いや、あんなことをする奴には…!」

 

『負けられないってことだろ? 私もそうさ。あの歪みに歪んだ完璧主義者は、ここで討たないとな!』

 

 圧倒的な絶望的状況にも関わらず、闘志を消さない二人の凱に触発され、マリも死者の遺体を自分の眷属として使役するカンゼンダーに怒りを覚えていた。

 その気持ちを察したルネは負けられないと思い、自分もカンゼンダーに怒りを覚え、確実にここで討つと宣言し、乗機であるガオファイガーを空高く飛翔させる。

 

「あんなことをする奴は!」

 

「絶対に許しちゃいけない!」

 

 次世代の勇者王である護や幾巳も、カンゼンダーの悍ましい所業に怒りを覚え、ガオガイゴーに飛び乗った。

 

「教えてやるぞ、フォルコメンハイト・カンゼンダー! 最後に勝つのが、貴様の歪んだ完璧主義や完全に練られた計算ではなく、勇気ある者だと!!」

 

 かくして、勇者たちとフォルコメンハイト・カンゼンダーとの決戦の火蓋は切って落とされた。




次回で最終回です。

気が付けば、サムライトルーパー第二期が始まっていた…。
始まる前に終わる予定だったのにね…。

次回予告

卑劣な完璧主義者に負けるな、勇者たち!。
手段を問わない相手に決して負けるな、勇者たちよ!
そして勝利し、我々に希望を見せてくれ! 勇者たちよ!

最終回も、ファイナルフュージョン、承認!
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