スーパーロボット大戦 無限戦争 マリ・ヴァセレート包囲網   作:ダス・ライヒ

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レゾルグ・バルバ
惑星同盟全領域軍の特別機動軍の指揮官にして、スーパーエースパイロット集団「十指」の一人。特務大将。
キャラ提供はオリーブドラブさん

シュワルツ・フォン・ブランシュタイン
連邦軍精鋭軍「ガイア・セイバーズ」の指揮官。階級は元帥。

レルフ・ローガン
地球連邦軍の中尉。オリーブドラブさんの作品「烈火のジャブロー」の自分の応募キャラ。
この作品では、アーマード・トルーパー(ボトムズ)乗りとなっている。
搭乗機はスコープドッグ(空挺仕様)

ヒルド・ルードヴェル
CFXストームを開発した科学者。技術少尉。
地球連邦軍の兵器開発局に属する学者の一人であったが、軍事裁判でヘルガーン侵攻作戦の失敗の責任を負わされ、技術少尉として前線送りにされた男。
軍事裁判は上層部の作戦失敗の責任を擦り付けるための物であり、ある意味では被害者。
が、既存の連邦軍正式採用兵器を愚弄する発言をしており、それに誇りを持つ諸兵科から恨まれている。
恩師とストームの配備を喜ぶ戦線司令官の弁護で、技術少尉として前線送りで済んだ。
搭乗機はスコープドッグ


第2話

「諸君、これは非公式会談だ。紙やデータで記録するな、メモも禁止だ。記憶しろ。この会談での情報はすべて頭に叩き込め」

 

 フォルコメンハイト・カンゼンダーは自身が不老不死を手に入れるべく、マリ・ヴァセレート包囲作戦に参加する敵対しているはずの連邦や同盟の一部の参謀や前線指揮官たちを自分の私有地にある施設内の会議室に集めさせた。

 その施設内の会議室に集めた面々の中には、同盟軍全領域軍の特別機動軍指揮官にしてスーパーエースパイロット集団の十指のリーダーであるレゾルグ・バルバ特務大将の姿も見えている。彼だけでなく、ガイア・セイバーズの指揮官であるシュワルツ・フォン・ブランシュタインの姿まであった。

 それもそのはず、この非公式会談は、ヴィンデル・マウザーの息の掛かった者たちしか参加していない。

 非公式会談であるため、外部に情報を漏らさないように一切の記録を残さず、自分の脳だけでこれから話す内容を記録するように厳命する。

 

「そして、外部に口外するな。私の作戦で、戦闘行動を行う実行部隊にもだ」

 

 厳命した後、この非公式会談の事は外部に口外しないようにも告げた。そればかりか、自身の作戦に参加する実行部隊の将兵たちにも伝えるなと言う。

 

「失礼ながらカンゼンダー氏、それでは将兵らが不安がるのでは? 敵が何なのか分からぬままでは、将兵らが従うかどうか」

 

「伝える必要は無い。ただ兵士は命令通りに動けばいいのだ。それでこそ失敗せず、確実にこの作戦は成功する。前線の兵士に、余計な考えは不要だ」

 

「…まるで駒扱いだな」

 

 一人の右目に眼帯を付け、顔面傷だらけで左腕が義手の歴戦錬磨の将軍は、正体を明かさぬまま将兵らに戦わせるのは不安が残るとカンゼンダーに意見したが、完璧主義者の彼は、前線の将兵らを駒としか認識せず、自分の言う通りに動けば必ず成功すると返した。

 これに意見を述べた将軍は不満を覚えるが、カンゼンダーは意に介さず、先のことを下らぬ戯言として流し、本題に入ろうとする。

 

「そんな下らんことを議論するために、この非公式会談を始めたわけではない。では、本題に入るぞ。全員、席に着け」

 

 カンゼンダーが手を叩きながら席に着き、作戦の説明を行うため、参加者らに席に着くように命じた。

 

「さて、諸君らがここへ呼び出されたと言う事は、この私の信頼を得たと言う証だ。信頼に値する諸君らに感謝の気持ちとして、ターゲットの情報を明かそう」

 

 全員が席に着いたのを確認したカンゼンダーは、自身の非公式会談に呼ばれたと言う事は信頼されていると言う証拠であると明かした後、その感謝の気持ちとしてか、自身がターゲットにしているマリ・ヴァセレートに関する情報を明かす。

 

「これが今作戦のターゲットだ。名前はマリ・ヴァセレート。人種はドイツ系と北欧系のハーフヨーロッパ、珍しく染めていない地毛のブロンド、それに青い瞳、身長は173センチ。私が感心するくらい完璧な顔立ちで、まるで彫刻が動いているようだ。だが、顔立ちはどことなく幼い。そこに不完全で気持ち悪さを覚える。そればかりか、生産性のない同性愛者だ。この世界の最初の目撃情報は、ガルダーゴンの戦いからだ」

 

 映像に映し出された何処かで盗撮されたとされるマリの画像に手を翳しながら、カンゼンダーは彼女の情報を参加している者たちに告げる。

 メモも録音も禁止された会談なので、一同は一言も聞き漏らすことなく、カンゼンダーが語る情報を聞き逃さないように集中して聞いていた。

 

「このガルダーゴンの戦いは連邦軍と同盟軍の決戦であり、些細な情報は一切記録されていない。だが、これでこのマリ・ヴァセレートなる女が、不老不死であると言う可能性を得た。その確証を得たのが、マサキ・ウキョウなる愚劣な政治思想の連邦軍元帥が、獰猛なスパルタンⅤの実戦試験を兼ねて侵攻したゲイムランドの戦いである」

 

 マリに目を付けていたのは、あの大決戦であるガルダーゴンの戦いの頃であったが、彼女が不老不死であると言う確証を得るには、情報が不足していた。

 その確証を得たのが、バウムガルテンに敗れ、再びこの世界の、それも羽翼正義(うきょう・まさき)元帥の侵攻を受けていたゲイムランドに送られた際、マリが蘇生している映像を見付けた事であった。

 

「これがその映像だ! このスタール・アームズ社のゲイムランド支社内にて、目標は蘇生した! この映像は加工も無ければフェイクでもない。正真正銘の証拠映像である」

 

 死んでいたはずのマリが、身体を再生させながらスパルタン・ゴウダを圧殺している映像が、何の加工も無ければフェイク映像ではない証拠映像だと強調しながら、次なる証拠映像を見せ、一同に不老不死が実在することを知らしめる。

 

「頭を撃ち抜かれても、目標は再生した! そう、不老不死は実在する!」

 

「単に不死なだけでは? 不死身なのはわかるが、不老である証拠は?」

 

「その点に関しては、調べが付いている。目標が数百年前から姿が変わっていないと言う情報を得た。異世界の出身者であるが、どの世界の出身者か、どういう経緯で不老不死になったかは不明であり、単に似ていると言う事もあるが、更に精査したところ、目標は同一人物であり、不老不死なのは確実だ」

 

 単に不死身なだけなのではと言う疑問の声が上がったが、カンゼンダーはマリについて調べているらしく、数百年前から存在していると言う情報を得ていたことを明かす。似ていると言う線もあるが、それに関しても精査して確実に同一人物であり、マリが不老不死であることは確実だと強調する。

 

「で、どうやって不老不死を奪い取る? 血でも啜るのか?」

 

「その件に関しては、諸君らが気にすることではない。諸君らはただ、この女を全力を尽くして捕らえ、私の前に突き出せば良い。諸君らにやり方は一任するが、毒物と病気、核などは絶対に使うなよ?」

 

 黙って聞いていたレゾルグがどうやって不老不死を奪うのかと問えば、カンゼンダーはそれを明かすことなく、手段は問わずマリを自身の元に突き出せば良いと答え、疑問に答えなかった。が、毒物や病気、核の類は使わないように念を押す。

 

「今言ったことを全て記憶したな? では、非公式会談を終了する。諸君らは直ちに作戦準備に掛かれ」

 

 その後、マリをどのように包囲するかを参加者に伝えたカンゼンダーは、非公式会談を終了を宣言した。それに応じた一同は解散し、マリが居る惑星「ファウン」へと向かっていく。

 

「まさか不老不死が実在するとはな。不老か不死の二択しか見たことが無いが」

 

「同志ヴィンデルは不老だ。不死身では、生きている感覚がせんだと仰っている」

 

 カンゼンダーの私有地を抜けていく中、レゾルグは不老不死が実在することに驚いていた。不老か不死は見たことがあるらしいが、その二つが揃った人物を見たのは初めてのようだ。これに反応してか、シュワルツは同志であるヴィンデルは、不死に興味を示さないことを告げる。

 

「我輩はカンゼンダー氏と同じく、不老不死が欲しいのだがな」

 

「あの完璧主義者を出し抜く気か?」

 

「そのつもりは無い。あの完全主義者を出し抜こうなどと」

 

「そうか。出し抜こうとする者を警戒してか、奪い方を明らかにしなかった。つまり、我々を余り信用していないと言う事だ」

 

「ならば、別の不老不死を探せばよい。異世界には、様々な物があるからな」

 

 レゾルグはカンゼンダーと同じく不老不死になりたがっていたが、シュワルツに出し抜く気かと問われた。そんなつもりは無いとレゾルグが答えれば、カンゼンダーが不老不死の奪い方を明らかにしなかったことで、自分たちを余り信用していないと口にする。それにレゾルグは、別の不老不死を異世界で狙うと答える。

 呼び出された者たちは、誰もがカンゼンダーに敵わないと理解している。あの傍若無人なレゾルグでさえ、自分を遥かに無茶苦茶で、異常な完璧主義者であるカンゼンダーを恐れている。だからこそ、レゾルグは、念願の不老不死を諦めたのだ。

 

 かくして、カンゼンダーに呼び出された者たちは、作戦のために準備を開始した。

 

 

 

「ファウンなんかに派遣されるとは、俺もヤキが回ったもんだぜ」

 

 惑星ファウンの連邦軍勢力圏内にて、目に見えるこれから自分たちが送られる前線惑星を見た一人の連邦軍士官、レルフ・ローガン中尉はヤキが回ったと嘆いていた。

 前回に述べた通り、ファウンは激戦区の最前線に指定されており、数ある激戦区の一つであった。将兵らの間でこのファウンに送られると言う事は、対バグズ戦線と同じく上層部の都合の悪い者や口封じを始末するためだと噂になっている。

 

「お、俺のCFXストームが何がいけないんだ!? 俺の開発したのはモビルスーツ(MS)を凌駕する戦闘マシンなんだぞ! こんなところは俺の居場所じゃない!!」

 

「また始まったぞ。ヒルド・ルードヴェル技術少尉殿の発狂だ」

 

「一時間ごとに喚いてないか? ヘルガーンで恥を晒した兵器の開発者のクセしてよ!」

 

「けっ! 銃殺刑にならなかったくらい、マシだと思うんだな!」

 

「煩い! 俺はスコープドッグを超える傑作機ストームを作った天才だぞ! お前ら消耗品と一緒にするな!!」

 

 この惑星ファウンに配属となった将兵らの多くは、最低野郎(ボトムズ)と表されるアーマード・トルーパー(AT)乗りたちが殆どであった。

 突然の敵襲に備えていつでも出撃できるようにしているのか、レルフを含めて全員がAT用のパイロットスーツである耐圧服を身に着けている。ATはMSやMA、パーソナルトルーパー(PT)とは違って生存性が低いのだ。特に宇宙空間での活動は危険であり、狭いコクピット内には酸素が無いので、耐圧服を着ていなければ宇宙空間には出れない。

 その中でボトムズには似つかわしくない青年、ヒルド・ルードヴェル技術少尉は自分の居場所がここではないと喚き散らしていた。これに周りのボトムズ乗りたちは悪態を付く。

 

 ここは自分の居場所で無いと喚き散らす通り、ヒルドはボトムズでも無ければ兵士でも無かった。CFXストームを開発したと口にした通り、ヒルドはその兵器の開発者である。

 彼が開発したストームは、地獄のような対バグズ戦線では高価なマローダーより優れるコストパフォーマンスとバリエーション、操作性や運用性において高評価を受けたが、人間や知的な異星人との軍隊が敵の戦線では、凄まじい酷評を受けていた。

 ヒルドの「CFXストームシリーズは全ての兵器を凌駕する」と言うこれまでの兵器を愚弄するかのような発言に反発してのことだが、彼は兵器開発者でありながら実戦経験が無く、それらに関してはデータや数値でしか見たことが無い前線の将兵から事務屋と揶揄される人物であった。

 そんな実戦の事をまるで知らない彼のストームの弱点は、惑星ヘルガーンにおける同盟軍傘下のヘルガスト軍との決戦で露呈する。上層部のお墨付きで大量生産されたとのことだが、ヘルガーンの決戦で数々の恥を晒したこともあり、顔に泥を塗られた上層部が怒るのは無理もない。

 そればかりか連邦軍は決戦に敗れてヘルガーンより敗走している。その敗北の責任はヘルガストの指導者であるスカラー・ヴェサリ老を凶弾で射殺した三輪防人元帥の物だが、敗走の混乱の所為か行方不明となっており、責任を擦り付けられる人物と言えば、自分らの顔に泥を塗ったヒルドだけだ。

 

 責任を負いたくない上層部は、直ぐにストームの開発者であるヒルドをヘルガーン侵攻作戦失敗の戦犯と認定し、軍事裁判に掛けた。

 ヘルガーン侵攻作戦の失敗の要因は、正規戦において重大な欠落を抱えたストームの大量投入を唱えた開発者であるヒルドにあるとし、銃殺刑を課そうとした。が、ヒルドの弁護をストームの配備を喜ぶ対バグズ戦線の将軍たちや傑作量産MSジムⅣの開発に携わった彼の恩師が行い、銃殺刑ではなく、技術少尉として前線送りと言う刑までの減刑に成功する。

 前線送りの刑にヒルドは不満を抱いていたが、弁護した恩師は全軍に高い信頼性を持つ優れた工業製品と表されるスコープドッグを弾薬以下のガラクタと表したことに対して怒りを覚えたらしく、その認識を改めさせるため、AT乗りに降格したようだ。

 これをヒルドは、恩師に裏切られたと思っていた。

 

「クソォーッ! 俺が、どうして俺がこんな薄汚い前線に送られ、ガラクタのパイロットをせねばならんのだ!? あのクソジジイが! 生きて戻ったら、ぶっ殺してやる!!」

 

 前線送りで減刑してくれた恩師に対し、ヒルドは恨みつらみを吐く。

 それを見ていたレルフを含める周りのボトムズ乗りたちは、喚き散らすヒルドを白い目で見ながら早く着任地に付かないかと思っていた。

 レルフやヒルドのAT部隊のみならず、任務の内容を知る由もなくカンゼンダーの要請に応じた連邦軍部隊が続々とファウンへと集結していた。連邦軍のみならず、要請に応じた同盟軍部隊も続々とファウンへと集結している。

 自分の包囲や捕獲を目的とした作戦が決行されると知らず、マリは異世界への転移が可能な装置があるとされる遺跡を目指し、戦争で荒れ果てた大地を歩んでいた。




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