スーパーロボット大戦 無限戦争 マリ・ヴァセレート包囲網   作:ダス・ライヒ

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今度こそ、最終回です。


勇気ある者たち 後編

 フォルコメンハイト・カンゼンダーは、カンゼンダー家の復活を図る前当主によって生み出された人造人間である。

 自然出産ではカンゼンダー家の中で最も優れた当主を生み出すは不可能と判断した前当主は、完璧な人間を生み出すべく、卵子の状態で様々な優性遺伝子を埋め込み、不必要な因子を除去する。これだけに飽き足らず、完璧な状態で生み出すべく、母体を使わず、鉄の子宮で生み出された。

 彼を生み出すのに前当主は巨額を投じ、悍ましい数の子供が犠牲となった。まだ残っていたが、その全てが殺処分される。

 

 この世に生を受けたフォルコメンハイト・カンゼンダーは、前当主の思惑通りにその才能を発揮し、幼児期の段階で流暢な言葉を喋り、数々の理論や数式を理解した。

 これでも十分な天才児であるフォルコメンハイトであるが、歪み切った完璧主義者の前当主はそれだけで満足せず、人類が達することが出来ない完璧で完全な人間を生み出そうと野心を抱き、自身が家訓として受けて来たカンゼンダー家流完璧主義教育を行う。

 

 このカンゼンダー家流完璧主義教育は、世間でいえば虐待であり、精神破壊の如き洗脳教育であった。

 躊躇いを捨てるため、愛や優しさを教えず、ただ知識と技術、残虐性や優性論を植え付け、機械のような人間に育て上げる。否、歪んだ人間と言えるだろう。

 フォルコメンハイトは愛や優しさなどを受精した卵子の状態から意図的に除去されており、何の躊躇も無く冷酷非道な手段を平然と実行する悍ましい人の姿をした怪物と化してしまった。

 

 そんな怪物のように育てばどうなるか。

 結果は火を見るよりも明らかであり、悍ましい超人として育ったフォルコメンハイトは前当主を捨て、カンゼンダー家を乗っ取った。

 

 前当主の非人道的教育な所為で自分を完璧で完全な物と自負しているフォルコメンハイトは、自分は失敗をしない完璧な人間だと思い込んでいた。

 その所為で自身の失敗も認められず、己の失敗を他者に擦り付け、自分は絶対に失敗しない人間であると宣う。

 更に前当主が絶対に謝るなと強烈に教え込んだ所為か、それとも罪悪感など抱かないように遺伝子調整がなされているのか、責任感どころか非礼すら欠如しており、謝罪も詫びも、無責任で歪んだ人物であった。

 

 これを強い人間だと思うなら、なんとも哀れな事だろう。

 ただ自分の弱さを必死に覆い隠そうとする弱い人間なのだ。

 弱さは恥ではない。人は誰しも弱い所があるが、フォルコメンハイト・カンゼンダーのように周りに自分を大きく見せる人間は、自分の弱さを周りに明かすことを大変嫌い、強く見せようとするのだ。

 

「私は、私は絶対に失敗しないのだ…! そうだ、この失敗は奴らの、私の命令を実行できない無能な奴らの所為なんだ…!!」

 

 自分の思い通りに事が運ばず、追い込まれたフォルコメンハイト・カンゼンダーは、この状況は自らの失敗でなく、自分の命令を実行できない配下の者達の所為だと宣い始める。

 こうしなければ、自身を完璧で完全な人間と自負するカンゼンダーは己を保てない弱い人間なのだ。

 目前に迫る勇者王の獅子王凱、サムライトルーパー「灼熱のガイ」こと凱、ルネ・カーディフ・獅子王、天海護、械道幾巳、マリ・ヴァセレートたちは己の弱さと恐怖と向き合い、克服した強い人間だ。

 生まれる前から恥や責任、罪悪感を取り除かれ、己を完璧で完全な人間だと思い込まされているカンゼンダーには出来ない事であり、己の弱さと恐怖を克服した者たちと対峙することで、彼は初めて恐怖を覚え、震え始めていた。

 

「(な、なんだこの感覚は…!? この私が、この完璧で完全なる私が緊張している!? 汗をかいている! 震えている! 狼狽えている! こ、こんな!? 恐怖という物を、この私が、この私が感じていると言うのか!?)」

 

 初めて味わう恐怖という感情にカンゼンダーは狼狽え、震えて冷や汗をかいて激しく緊張して動揺していた。

 完全に優位に立っているのは、独裁者の怨念と巨大戦艦が融合した巨大カイライを有するカンゼンダーであるが、勇気を胸に迫る勇者たちは全く怖気ることなく、勇気と勝利を信じて向かっている。わずかに緊張はしているが、同じ志を持つ仲間たちが居る事なのか、カンゼンダーとは違って震えは収まってきている。

 

「か、勝のは私だ! この私は絶対に失敗せず、負けもしない! 成功し、勝利し続ける完全な人間(パーフェクトヒューマン)だ! 貴様ら勇気を狂信する能無し共に、負けるはずがない!!」

 

「そう思うことで、強がっているんだな。だが、完璧な物など何処にも居やしない! 現にお前は震えている! 怯えていると言う証拠だ!!」

 

「う、煩い! 煩いぞォッ!! 私は完璧で完全な存在だ! 貴様ら如きに、貴様ら勇気を狂信しなければ何もできん奴らなどに、絶対に、絶対に負けんのだァァァッ!!」

 

『オォォォッ! 俺を、俺を妨害する政府の犬めェッ! 死ねェェェッ!!』

 

 カンゼンダーは恐怖を打ち消そうと躍起になり、己が失敗もしないで負けもせず、成功と勝利し続ける完全な人間だ主張し、目前の勇者たちに向けて勇気を狂信する能無しと罵倒して負けないと宣う。

 だが、ガオガイガーを駆る勇者王の獅子王凱はその弱さを見抜き、完璧なものなど何処にも存在しないと説き、現に恐怖して震えて怯えていると指摘した。

 それを見抜かれたことでカンゼンダーは恐怖を怒りで打ち消そうと激昂し、怒りに身を任せ、巨大カイライの怨念と共に勇者たちを攻撃する。弾幕の如く凄まじい攻撃であるが、勇者たちは怯まず、乗機の防御手段でこれを防いだ。

 

『プロテクトシェェェドォ!!』

 

 この特殊な防御手段は、ビームの類であれば跳ね返すことが出来る。だが、実弾や着弾して爆発する類は跳ね返せない。

 

「フハハハッ! お前たちは私には勝てん! 絶対に、絶対に勝つことは出来んのだァッ!!」

 

 ビームの類が跳ね返されたことで無意味であるが、直ぐに実弾攻撃に切り替え、弾幕で勇者たちの動きを封じる。巨大カイライの弾幕攻撃で全く身動きが取れないことに、カンゼンダーは優越感を覚えて下劣な嗤う。その姿は、知性を持つ人間ではなく、歪んだ人間そのものであった。

 

「クソっ、隊長たちが苦戦している! ん、ゾルダートJとジェイアークはなんで遺跡を守ってんだ!? なんで隊長たちを援護しねぇんだ!?」

 

 全長三千メートルにも及ぶ龍の如く巨大カイライの弾幕に苦戦する勇者たちを見ていたゴルディーマーグは、何もできないことに歯痒さを覚えていた。そんな矢先、ゾルダートJがフュージョンしたジェイダーが、分離したジェイキャリアーと共に遺跡を守るように押し寄せるカイライを迎え撃っていた。

 

「何を守ってるか知らんが、文句を言ってやる! 無論、周りのゾンビ共を一掃してからな! システムチェンジ!」

 

 これに怒ったゴルディーマーグは戦車形態へと変形し、背中のキャノン砲を撃ってゾルダートJたちを襲うカイライらを一掃する。

 

『なんだ、援護は不要だぞ?』

 

「システムチェンジ! どうして勇者たちを助けねぇんだ!? お前の反中間子砲は、このゾンビ共を消し炭にするしか使い道がねぇのか!?」

 

『ゴルディーマーグ、この遺跡には我々三重連太陽系の兵器や装備類がある! これをカイライと言う妖邪と同化されてしまえば、我々は不利に立たされる!』

 

「な、なんだって!? ゾンビ共が三重連太陽系の兵器と融合するだァ!? そいつは一大事だな! なら、俺様も手伝うぜ!」

 

 突然やって来たゴルディーマーグに援護はいらないと言うゾルダートJに対し、彼は文句を言う。これにジェイアークのメインコンピューターであるトロモ0117が遺跡を守る訳を語ると、ゴルディーマーグは納得して落ちている機動兵器用の武装を拾い上げ、共に迎撃を行う。

 トロモ0117の言う通り、ガオライガーのコアユニットであるキャレオンとガオーマシンが出て来た格納庫は、三重連太陽系の兵器や装備で溢れていた。悪用されないように、この星に密かに入植した三重連太陽系の難民の子孫である残留者たちが厳重に保管していたのだ。

 

「よ~し、ある程度は一掃したな! 俺はこの宝物庫に言って、勝利の鍵になりそうな物を探してくる! お前はキングジェイダーになって、派手に暴れてくれや!」

 

『フン、良いだろう! ここを抑える代わりに、私の分も所望するぞ!』

 

「俺様のゴルディオンハンマーは使わせねぇからな!」

 

 勝利の鍵があることを信じ、ゴルディーマーグはJたちにカイライらを任せて保管庫の中へと入って行った。その際、Jは自分でも使える物を持って来いと言えば、ゴルディーマーグは冗談を言いながら格納庫の奥へと消えた。

 

「ならば、奴の言う通り、キングジェイダーとなるか。メガフュージョンッ!」

 

 ゴルディーマーグの指名通り、Jはジェイダーとジェイキャリアーと合体し始める。

 

「キング、ジェイッ! ダァァァァッ!!」

 

 ジェイダーとジェイキャリアーが合体すれば、全高百一メートルはある巨大スーパーロボット、キングジェイダーへと姿を変えた。

 

「このキングジェイダーは、ややオーバーキルとも言えるが、手加減はせん! 十連メーザー砲、発射ァ!!」

 

 キングジェイダーではやり過ぎだと思うJであるが、カイライ相手には手加減は不要と判断し、両手のレーザー砲を発射して群がるカイライを一掃する。

 

「反中間子砲、ファイヤー!」

 

 群れを成して突撃してくる無数の巨大カイライの大群に対し、キングジェイダーは反中間子砲全門を一斉に発射した。その一斉射を受けた巨大カイライの大群は、一瞬にして消滅する。

 

「フッ、呆気ない物だな。さて、次も備えて待機するか。ゴルディーマーグの奴はまだか?」

 

 キングジェイダーの火力は恐ろしい物であった。瞬く間に、大小を含めるカイライを一掃してしまったのだ。この一斉射をカイライは恐れないので、Jはゴルディーマーグの到着を待った。

 

「おーい、見付けたぜ! 勝利の鍵ィ!!」

 

「なんだその大剣は? 見たところ、あのガオライガーとやらの装備と思えるが?」

 

「キングジェイダーからすれば、ナイフになっちまうだろうがな! それよりこいつを隊長たちのところに届けねぇとな!」

 

「よし、なれば人を寄こしてこのキングジェイダーに詰め込めるだけ詰め込め! 俺が獅子王凱やアルマに、ガオガイガーたちに届ける!」

 

 その後、ゴルディーマーグが勝利の鍵を見付けて報告すれば、Jは大剣が何かと問う。これにゴルディーマーグはキングジェイダーではナイフにしかならないと答え、凱たちに届けなければならないと言う。勝利の鍵と分かれば、出来るだけ持ち込んで届けるとJは出来るだけ詰め込めとゴルディーマーグに告げ、キングジェイダーで届けると告げる。

 

「火炎剣!」

 

「よし、プラズマホォォォルドォ!!」

 

 弾幕で拘束されているガオガイガーらであるが、灼熱のガイが必殺技でどうにか弾幕を一時的に止める。これに獅子王凱は、ガオガイガーの左腕の防御エネルギーを攻撃のエネルギーに変え、巨大カイライを一時的に動きを止める。

 

「今だ!」

 

 このガオガイガーを駆る凱の指示に、一同は散会する。尚、灼熱のガイは乗ったままだ。

 

「このままじゃ埒が明かねぇぞ! なんか、スゲェ必殺技とかねぇのか!?」

 

「俺たちは基本的にツールや勇者ロボの支援で火力を補っている! それに相手が大き過ぎてヘル・アンド・ヘブンが効かない! 支援が来るまで、持ち堪えるしかない!」

 

「そうか!」

 

 灼熱のガイは埒が明かないと思い、巨大カイライに有効打を与えられる強力な必殺技が無いのかと問えば、凱はツールや超AIを搭載した勇者ロボによる支援で火力を補っていると答える。

 ガオガイガー系統は原初にして兵器であったジェネシックガオガイガーを除き、対ゾンダー戦と人命救助、周囲への被害の軽減を目的として開発されたスーパーロボットだ。ヘル・アンド・ヘブンなどの必殺技を有しているが、本来の物を除き、相手が大き過ぎるため、余り有効打にならない。ゴルディオンハンマーと言う強力なツールがあれば良いが、カンゼンダーがその隙を見逃すはずがない。

 

「ランチャーも効かないなんて!」

 

 様々な状況に対応できるマリのガオライガーでさえ、相手の質量が大き過ぎて有効打を与えられずにいる。ガオライガーも、開発者の意向でパワーを抑えられているのだ。

 凱の説明に灼熱のガイが後継機であるガオファイガーやガオガイゴーも有効打を与えられずにいるのを見て納得する中、カイライの掃討をある程度終えてか、XウィングやYウィングの編隊がカンゼンダーの巨大カイライを攻撃しようとしていた。

 

「各中隊、勇者王たちを援護するぞ!」

 

 勇者たちがカンゼンダーの注意を引き付けている間に、高い破壊力を持つ自分たちの火力で巨大カイライを撃破しようとしたのだろう。更なる決定打を取るためか、対艦レーザー砲を有するBウィングの編隊も居た。

 

「止せ! そいつの弾幕は異常だ!!」

 

 巨大カイライの背後から攻撃を仕掛けるレジスタンス軍の攻撃部隊に気付いた凱は、相手が恐ろしい弾幕を持っていることを知り、止めようとするが間に合わなかった。

 

「奴らを囮に背後からの攻撃か! 馬鹿め! この私が気付かないとでも思ったか!?」

 

 攻撃部隊に気付いたカンゼンダーは、直ぐに迎撃手段を講じる。

 それは、巨大カイライに呑み込まれたファウンの独裁者が周りに固めていた美少女型アンドロイドの大群であった。カイライに呑み込まれているため、その外見は空想上の生き物であるハーピィーや悪魔と言って良い。

 

「な、なんだこいつ等は!? ウワァァァッ!!」

 

 前衛を務める機動力に優れるAウィングの編隊は、襲い掛かる美少女型アンドロイド、否、カイライの集団に驚き、即座に迎撃行動に出るも、並外れた機動力により虐殺される。

 

「彼らが危ない!」

 

『なんだいありゃ!? まるで虐殺じゃないか!』

 

『僕たちで止めるぞ!』

 

 Aウィング編隊を虐殺した美少女型カイライは続けざまに攻撃部隊に襲い掛かり、虐殺を行う。これに苛立ってか、ルネのガオファイガーと護と幾巳のガオガイゴーが攻撃部隊の救出へ向かう。

 

「フハハハッ! 何が勇気だ! 勇気など、圧倒的な戦術や戦略の前に、何の意味も無いのだ!!」

 

 全く自分に打開策も取れない勇者たちに対し、巨大カイライに乗るカンゼンダーは勇気を嘲笑う。

 

「まだだ! 逆転できるまで、俺たちは諦めない!」

 

「フン、蛮勇を勇気と言うか! この完璧な私に、貴様たちが勝てるわけがないのだ!」

 

 勇者たちは諦めず、守るべきものを守り、戦い続ける。

 これを尚も嗤い続けるカンゼンダーであったが、戦局は諦めずに戦い続ける勇者たちに傾いた。

 

『待たせたな! 凱、それに勇者たちよ!』

 

「なんだ、虫けらがまた増えたか? 下のカイライ共め、せっかくこの私が生き返らせたと言うのに。やはり使えん奴は死んでも使えんな!」

 

 その要因とは、キングジェイダーを初めとする勇者たちの援軍である。

 GGGの中で最大火力を誇るキングジェイダーが勇者たちの絵軍として駆け付けたことで、カンゼンダーは地上に居るカイライの殆どが一掃されたと悟り、苛立ちを覚える。

 

「隊長! 良い物を見付けたぜ! 早速、大河長官にゴルディオンハンマーじゃなく、ゴルディオンソードの使用申請だ!!」

 

「よっしゃぁ!!」

 

 飛翔するキングジェイダーに張り付いているゴルディーマーグは、ガオガイガー系用の大剣を抱えながら凱に知らせる。それを知った凱は、さっそく司令部に居る大河幸太郎長官にゴルディオンハンマーの使用申請を要請するのであった。

 

「お姉ちゃん、これを!」

 

「これは、ゴルディオンハンマー…? いや、騎兵用のランスか?」

 

 ゴルディーマーグが抱えている大剣だけではない。アーキテンス級軽クルーザーの甲板に立つ天竜神より渡された騎兵用のランスを見て、ガオファイガーを駆るルネは何かの武器と思う。

 

「だが、中々の鋭さだ! こいつで、貫いてやる!」

 

 騎兵用のランスであるが、無いよりはましだと思い、ルネはガオファイガーに握らせ、自分の身体に内蔵されているGストーンを覚醒させる。

 

『オォォォッ! 殺すゥゥゥッ!!』

 

 そんなルネのガオファイガーに、巨大カイライの分離した一部分が雄叫びを上げながら襲い掛かる。これにルネはGストーンの力を込めて乗機であるガオファイガーを黄金に輝かせ、同じく輝かせたランスを向けて突貫する。

 

「ゴルディオン、ランスゥーッ!!」

 

 黄金に輝くランスをゴルディオンランスと名付け、ルネは巨大カイライの一部に突貫する。攻撃は来るが、その全てを避け、黄金に輝くランスを突き立てた。

 

「光に、なりなッ!!」

 

『ゴワァァァッ!?』

 

 その叫びと共に突き出された黄金のランスは巨大カイライの一部を貫き、ルネの叫んだ言葉通りに光となった。

 威力はゴルディマーグが変形したマーグハンドとハンマーコネクトを装着したゴルディオンハンマーに大きく劣るも、目前の敵を光に変えるには十分だ。過剰で危険とも言える威力を減らした分、暴走制御装置であるゴルディオンモーターはいらず、ランスと言う鋭い先端になったことで弱点である精密攻撃が可能となり、使い勝手は良い。だが、威力不足と強度不足が弱点と化しているが。

 

「ゴルディオンハンマー、発動!」

 

『待て! ハンマーじゃねぇ! ソードだ!!』

 

「ん? ゴホン、では改めて…」

 

 司令室に居る大河幸太郎はいつものように要請に応じ、ゴルディオンハンマーの使用許可を宣言しようとした。だが、ハンマーではないとゴルディーマーグに言われ、咳払いして宣言し直す。

 

「ゴルディオンソォォォド! 発動ッ! 承ォォォ認ッッッ!!」

 

「了解! ゴルディオンソード、セーフティーデバイス、リリーヴッ!!」

 

 宣言し直した大河であるが、承認となるマスターキーはそのままだった。この承認に応じた卯都木命は、懐からキーカードを取り出して専用装置に差し込んで使用する。

 

「それ! システムチェンジ!」

 

 使用許可が降りれば、ゴルディーマーグは大剣を空高く投げてから変形を行い、戦車ではなく大きな右腕と金槌に分離した。

 

「ハンマー、コネクト!」

 

 マーグハンドとなる右腕はガオガイガーの右腕に装着される。ブロウクンマグナム機能を持つ右腕は、ステルスガオーの主翼に戻っていた。

 

「ゴルディオン、ソォォォドッ!!」

 

 いつもならゴルディオンハンマーが握られているところだが、代わりにゴルディーマーグが投げた大剣が握られていた。

 

「護に幾巳! 俺を使え! 威力は大きく下がるが、マーグハンドが無くとも暴走はしねぇぞ!」

 

 本来は握られるはずであった本体の超AIがあるゴルディオンハンマーは、護と幾巳のガオガイゴーに握られていた。

 マーグハンドとのセットで運用せねば、大剣危険なゴルディオンハンマーであるが、威力を大幅に下げて暴走状態を抑える事で、ガオガイゴーでも専用のツール無しで扱えるようにしているのだ。

 

「これ以上、やらせるか! 死ねぃ!!」

 

『死ねっ! 死ねェェェッ!!』

 

「っ! やらせない!」

 

「行かせる物か!」

 

「「シルバリオン、ハンマー!!」」

 

 これを黙ってみているカンゼンダーではなく、次なる刺客として巨大カイライの一部をゴルディオンソードを持ったガオガイガーに送り込むも、ゴルディオンハンマーを持ったガオガイゴーに阻まれた。

 ゴルディオンハンマーを専用ツール無しで持つガオガイゴーを駆る護と幾巳は、GとJの力を共鳴させ、ヘル・アンド・ヘブンと同じように乗機を銀色の輝かせる。ゴルディオンハンマーにもその力を伝わり、銀色に輝かせた。

 

「「光に、なれぇぇぇっ!!」」

 

 叫びながらそのままゴルディオンハンマー、ではなくシルバリオンハンマーを向かってくる巨大カイライの一部に叩き込めば、対象は光へと変わった。

 

「おのれ…! おのれ、おのれ、オノレェェェッ!! 無駄に、無駄に抵抗するなァァァッ!!」

 

 繰り出した攻撃が全て打ち砕かれたことに、カンゼンダーは更なる恐怖を感じるが、感情の怒りに任せて恐怖心を打ち消し、無茶苦茶な攻撃を行う。

 

「無駄に抵抗しているのは、貴様の方だ! ジェイクォォォスッ!!」

 

 ゴルディオンソードを持って突撃するガオガイガーを援護すべく、ゾルダートJが駆るキングジェイダーは右手首に装備された錨型の武器にJパワーを纏わせて射出した。射出された錨型の武器は火の鳥となり、巨大カイライに向けて飛んでいく。

 

「やらせはしねぇ! 心頭滅却!!」

 

 ゾルダートJが駆るキングジェイダーのジェイクォースに続き、同じ炎にして炎の使者である灼熱のガイは奥義である心頭滅却を使った。

 キングジェイダーの火の鳥と灼熱の奥義は合わされば、巨大な火の鳥となり、巨大カイライに命中する。無論、その威力は絶大であり、巨大カイライは大炎上する。

 

『ギニャァァァッ!? 熱い、熱いよォォォッ!!』

 

「馬鹿な!? こんなことが、こんなことがある物かァーッ!?」

 

 巨大カイライが灼熱の炎に焼かれて悶え苦しむ中、カンゼンダーはこの期に及んで自身の敗北を認めきれずにいた。

 

「フォルコメンハイト・カンゼンダーよ、光になれぇぇぇーっ!!」

 

 そんなカンゼンダーに完全な敗北を与えるべく、Gストーンの力で黄金に輝くガオガイガーが、凱の叫びと共にマーグハンドに握られた大剣を振るう。その刀身は凱の勇気の強さに応じ、ガオガイガーを上回り、キングジェイダーの全高並みに伸びていた。

 例えるならば、惑星自体を光に変えてしまう程の過剰な威力であるゴルディオンクラッシャーだろう。

 

「ウワァァァッ!?」

 

 凱の叫びと共に振るわれた余りにも巨大で長すぎる刀身は、巨大カイライを切り裂いて光に変えた。だが、余りにも威力が大き過ぎてか、カンゼンダーは巨大カイライから吹き飛ばされた。

 

「フハハハッ! そうか! そういう事だったのか!! 実に簡単なことだ! この世に完全で完璧なものなど存在しないのだッ!!」

 

 吹き飛ばされたカンゼンダーは自身の敗北をようやく認め、ここに来てようやく何処にも完全や完璧なものが存在しないことを理解した。

 

「ならば、この世界は何の意味など…」

 

「これ以上は言わせない! ゴルディオン、アロォォォッ!!」

 

 完全や完璧なものが何処にも存在しないことを理解したカンゼンダーは落ちて死ぬ前に、この世界が全く何の意味も無いと口にしようとしたが、マリには聞こえていたのか、それを言わせず、自身が駆るガオライガーに相応のサイズである弓を持たせ、弦を引いて矢を放とうとする。

 ガオライガーが引いている矢の矢じりには、ジェネシックガオガイガーの敵を光に変えるゴルディオンネイルの黄金の爪であった。

 マリの叫びと共に放たれた対象を光に変える矢は、凄まじい速さで目標であるカンゼンダーに向けて飛んでいき、彼の身体を射抜こうとする。

 

「ふわっ!? ワァァァッ!!」

 

 自分に向かって飛んでくる矢を見たカンゼンダーは、先ほど口にしようとしていた言葉を遮り、恐ろしい物を見たように絶叫する。

 彼が死の間際に見た物とは、ゴルディオンネイルを自身に向けて突き立てようとするジェネシックガオガイガーの幻影であった。その幻影を見て絶叫するカンゼンダーは、向かってくる矢に射抜かれ、光子分解して完全消滅した。

 

 かくして、狂気にして歪んた完璧主義者であるフォルコメンハイト・カンゼンダーとの戦いは、勇者たちの勝利で終わった。

 もし、マリが勇者たちに助けを求めなければ、不老不死を手に入れたカンゼンダーは何者にも止めることは出来ず、全ての世界が混沌に陥ったに違いない。

 仮に勇者たちいても、彼らが諦めることなく勇気を持って挑まなければ、敗北していたことだろう。

 

 それほどに、フォルコメンハイト・カンゼンダーは危険な男であったのだ。




もう疲れた…めっちゃ疲れた…!

六月中に終わるつもりが、気が付けば、Ⅹメンやサムライトルーパーと幼女戦記の二期が始まり、ウルヴァリンと凱が戻っていた!

次回のエピローグで終わりです。

最後まで勇気を持たねば、書き終えることが出来なかったぜ…!
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