澄野拓海「希望ヶ峰学園?」 作:たくみきんぱつ
モノケモノに青い焔を纏った刀身を振り下ろす。その焔は地面にも伝い、ケモノの周囲を巻き込みながら標的を打ち焦がさんとしていた。
そうして連撃を叩き込みながらトドメを刺そうと、渾身の一撃を叩き込もうとしたその時、自身のポケットから場違いな音が響き渡った。
ビーッビーッ
その警報のような音は俺の持つ電子生徒手帳から出た音だった。その音を聞いた瞬間後ろに下がりモノケモノと距離を取った。なぜだかわからないが、音がなった途端に体が異様に重くなったような気がした。
確認するとそれはオレの電子生徒手帳にしかない機能、ふしぎメーターが赤い危険を知らせるような色になっていた。
なんだ、これは…?
「澄野くん! 下がってくだちゃーい!」
モノミ、いや今朝方に貰ったストラップのマスコットの姿と同じ姿をしたモノミがモノケモノに突っ込んでいった。
そうするとモノミはモノケモノにトドメを刺したようで、モノケモノは大量の金の延べ棒に早変わりしていた。
アレは…船の部品にはならないだろうな……。……っていうかなんで金の延べ棒になるんだよ!? おかしいだろ!? いろいろ全部!
周囲が光だす。ここに来たときと同じ光だとわかった。
目を閉じて、また開く。すると、元々いた中央の島に戻ってきたようで、日向達の姿が見えた。モノクマの姿も探すが、どこに行ったのかそいつはいなかった。
モノクマ…あいつはオレに異血の力を使わせようとしたんだろ? それで一体何がしたかったんだ?
「…澄野、お前は……。」
「あ…みっみんな……」
日向に声を掛けられる。みんなはオレに信じられないようなものを見たような視線を向けていた。それはそうだろう、こんなものをみたら誰だって心配よりも戸惑いが勝つことはオレにだって理解できた。
どうしたらいいかな…。いや、どうにもならないか。ここははっきりとしよう。
「…これが、オレの持ってる力だよ。その、みんなの想像とはかなり違ったと思う。けど、この力があったおかげでオレはモノクマに対抗できた。あのとき、希望ヶ峰学園から脱出できたんだ。」
そう長くはないだろうが、沈黙は続いた。みんな、目の前のバカみたいな現実を夢かどうか見紛うほどに混乱しただろう。
そうしている中、この状況に堪えられなくなった者…罪木が一番に声を上げた。
「だっだ大丈夫なんですかぁ!? なんで心臓を刺しちゃったんですかぁー!? なんで心臓が燃えちゃってるんですかぁーー!?」
そんな大きな心配を込めて叫びながら、オレに近づいてくる。オレは得物を鞘に納めて、慌てる罪木の前に手を出すような仕草をして答える。
「だっ大丈夫だから。その、心臓を刺したのは…必要なことで、燃えてるのは多分力を使ってるせいだと思う。詳しくはオレにもよくわからなくて…とっとにかく燃えてるけど痛みとかはないから!」
「すっ澄野さんは何言ってるんですかぁ!? 頭がおかしくなっちゃたんですかぁ!? こんなの…こんなの! どう考えてもこんなこと異常ですよぉ…。」
「罪木ちゃん!」
罪木がへたり込んで泣き出してしまった。
どっどうすればいいんだ…。オレが悪いのか? いや、オレのせいだよな。そりゃわけわからないよな、心臓を自分からぶっ刺す奴はおかしいよな。…普通。
みんなそんな罪木とオレの様子を見て少しばかり混乱が収まったようで、みんなはオレに質問や心配を浴びせ始めた。罪木は小泉に駆け寄られ、なだめられている。
「澄野? お前は一体何をしたんだ? それがお前の言っていた力なのか!?」
「オメーはなんなんだよ!? 人間じゃねーのか!? あのヌイグルミ共やモノケモノと同じなのかよ!? 化け物なのかよオメー!?」
「それが澄野さんが変身した姿なのですか!? ですが…自ら心臓を刺すなど、ドラマでもそんな過激なことはできませんよ!?」
「おの自らその心臓を灼熱の炎に捧げ、血の繭から羽化せし戦士か…。立派なものだ。だが、それは悪魔と契約することを良しとし、己の生命を侮辱するに等しい行為だと知れ! 問おう、なぜそのような行いをしておきながらそれだけ平然とするか!?」
「拓海ちゃんって本当に大丈夫なんすか!? 心臓がボヤ騒ぎってレベルじゃないっすよ!? つか自分でチャッカマンしてたっすよね!? トんでるーっつか、イかれてるー!?」
「ちょちょっと待ってくれ、みんな落ち着け…その、説明する時間をくれ!」
前と似たようなことがあったことを思い出す。あの時は比較的、みんなオレのことよりも気にすることがあったし、あんまりそれどころじゃなかったからなんとなく流されていたけど、今回はそうはいかない。
「みんな、落ち着いて。一回レストランへ戻ろうよ。そこで澄野くんの話を聞いてみよようよ。」
「…そうだな、そうすべきだろう。モノケモノがいなくなって次の島に行けるとはいえ、澄野の力の話の方が重要だ。リーダー命令だ。お前ら、レストランに戻るぞ。」
七海がそうみんなに提案する。十神がそれに賛成し、みんなもそれに従ってレストランがある一番の島に戻って行く。オレは十神に言われてまだ回り切れてなかった中央の島を回って来いと言われ、みんなといったん離された。
オレのいない間にそれぞれ落ち着いた方がいいだろうし、そうした方がいいだろうな。でも、七海には助かったな。オレが言っても、話の進行はできないだろうし。十神もだ、やっぱりまとめ役がいるのはいいな。
我駆力を解いたオレはみんながレストランに戻る間に十神に言われた通り、中央の島を回っていた。今オレがいるのはジャバウォック公園だ。
オレはジャバウォック公園の中心に浮かんでいて、ひときわ目立つ黒い球体を見下ろしていた。その黒い球体の中心には電子時計のように数字を赤く刻んでいる何かのタイマーのようなものがあった。数字は上に小さく2224カイの表示があり、下には大きく数字が計測されるように桁が進む表示があった。
なんだ? あれは…あんなもの希望ヶ峰学園にはなかったし、何を表してるものなんだ? …考えてもしょうがないけど、害がないなら別にいいか。
中央の島で見るものはそれくらいで、後はまだ解放されてない橋の前にいるモノケモノ達くらいだった。
こいつらはモノクマ同様、江ノ島が用意したんだろう。江ノ島が一人で作ってるとは思えないし、江ノ島を信奉するような組織が関わってるんだろうな。きっとそれが絶望と呼ばれていた連中で…。
モノミもそうなんだろうか? よくよく考えてみたら、あいつはオレを守ってくれたんじゃないのか? なんでそんなことをしたんだ? モノクマの邪魔になるようなことをして、モノケモノだってなんであいつは戦ったんだ? モノクマとは本当に仲間じゃない…のか?
モノミやモノクマに対する疑問を抱えながら、オレは橋を渡ってホテルのレストランに戻って行った。
レストランに行くとみんなの視線がオレに集まる。先ほどの唖然とした空気は抜けていたが、それとは別にオレに対する疑念がみんなの中には生まれていたようだった。
オレは十神に促され、席に座る。十神がみんなを代表して話を進めるようだった。
「まず、お前が俺達にその力について説明しろ。そこから俺達がお前に質問する。それでいいな?」
「わかったよ。じゃあまず、この力…異血について説明するよ。」
オレはみんなの注目が集まる中、苗木達にした説明よりも少しだけ深ぼった説明をすることにした。といってもわからないことの方が多いからあんまり上手な説明じゃないとは思う。
「この力は異血といって、特別な人間が使える超能力みたいなものなんだ。オレはこの力で希望ヶ峰学園の校舎に張り付けられていた鉄板を破壊することでみんなで脱出したんだ。
…心臓を刺すのは、その異血ってものを活性化させるために行ってるんだ。決して、血迷って自害をしてるわけじゃない。オレもどうかしてるって思ってるよ、こんな手段でしかこの力を扱えないなんて。それで、その活性化をさせるためのものがこの我駆力刀と呼ばれるものなんだ。だからオレはこの刀のことを気にしていたんだ。
えっと、あとモノミのこととか、もちろんモノクマともこの力は何も関係ない。むしろオレも知りたいぐらいなんだ、モノミのあの訳の分からない力に関してな。
…このくらいでいいか?」
「まだ全然足りはしないが、まぁいいだろう。質問タイムにするぞ、それぞれ順番にな。」
そう、十神が話の進行をしていく。最初に質問をしたのは罪木だった。
「あのう、澄野さん。本当に心臓は大丈夫なんですかぁ? 痛くないんですかぁ? なんであの姿になってるときは心臓を燃やす必要があるんですぁ?」
「おい、質問は一つづつにしておけ。」
「いや、一つじゃすまないって。十神、アンタだってそうでしょ? みんなだってそうなんだし、ちょっとくらい目をつぶりなさいよ。」
「…まぁ今回に限ってはそれでもいいが。」
「えっと、心臓は大丈夫なんだけど、でも刺した瞬間は痛いかな。なんで燃やす必要があるのかはオレは知らない。そもそも、オレはこの力について、ほとんど何もわからないんだ。罪木みたいに医学の知識があるわけじゃないし、もちろん科学に精通してるわけでもないからさ。」
「刺し傷になったりはしないんですかぁ?」
「しないかな。シャワーとか浴びるけど、そんな傷は今まで見たことがないし。」
「…そのぉ、失礼かもしれませんけど。どうしてそんなに自傷行為にためらいがないんですかぁ?」
普通の人間からして、医療に携わる者として、オレの行動はやっぱり異常なのだろう。その質問をするときの罪木はいままで質問よりも何倍も真剣な顔をしているような気がした。
「…初めてじゃないからだと思う。今まで何度もやってきたことだから、慣れってやつなのかも。…こんなことに慣れたくなんてなかったけど。」
「ちょっと待てや。澄野テメー、その力を今まで何に使ってやがったんだ? まさかとは思うが、人殺しでもしてたっつーのかよ。」
九頭龍にそんな質問をされる。オレがその質問で思い返したのはかつて戦った部隊長の、その素顔だった。
…いや、違う。あれは人間じゃないんだ。人の形をしていただけだ。世界死が生み出した存在のはずだ。……あれは、人間じゃない。
「オレは人殺しにこの力は使ってないよ。
…オレは以前、戦場にいたんだ。この力があれば、とある対象を…守ることができるからって。ろくな事情も聴かされずに、強制的に戦うことを強いられたんだ。そのときの防衛戦で何度もこの力を使った。そのせいで心臓を刺すなんて異常が異常じゃなくなるくらいに、常識が麻痺してるんだと思う。」
「戦場にいたから、あのような戦闘ができたのだな。では、その戦場では何と戦って、何を守っていたというのだ?」
辺古山からそんな質問をされる。どう答えればいいのか、世界死の話をしようにも異血の力以上に荒滑稽すぎるし、防衛室にいたあの赤子のことも説明のしようがないと思った。
「その、これはあんまり説明ができない。だからボカしながら話すと、オレが戦ってたのは人間じゃなくて化け物なんだ。あのモノケモノみたいな機械の奴ってより、モノミがいっぱい倒してた小さいやつの方が近いかな。
それで、守ってた対象っていうは…それは説明ができない。そもそも最後の最後まで、オレはその守る対象のことを何も知らなかったんだ。最後に知った時には……色々あってな。」
「お前さんにとってはつらい記憶か。そこは相当ろくでもない場所だったようじゃの。」
「つーかさぁ、そんなにあんなにすごい力があんならよ。守るものなんて気にせず逃げちまえばよかったんじゃねぇの?」
「それはできなかったんだよ。体内に爆弾が埋め込まれてて、司令官が逆らったら爆破するって脅してきてさ。…実際に逆らった奴はいたんだけど、そいつの話を聞くに爆弾は本当だったらしくて逆らったそいつは一回死んだ…死にかけたらしいんだ。」
「いま死んだっつったか!? 死んだって言ったよな! 誤魔化せてねぇよ、どんな環境なんだよ!? 頭おかしいんじゃねえの!?」
「あれ? その話だと、死んでるのにその人と話せてることにならないっすか? 実はその死んだ人は拓海ちゃんで幽霊だったりするオチっすか? それとも超高校級の霊媒師とかがいた感じっすか?」
「……ただの言い間違えだよ。それより、他に聞きたいことはないか?」
「…ねぇ澄野くん、その爆弾ってさ。今も澄野くんの中にあったりするの? 具体的にどこら辺に埋め込まれてる感じなのかなぁ? どこの穴に入ってる感じなの?」
「キモ変態の殺人未遂ブスは黙ってたらどうなのかなぁ?」
花村に爆弾の居所を聞かれる。
爆弾か、あんまり気にしてられなかったけど、体内に爆弾があるっておかしい話だよな。あの百日間からそのまま来てるってことは爆弾もそのままのはず…でも爆発のしようがないよな。その爆破させるための装置はSIREIとかが持ってたはずでこの時代じゃ爆破しようがないはずだし。
「多分、体に入ったままだと思う。でも、爆破の心配はないはずだ。その手段を持ってたのは司令官だけで、その司令官はもう死んでるからな。」
「司令官が死んでるって、致命的過ぎねぇか? 心臓をぶっ刺して戦うことを強要することも爆弾で脅すこともそうだけどよぉ、どんだけふざけた戦争をしてたんだよ。」
九頭龍がまっとうなことを言う。やっぱりあの状況は何もかもがおかしかったのだということを再認識できると同時に、そう言ってくれるまともな倫理観を持つ存在に囲まれるというのはなんだか安心できた。
SIREIは別に戦場で死んだわけじゃないけどな……蒼月のことまで話すとややこしすぎるから黙っておくけど。
「…話を聞くに、その力を持つのはお前だけじゃないんだな?」
「ああ、そうだよ。でもそこは気にしなくていいと思う。他のみんなはもうその戦争とは関わってないはずだし、現状関係ない話だろ? オレもあんまりその時の話はしたくないんだ。」
「そうか。まぁ話せる範囲でいい。随分と荒滑稽ではある話ばかりだが、全てすべてが嘘だとは思わん。すでに嘘だと思う現象は目撃しているからな。…戦争の話など、ろくなものではないことぐらいは察せる。」
悪いことばっかりでは…あったな。でも、あいつらと出会えたことは悪いことじゃない。それにこの力があったおかげで苗木達もあの希望ヶ峰学園から脱出できた。いいことだって創れる。ここはあの戦場じゃないんだもんな。
「問おう、貴様に恐怖心はあるか? 貴様は血の繭に包まれ、あの黒衣を身にまとった。それすなわち、悪魔との契約よ! その血、蒼き焔、それをつかさどる貴様自身! そのすべての代償が、生命に対する冒涜だろう! ゆめ、忘れぬことだな。」
「…………? ごめん、何言ってるかわからない。もう少しわかりやすく頼む。」
「…そのままではいずれ貴様は生命の天秤を誤ることになろう。生きるのということの根本を没却してな。」
「えっと…何言ってるかわからないんだが。」
「おそらく、その力は恐るべきものだが、なにか代償はないのか? その心の麻痺こそ代償だろう気をつけろ! とおっしゃっているんだと思いますよ。わたくしも田中さんと同意見です。澄野さんはもっとご自身を大切になさるべきです! あんな自害のような真似事、到底許されることではありません!」
田中は心配してくれてるってことか? ソニアさんも…。確かに言われてみればそうかもしれない。みんな、まともだな。あの戦場ではそんなことは言ってられなかったけどさ…。
というか、ソニアさんも田中の言ってることが分かるのか!? なんでだよ、海外の人…なんだよな? 同じ言語でも何言ってるかわからないのに…違う言語を使うって話は嘘なのか?
「なぁ澄野、その力はお前の才能なのか? 生まれつきの…力で、だからその戦場にもいたのか?」
そう、日向が深刻そうな顔をして質問をしてくる。その顔は何かに焦っているようにも思えた。
才能、生まれつき、実際どうなんだろうな? 知らない間に実験されて成功したのか、それとも本当に異血を使うことに長けた才能があったのか…。
「それは、オレにもよくわからない。生まれつきこの力を扱える才能があったのかもしれないし、人知れず実験か何かされて使えるようにされたのかもしれない。」
「なぁ、オレには難しくてよくわかんねぇんだけどさ。澄野をこき使ってた連中は最低だって話であってるか?」
「終里…まぁそれで大体あってるよ。」
人口天体の奴らも必死だったんだろうけど、今になってくるとオレ達は人として扱われてたか怪しい気がしてくるな。…そもそも、本当に道徳がある奴らは蘇生マシーンなんて考えついてもやらないよな。
「ふむ、お前の話は大まかだがわかった。あれだけの力があるなら妙に自信があったのも、ヌイグルミ共がやたらと強調するのもわかる。
であれば、次に話を聞くべきはモノミだな。」
「はい! あちしを呼びまちたね。」
モノミがどこからともなく出てくる。もうそれにみんな驚いてはいなかった。
「モノミ、お前は澄野の異血の力についてどこまで知っている? すべて答えろ。」
「澄野の知ってること以上のことは知らねぇんじゃねーの?」
「そうではない可能性があるだろう。わざわざ澄野の電子生徒手帳に専用の機能をつけるくらいなんだからな。」
「そんなに期待されても何も出せないんでちゅよねぇ。申し訳ないでちゅ。澄野くんの力は本当にすごいものなんでちゅよ。でもすごすぎて、まだ理解するには時間もお金も技術も何もかも足りないんでちゅ。」
「そうか…。それならそれでいい。
モノミ、次はお前に対しての質問だ。お前の使ってた力はなんだ? 澄野とは違う力のようだが、あれも別の超能力なのか?」
「あれはでちゅね。本来マジカルステッキで使う力なんでちゅけど。今は木の棒で代用して何とかつかってるんでちゅ。本来は使う機会のない力なんでちゅけど、モノクマがこの島を支配してるときはミナサンを守るために使いまちゅよ。モノケモノを倒したのがその例でちゅね!」
「説明になっていないな。もう少しマシな返答はできないのか?」
「うーん。困りまちたね。どうすればミナサンにわかりやすい説明ができるんでしょう? 何度やってもわからないでちゅ。すみまちぇん。」
そういってモノミが逃げる気配を感じ取る。
オレはまだモノミに聞かなければならないことがあった。それはモノケモノとの戦闘の話だった。
「待て、モノミ。まだお前には聞きたいことがある。」
「澄野くん、いいでちゅよ。あちしは答えられる範囲で答えられまちゅよ。」
「モノケモノとの戦闘中に電子生徒手帳が鳴りだして急に体が重くなったんだが、なにか心当たりはあるか?」
「それはでちゅね。前にもお話したと思うんでちゅけど、澄野くんの力は時に大きすぎる力に変わってしまうんでちゅ。それを防ぐためにちょっとだけ制限を掛けさせてもらってるんでちゅ。このことを許してほしいでちゅ。澄野くんのことを決して責めてるわけじゃないんでちゅよ。むしろ、この世界が澄野くんにとって狭すぎるって話なんでちゅ。」
「この力が都合が悪いものだっていうのなら、使わせなければいいじゃないか。どうしてお前はオレに我駆力を渡したんだ?」
「都合の悪い力だなんて、そんなことは言ってまちぇんよ。
澄野くんはこの力と向き合わなきゃいけないんでちゅ。この力だって、澄野くんを形創る大切なカケラでちゅ。それを否定するなんてあちしにはできまちぇん。」
「この力と…向き合う? どういう意味だ!? 前々から、お前は何を隠してるって言うんだ!? 答えろ!」
思わず熱くなってしまう。モノミにこういう物言いをされるとき、いつも嫌な感じがする。触れられてほしくない場所に触れられてるような。オレの知らない何かに語り掛けているような…。そんな感じが気持ち悪い。
「大丈夫でちゅよ。澄野くん、約束を思い出してくだちゃい。あなたは独りじゃないんでちゅ。その力はきっと、いつかあなた自身の本当の力になりまちゅよ。だから、安心して未来を向いてくだちゃい。」
「モノミ、訳の分からん話はそこまでにしておけ。質問は終わりだ。失せろ。」
「うぅ、ミナサンまた明日でちゅ…。」
「明日もないよー。ていうか教師ズラやめなよー。キモ過ぎて澄野おにぃが吐きそうなんだから、自分の有害性を直視して薄汚い木の棒も心も折ってそのまま再起不能になってねー。」
モノミがどこかに消えていった。西園寺の言うことは言いすぎな気もするけど、はっきりしない態度なのが悪い。実際、気持ち悪い気分になるのは本当だった。後味がまだ残っている気もする。
「澄野くんの話はこれで大体終わりかな。だったら、次は十神くんの話を聞いてみようよ。」
「結構引っ張り気味だった心当たりくんっすね。なんかもう拓海ちゃんの話がすごすぎて、唯吹は正直忘れ気味でした!」
「まぁ、澄野の話よりはインパクトに欠けるのはそうだろうな。」
「もう危ない話じゃなければなんでもいいですよぉ。」
十神が話始める。それはオレの話よりも確かに印象に掛ける話だったのかもしれない。だけど、オレ達の今後を左右するという点では圧倒的に十神の話の方が上だっただろう。
「いいか、よく聞けよ。前に話した十神白夜が二人いる話をしただろう。それは何の変哲もない簡単な話だ。
十神白夜は二人いる。それだけのことだ。」
「……どういうことなんだ?」
日向がそう問いかけた。
「改めて、名乗ろう。俺は超高校級の御曹司、十神白夜。
それを騙る詐欺師、超高校級の詐欺師だ。」
無印の話なんですけど、私は苗木の『希望は前へ進むんだ』はゲーム版はなんとなく苗木の少年らしさがあって、アニメ版の方は苗木の力強さがあって作者はアニメ版の方が好みなんです。
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