澄野拓海「希望ヶ峰学園?」 作:たくみきんぱつ
再投稿です すごいことになっていました。ごめんなさい
オレは流された映像の内容が、モノクマの喋っていることが、何も理解できなかった。それと同時きっと、理解したくなかった。
狛枝の方を見ると、その顔は青ざめていて何かに感づいている様子だった。狛枝は焦ったように立ち上がり、早口で返事も聞かないように言葉を言い放つ。
「ごめん、ちょっと行ってくる」
「お、おい! 今のって…」
狛枝は走ってレストランから飛び出して行ってしまった。オレもその後を追うように、この足のせいでゆっくりではあるが急いで移動する。
なっ何が起きたっていうんだ? 死体が発見されたって…どういうことだよッ!?
オレはみんなが集まっているところに向かった。
そこは、みんなが一番最初にいたらしい砂浜だった。
みんな集まっていて、そこの中心には『誰か』がいた。いや,あったが正しいだろう。
七海千秋が、目を閉じて怪我もなく綺麗まま、砂の上に横たわっていた。
ただ寝ているだけに見えた。そのくらい、いつもと変わらない姿のはずだった。
それなのに、その姿から感じ取ったのだろう悪寒が止まるところを知らなかった。
…何が、起こっているんだ?
無意識に、その七海千秋から後ずさる。
でも、無情にもその言葉は耳に届いてしまう。それは、その七海の側にいた罪木と十神のものだった。
「だっダメですぅ! 七海さんは呼吸も、心臓も動いてませぇん!」
「諦めないでくれ…。まだ、まだ、何かないのか!?」
「ええぇと、AEDなら…。っでも、もうこの島じゃ無理ですっよぉ! 病院だってないんですから!」
七海は……死んだのか?
オレはその現実を容易く受け入れられなかった。
戦場でもないんでもない、こんな高校生しかいない島の中で、誰かが死ぬ事実がわからなかった。
どうして死んでいるのかとか、どうして死ななくちゃならなかったとか、どうしてそれが七海千秋という人間だったのか、それが何一つわからずに頭の中をぐるぐるとしていた。
「千秋ちゃん…シクシク、シクシク」
「なんでクソウサギがここにいんのさ!! どっかいけよ!!」
「…ちょっと待って、西園寺さん。モノミは何か知っているかも…しれないよ。モノミはいつからここにいたの? 七海さんはどうしてこんなことになっているの? …本当に死んでいるの?」
「シクシク、シクシク。千秋ちゃんは、千秋ちゃんは、みんなのためにこんなことを……。シクシク、シクシク」
狛枝の質問にモノミがそう答えていた。
オレは震える足をなんとか動かしながら、泣き続けるモノミに近づく。
みんなのために? …ちょっと待て、モノミは現場にいたっていうことか?
「モノミ、全部答えてくれ。ここで何があったっていうんだ!」
「ううぅっ。千秋ちゃんは、千秋ちゃんは、シクシク」
「泣いてるだけじゃあ何もわからないだろ!? 答えろよ!」
「…あちしにはできまちぇん。答えられないでちゅ」
「モノミちゃんはイイコになったねぇ。今ならボクは超高校級の調教師になれるかも。いやでもモノミのそれで認められるってすごい癪だね。なんだかムカムカしてきたよ」
「モノクマ!?」
こっこいつ、何しに来たんだ? まさか、モノクマが七海を!?
「現れやがったな! テメーが七海に何かしたっていうんだろ!?」
「違うよ。ボクはなーんにもしてません。ボクは公平なクマだしね。っていうか、疑うならボクよりもお互いじゃない? ほら、今にも隣に殺人犯がいるかもよ?」
「ふざけるな! 俺達は七海を、誰かを殺したりなんてしない!」
「まぁ、オマエラがそう思うならそれでもいいんじゃない? というか、さっさと捜査を始めてくださいね。ではではお馴染みの、ザ・モノクマファイル!」
楽しげな声を発するモノクマはそう言ってオレ達全員に、その黒いファイルを配った。そのファイルには七海千秋の死の状況について記載があった。
お馴染みのってどういう意味だよ!? こんなファイルに馴染みなんて覚えていない! ふざけやがって!
「捜査とはなんじゃあ!」
「なんでオレらがそんなメンドクセーことに巻き込まれなきゃならないんだよ! 訳わかんねーよ!」
「前にも説明したじゃん。オマエラは千秋ちゃんを殺したクロを暴いて生き残る、そのための捜査をするんだよ」
「ねぇモノクマ、ちょっと確認したいんだけど。病死の場合って他殺になるのかな? それとも自殺? …あと、本当にボク達の中に犯人がいるっていうの?」
「狛枝クンは面倒なことをすぐに聞くね。病死の場合は考えてないけど、その場合は自殺かな? でも、その可能性は頭からすっぽり消してください。これはコロシアイで起こった、確かな殺人なんだからね。あと、犯人は必ずオマエラの中にいます。これにウソはないよ」
「そんな訳ないでしょ! アタシ達がどうして七海ちゃんを殺すっていうのよ! アンタがやったんでしょ? 白状してよ! 七海ちゃんを返してよ!」
「だからボクじゃないって! というか、死人が戻ると思う? そんな簡単な現実も受け入れられないんて、随分と野生のない世界で生きてきたんだね? 澄野クンもそうは思わない?」
オレは瞬間的な怒りをなんとか収めようとする。ここでモノクマに殴りかかったとしても、何の意味もないからだ。
…こいつ、わざと言ってるのか? でも、霧藤…カルアのことを知りようはないはずだ。
「じゃ、ボクはもう行くんで。あとはオマエラで頑張って下さい。いやー楽しみだね、久々の学級裁判。クロとシロの真剣勝負。正真正銘の絶望と絶望のぶつかり合いなんてワクワクしちゃうよね! ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!」
モノクマはそう言うと、その姿を消した。
オレ達は平静でいられるわけがなかった。会って数日といえど、確かに仲間だったはずの存在がこんなことになっている。そんな現実は、受け入れたがいものだった。
でも、流れていくのはウソなんかじゃない。本当に起こってしまったことなんだ。
「頑張るって…。こんな状況で、何をいったい頑張れってんだよ!? モノクマのヤローふざけたこと抜かしやがって!」
「では、頑張るしかないのではありませんか? そうでなければ、七海さんが浮かばれません…」
「でっでもですよ、ソニアさん。いったい何を頑張ればいいっていうんですか? こんな状況なんですよ?」
「そっそれは…」
「生きることをだ」
左右田の疑問…左右田だけじゃない、ここにいるみんなの疑問に、十神は答えた。
「俺達は、生き残らなくちゃならない。これから行われる、学級裁判というものからな。そのために、生きるために頑張るんだ。それが、今の俺達にできる最善だ」
その十神の言葉は、オレ達に現実というものと一緒に重くのしかかってくる。
それが、オレ達にできる最善…。やるしかない、やる以外ない。たった一つの選択肢。
オレは、オレの言葉をみんなにぶつけることにした。
十神だけじゃダメなんだ。みんなで生き残ろうとしないと、ダメなんだ。
「オレは、やるよ。生きることを頑張る。そのために学級裁判っていうのを、乗り越える。オレは、みんなで生き残りたいから、みんなで生きる為に、頑張るよ」
「澄野クン……。……ボクもやるよ。ボクは、この中に犯人なんていないと思ってる。そのために、そのことを証明するために…ボクも頑張る」
「一番怪しいやつがなんか言ってるよ! でも、犯人を見つけないとみーんな死んじゃうって事だよね? だったらやるしかないってことじゃん!」
「でもそれは、お互いを疑い合うということにならないか? もし本当にこの中に犯人がいるというのなら、具体的にどうするというのだ?」
「俺達は言ってしまえばシロウトだ。警察でも、探偵でもない。だとするなら、俺達は俺たちなりのやり方で真相を突き止めるしかない。最初に言っておくぞ、これは疑うための捜査じゃない。お互いを信じるための捜査だ。七海を殺した人間などいないという、真相にたどり着く為の捜査なんだ」
「……やるしか、ないのか」
お互いを信じるための捜査。お互いを疑うのではなく、信じるために疑うという行為。
その少しでも前向きになろうとする言葉に、みんなは同意せざる得なかった。ここで仲間割れを始めることこそ、あのモノクマの思うつぼだからでもあるし、誰かを疑うことを誰だってきっとしたくなかった。
「捜査を始める前に、いくつかルールを作ろう。これは、お互いの捜査の邪魔にならない為のものだ。まず、ペア行動を原則としてくれ。これは相互監視の意味もあるが、何より捜査中の互いの行動を証明するためのものだ。次に、誰かこの現場を見張る人間を置きたい。二人、誰か立候補する者はいるか?」
「じゃ、じゃあアタシがするよ。捜査なんて、できる気がしないし」
「わわ、私にもやらせてください! まだ、調べられることがあると思いますし…。精一杯頑張りますからぁ!」
「そうか、では現場の見張りは小泉と罪木に任せよう。ペアについてだが、澄野と狛枝は俺と行動してくれないか? あと、九頭龍と辺古山は別行動をしてくれ」
「なんでそんなこと言われなくちゃならねーんだ?」
「いや、念のためというやつだ。二人はお互いにアリバイがあるんだろう? だったら、どちらも犯人でない可能性が高い。できるだけ相互監視の意味を強めたいからだ。無理強いはしない」
「そういうことなら、私は構わないが。九頭龍はどうだ?」
「チッ、まぁいいぜ。ここで変に拒否って疑われるのも癪だしな」
「ボクと澄野クンが十神クンと行動するのはどうして?」
「七海と最後に会ったのが狛枝、その次に澄野だろう。俗にいう、重要参考人と言えるんじゃないか? あと、狛枝は日が少し経ったとはいえ、まだ拘束期間の最中だ。キミにも捜査する権利はあるが、それはそれとして見張らせてもらう。これはリーダー命令だ」
「なるほどね。ボクの信頼が足らないってことがよくわかったよ。でも、さっき言ったことは嘘じゃないよ。ボクは本当に、この中に犯人はいないと思っているからね」
「全然信用ならないっすね。というか、モノクマが千秋ちゃんが連れてかれたって話は嘘だった訳っすもんね」
「ボクだって混乱してるよ。まさか、こんなことになるだなんて本当に思ってもいなかったからね」
「アンタが嘘をつかなかったらこんなことになってなかったかもじゃない! そこんとこどうなのよ!」
「そこまでにしておけ、その話は学級裁判で行うだろう。今はまず、捜査に集中しよう」
十神のその言葉を足きりに、みんな捜査に取り掛かった。
やるしかない、やるしか…生きるためにやるしかないんだ。
【捜査開始】
[ザ・モノクマファイル]
犠牲者は七海千秋。現場となったのは第一の島の砂浜。
特にこれといった外傷はない。
死亡推定時刻は七時三十分頃だと推察される。
「じゃあまずどこから調べようか? ボクとしては、現場以外にも調べたいところがたくさんあるけど」
「やっぱり、一番気になるのは現場だろうな」
「よし、じゃあそこからまず調べてみようか。十神クンもそれでいい?」
「俺としては、話を先に聞きたいところだが、まぁいいだろう」
オレ、十神、狛枝はまず七海のことやその周辺の砂浜を調べることにした。
オレは七海に近づくと、顔を思わず顰めてしまう。
…生きていたはずなのにな。今朝まで、会話したはずなのに。でも、やるしかないんだ。
「一応言っておくんですけど、外傷などは特にない様子でした。特有のあざも出ている訳でもないようですし、詳しいことはまだわかりませんがおそらく何らかのショック死なんじゃないかなーと思います。専門家でないのでこの程度しかわかりませんが」
「ショック死…いや、そこまでわかるのなら十分だよ。流石は、超高校級の保険員の才能をもつ罪木さんだね。普通は検死なんて、とてもじゃないけどできないと思うしさ」
罪木が事細かに七海の状態を教えてくれた。
そうか、ショック死か……事故死、病死もありうるなら、本当にオレ達の中に犯人なんていないんじゃないのか? でも、モノクマは違うってさっき言ってたな。
「あれ? 七海さんが何か握ってるみたいだよ?」
そう言って、狛枝は七海の右手に手を伸ばして、その閉じていた掌を開いた。
「…紙?」
狛枝がそうつぶやいた直後だった。
目の前の白い髪がゆらゆらと揺れたと思えば、突然にその頭は受け身も取らずに砂の上に唐突に倒れ込んだ。
「狛枝!?」
オレは倒れこんだ狛枝に駆け寄った。
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