嘘が壊す前に   作:nazuna4849

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久しぶりにインフルなった


あたらしいせいかつ

 

 

「じゃあ、ヒカル君はこの部屋を使ってね」

 

わかりました。

僕はそう返事をして、疲れた、という感情のままベッドに飛び込んだ。

 

ほんとに、なんでこうなったんだろ。

こんなことになるなんてな。

ふしぎだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、僕は斎藤夫婦の家にいる。

 

あのアイとの話し合いの後、僕は壱護社長の案内で

精神病院に連れていかれた。

そういう場所が必要な状態だったらしい。

どうやら、僕のような子は芸能界では珍しくないらしく、精神科の先生は落ち着いた様子で僕の話を聞いてくれた。

 

診断結果はすぐに出た。

どうやら、僕の精神状態は、僕が思っているよりもずっと酷いものだったらしい。

 

それらしい病名をいくつも言われたけど、全然覚えていない。

僕は、どうでもいいと思ったことは覚えられない質らしい。

 

そのことをアイに話したら、

「私と一緒だね」

なんて言って、笑っていた。

 

かわいい。

 

 

 

 

 

 

姫川愛梨の件については、本当に、気がついたら終わっていた。

 

壱護社長が知り合いの弁護士に話をつけ、上原清十郎も呼び、夫婦での話し合い、裁判などが行われ、離婚という形になった――

と、すべてが終わったあとで聞かされた。

 

姫川愛梨は、出演していた番組やドラマをすべて降板し、完全に芸能界から干されたらしい。

今までのことが、すべて明るみに出たのだ。

 

僕も一応、合意だったという扱いになり、逮捕まではいかなかったそうだ。

今の司法じゃ、これが限界だとか何とか言っていたけど、正直よく分からない。

 

ただ、今回の事件が世に出たことで、テレビなどでは芸能界の闇が問題視されるようになった気がする。

きっと、愛梨さんみたいな人気の大女優が、こんなことをしていたとバレたからなんだろう。

 

 

 

そんなこんなで、色々あって、

僕は斎藤さんの家でお世話になることになった。

 

このあと、正式に養子になる予定らしい。

 

最初は、アイと一緒に住めるのかな、なんて思っていたけど、

さすがに現役アイドルと一緒に暮らすのはリスクが高すぎる、ということで断念した。

 

アイは、めちゃくちゃ悔しがってたけど。

 

 

 

アイといえば、彼女も少し変わってきている気がする。

いい方向に。

 

「何かあったの?」と聞いたら、

 

「ずっと欲しかったものが、手に入ったかもしれないの」

「分かったら、あなたに一番最初に教えてあげる」

 

なんて言っていた。

 

よく分からないけど、嬉しそうだったから、

それでいいと思った。

 

 

 

僕も、なんだかスッキリした気分だ。

あの日、たくさん泣いて、今まで溜め込んでいたものを全部出したからだろうか。

 

今でも精神科に通って、治療は続けている。

それでも、僕はようやく、普通の少年になれているのかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斎藤夫妻の家に住むようになって、それなりの日にちが経った。

 

無事に僕は正式な養子となり、カミキヒカルの名前を捨て、斎藤ヒカルと名前を変えた。

なんだか、まだ慣れないけれど。

 

壱護社長は仕事で忙しく、あまり家には帰らない。

そのため、ミヤコさんと一緒にいることが多かった。

 

最初の頃は、理由はよく分からないけれど、ミヤコさんと二人きりになるのが少し怖かった。

今思えば、女性に対する恐怖心が、少し出ていたのかもしれない。

 

でも、ミヤコさんは本当に優しかった。

あの人は、愛梨さんとは違って、僕のことを心から思ってくれているような、そんな優しい目をしていた。

 

あまり、向こうから話しかけてくることはなかったけれど、

態度から、優しさはちゃんと伝わってきた。

 

僕の、女性が少し怖いという気持ちにも、何となく気づいていたのかもしれない。

 

ミヤコさんのおかげで、

僕もこの新しい生活に、少しずつ慣れることができた。まだ、「お母さん」とは呼べていないが、いつかはそう呼びたいなと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、壱護社長が話し合いたいことがあるということで、苺プロの会議室に来ていた。

ミヤコさんと二人で、一護社長とアイを待つ。

 

「なんだか、あの日を思い出すわね」

 

ミヤコさんが、そう言った。

たしかに。

あの日話した場所も、ここだったな。

なんだか、ずいぶん昔のことみたいだ。

 

「そうですね」

「こういうのは少し変ですけど、なんだか懐かしいなって思います」

 

僕がそう言うと、ミヤコさんは少し笑って答えた。

 

「なにそれ」

「まだ、そんなに経ってないわよ?」

 

そんな話をしていると、壱護社長と、前よりもお腹の大きくなったアイが入ってきた。

 

「ああ、もう来てたか。

悪い、待たせたな」

 

「じゃあ、全員揃ってるし、

早速本題に入るが」

 

「今日話すのは、アイの出産についてだ」

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