銀河メスゴリラは平和に暮らしたい 〜中身が死神と呼ばれた最強元帥の私は、転生先で宿敵のお嬢様に拾われて銀河冒険者になる〜   作:葱ラーメン大盛A定食セット(旧竜騎兵)

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リゾートでの再会――そして宿敵との共闘!?

 宇宙航行船『ムラクモ』号。そのデッキ。私は銀河を眺めていた。どこまでも広がってるように見える。実際、ほぼ無限の広さを持つという宇宙へと視線を向ける。恒星の光を反射し、輝く星々。

 

 宇宙において、人の手が入り開拓されてる土地はごく少数で、大半は未探索、あるいは未開拓の土地となっている。開拓が進み、星系ごとに設置されたスペースジャンプ管制施設がある場所ならば比較的安全に航海を行う事が出来る、とクズハのお父さんから聞いた。

 

 しかし、スペースジャンプ管制施設が設置されてないような辺境の星系、あるいは未探索の星系の冒険は常に命がけだそうだ。ある時は辺境に潜んでいる海賊たちとの遭遇戦になったり、またある時は宇宙を漂うデブリに衝突しそうになったり。遭難したり。

 

 銀河冒険者になる際には学校で徹底的に宇宙航法について叩き込まれ、最低限銀河を旅するための技術を習得させられるそうだが、未熟な冒険者は消息を絶つことも多いという。

 

「それでも……銀河には無限のロマンが詰まってるのさ。冒険者として成功できるのはごく一部。人々を照らし、そして導く一等星にまで上がれる者は努力を怠らない者にしかなれない」

 

 クズハの父、ルーム・アーガス一等星は、銀河を感慨深そうに窓の外から眺めていた。クズハ曰く、実の父親ではなく、育ての親らしいが、事情があるのだろうと深くは聞いていない。

 

「人に嫌われる事も多い。警察や軍隊からは領分を侵していると睨まれ、海賊からは政府の犬だと蔑まれる。でも、超古代文明の遺跡の探索でお宝を見つけたり、あるいは未探索領域で居住可能な惑星を発見した時の興奮は得難い物だよ」

 

 銀河冒険者に与えられた特権の一つ。未探索領域の探査。渡航が禁止されている半ば無法地帯と化している辺境セクターは未探索領域と接してることが殆どだ。航路も開拓されていない、海賊でさえも足を踏み入れたがらない領域。どんな事が起きてもおかしくない銀河開拓の最前線。そこを探索し、人々の領域を広げる事こそが冒険者の一番の仕事であると、彼は語る。

 

 とある慣例が一つある。未探索領域において人が居住可能な惑星を発見した場合、発見した者の名が付けられる。冒険者にとっての最大の名誉。

 

 あくまで、海賊との戦いや、犯罪者の逮捕は冒険者の本分とは言い難。冒険者の本分とは、その名の通り、未知の場所の冒険にある。彼らに冒険者ギルドより支給されるセキュリティフレーム、ゴンの設計思想にもそれは表れている。

 

 様々な地形に対応するために関節部は、原型機となったプワンと比べて、人に近い可動域を誇り、強度も最新の素材が多用される事によって強化。通信機能も高められ、パーティーメンバーの各機体との連携も密に行う事も出来る。

 

 万が一未探索領域での戦闘になった時に備えて、様々な敵と戦えるようにするために実体弾から大型ブラスター、更には対空用ミサイルまでも装備可能。もちろん、プワンと同じように宇宙でも活動ができる。ランドセルのような形状のブースターによってある程度の空間戦闘も可能。プワンも宇宙作業用にブースターは装備してるけど、推力は比較にならない。

 

 全高はプワンよりも少し大きく、11メートルほど。重さも原型機よりも何トンか増えたものの、それでも冒険者に支給される高速哨戒船での整備に支障をきたすことは無い。

 

 それでいて、プワンと同じマニュピレーターを採用しており、船内作業や船外作業もこなせて、専用のシャベルなどの工具も使用することで簡易的な土木建築も可能。更にはプワンと六割ほど部品の共通化に成功しており、整備性も高い。

 

 高性能な通信装置などの電子機器のせいで調達価格は高く、軍用の宇宙戦闘機や多脚戦車相手には不利な戦いを強いられる。が、そもそもの話法律で軍隊以外に兵器の所有は禁じられている。宇宙海賊が装備してる事の多い違法改造プワン程度ならば後れを取ることは無い。

 

 ……宇宙海賊が軍から横流しされた型落ちの宇宙戦闘機を保有していたりする話もあるそうだけど、それは稀な事らしいのでここでは触れないでおく。

 

 とまぁ、ゴンは何かと高性能な機体に仕上がっていて、その性能から民間の警備会社にも配備されている程だ。……まぁ私は二足歩行フレームの操縦は苦手だけど。

 

「あはは、ノースちゃん。最悪冒険者になったら複座型のゴンの火器管制を担当すれば大丈夫だから、そう気にすることは無いよ」

 

「……むぅ、沢山練習したんですけど……どうしても操縦が苦手で……」

 

「適正もあるからねぇ……。まぁ……気にする気持ちは分かるけど、今はバカンスを楽しもうか。うちのバカ娘が君を荒事に巻き込んでしまったお詫びと言ってはなんだが、羽を伸ばして楽しんでいってくれ」

 

 デッキから星々を眺めていると見えてきた、今回の航海の目的地。

 

 ――リゾート惑星、ナーハ。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、なんでヌーザちゃんがここに居るのかな?」

 

「あら、わたくしもバカンスに来る事ぐらいありますわよ?」

 

 ジト目で睨む私の視線を軽く受け流しながら、くすくす。と彼女は笑みを浮かべた。ヌーザ・ブルボン。私を冒険者に誘った張本人。

 

 二年前に私達を追い詰めたルン・バーツもヌーザのすぐ横に立って、少し居心地が悪そうな顔をしている。

 

 と言うか改めて見てみるとデカイ。私の顔ぐらいあるんじゃないのか? ヌーザのおっぱい。見るからに柔らかそうな乳肉、上半分をまるで自分に自信がある事を物語るかのように露出させているビキニを身に付けていた。色は黒。

 

 私達のすぐ傍を通ったアロハシャツを着たゴブリンもヌーザの谷間に視線が釘付けになり、その横に居たワーウルフの彼女にアイアンクローを食らっていた。何処からかうお、でっか……という声も聞こえてきた気がする。

 

 だが悔しいけど似合う。私と同い年ぐらいだろうに身長も私の頭一個分ぐらい高い。。彼女の長い銀髪と水着の黒とのコントラストが南国の陽光の下で映えていた。まだ初等教育も終わってないというのにこの色気は素直に凄いと思える。中身は戦闘狂だけど。

 

 そんな私の視線に気が付いたのか、くすくすと発育の良い少女はこちらを見下ろしつつ。

 

「貴女のワンピース型の水着も似合ってますわよ? 可愛いですわね~?」

 

「あ、ありがとう……?」

 

「……あの、ノース。彼女は?」

 

 初対面の銀髪赤目爆乳少女と私が話しているのを見て、警戒するように私の後ろに隠れていた子狐の少女が困惑の声を漏らす。ああ、そう言えば彼女に紹介するのを忘れていた。

 

「えーと、私の知り合いと言うか何というか」

 

「ノース・トラムさんの運命の相手であるヌーザ・ブルボンですわ」

 

「誤解を生みそうな表現やめてくれない!?」

 

 クズハちゃんにあらぬ誤解を抱かせてしまうかもしれないじゃん。別にそういう関係じゃないからね!?

 

「……ノースは私のだっ!」

 

「あらあら、わたくしと張り合うと言うのですね? 面白い方……」

 

 ふしゃーっ、とクズハちゃんも威嚇しながらぎゅっ、とヌーザに負けず劣らずの乳房をこちらに押し付けてゆきながら腕に抱き着いてくる。私と同じぐらいの小柄な体格も相まってよりおっきなお胸が強調されてるような気がする。

 

 スクール水着の布地に包み込まれた乳房が布越しに腕に押し付けられてむにゅん、と柔らかく形を変えた。私達のすぐ傍を通った同い年ぐらいの男の子が前かがみになりながらどっかに走っていった。尊い何かが歪んでしまったかもしれない。

 ……この子なんでガチ泳ぎ用の水着を身に着けてるんだろう? 個人的に凄く気になる。

 

「私の大切な友達だ……お前には渡さないっ」

 

「ふふふ♪」

 

「いや、笑ってないでさっさと誤解解いて欲しいんだけど」

 

「いえ。貴女にも同年代の友達が出来たようで、嬉しいんですのよ。それでこそ、わたくしの宿敵ですわ」

 

 相変わらず、ヌーザの考えてることはよく分からなかった。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、クズハちゃんの誤解は何とか解く事が出来た。ふーむ。何となく察しては居たけど、クズハちゃんはあまりコミュニケーションが得意な方じゃないのかもしれない。

 

 友達である私に執着しているし、心を開いて信頼しすぎている。私を信頼に値する人間だと思ってくれてるのは嬉しい。けども、距離の詰め方が不器用と言うか、何と言うか。

 

 過去にコミュニケーションが苦手になるような出来事でもあったのかもしれない。ただ、そこに踏み入るのは良くないだろう。彼女が自分から話し出すのを待つとしよう。

 

 人には、誰にでも踏み込まれたくないラインがあるだろうし。

 

「……ヌーザだったか? 君がノースを冒険者に誘おうとしている事は分かった。友達、と言う訳でも無いんだな」

 

 まだ警戒してる様子で、狐耳をピーン、と立てながらヌーザを睨んでいるクズハの視線を、彼女は軽く受け流しながら御付きのメイドから受け取った鉄扇を開いて、口元を隠している。芝居がかった所作であるが、彼女は不思議と様になっていた。

 

「おほほ、そう警戒しないでくださいまし。わたくしもここで争おうという気はありませんもの。今の所は、完全オフですわ。海を楽しもうと思っておりましてね」

 

「……そうか、なら。その、ちょっと頼みと言うか、提案があるんだが」

 

 すっと、宇宙港に置いてあったパンフレットをポーチの中から取り出す。確か、三人乗りカヌーのレースについてのパンフレットだった。

 

 子ども向けのレースでありながら、プワンやゴンなどの人型フレームを開発、販売しているルルエ社がスポンサーについている。そのお陰で賞金も出るようだ。

 

「このレースに、私達と一緒に参加してくれないか?」

 

 突然の申し出。自らをカヌーレースに誘ってきた少女の顔を見て、鳩が豆鉄砲を食らったように目を見開くヌーザ。そして、口元を鉄扇で隠しながらくすくすと面白そうに笑みを浮かべて、ぴしゃり、と鉄扇を閉じる。一々大仰な仕草の割には様になるのが腹立つ。

 

「ええ、構いませんわよ! ですけどやるからには全力で勝ちに行きましょう! わたくし達の力を見せつけますわよーっ!」

 

「乗ってくれるんだ……」

 

 こいつ、もしかしてノリが滅茶苦茶良いのでは?




セキュリティフレーム:ゴン
全高:11m
重量:24.5t
(標準装備時)部品共通化率:60%(対プワン比)
汎用的な作業用フレームの改良型。戦闘を視野に入れたセキュリティーフレーム。
冒険者や、各惑星の治安維持組織に配備されてることが量産機。プワンに並ぶルルエ社の主力。
度重なるアップデートによってゴン改良型はタイプ三十五まで開発されており、百数年以上使われ続けた名機。
旧型は海賊にもルルエ社によって武器商人を通して流れており、プワンと同じようにどの戦場でも見ることができる。
 特徴としてはプワンよりも装甲が厚く、関節部に電磁式のトライボロジーを施すことによって1機あたりのコスト増加と引き換えに機動性も改良されている。
主な武装は25mm対地機関砲、40mmグレネードマシンガン、105mmライフル、電磁波放電式サーベル、60mm対艦ショットガン、その他現地改修装備の数々。

誤字脱字報告お待ちしております。感想と評価も貰えると作者が泣いて喜びます。
次回は1/11の18時に投稿予定です。
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