「じゃあ魔王に旗を取られたせいで”ノーネーム”になってしまったから助けを求めたんだな。」
「そういうことになるのです。」
黒ウサギから伝えられたことは、三年前に魔王に負けてコミュニティを継続させるのに必要な人も、名も、旗も、奪われて”ノーネーム”となってしまたコミュニティを助けてほしいとのこと。
「わかった。ずっとじゃなくてもいいなら手伝ってやるよ。」
「私もそのコミュニティに入らせてほらうわ。」
「…私も。」
「魔王だと!面白そうだなそれ。俺も参加するぜ。」
「本当ですか!?」
みんなの言葉に黒ウサギは感激してピョンピョン跳ねている。
「では、さっそくジン坊ちゃんのところに行きましょう!」
「ジン坊ちゃんって?」
「現在のコミュニティのリーダーです。ですがまだ十一歳です。」
こうして四人とも”ノーネーム”に入ることとなった。
☆
「なあ古城、世界の果てを見に行こうぜ。」
「十六夜アホかお前は。」
「いいじゃねーか。」
十六夜は、古城の返答を待たずに、腕を引っ張られて強引に連れて行かれた。
「春日部さん。あの二人どうしましょう?」
「黒ウサギに聞かれたわけじゃないから言わなくていいんじゃない。」
「それもそうね。」
☆
「ジン坊ちゃーん!」
町の門の前の少年に黒ウサギは、声をかけた。
「お帰り黒ウサギ。そちらの女性二人が?」
「Yes!こちらの四人の方が……ってあれ?」
そこで黒ウサギは、十六夜と、古城がいないことに気がついた。
「あの、残りの二人は、どちらに?」
「ああ、十六夜君が暁君を連れて『世界の果て』を探しに行ったわ。」
「何で黒ウサギに一言言ってくれなかったんですか!?」
「「だって聞かれなかったから」」
それを聞いてジンがあわてたように言う。
「それって、やばくないですか!?『世界の果て』には、危険な幻獣や、精霊がいるんですよ!」
「幻獣や精霊?」
「はい。ギフトを持った獣や、特定の属性を司るギフトと霊格を持ったものを示す言葉で特に『世界の果て』付近には、強力なギフトをもったものもいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ちできません。」
「あらそう。では彼らはもう……」
「冗談を言っている場合ではありません!」
(ああもう問題児様たちは、”箱庭の貴族”と謳われたこのウサギをバカにしたこと骨の髄まで後悔させてやりますよ。)
「ジン坊ちゃん、このお二人のご案内をまかせました。黒ウサギは問題児様達を捕まえてまえりますので。」
そういうと黒ウサギの黒い髪とウサ耳が、淡い緋色へと変貌した。
そして、全力で跳躍した黒ウサギは、あっという間に三人の視界から消えていった。
「黒ウサギ速…」
「ウサギは、箱庭の創造主の眷族ですから、力もそうですが、様々なギフトや特殊な権限も持ち合わせた貴種なんです。彼女ならよっぽどのことがなければ大丈夫でしょう。」
その言葉を聞き、飛鳥達は安心したように言う。
「じゃあ、さっそく箱庭を案内してくれないかしら?」
「ええ、構いませんよ。」
そうして、黒ウサギは問題児を捕まえに、残りの二人は、ジン坊ちゃんに町を案内してもらうこととなった。
☆
「なあ古城。お前のギフトって何なんだよ?」
「いやあ、俺もよくわかんねえ。」
「もう一つ。お前は人間じゃあないだろう?」
「イ、イヤ、ニンゲンデスヨ?」
「ふん、まあいい。でもいつか教えろよな。」
それから三十分後、
「おい、待て小僧ども。」
十六夜が古城を連れて”世界の果て”に行く途中、滝の中から現れた水神に呼びとめられた。
「何だよ。でっかい蛇だな”世界の果て”にはこんな奴までいやがんのかよ。」
「ヴァトラーの蛇や、レヴィアタンよりはちっせえな。」
「ほう、それはさぞ楽しそうじゃねぇか。」
『このわしを無視するなッ!』
十六夜が古城と話をしていると、水神が竜巻を飛ばしてきた。
「おっと、あぶねぇ。」
「何すんだよ!あぶねぇじゃねえか!」
十六夜がが軽く避け、古城が危うく当たりそうになっていると
「フッ、人間がこんなところに何しに来た?なんなら、わしのギフトゲームで貴様らの力を試してやろうか?」
「安い挑発ありがとよ。」
「人間などに礼を言われてもうれしくないわ。それよりも、やるなら試練を選べ。」
「何言ってやがんだくそ野郎、お前ぶっ―――」
「待て、古城。俺がやる。おい蛇野郎、まずは、お前を試してやるよ!」
戦闘態勢になった十六夜に止められ、古城は仕方なくその辺の石の上に飛び乗った。
☆
「ああ、もう!あの問題児様方はどこまで行っちゃったんですか!?」
そんなことを言っていると、大きな竜巻が出来ているのを黒ウサギは見つける。
「もう、何やってるんですかッ!」
「おお、黒ウサギか。ちょっと待ってくれ。今、十六夜がギフトゲームやってるから。」
『まだ…試練は終わってないぞ小僧共!!』
水の中から怒り狂った水神が出てきた。
「何であんなのとやりあってんですか!?」
「なんか偉そうに『試練を選べ』とか言ってきたからな。今、十六夜がそいつをボコボコにしようとしてるってわけよ。」
「はぁ―――!」
彼らは偉そうなのが気に入らないだけで、水神に喧嘩を売ったようだ。
「早く謝っちゃってくださいよ!」
「バカ言うな。あいつから喧嘩ふっかけてきたんだからよ。」
『貴様……つけ上がるなよ人間風情が!わしがこの程度で倒れるものか!!』
水神の怒りに応えるように周囲の水が、さっきよりも巨大な竜巻に変化した。怒りのあまり、『人間風情』に本気を出してきたようだ。
「これは俺が売って、奴が買った喧嘩だ。邪魔したら黒ウサギ、お前からぶっ潰すぞ。」
ニヤリと笑ってそういう。黒ウサギは、困ったように古城のところまで離れる。
『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を防げばお前の勝利を認めてやる。』
「寝言は寝て言え。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者を決めて終わるんだよ。」
『フン―――その戯言が貴様の最後だ!』
竜巻はどんどん大きくなり、周囲を破壊しながら十六夜に襲いかかる。だが、十六夜は動じない。
「―――ハッ―――しゃらくせぇ!!」
しかし彼にしてみればどうってことなかったらしい。襲いかかってきた竜巻にそれを上回る拳の一撃で消し去ってしまった。
「えッ……あれは水神ですよ、人が倒せる相手では…」
「偉そうな割にはたいしたことなかったぜ。」
あの水神はかなり強い神様で普通なら人間では倒せないレベルの相手だったのだろう。だから黒ウサギは口をあけてて驚いている。
「…まあそれはともかく!ゲームに勝利したのですからそちらの水神様からギフトを頂くとしましょう!」
「何せ水神様本人を倒しましたからね。きっとすごいギフトを頂けますよー♪」
黒ウサギは水神との交渉で『水樹の苗』の苗を手に入れ、水源を確保出来たととても喜んでいる。ノーネームでは、水を確保するのも難しいのだろう。
それから三人は、急いでジン坊ちゃんのところまで走った。
(俺そんなことできないから行きと一緒で掴まれててただけど…)
☆
三人がジン坊ちゃんのところに帰ると、予想通り、もう二人の問題児もなにやら、やらかしていた。
「どういうことですか!?ジン坊ちゃん!なぜフォ、”フォレス・ガロ”とギフトゲームすることになってんですか!?」
「「腹がたって後先考えず喧嘩を売った。反省も後悔もしていない。」」
「反省もしていないって…」
それを聞いて古城は呆れたようにため息をつき、十六夜は嬉しそうに笑っていた。
サブタイトルのネーミングセンスなくてすいません。
次は、”フォレス・ガロ”と戦うと思います。