「どれどれ…『主催者が勝利した場合、参加者は主催者の罪を黙認する。ならびにコミュニティの解散。参加者が勝利した場合、主催者はすべての罪を認め、人質を返した後コミュニティを解散する。』はあーー!!負けたら大変なことになるじゃないですか!!」
「でも勝てばガルドを追放できるかもしれないのよ。」
「僕もガルドを逃がしたくない。あんな罪人を放っておくわけにはいけないよ。」
「はあ~わかりました。腹立たしいのは黒ウサギも同じです。”フォレス・ガロ”程度なら十六夜さんがいれば楽勝でしょうし。」
「何言ってんだ?俺は参加しねえぞ。」
まさかの発言に、黒ウサギは焦る。
「えッ…ちょ、ちょっと何言ってるんですか!?」
「当り前だろう。さっきも言ったじゃねーか、これはこいつらが売って、あいつらが買った喧嘩だ。その喧嘩に俺が手を出すのは無粋ってもんだろ。」
「わかってるじゃない。もちろん暁君も出ないわよね?」
「いや、俺は出るぞ。」
『え』『本当ですか!』
一同全員驚いた。
「何でよ?」
「だって、子供が一人で、女が二人だけだろ。危ないじゃないか。」
「…バカにしないで。」
「春日部さんの言う通りよ。なめないで頂戴!」
「わかったよ。でも危なそうになったら手伝うからな。」
「……まあいいわ。ところで今日はもう帰るの?」
飛鳥は少し考え込んで諦めたのか、今からすることを黒ウサギに聞いた。
「ジン坊ちゃんには先に返ってもらいます。私たちはギフトを”サウザンドアイズ”に鑑定してもらおうかと。」
「”サウザンドアイズ”?それはコミュニティかなんかか?」
初めて聞く名前に十六夜は、黒ウサギに質問する。
「Yes!”サウザンドアイズ”は特殊な”瞳”のギフトを持つ者たちの群体コミュニティで、箱庭の東西南北・上層下層のすべてに精通する巨大商業コミュニティです。この近くにもその支店がありますよ。」
「ギフトを鑑定すると何かいいことあんのか?」
「自分の力の正しい形を把握しておいた方が、何かと便利でしょう?」
「それもそうね」
四人は『確かに』とうなずいて、”サウザンドアイズ”に向かいだす。
☆
”サウザンドアイズ”に向かう途中、飛鳥が木々を見上げて言った。
「桜の木…ではないわよね?真夏になっても咲いているはずがないもの。」
「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。」
「…今は秋だったと思う。」
「いや、冬だろ。」
その理由を黒ウサギが説明する。
「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのです。元いた時間軸以外にも歴史や生態系もところどころ違うところがありますよ。」
「パラレルワールドってやつか?」
「まあそんなところです。」
そう言ったところで、店の前にいる女性店員が看板を下げているのを発見した。
「あっ、ちょっと待っ―――。」
「待ったなしですお客様。うちは時間外営業はやってません。」
黒ウサギが慌てて止めようとするも最後まで聞かずに断られてしまう。
「この店は商売する気あんのか?」
「まったくよ。」
「…同感」
店員は少しムッとして言う
「なるほど。”箱庭の貴族”であるウサギのお客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいですか?」
「えっと…」
言葉を詰まらせる黒ウサギを目じりに、十六夜は何のためらいもなく名乗る。
「俺たちは”ノーネーム”っていうコミュニティなんだが。」
「では、どこの“ノーネーム”様でしょう。旗印を確認させていただいてもよろしいですか?」
十六夜の言葉にわざとらしく質問する店員。それを聞いた古城は怒ったふうに言う。
「何だよお前、態と言ってやがんだろ!よくこんな店が繁盛してるな!」
「……お客様。今何と?」
黒ウサギが焦る中、店員は怒りを押し殺して言った。
「だってそうだろう。どんな客でもちゃんとした対応をするのが接客ってもんだろ!ちょっとは考えろ!!俺だってそれくらいのことはできるぜ!」
「……黙って聞いていれば貴様!」
古城が怒って吐き捨てると今度は店員が怒りだした。そこに―――
「いぃぃぃやほおぉぉぉぃ!久しぶりだ黒ウサギィィィ!」
「うわぁぁぁ!」
ハイテンションで走ってきた和服の少女が黒ウサギに突っ込んでいき、ウサギともども川に落ちて言った。
「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」
あの和服少女は白夜叉というらしい。
「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろう!やっぱり黒ウサギはさわり心地が違うのう!」
「白夜叉様、ちょ、ちょっと離れてください!」
黒ウサギに押し飛ばされた白夜叉が古城の方に跳んでくる。
「うわっ、あぶね。」
「フギャッ!」
古城がとっさに避けてしまったので、白夜叉は顔面から地面へダイブした。
「美少女が飛んできたのにそれを避けるとは何事じゃ!…ん?おぬし、鼻から血が出ておるぞ。」
「えッ…やば。」
それを見ていた女性陣は再び軽蔑のまなざしを向けてくる。それを十六夜が笑ってみている。
「少女の濡れた体を見て鼻血を出すなんてやっぱり変態ね。」
「…ロリコン」
「変態です。」
「何でいっつもこうなるんだぁぁぁ!」
いつもどうり古城は鼻血出しましたね。
まあ、お約束ですから…