目指せ! ギ ロ チ ン マ ス タ ー   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。ヒロインについてのお話。ここまでがいわゆるプロローグとなります。

マリーの過去。楽しんでいただけると幸いです。


ホウエン編
マリーという少女の話


 私はマリー。シルフカンパニーの社長の一人娘だ。私は幼少期から孤独だった。社長の娘としてロケット団を名乗る悪い輩に狙われ誘拐されかけたこともあり、迂闊に外に出ることも叶わない。故に同年代の子供と遊ぶこともできず、周りは研究者の大人だらけ。ポケモンを手に入れることなど夢もまた夢だ。

 

 そんな孤独の日々を送っていたある日、シルフカンパニー主催のパーティーに出席した時のこと。一人寂しくジュースを飲んでいた私のもとに、一人の少年が訪れた。馬子にも衣装というべきか、着慣れてないことがよくわかる乱れた着こなしの正装をした少年だった。つまらなそうにしていた少年は自分と同年代の私を見つけて顔を輝かせ、話しかけてきたのだ。

 

 

「よう!君も親の付き添いなのか?親父と同じ商人?の子供だろ?俺はシーザー!お前、名前は?」

 

「マリー…。あの、その……いいの?」

 

「なにが?まあいいや、そんなことよりさ。この屋敷無駄にでかいし、かくれんぼしようぜ!君がオニな!」

 

「え、ええ!?」

 

 

 有無を言わさずダッシュで大人たちの間を駆け抜けていくシーザーに、呆気にとられる。でも、その時私は初めて、「シルフカンパニーの令嬢、マリー」ではなく、「1人の女の子、マリー」として扱われたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その翌日。騒ぎを聞きつけてきてみれば、エントランスで見覚えのある少年がメイドに絡んでいた。

 

 

「あの、困ります……」

 

「だーかーらー!お姉さん、俺はマリーはいますかって聞いてるんだよ!」

 

「なにしてるの?シーザー」

 

「よっ!マリー、やっと会えたぜ!遊びに誘いに来たのにこのお姉さんが通してくれなくてさ」

 

「あ、マリーお嬢様のお友達でしたか……申し訳ありませんでした」

 

「お友達……え、ええ。そうね!行きましょう、シーザー」

 

 

 メイドの言葉に嬉しくなって、シーザーの手をとって自室に連れて行こうとして。シーザーの困惑した顔が見えて我に返る。

 

 

「え、でも外……」

 

「あっ……ごめんなさい。私は外では遊べないの。やっぱり私とは……」

 

「それなら仕方ないな!じゃあゲーム持ってきたからマリーの部屋で一緒にやろうぜ!」

 

「え…?いいの?」

 

「俺がマリーと遊びたいから来たんだしな!おかしもあるよな!?」

 

「用意させるわ」

 

 

 いつもみたいに「変な子」と言われるものかと身構えていたら、そんなことはなく。我がもの顔で私の部屋に入り込んで携帯ゲームを掲げて「お小遣い三ヶ月分で買ったんだぜ!すごいだろ!」と自慢するシーザー。私は当たり前の様に買ってもらった同じゲーム機よりも、シーザーの手にあるものが輝かしいものに見えて。笑みを浮かべて頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その年の私の誕生日。去年までは仕事で忙しい両親の代わりにメイドたち使用人が祝ってくれていたが、その中にシーザーが当たり前の様に加わっていた。

 

 

「今日は誕生日なんだろ!奮発して、プレゼントを用意してきたんだぜ!

 

「プレゼント?シーザーにプレゼントを選ぶセンスあったのね……」

 

「マリーお前、最近俺に辛辣になってないか?まあいいや、これ。受け取ってくれ」

 

 

 そう言ってシーザーが取り出したのは、指輪だった。それも、宝石っぽく見えるように加工した安っぽいプラスチックの花を象った半透明な指輪だ。メイドたちのざわめきをものともせずシーザーは困惑している私の左手を握ると、その指輪を左手の薬指にはめたのだった。

 

 

「綺麗だろ!お前の名前と同じ、マリーゴールドを象った指輪だぜ!お前に似合うと思って、お小遣い全部なくなったけど買ったんだ!」

 

 

 子供心ながらに、ちゃんと理解せず薬指に指輪をはめたシーザーと、意味だけは知っていて赤面する私の図に、メイドのざわめきは強くなっていた。

 

 

「……私、シルフカンパニーの社長の娘なんだけど。その、本気なの?」

 

「知ってるぜ!本気って何がだ?いやでも、お前に対しては何時だって本気だ、マリー!だって、お前はお前だろ?社長の娘だとか、商人の子供だとか関係ないさ。俺達は俺達で親は関係ない!仲良くなりたいしプレゼントを上げたいからそうするんだ!文句言うなら殴ってやるぜ!」

 

「そ、それはやめて?……でもありがとう。嬉しいよ、シーザー。大事にする」

 

 

 その時の指輪と共にもらった気持ちは、今でも私の中に灯っている。今もつけたままの左手の指輪を見れば、満足感が私を襲うのだ。その時私は完全に、シーザーに恋に落ちていたのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し大きくなって。「ロキ」という名前の護衛付きではあるが、外でシーザーと遊べるようになった。ヤマブキシティの公園のジャングルジムの上で、他にも遊ぶ子供たちを見下ろしながらシーザーと一緒に座ってポチポチとゲーム機を弄りながら、ふと思ったことを私は尋ねた。

 

 

「そういえば。シーザーはポケモン、持っていないの?」

 

「親父が危険だからって理由で持たせてくれないんだ。でも俺は諦めてないぜ!サファリゾーンですんごいポケモンを捕まえて、チャンピオンに……いいや、チャンピオンよりすごい存在になるんだ!」

 

「シーザーならきっとできるわよ。私も、その時のために勉強しておくわね」

 

「おうよ!やっぱりマリーは頼りになるなあ。この間のスクールの宿題も助かったしな!」

 

「次は自分で解きなさいよね。まったく、私がいなかったらどうするつもりだったのかしら」

 

 

 お馬鹿なシーザーと、大人びた私の奇妙な関係は続いていた。ずっと続くと思っていた。しかし、大人になるにつれて、それが難しいこともわかってきたのだ。

 

 

「お父様に、跡取りとして別の地方で勉強してくるように言われてしまって……これまでみたいに会うのはもう無理かもしれないの」

 

「え……カントーを、出るのか?」

 

「うん……でも私ね、シーザーのためにこれ、作ってみたの!特別製のポケギアよ!これがあればいつでもどこでも私と通話することができるの!迷惑じゃなかったら、もらってくれるかな……」

 

「もちろんだぜ!って、マリーが作ったのか!?すごいな……大事にするぜ!お前と毎日電話できるならさみしくないな!」

 

「ま。まいにち!?そ、そうね……さみしくないわね」

 

 

 そうして私はカントーを旅立った。各地を転々とし、もう一年ぐらい、彼に直接会えていない。そしたらあっちから私のいる地方に来てくれるのだという。早く会いたいな、シーザー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがホウエン地方か………暑いな!!」

 

「カイロッ」

 

「クラァ…」

 

 

 クチバシティから出港した船に乗り、ホウエン地方のカイナシティを訪れたシーザー。開口一番の失礼な物言いに、傍らに連れたカイロスは肯定し、クラブは呆れた視線を向ける。だめだこいつら、なんとかしないと。と、そんな一人と二匹の前に、ふわりと長く結られた銀髪が靡いた。シーザーが視線を上げ、顔を輝かせる。

 

 

 白く清楚で涼し気なワンピースドレスの上から白衣を羽織った、つばの大きい白い帽子で顔を隠した少女。その傍らには黒服とくろいメガネに身を包んだ長身の男が大量の荷物抱えて控えている。見え隠れする蒼い瞳でシーザーを見つめてもじもじとしている少女に、躊躇なく抱き着くシーザー。どこの誰とは言わないが心拍数が跳ね上がった。

 

 

「マリー!ロキ!久しぶりだな!」

 

「あ、近い、近いわよシーザー!?」

 

『シーザー。お嬢にも立場がある。どいてやってくれないか』

 

「悪いロキ、俺嬉しくてさ!」

 

 

 スマホを手に通訳の可愛いAIボイスで注意してきたロキは、やれやれと肩を竦めるとその身を桃色に染めると縮ませて不定形のポケモン、メタモンに変身。

 

 

「シルフの娘……!」

 

「金だあああ!」

 

 

 ボディーガードが消えたのをいいことに、襲い掛かってきた青装束の海賊と赤装束の山賊を、シーザーが行動に出る前にメタモンがマリーを取り囲む様に“とけて”防御。そのまま渦を巻いて液状の体を“ぶんまわし”て撃退してしまうと、再び人型のボディーガードの姿を取る。マリーの相棒、メタモンのロキであった。

 

 

「まさか迎えに来てくれるとは思わなかったぜ!ここからどうしようかと思ってたところだ!」

 

「シーザーが順調にジム攻略できるようにルートを既に組んだわ。え、仕事?そんなの部下に任せて来たわ。ほら、行きましょシーザー!」

 

 

 そうシーザーの手を取って走るマリーの顔は、なによりも輝いていた。

 




・マリー
 シーザーの幼馴染。シルフカンパニーのご令嬢。後学のために色んな地方に留学しており、たくさんの知識を得た。子供の頃のシーザーからプレゼントにもらった「プラスチックの花の指輪」を後生大事にしており、常に左手の薬指にはめている。シーザーは、分け隔てなく自分に接してくれる唯一の人間であることから好意を覚えており、彼の力になれるならとポケモンバトルの知識も勉強している。シーザーのポケギアは彼女が作った特製品で、シーザーの居場所を伝えいつでもどこでもマリーに繋がるという代物。


・ロキ(メタモン)
とくせい:トレース
わざ:へんしん
   とける
   じこさいせい
   ぶんまわす
もちもの:くろいメガネ
備考:れいせいな性格。抜け目がない。マリーの相棒。シルフカンパニーの実験の結果、突然変異した個体。メタモンの状態でも十分に戦える上に、「へんしん」ととくせいのトレースを組み合わせて一度見たものならどんなものにも変身できるようになった。普段はマリーのボディーガード「ロキ」に変身、有事の際にはマリーに覆いかぶさって変形することであらゆる危機から守護する。常にくろいメガネをかけて目元を隠しているのが特徴。ぶっ壊れメタモン。


次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

旅の始まり。その先が期待できるのは?

  • シーザー
  • マリー
  • シーザーのカイロス
  • シーザーのクラブ
  • ロキ(マリーのメタモン)
  • ワタル
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