アレは噓だ。
伸びちゃいました後2話くらいあります。
玉狛支部警戒区域
「うぅっ…隆樹ぃ…」
「ほら泣くな准。隊員も見てるしお前お兄ちゃんだろ、こんなに泣いてる姿副と佐補に見られたら馬鹿にされるぞ?」
「だってぇ…!あの侵攻の時に死んだと思ってたのにぃ…生きてるとは思わなくてぇ…」
「わかったわかった、これ終わったらちゃんと話すからさ?だから泣き止んでくれよ…って!辞めろ准!鼻水を付けるなっ!俺今トリオン体じゃないんだよ!服に付くからっ!」
この光景を見ていた全員が困惑の極みにいた、目の前にはさっきまで剣を交えていた敵であるストライダー、そしてもう一人はいつもはボーダーの広告塔として常日頃表舞台に立ち今はこの戦いの援軍兼見守り役に回っていたボーダーの顔嵐山准。
その二人が抱き着き合ってじゃれ合っている、普段は見ることのないボロボロに泣き崩れ顔を胸に埋める嵐山を誰が見たことがあるのだろうか、ストライダーの方も嵐山の頭を撫でる手を止める事無く終始やさしく撫で続けていたが顔を上げた嵐山の涙と鼻水によってぐずぐずに崩れている顔を見た後引きつった顔をしながら嵐山の頭を押しのけている。
「どういうことだ?」
「知り合いなんじゃない多分、それにあんなに泣いてる嵐山さん見たことないでしょ普段はうっとおしい位に元気なんだから」
「こらっ!菊地原失礼だろ!」
「別に合ってるでしょ」
「本当に失礼なのでやめてください菊地原先輩」
「うわっ面倒くさいのが来た…」
すっかり毒気の抜かれた米屋がじゃれ合っている二人の姿を見ながら二人の関係性を考えていると横から毒を溢しながら菊地原が答えるがあまりの毒の強さに木虎が優等生し始めると菊地原は目を背けて白を切り始める。
「おい!お前!どうしてあんなに強いんだ?どうして隠れてたんだよっ!なぁ!なぁ!」
「答えてもいいですけど取り敢えずコイツ何とかしてください!だぁ!!もうっ離れろっての!!」
「たかきぃぃぃぃ…!おではぁぁぁぁ…!!」
「死ぬからっ!トリオン体のお前が抱き締めたら俺の身体真っ二つになるっ!!誰か助けてぇ!」
「…迅さんどうするんすか?これ?」
「…話もできないから取り敢えず嵐山を引き離すか…」
「隊長があの人に何かする前に救出してきますね…」
目を輝かせる太刀川にツッコミを入れながら嵐山を引き剝がそうとするストライダーだが嵐山は拘束を緩める事無くむしろ力をさらに込めて抱きしめると抱き着かれてる腰からミシミシと嫌な音がするのを聞いたストライダーは思わず助けを呼ぶ。
阿鼻叫喚を受け止めた出水と迅と時枝は事態の収拾するために先ずは嵐山を引き剝がすことにした。
数分後…
「死ぬかと思った…」
「ごめん隆樹、お前が生きてるって分かったらつい…」
「ついで俺を殺そうとするな、しかも甘えてとか副と佐補にどう言うつもりだ全く…」
ストライダーは悪態をつきながら身体を伸ばし始める、引き剝がされた嵐山は目元を拭ってから少し気落ちしながらストライダー…隆樹に向かって謝る、心なしか顔が赤いのはどうやらさっきのボロ泣きを隊員たちに見られて少し恥ずかしいようだ…
事態が収束した一行は隆樹に対して尋問を始める、なお隆樹は全く拘束はされてはいない、トリオン体を破壊されて何も抵抗はないと思い拘束は抜きそれと後ろに風間隊の2人が付いているため問題ないと太刀川が判断した。
「それじゃあまず一つ、お前の事を教えろ噓偽りなく答えてくれ」
「私の事って言ってもさっきほとんど話したんですが」
「いーや!知らないことだらけだ、まず『ストライダー』って名前からおかしい本名から教えろ」
「はぁ…分かりましたよ」
隆樹はしぶしぶといった様子で話し始める。
「まず、私の名前は烈禍隆樹、今年19歳でそこにいる広告塔と迅隊員と同い年です、4月生まれのハヤブサ座、他には…」
「ちょいちょい!そこまでさかのぼらなくて?いいっ!」
「太刀川さん…自信持ってください…」
「マジかっ!年上だった!」
アホ丸出しの二人は置いておき話の進みが悪くなる太刀川に代わって迅が質問をする。
「取り敢えず長いから烈禍って呼ばせてもらうけど、お前の目的は遊真の情報ってことで良いんだよな?」
「そうですよ、私の目的の大部分は玉狛支部にいる空閑遊真隊員の航海軌道のデータです、あなたの家族のことは二の次って感じの流れでそちらに向かってました」
「うーん…とりあえず分かった、二つ目だけどお前はその軌道データで何をするつもりだったんだ?」
「滅ぼし損ねた国の迂回ルートがあるのかの確認と滅ぼす国の目星を付けるために使うつもりでした」
『!?』
隆樹はさも当然であるが如く言ってのける、目の前で国崩しの為のデータ集め…迅はなんとなくわかってはいたが面と向かって言われると近界民新興の派閥からすると来るものがあった。
「隆樹…」
「何だ准」
「本当に言ってるのか?近界を滅ぼすだなんて…」
「本気も本気だ、そもそも俺はもう二つの国を滅ぼしている、所謂小国ってやつだったがそこに住んでいる何万人もの近界民を俺は皆殺しにしている」
「!!」
嵐山は長年の経験で分かってしまった、隆樹の言っていることが本当でもう何十何万人を国ごと破滅させた事を…
「…三つ目だ、何故お前は近界を滅ぼすんだ?」
「私が近界を滅ぼす理由はシンプルです、先ずは復讐のため、私は両親を殺し目の前で最愛の姉を殺害されました、それが一つで二つ目はこの世界を想うが故です」
「…どういうことだ?」
一つ目の理由はまだわかる、彼らも戦闘前に居た三輪秀次を見てきているから復讐の為に近界民を全て始末するということは概ね理解はある。だがこの三門市を想うためという理由が引っかかる、迅がどういうことかと尋ねると隆樹はこう答えた。
「これは三つ目の理由と重なるんですが、私はこのボーダーに入隊するときに城戸司令及び忍田本部長、根付メディア対策室長にこう言いました、『私がいる限り向こう100年手出しできないように徹底的に近界を破壊する』と私はこの誓いとこの世界を守るために」
「…」
「その大義のためなら私は世界を破壊する悪者になってでもこの世界を守る…愛すべき家族と生きたこの世界の為に…」
静かに響く声は全員の身体を震え上がらせた、改めて言葉に発せられる破壊による防衛を誓う意志の言葉、感情何てとっくに死に絶えた目に宿る確かな覚悟が。
「…烈禍一つ聞いておく、もう止めれないんだな?」
「迅隊員、何故私が今更君の前に姿を現したと思う?」
「…何が言いたいんだ?」
迅は訝しみの籠った声で隆樹に語り掛ける。
隆樹は立ち上がりながら白衣のポケットに突っ込みながら迅の疑問に答える。
「迅隊員、君が上層部に言った予知のことだ」
「!?」
「迅、予知って何のことだ?」
隆樹の答えに迅は動揺し滝の様に汗を流す、太刀川はあっけらかんと汗を流す迅に予知の事を聞き始めるが迅は口を開けない、開けない迅の代わりに隆樹が口を開く。
「君が予知した近々起こる
「大規模侵攻!?」
「何でお前がそれを知っている!」
「私は単独で遠征を許されている人間です。君の予知の事を知らされていないわけはないでしょう」
大規模侵攻…その言葉に迅と隆樹以外が動揺する。またあの惨劇が来てしまう…迅の予知が上層部に通っているということはそういうことであると全員が理解している。
「さて、私はこれで失礼します、私はこれから玉狛支部に行き目的を果たします」
「何言ってんだお前、お前はこれから本部に連行する、大人しくついてきてもらう」
素っ頓狂な事を言い始めた隆樹に、太刀川が本部に連行すると告げ隆樹を拘束しようと近寄ると隆樹は嵐山の方を向いて悲し気な表情をして話しかける。
「准、ごめんな」
「隆樹?」
隆樹が胸元から黒い鍵を取り出しながら目の端に涙を流していた。
「姉さんを守れなくて…お前の恋人を守れなくて…姉さんじゃなくて俺が死ねば良かったんだ…」
「隆樹…お前何言って…」
「姉さんが生きていればきっとこんなことしなかったからさ…」
太刀川が隆樹の前に立ち拘束しようと手を掴もうとしたとき、不味い未来が見えた迅が太刀川に叫んだ。
「!!太刀川さんっ!!そいつを早く止めてっ!!」
「はぁ?こいつに何ができ…」
「!!」
迅の叫び声に菊地原は文句を言うが太刀川は即座に反応して拘束しようとするが、隆樹は太刀川の足を払い両足で太刀川の両腕を踏み一瞬時間を稼ぐとポケットからエピペンの様な注射器を取り出して首に差し込んだ。
太刀川が隆樹を押しのけた時には注射器は投げ捨てられ隆樹は倒れこんだ。
「何をした!?」
「ぐっ!ぐああああああああああああああっ!!!!!」
「どうした!?いったい何をした!?」
「隆樹っ!」
太刀川は隆樹を押さえ込んで拘束するが隆樹は右手を抱え込み急にのたうち回り苦痛にもがき始めた。
「ぐあぁぁぁぁ…!はぁっぁああっぁあぁ…!!」
「ちょっと!こいつどうしたの!?」
「知らん!何か注射したと思ったら急に苦しみ始めて…」
「太刀川さん!!烈禍の右手のカギを奪って!」
「よく分からんけど分かった!」
「やめてくれっ!迅!!」
迅が隆樹の体を抑えると太刀川が右手のカギを奪おうとするが暴れまわってなかなか取ることができない。隆樹は血涙を流し血管を浮き上がらせながら苦しそうにもがき、カギを取られないように暴れ…
「っ!!ぐるらぁ!!」
「やばいっ!」
「マジかっ!!俺らトリオン体だぞ!!」
痛みが治まったのか隆樹は迅ろ太刀川を蹴り飛ばし勢いそのまま立ち上がる、飛ばされた太刀川は驚いた後隆樹を見据えるが隆樹は満身創痍でふらつきながら立っている、その隆樹を風間隊の2人が抑えようとする。
「行くぞっ……姉さんっ!!」
「
隆樹は鍵型の黒トリガーを起動すると衝撃波と煙と共に隆樹を抑えようとした4人が吹き飛ばされる。煙が晴れるとそこには黒い軍服に身を包み薄い骨の様な羽根に8本の筒の様な物が跳ねの周りを回っていた。
隆樹は血走しらせた目をぎょろりと回した後太刀川たちを見据えた。
「第2ラウンドの始まりだ」