衝撃的な事件からしばし。
燈矢は朝は異世界(奉仕中心)、昼は学校、夕方は訓練、夜は異世界(訓練中心)と頑張っていた。
確かに焦凍は強くなるだろう。だが、焦凍はそもそもお父さんの作品ではないので、焦凍が一番になってもお父さんは一番になれないのだ。贋作というやつだ。
一応、お父さんが本当の父の可能性もあるって話だったけど、可能性もってなんだよ、「も」って。
DNA鑑定をすればわかるというが、それ言い出したら戦争不可避である。
少なくとも俺には絶対言えない。俺だって空気を読むのだ。
なんでも話せてた夏くんとの距離も、それでちょっと開いてしまった。悲しい。
最近また、悩みがあるなら話して欲しいって言ってくれてるけど。
兎にも角にも、正真正銘父の作品である俺が、一番にならないといけないのだ。
父はそんな俺の心も知らずに、今日も訓練しないで遊べとご説教。良いご身分である。
ああ、訓練だけしかしないわけではない。
だって、ワフ様へのご奉仕があるからね。
炎耐性をくれたのはワフ様なのだ。ちゃんとお仕えせねばならない。
個性を上げるなんて普通はできないのだ。
朝、夜と1人になって祈るからと言って、実際は異世界に行ってるわけだけど、祈りも欠かしてない。朝、ワフ様にご挨拶に行った後の女神詣、夜寝る前、食事の時も。必ず女神様に祈っている。チャンスをくれてありがとうって。
奇跡の原資がなんなのかを忘れてちゃダメだと思うんだよね。
皆、いずれ隠す必要がなくなったらエンデヴァーをぶん殴れって言ってくれてる。
俺にはそれが出来るって。
ああ、ワフ様の力でどんどん成長していくのを感じる。
俺はきっと、お父さんに勝つ。それでもって、オールマイトにも勝つ。
半燃半冷の焦凍にも、爆破と水を操る爆殺王にも勝つ。
ぜーんぶやんなきゃいけないのが、エンデヴァーの息子の辛い所だよね。
不満なのが、異世界では個性を使えないこと。
こちらではショップで魔法を買えば魔法を使えるようになるけれど、それはAFOには決してバレてはいけないから、小規模な実験しか行えない。
もっと派手に、個性と魔法を合わせて訓練したい。
特に賢き炎の研究がしたい。
でも、ただでさえAFOに監視されてるのに、これ以上怪しい行動は出来ない。
食事の時、女神様にお祈りを捧げていると、なんとも言えない空気が広がってしまう。俺が火傷がキツすぎて新興宗教にハマったと思われているのだ。いや、それは間違い無いのだが、最強女神様はすごい女神なのに……。
それからしばらくして。
「神は個性を作りたもうた! なのに個性を使うのを法律で禁じるとはけしからんと思わんかね。人はもっと自由であっていい」
はい、AFOに調略されてます。調略って難しい言葉知ってるだろ。爆殺王に教えてもらったんだ。ちっさいけど賢いよね、彼。
この言葉に、女神様にいらない設定をつけるなと言いたいと反論したい所だけど、女神様の事を詳しく話せるわけでは無いので黙る。
そして、考える。
女神様だったら、何を望むだろうか?
「女神様は、奴隷は悲しくなっちゃうと言いました」
「では!」
「そして、可哀想なのは悲しくなっちゃうとも言いました。個性の悪用はダメだと思います」
「しかし、今のままでは人々は制度の奴隷でしかない!」
いや、いろんな世界の話を聞いてて、犯罪率とか調べてもらって、この世界の民度やばいなって本当に思う。
個性を封じる事によって、そのストレスが逆に犯罪を増やしてるんじゃないかってさ。
呪術師も犯罪率高いみたいだけど、彼らは見せるのすらダメだものね。
逆に怪獣の世界は大変な世界なのに民度が高い。
いろんな世界を参考にして、思うのは。
「個性の資格制度は、もっと柔軟で個々の事情にそうようなものが良いと思います。今のヒーロー資格に付随する形では、一部しか個性を使えない。でも、それにしたって、個性の悪用はしない事が大前提ですよ。ルールあっての自由です。動物だって最低限のルールは持ってるんだから」
そうして、俺はAFOの部下を追い返した。
そうだ。
読太が言っていた。
ヒロアカ世界に必要なのは、ヒーローじゃなくて制度を変える政治家だろって。
本当に世界を救うのがナンバーワンヒーローなのでは無いだろうか。
「お父さん」
「な、なんだ? 燈矢」
「俺は政治家ヒーローを目指したいと思います。あと教祖」
「!!???」
目立てるのは、すでに目をつけられた僕だけだから。
この際、お父さんの権力も財力も何もかも使ってやる。
「ヒーローだけが個性を支える世界は間違ってる。女神様のように、個々に寄り添って、幸せになるように導くんだよ」
そういうわけで、学校で演説したり、ネットで活動をしたり、宗教団体の設立準備をしたり。協力者や賛同者は雪だるま式に増えて、一般信者が1000人を突破した時。
「燈矢! お父さんと一緒に訓練をしよう! 訓練だけしてよう!」
そうお父さんが言ってくれたので、パトローワンにバトンタッチして俺は頑張って訓練に集中したいと思います。
ヒーローは強くなるのも大事だしね。
お父さんはすごく上達してるって驚いてくれた。
それが凄くすごーく嬉しかった。
お父さんが付き合ってくれるので、僕は異世界での修行時間をお父さんの修行時間に少しシフトした。
教団にはAFOとか異能解放軍とか一般ヴィランとか滅茶苦茶入り込んで大変そうだけど、どっちみち政治が変わらないとこの国の未来は変わんないらしいから仕方ないね。そもそも、AFOも異能解放軍も一般ヴィランも、個性を十全に活用するというのが根底にある。
当たり前だ。個性は生まれ持ってのもの。封じて生きていくなんて不自然だし、不健康だし、誰だってやりたくない。
力が大きすぎるから仕方ないとはいえ、それをヒーロー以外は使うなというのが滅茶苦茶なのだ。到底飲み込める事ではない。
個性に対するメンタルケアと活用方法の模索は非現実的なほどに手間とコストが掛かりすぎるという点を除けば、誰もが賛同するだろう。
問題は、活用方法に多分に悪用とか大暴れが入るという点で、その辺はパトローワン達に頑張ってもらいたい。
子供の俺はとにかく強いヒーロー目指して頑張るよ!
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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