僕はキノ。
四ノ宮キノ。
キコルのお兄ちゃんであり、生まれなかったはずの男の子である。
父親は防衛隊第一部隊隊長。母親は防衛隊第二部隊隊長。
そして女神様の信者。
僕はまだ誘われてはいないけれど、いずれ女神様に、その使徒ミニャちゃんの子孫のサラ様にお仕えするんだと思う。
その女神様の予言らしい。
今からずっと未来のお話。
キコルとカフカの物語。
キコルは天才で、文武両道、可愛くて最強のお姫様らしい。
今はまだ赤ちゃんだけど……。
僕は小学生になっても二カ国語が精々のとんでもない落ちこぼれだし、キコルは赤ちゃんなのに早くも言葉を覚えつつある。天才すぎる。
よく宗一郎お兄ちゃんと話している。
よく出来た下を持つと苦労するよなって。
なんせお兄ちゃんとしての矜持がある。義務がある。
お兄ちゃんは凛と立たないといけないのだ。弟に、ましてや可愛らしい妹に負けちゃダメなのだ。
どんな手を使っても!
だから、早くサラ様の加護が欲しい。
サラ様のお人形になれば成長が早くなる。
死に物狂いで学んで、学んで、お兄ちゃんを頑張った。
キコルは出来たのに、キコルは出来たのに、キコルは出来たのに。
そんな声を聞きながら。
結果。
「ざーこざーこ♡ 英語が出来ない事を許されるのは小学生までだよねー♡」
「あんたなんか、お兄ちゃんがやっつけちゃうんだからね♡」
「大人のくせになっさけなーい♡ ざぁこざぁこ♡」
「えっと、クールで優秀で強い天才美少女……?」
「知らないわよ。皆がよってたかって甘やかせたせいじゃない?」
キララは肩を竦める。
そう、僕には2人の妹ができていた。キコルとキララ。
キコルはキコルだと思う。2人とも天才なのでちょっと自信がないけど、年齢的に多分間違いない。
6号との戦いを、無事母さんは切り抜けた。
両親から、僕から、周りの人達から、何よりサラ様からたっぷりの愛情を注がれて、とんでもない御子様になってしまった。
具体的に言うと、煽り散らかした挙句僕に押し付けるクソ妹、失礼、お姫様だ。
これが大怪獣を倒す? 無理無理無理。まず泥臭い努力をしないでしょ。
なんでも出来る反面、そういった努力に耐性がないのだ。
それに、困ればなんでも僕が助けてくれると思っている。いや、助けるんだけどさ。独り立ちできるのか、お兄ちゃんは凄く心配です……。
「えっと、大怪獣どうするの? 鳴海のサポートは?」
「お兄ちゃんがやってよ♡ 役目でしょ♡」
「兄様、自分のやった事なんだからちゃんと責任取るべきよ」
僕はガクッと地面に崩れ落ちたのだった。
マシュマロ
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