京都校の保健室で、直毘人は身支度を整えていた。
「お疲れ様、パパ♡」
「じーさんももう歳なんだから無理すんなよ〜?」
「回復効いたかな。少しは楽になったかい?」
「ああ、だいぶ頭もスッキリした。しかし、そちらの六眼は親しみがあるな」
「そりゃ女神様の後ろ盾があるからね。飛ばされた状態ではあるけど、変わらず女神様ともウニャ様とも繋がってるし、傑達もいる。何にも困ってないもん」
余裕は優しさである。
「ふむ。元の世界に戻れなくなったらいつでも禪院家で預かるぞ。というか直哉だけでも戻らんか」
「女神様の加護があるし、皆もおるし、どうとでもなるからなぁ。わざわざ禪院家に戻って嫌な思いする必要ないやろ。話し合ったんやけど、戻れない場合、戸籍だけ用意してもらってフリーの術師しつつ診療所開く相談しとる。魔法は呪術じゃないから非術師に使ってもなんか言われる筋合いないし、呪術界と縁切っても生きるのには困らんし」
こちらもトゲトゲしいものが全て取り除かれたホワイト直哉がのたまう。
余裕は寛容である。
相手が噛み付いてきたら関係を断てばいいというのは強い。
だから、いちいち苛立つ必要もないのだ。
「禪院家どころか五条家にも戻らぬのか」
「もっと広くて優しい世界を知ったらどうしてもな。争いそれそのものがもう嫌やからな、自分。わざわざ苦しい思いせんでも、呪霊なんて楽勝やし……楽しんで戦える範囲で十分向こう側いけるし……」
呪術師の直哉が聞いたらぶん殴られそうなことを言う直哉。
「どうしても布教はしないか」
「無理やなー。ウニャ様の判断やし。せやけど、こうして治療は喜んでさせてもらうから。そもそも、多分禪院家の大半が女神様のお眼鏡にかなわんよ。学生時代の自分がギリギリやったもん。あまちゃんしかなれん」
「私もあとちょっとタイミングがずれてたら危なかったよね」
「ウニャ様とやらはそんなに仕えるに値するか」
直哉は真面目な顔をした。
「本物の女神様から超有用術式を選んで授かれる権利は十分忠誠に値するんよ」
「それもそうか」
「十種や六眼無下限まで行かなくても、その次ぐらいに凄くて万能性のある力やで? 自分、魔法で目の前の人の名前わかるし、疲労回復できるし、炎の武器作れるし、盾作れるし、火球出せるし、敵だけ燃やす事できるし、領域展開はできないけど十分すぎるやろ。こう見えて、悟くんに頼りにされるぐらい凄いんやで」
直毘人に見られ、頷く。
「事実だよ。人物鑑定と賢き炎は本当に頼りにさせてもらってる。疲労回復もよく掛けてもらってるし」
「ほらな、凄いんや自分。傑くんの呪霊の大軍にも範囲魔法で対抗できるし」
「ほほぉ……。なら今度、一緒に依頼に行ってみるか」
「ええよー。自分のいいとこ見せたるわ」
後日、直毘人と直哉は依頼に行く。
直哉は呪霊だけ燃えるようにした賢き炎で範囲攻撃を行う。
更に、しぶとい本体にセイントファイア。
これで終了、周囲の被害は皆無だった。
なお、扇がやったら火力足りないしこんな範囲燃やせないし被害が出る。
いやこれは頼りにされますわ。
その後も、赤血操術と水魔法を自在に操って華麗に呪霊を倒す憲紀とか。
闇魔法の使い方を恵にレクチャーする七海とか。
回復魔法で一発で治らず、一生懸命仲良くなって治したいと思いやすくして癒そうと距離を詰めて良い所を見つけて列挙してきて、治療が終わった後もしょんぼりした感じですぐ癒せなかったとことを謝ってジュースを奢ってくれるガチ恋量産機な特級とか。(そして五条が妬いてくる。面倒臭い)
笑顔で明るく癒してくれる灰原とか。
一緒に影に潜って攻撃から庇ってくれる乙骨とか。
ネット系の調査ですげー役立つ、というかメール一本で相手の位置や状況を電子鑑定して把握、的確に指示を出す上、戦闘もバッチリ出来て空いた時にマッサージもしてくれるスパダリ伊地知とか。
もちろん最強ででも余裕があるせいか更に優しくてよく祈りを捧げている五条とか。
食いしん坊キャラでお菓子とかをあげると喜んでくれる全員とか。
女神の加護分進んでいて、何気なく教えたり鍛えたりしてくれる全員とか。
どんどん好感度を荒稼ぎしていく教団信者だった!!!!
別に呪術界に拒絶されたら独立すればいいしな……という考えも全く隠していないし、何もしなければ仕事もバリバリこなしてくれて貴重な回復もバッチリな一行に文句をつけることも出来ず、総監部もなんとか取り込めないか様子を伺うしかないのだった!
教祖の夏油傑はイライラしていた。
何せ親友が自分の偽物と四六時中仲良し超えてイチャイチャしているのだ。
モヤモヤしてしまうのも仕方ないだろう。
そんなわけで、街で悟と偽夏油と直哉が歩いてるのを見て、つい距離を取って監視してしまうのも仕方ないだろう。
ちょうど、遠距離監視にちょうどいい呪霊を捕まえていたのだ。
鏡に遠方を映せる呪霊である。
悟と偽夏油は2人で一個のあんまんを食べている。本当に仲良いな。1人じゃ食べきれなーいって、それぐらいの量余裕だろ君。
直哉はスルーして肉まんを大量に買っていた。1人でそんなに買ったら迷惑だろ。
ああ、直哉の後ろの女の子がトボトボと……直哉が気づいて声を掛ける。
偽夏油も驚き、声を掛ける。
訝しげにする女の子に、直哉が携帯を出して声を掛ける。なんだか必死だ。
そして肉まんの袋を押し付ける。
偽夏油も積極的に話していて、ついに女の子は根負けして携帯を出した。
もちろん、夏油はその女の子を調べた。
その女の子の名は、新都 算座。
非術師の投資家。全く接点がわからない。
ただ、予想はつく。教団のメンバーだったのだろう。
教団に必要なのは信仰心で役割も呪霊退治ではないのだから、そりゃ術師以外も選ばれる。
しかしその正体はもっと複雑だ。女神直属の使徒、ウニャちゃんの先祖であるミニャちゃんに仕えし始まりの賢者、その宰相。ミニャ補佐官のニーテスト……になる可能性を持っていた女である。
なんと、この世界には並行世界の賢者達もいたのだ!
ここに、教団の弱みが爆誕した。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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