クワトロ玩具箱   作:かりん2022

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【個】気づけば1人増えている

色々話がややこしくなるので、大きな教団があり、10年前に教団の恐ろしい予言があり、未来を変えようとした結果今があると告げ、簡単に予言の概要を説明した。個性の他に属性加護という異能が使える事も。

 

説明は2度目なのとその時に資料を用意していたので、スムーズに進んだ。

 

「未来は変えられないという話だったが……」

「個性じゃなくて予言ですね。それに未来視にもタイプがあるのではないでしょうか」

「ぼ、僕がそのAFOを倒すんですか?」

「最終的に、みんなの力を借りて、頑張ったからこそ起きた奇跡が何度も起こって、最終的にね。僕は女神様の加護で回復が出来るから、今日のうちに簡単にOFAの力の使い方を覚えようか。かっちゃん、細かい説明はお願い」

「なんで俺が……俺しかいねーか」

「任せたまえ! そう、私がダークマイトに後を託されたのは」

「ハイハイ、お前はサインの練習をしてろ」

 

 根津校長は決断をした。

 

「聞かなかった事にするのさ!」

「はぁ!?」

「将来性バッチリでも、今は生徒達も戦った事のない一般人なのさ。ヴィランに対処できるとは思えない。下手に情報開示してヴィランに本気になられても困るのさ。ヘイトを他へ回しつつ、時間を稼いで死ぬ気でレベル上げするのさ。緑谷くん達はパラレルワールドから来た、全く違う個性の人間って事にするのさ。事実そうだし。オールマイトの完治も伏せる。ただし、緑谷くんの回復はあんまり強くない事にしてほしいのさ。古傷は治せないという感じで」

「なるほど……。わかった。個性が使えないのは痛いが、しばらくの間なんだろ?」

「相手が油断している間だけなのさ。それに対策は打っていくのさ」

 

 そんなわけで、13号先生にも急遽事情を説明。

 翌朝には、爆豪たちは紹介された。

 

「あー。個性事故で並行世界から、3人落ちてきた。帰還方法が見つかるまで、学校で預かることとなる。緑谷出久と爆豪勝己、教師のダークマイトだ」

「回復の個性のデクだよ。向こうではデクって呼ばれてるけど、こっちでもだろうから、僕の事はヒーラーって呼んで」

「水の個性の爆豪だ。アクアでいい。すぐに反応できなかったらすまん」

「私が来た! ダークマイトだ!」

 

 ざわざわざわざわざわざわ。

 

「先生! こっちでのオールマイトが並行世界のダークマイトさんなんですか?」

「彼はオールマイトのファンでオールマイト風に変装しているだけらしい。個性は錬金だそうだ。物を作り変える力だな」

「なるほど!」

 

 ほっとした空気が満ちる。闇堕ちしたオールマイトはいなかったんだ。

 

「私の個性に近いのかしら? 参考になりそうですわ」

「よく学ぶといい!」

「あー。マジでこいつ、個性錬金なのにすげー強いからそこは参考になるかも」

「学校の制服もちょっと違うんだね。見分けついて助かる」

 

 最強女神教団の衣装である。

 一行は早速バスに乗った。

 

「そっちの世界の事を教えてくれよ!」

「あー。多分こっちにはワンド制度はないよな」

「ワンド制度って?」

「ヒーロー以外でも比較的簡単に取れる、個性許可制度だ」

「個性ごとのカウンセリングも盛んなんだよ」

「へぇー」

「次世代オールマイトの威光もあって、犯罪率がぐんぐん下降してるんだよね」

「引退後はオールマイト以上の反発がありそうだって危惧されてるけどな」

「次世代オールマイトォ!?」

「オールマイトだって人間だもん。引退もするよ。ヒーローって激務だし」

「エンデヴァー?」

「私は認めてないが、エンデヴァーの息子の煉獄ヒーロー荼毘くんをそういう人も多いね! その力の凄まじさもそうだが、政治宗教にも深く関わっていて、彼に逆らえる者は皆無だね! 圧政圧政!」

「轟の兄ちゃんとか?」

「轟くんにも兄がいたんだね! 君のお兄さんも凄いんだな!」

「えっ 知らないぞ」

「本名は燈矢くんだったかな」

「こっちでは数年前に亡くなってる。そっか。そっちでは生きて頑張ってるんだな。でも政治や宗教って……」

「個性についてのカウンセリングの制度化を推し進めたり、個性使用に対する資格が簡単に取れるよう運動したり、個性の悪用をしないよう道徳教育に力を入れたりしてる。分裂を繰り返して、類似の団体はかなり沢山あるけど、方向性は一緒さ。悪用しないという大前提において、個性の使用をもう少し包括的に認める。禁止一辺倒で抑圧すると犯罪が増えるという統計も出ているしね。今じゃ大体の人がいずれかの個性解放支援団体に所属してるよ。ボランティアも盛んだ」

「へぇー」

「まあ、腕があるのに腕を使うなって言ってるようなもんだからな。以前の制度だと無理があったって事だ。カウンセリング事業はクソ大変だけど、支援するボランティア団体もアホほど増えたからな。セーフティネットが増えたのと、ヴィラン対策が苛烈になったから、それでも悪事をする気合い入った奴は中々いねーよ。ヒーロー学にカウンセリング学増えたけどな。無個性もそれはそれで個性ってことで、支援あるぞ」

「カウンセリング学みたーい!」

「うろ覚えの内容でよければ教えるよー」

「ヒーラー、リカバリーガールみたいなヒーローになるの?」

「弟子入りしてるよー」

「おお!」

 

 そうして楽しくおしゃべりしている間に、現地に着いた。

 

 

 さて、ヴィランが現れた時、13号は即座に動いた。

 

「皆さん、下がってください! ヴィランです!」

 

 戸惑いで固まる生徒達。

 だが、問題ない。

 

「ダークマイト先生!」

「はっはぁ! 問題ない。私が来た!」

 

 ヴィラン全員を船に収容し、内部で睡眠ガスと縛る縄を錬金。相変わらず無法の能力である。脳無には効かなかったのだが、命令されなければデクである。

 

「な、なんだったんだ?」

「凄いな……オールマイトの次世代を自称するだけはある」

「はーっはっはっは! このままヴィランの本拠地まで行ってしまうか?」

「お願いします」

 

 大量のヴィランを警察に送り届け、その日はそのまま訓練をした。

 翌日には偽りの証言で病院を襲撃。オールマイトとダークマイト揃い踏みである。

 

 だが、溢れる脳無を処理している間にAFOを取り逃すことになってしまった。

 死柄木弔と黒霧も脱走。

 

 なんとも苦い結果となってしまうのだった。

 でもダークマイトはハイパー目立って大活躍したので大満足!

 

 他にも敵連合、異能解放軍、死穢八斎會などの対応に乗り出す模様。

 頑張れオールマイト。頑張れダークマイトx2。

 途中からダークマイトが増えてるんだけど、怖いから触れないぞ!

 

 2人が派手に動くのは、生徒から視線を逸らす為でもある。

 

 その間、生徒は平和に体育祭だ。

 ヒーラーとアクアは本当は2年生というのもあって参加出来ないが、訓練とその手伝いは積極的にするつもりである。

 そんなおり、ヒーラーとアクアに客人が来た。

 

「やー」

「あっ ホークスさん。今日は心操くんと打ち合わせですか?」

「いや? なんで?」

「俺らのとこではあいつ公安ヒーローなんだよ。スカウトされてて、早々と免許取らされて、体育祭も個性広めないように出場禁止」

「そうなんだ? よっぽどいい個性なのかな?」

「いい個性ですよ。洗脳なんですけど、変声期を使う事でかなり使い勝手が良くなるらしくて。暴力を使わない無力化・人質救出・撹乱・潜入任務にピッタリだとかで、もう実戦にもかなり出てますよ。僕らの所、デモの暴徒化が多くて、興奮した人達を落ち着けるのにも大活躍みたいで」

「へぇー。こっちでもツバつけちゃおっかな。今回は、そういういろんな話を聞きに来たんだ。一年未来の並行世界の話が聞けるって聞いてね。参考になるものがあればって」

 

 ということで、雑談という尋問タイムである。

 ヴィランでないと確定しているホークスが相手なら、ヒーラーの口も軽い。

 クラスメイトの個性の有効活用方法だったら任せてください!

 ということでヒーラーは楽しく味方の大活躍の話をした。

 ホークスは聞き上手で、いろいろな話を聞いて行った。

 

「んー。AFOを倒した後なら、回復にも従事してくれるんだね?」

「はい。AFO討伐前は、間違えてAFOを回復させられる可能性も考えて大規模な活動は控えたいと考えてます。それ以降なら、頑張ります。元の世界に戻る方法が見つかるまでの間なら、ですけど」

「ありがとう。その時はよろしくお願いするね」

 

 それからしばらくして、心操から呼び出された。

 

「心操君、どうしたの?」

「並行世界の緑谷、いやヒーラー、お前、公安に俺のこと売っただろ」

「えっ」

 

 ざわざわざわ……。

 

「俺は今まで、体育祭で活躍してヒーロー科に移動しようと必死で訓練していた……」

「心操くん……」

「お前が並行世界の俺のことすっごく自慢したせいで、俺もヒーロー科への移動飛び越して直接ヒーローにスカウトされたから体育祭ずっと出席禁止だぜありがとう! 放課後公安に通って講義を受けて普通科のままヒーロー資格取る事になった!」

「おめでとう!」

「体育祭出席禁止かー。辛いな」

「良かったんだけど、良かったんだけど……! なんか複雑なんだよ! 俺本当にヒーローのレールに乗れてるのか? なんか薄暗いとこに行き着いたりしない!?」

「僕のところではちゃんとヒーローとして学生中から活躍してるから大丈夫だよ」

「それはそれで不安になるんだって! 大体、そっちの俺は優秀なのかもだけど、俺もそうとはならないかもだろ!?」

「いやー。心操くんは頭もいいし、工夫のできる個性だし、いけるよ」

「心操は心配いらねーだろ。真面目に訓練頑張れ」

「俺はスポットライトを浴びたいんだよ! 裏の世界行かない!? 大丈夫なのか!? 信じていいのか!?」

 

 ヒーラーとアクアは目を逸らした。

 

 ヒーローはヒーローだし……。

 夢はヒーローになること、としか聞いてないし……。

 

ということで、体育祭は盛り上がった。

ヒーラーのスパルタ特訓により、メキメキと成長する緑谷だった!




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