クワトロ玩具箱   作:かりん2022

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【怪】試練クリア!

「お兄ちゃんがいてくれないの嫌だぁ〜!! 私今、クレープのお口なの!」

 

 バタバタバタバタ。

 

「うむ……甘やかすのはやっぱりいかんな!」

「そうみたいだな。事あるごとにキコルにマウント取りに行くのは良くないと思うぞ。甘やかすのはダメでもそこはフォローした方がいいぞ」

「すまんな」

 

 今日の朝も、メスガキコルがキコルに兄や母のことを自慢して鳴海が殴りかかり、喧嘩になったばかりである。

 

「全く……」

 

 キコルがメスガキコルを宥めて訓練に向かわせ、戻ってくる。

 

「キコル! その」

「私は大丈夫! その、甘やかしてくれるパパは羨ましいって思うのも本当だけど……。魔法さえなければ私の方が頑張ってるって思うのも本当だもん。というか魔法ありでも私、勝負して勝てたし」

「キコル……」

「作物には、水をあげない方が甘くなるものがあるんだって。人間もそうなんだと思う」

「根腐れするほど水やりされてたみたいだしな」

 

 鳴海がズバッという。

 

「でも、9号の事がなんとか出来たら褒めて欲しいなって。私、今度はパパを守れるよう、頑張るから」

「キコル……わかった。お前は僕が鍛えてやる! 僕に任せろ!」

「お願いします、鳴海隊長!」

「キコルの一家団欒の為なら、俺、頑張るぜ! 俺も猛特訓頼む!」

「ありがとう、カフカ。それと、キーちゃんをあまり怒らないであげてね。私は大丈夫だから」

「「「それは無理」」だな」

 

 そうして、防衛隊は一致団結して、猛特訓が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 そして、怪獣大侵攻の時。

 キコルがピンチになった時。

 

「キコルーーーーーーーーーーーっ」

 

 キコルそっくりの男が現れた!

 

「誰よあなた!」

「俺はキコルのお兄ちゃんだ!」

「あっ キーちゃんの」

「たとえ女の子だろうと、キコルを泣かせるのは許さん!」

 

 炎が大きな槍を形作る。

 

「下がってて、キコル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそ……!」

「苦戦してんじゃない、鳴海お兄ちゃん」

 

 苦戦する鳴海隊長に声を掛けたのは、キコルに似た女の子だった。

 いや。

 

「キコル……?」

「鳴海お兄ちゃん、いっつも無敵みたいに見えるから、なんか新鮮」

「はぁぁ〜!? 俺はいっつも無敵だが!?」

「そう。援護してあげるから、さっさと倒しちゃおうよ」

 

 雷が。凄まじい音を立てて、滞留する。

 そして巨大な斧を形作った。

 

「私はキララ。キコルおねぇちゃんが迷惑掛けててごめんね」

「それは、ほんとそう!」

 

 

 

 

 

「刀だけは負けられんのや!」

「それはそう。本物の剣術ってやつを見せてやるわ」

「ふぅ、ここはお兄ちゃんに任せるといい」

「兄貴は邪魔や」

「(つーん)」

「弟達が辛辣!?」

 

 保科 宗四郎そっくりの男と宗一郎そっくりの男が、保科宗四郎を庇うように立った。

 剣がーー舞う。

 

 怪獣が解体されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 亜白の隣で、勝気に笑う亜白そっくりの女。

 

「2人でやったらすぐ終わるよ。片っ端から撃っていこう」

「私……!?」

 

 

 

 

 功は絶句していた。信じられないものが目の前にいた。

 

「相手が数で来る? なら、こちらも数で攻めればいい」

「パパァー♡ 次元転移装置、私、頑張って作ったよ♡ 褒めて♡褒めて♡」

「ふふ、えらいぞ。キコル。流石はキコルだ。でも並行世界の自分を虐めたのはダメだぞ。あれから私も考えた。キコル……今度のコンサートは1人で行きなさい」

「ええー!! なんで!? どうして!?」

「そこは行かせないにしましょうよ!!! 甘すぎでしょ!」

「私はどこ行こう?」

「僕は9号を倒す。この前はヒカリさんに取られちゃったしね」

「そうだな……。鳴海の後詰に行ってもらおうか。ヒカリ」

「了解!」

 

 

 そして、9号事件は幕を閉じた。

 彼らは次元転移装置がチャージするまでの1週間滞在することとなった。

 あと、メスガキコルの所業を聞いた並行世界の功とキノはキコルに土下座した。

 

 亡くなった母と存在しなかった兄と妹に囲まれ、まるで双子の妹のようなメスガキコルとふざけ、甘い父と厳しい父に挟まれ、キコルは家族団欒の擬似体験をして思い出を作るのだった。

 

 

「フハハハハハざーこざーこ! やはり僕は無敵だな! この僕に叶う者などいない!」

「ふざけんなー! 並行世界の僕だろうが知ったことか! ぶっ倒す!」

 

「この僕が編み上げた剣術、存分に吸収するんやな!」

「言うたな!」

「お兄ちゃんもいるぞー。聞いて? お願いお兄ちゃんも視界に入れて……」

 

 

「ママ……。亡くなった私のママ。間に合わなかった私の事、怒ってないかな」

「キコルちゃん。あなたのママは絶対にあなたの事を大好きだったわ。私がキノとキコルとキララを全員大好きなのと同じようにね。だから、私のキコルも拗ねない!」

 

 隠れていたメスガキコルがビクッとする。

 

「おいで。キコル。キコルちゃん」

 

 そろそろと近寄るキコル2人を、ヒカリはぎゅうっと抱きしめる。

 

「大好きよ、キコル。キコルちゃんもこの1週間だけは、私の事をママと思っていいのよ」

「ママ……。ママぁ!!」

「ママ」

 

「と言うことで、2人が生き延びられるように、ビシバシ鍛えるわ! キコルもそろそろ性根を叩き直す時が来たようね」

「えー!」

「ふふ。はい、ママ!」

 

 1週間、有意義に過ごす。

 さあ戻るかというところで、装置を使うまでもなく元の世界に戻っていた。

 そして、魔法がレベルアップするのだった。




マシュマロ
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