ガンダムU.C. Altered Line   作:シャノワール

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遅くなって申し訳ありません。
書き上がりましたので投稿します。
なかなか、上手く纏まらずに時間がかかりました。
次の投稿も少し遅れるかもしれませんので謝罪します。
それから、誤字報告してくれた事に感謝します。
こう言った事は、作者でも気づきにくいものなので。



焦燥の想いと強い決意

コムサイ内部は、大気圏突入の余熱がまだ残っていた。

計器の警告音がようやく止み、通信ノイズが薄れていく。

 

シャアは前方モニターを見据えたまま、静かに口を開いた。

 

「ドレン、木馬の落下予想地点は何処だ?」

 

「はっ。

 木馬の侵入角度を割り出しますと……キャリフォルニアベース周辺かと」

 

シャアは腕を組み、顎に手を添えて考え込む。

その横顔は冷静そのものだが、瞳の奥には“白いMS”への警戒が宿っていた。

 

「西にはキャリフォルニアベースがある。

 となると、それを避けるべく東へ脱出を図るか」

 

そこまで言ったところで、マリアが一歩前に出る。

声は落ち着いているが、確信に満ちていた。

 

「いえ、少佐。

 木馬は東へ向かうことはないかと」

 

シャアは興味を示すように視線を向ける。

 

「理由を聞こう、中尉」

 

マリアはモニターの操作パネルに手を伸ばし、北米大陸の地形を表示させる。

その指先は迷いがない。

 

「少佐の言う通り、東へ出ればキャリフォルニアベースを避けられます。

 ですが――」

 

マリアは東側の地形を指し示す。

 

「こちらは身を隠せる地形がほとんどありません。

 平地が続き、レーダーにも丸見え。

 ジオン勢力下で挟撃される可能性が高い。

 木馬がそのような危険を選ぶとは思えません」

 

シャアは小さく頷く。

 

「なるほど。

 では、中尉は木馬が東ではなく南下すると予測するのだな?」

 

「はい。

 そして――」

 

マリアは地図を南へスクロールし、峡谷地帯を指し示す。

 

「彼らにとって最も都合の良い地形があります。

 グレートキャニオンです」

 

ドレンが思わず息を呑む。

 

「グレートキャニオン……!」

 

マリアは続ける。

 

「峡谷はレーダーが効きにくく、視認も困難。

 追跡を避けるには最適なルートです。

 木馬はここを伝って南下するはずです」

 

シャアはしばし沈黙し、やがて満足げに微笑んだ。

 

「……見事な分析だ、中尉。

 そこを押さえるのが得策だな」

 

その時、ドレンが声を上げた。

 

「少佐、通信が回復したようです。

 繋ぎます」

 

モニターにノイズが走り、やがて一人の青年の姿が映し出される。

 

≪やぁ、赤い彗星。

 君から通信してくるとは≫

 

シャアは苦笑しながら応じる。

 

「どうやら、その呼び名は返上しなければならないようだよ。

 ガルマ大佐」

 

≪ははっ、珍しく弱気じゃないか?

 君らしくないね≫

 

軽口を叩いた後、ガルマの表情が引き締まる。

 

≪それで……何かあったのか?≫

 

シャアは声のトーンを落とし、真剣な口調で告げる。

 

「敵のV作戦を聞いたことはあるか?」

 

≪V作戦――ああ、連邦が秘密裏にMSを製造しているという噂か?≫

 

シャアは頷き、続ける。

 

「その正体を突き止めたんだがね。

 そのおかげでザクが数機も撃破された」

 

≪ザクが……数機も……?≫

 

ガルマの表情に一瞬、驚愕と緊張が走る。

だが、すぐに軍人としての顔に戻し、息を整えた。

 

≪……酷いものだな≫

 

シャアは淡々と続ける。

 

「大気圏で追い詰めるところまではいったが、破壊には至らなかった。

 そちらに誘い込むことには成功したがね」

 

そして、ふっと口元を緩める。

 

「君の手柄にするんだな。

 それから……オーエンス家の令嬢を、私の部隊で預かっている」

 

その言葉に合わせるように、マリアがシャアの背後から一歩進み出て敬礼する。

 

ガルマの目がわずかに見開かれ、すぐに柔らかい笑みが浮かんだ。

 

≪やぁ、久しぶりだな、マリア≫

 

「はい。ご息災のようで何よりです、ガルマ様」

 

マリアの声は礼儀正しいが、どこか懐かしさが滲む。

 

ガルマは苦笑し、肩をすくめる。

 

≪少し堅苦しいな。

 昔みたいに接してくれて構わないんだが?≫

 

マリアは小さく微笑み、しかし周囲を気にするように視線を動かす。

 

「ええ……ですが、今は周りの目がありますから。

 大佐の立場もありますし」

 

≪はは……それもそうか≫

 

ガルマは照れたように笑い、すぐに表情を引き締めた。

 

≪それで、シャア。

 “白いMS”の性能はそこまでか?≫

 

シャアは静かに頷く。

 

「侮れない相手だよ。

 木馬と白いMSには十分、注意した方が良い。

 後ほど、そちらへ向かう」

 

≪了解した。

 ガウ攻撃空母で迎え撃つ。

 ――緊急出撃だ!≫

 

背後で部下たちの力強い返答が響き、通信はそこで途切れた。

 

モニターが暗転する。

その瞬間、マリアの胸に重いものが落ちる。

 

(……ガルマ様は、本気で“親友”だと思っている)

 

シャアの横顔を見る。

腕を組み、無言でモニターを見つめるその姿は、

冷徹な軍人のようでありながら、どこか影が差していた。

 

(それを理解した上で……利用しようとしている少佐)

 

マリアは唇を噛む。

未来を知る者として、この先に待つ“ガルマの最期”を知っている。

 

――何度かの戦闘を経て、

シャアの誘導によって待ち伏せした木馬に、

ガルマは母艦ごと特攻する。

 

それが“原作の未来”。

 

マリアは腕を組み、シャアの背中を静かに見つめた。

 

(……でも、少佐は本当にガルマ様を憎んでいるのだろうか)

 

復讐を掲げながらも、

どこかでガルマに心を許していたように見える。

 

シャアの横顔には、

“復讐者”の冷たさと、

“仮初の友”への微かな思いが同居していた。

 

(もしも変えられるなら変えたい。

 ただの傍観者から現実を生きる側になったのだから)

 

幼い頃にガルマと交流した記憶が確かにあった。

それが余計に胸の奥に小さな痛みを残す。

 

マリアはしばらくシャアの横顔を見つめていた。

 

「……少佐」

 

声をかけると、シャアはゆっくりと振り返った。

その動きは落ち着いているのに、どこか“考えを遮られた”ような気配があった。

 

「何かね、中尉?」

 

マリアは一瞬だけ迷い、しかし意を決して口を開く。

 

「これから……どうなさるおつもりですか?」

 

シャアはわずかに目を細めた。

その表情は読み取れない。

だが、マリアの問いが“核心”に触れかけていることだけは確かだった。

 

「どうする、とは?」

 

「ガルマ様は……木馬を追撃するために出撃されます。

 少佐は、その……」

 

言葉を選びながらも、マリアの声には焦りが滲む。

 

シャアはそんなマリアをしばらく見つめ、

やがて静かに口を開いた。

 

「私はガルマ大佐と合流するよ。

 地上の指揮は彼にあるからな。

 私が同行すれば、より確実に木馬を追い詰められる」

 

その言葉は理屈としては正しい。

だが、マリアには“別の意図”が透けて見えた。

 

「その上で作戦を練るつもりだ。

 もちろん、君にも協力してもらう、中尉」

 

ガルマと協力して木馬を墜とせるならそれで良い。

できなくとも、木馬を利用して“ガルマを殺す”ことはできる――

シャアの胸の奥に潜むその計算が、マリアには痛いほど分かった。

 

だが、それを口に出すことはできない。

 

マリアは吐き出しそうな気持ちを飲み込み、

静かに敬礼した。

 

「……了解です」

 

その声は震えてはいなかった。

だが、胸の奥で燃える決意は、確かに強くなっていた。




シャアとガルマの関係はこんな感じかなと書いてみました。
また、内容も若干変更し更にマリアとの関係性も入れてみました。
2人はどちらかというと兄妹に近い仲で互いに恋愛感情はありません。
誤字報告がありましたので修正し直しました。
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