ガンダムU.C. Altered Line   作:シャノワール

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長く空けてしまいました、遅れてし申し訳ありません。



司令部での決断

ガウの司令室には、

包囲戦の余韻を引きずるような重い空気が漂っていた。

 

ガルマは椅子に深く腰を下ろし、

マリアとシャアが揃ったのを確認すると、

しばし沈黙した。

 

その沈黙には、

若い指揮官が“敗因を整理しようとする”重さがあった。

 

やがて、ガルマはゆっくりと口を開く。

 

「……まさか、ここまでとは思わなかった。

 敵の戦力を見誤っていたようだ。

 包囲網は狭まりつつあったが、南部の連携が崩れた。

 通信障害が致命的だったな」

 

シャアが静かに頷く。

 

「ミノフスキー粒子の濃度が高かったからな。

 あれでは部隊の連帯は望めない。

 無理に追撃すれば、各個撃破されていただろう」

 

ガルマは悔しげに唇を噛む。

 

「……木馬を逃したのは痛い。

 だが、追撃できる状況ではなかったのも事実か」

 

マリアが補足するように口を開く。

 

「はい。

 あの状況では、既に包囲網は完全に瓦解していました。

 判断としては妥当でした」

 

ガルマは深く息を吐き、

次の懸念を口にする。

 

「だが、このまま南下されれば……

 木馬はすぐに抜けてしまうのではないか?」

 

シャアは首を横に振った。

 

「いや、恐らくすぐには抜けられないだろう」

 

「理由は?」

 

「南下する場合、山脈の谷間を沿って越える必要がある。

 高度を上げれば早く抜けられるが――」

 

マリアが静かに続きを答える。。

 

「――高度を上げれば、こちらの索敵範囲に入ります。

 木馬はそれを避けるはずです」

 

シャアは淡々と結論を述べる。

 

「だから低空で進む。

 谷間を抜けるなら、どうしても時間がかかる」

 

ガルマはようやく表情を緩めた。

 

「……なるほど。

 完全に逃げ切られたわけではない、ということか」

 

マリアは資料を見ながら静かに言った。

 

「とはいえ、このまま行けば数日で山脈を抜けられるでしょう。

 低空で進む以上、どうしても時間はかかりますが」

 

ガルマは腕を組み、深く頷く。

 

「その前に対策を立てねばならん、ということだな」

 

マリアは軽く頷き、言葉を添える。

 

「はい。

 その為には、まずは木馬の事を知るべきかと」

 

ガルマは少しだけ表情を引き締めた。

 

「……そうだな。

 ならば、まずは敵の戦力を正確に把握する必要があるな」

 

その言葉に、シャアが静かに視線を向ける。

 

「戦力を把握するには、まず木馬の内部情報だ。

 中尉、君が入手したデータを見せてくれ」

 

シャアの声は淡々としているが、

その奥には“確かめたい何か”が潜んでいた。

 

マリアは頷き、資料ケースを開く。

 

「……はい。

 潜入時に回収したデータをまとめてあります。

 木馬の構造、白いMSの装備、そして――

 推進機関に関する情報も」

 

シャアの目がわずかに細くなる。

 

「推進機関……興味深いな」

 

ガルマは身を乗り出す。

 

「何が分かった?」

 

マリアは資料を机に広げ、

二人の前へ静かに押し出した。

 

「――木馬には、通常の艦艇には存在しない推進装置が搭載されています。

 恐らく……ミノフスキークラフトです」

 

ガルマの表情が固まる。

 

シャアは、ほんのわずかに口元を緩めた。

 

「……やはりか」

 

 

「確かジオンでも同じモノを研究しているはずだったな」

 

「はい、東南アジアに研究施設だったはずです。

 ギニアス兄…いえ、ギニアス少佐が責任者だったはずです」

 

「君の家は、サハリン家とも交流が会ったな?」

 

「ええ。父が軍需関係の仕事をしていたので……

 ギニアス少佐とは、昔から顔を合わせる機会が多くて」

 

シャアは二人のやり取りを聞きながら、

わずかに目を細める。

 

(……ほぅ。

 中尉は思った以上に繋がっている)

 

しかし、その思考は表情に出さない。

ただ静かに、二人の会話を観察するだけだった。

 

ガルマがふと何かを思い出したように口を開く。

 

「そういえば……

 昔、父上のところにギニアス少佐が来ていたな」

 

マリアは小さく首を傾げる。

 

「……そうなんですか?

 多分、研究への予算を取り付けるためかと。

 詳しいことまでは分かりませんが」

 

ガルマは「そうか」と短く返し、

少し考えるように視線を落とした。

 

シャアはその様子を見て、

淡々と声を発した。

 

「ならば、木馬の推進機関についても何か掴めるかもしれんな」

 

シャアはマリアへ視線を向け、

資料の提示を促す。

 

マリアは頷き、資料を手元に広げる。

 

「まずは木馬――

 連邦では“ホワイトベース”と呼ばれている新造艦についてですが……」

 

マリアの説明が終わると、

ガルマとシャアはしばし言葉を失ったように資料を見つめた。

 

ガルマが先に口を開く。

 

「……これほどとはな。

 MS運用を前提にした新造艦に、ルナチタニウムを使って対弾性を高めつつ軽量化……

 連邦は、ここまで本気でMS戦を考えていたのか」

 

その声には驚愕と、

若い指揮官としての危機感が滲んでいた。

 

シャアも資料から目を離さず、低く言う。

 

「ああ。

 特にこのエネルギーCAPだ。

 エネルギー消費を抑えつつ、戦艦並みの出力を生み出すらしい。

 ……つまり、連邦は“MSが携帯可能なビーム兵器”を既に実用化している」

 

ガルマは息を呑む。

 

「MSが……戦艦並みの火力を?」

 

マリアが補足するように口を開く。

 

「はい。

 ガンダムの装甲と武装は、現状のザクでは対抗が難しいレベルです」

 

シャアは淡々と続ける。

 

「ザクの装甲では一撃で抜かれるだろうな。

 私もこの目で見たからな」

 

ガルマは息を呑む。

 

「……そこまでか」

 

シャアは短く息を整え、

資料の別ページを指で軽く叩いた。

 

「もう一つ、戦局を変えかねないものが搭載されている。」

 

ガルマが眉をひそめる。

 

「まだあるのか?」

 

シャアはマリアへ視線を向ける。

 

「中尉、例の“内部制御系”のデータを」

 

マリアは頷き、次の資料を開いた。

 

「はい。

 MSに搭載されている“学習型コンピューター”についてです。」

 

ガルマは思わず身を乗り出す。

 

「学習型……?

 機体が、戦闘を“覚える”というのか?」

 

マリアは静かに頷く。

 

「はい。

 パイロットの操作データを蓄積し、

 次の戦闘ではより最適な動きを自動で補正する仕組みです」

 

「そして、問題は最適化による性能向上ではない。

 これがもし、他のMSに適応できるとしたら?」

 

「まさか…!?」

 

シャアは淡々と、しかし確信を持って言い切る。

 

「そのまさまだ。

 熟練パイロットの動きを“機体が再現できる”ようになったら……

 戦場の質そのものが変わる。」

 

ガルマは言葉を失い、

資料を握る手に力が入った。

 

「とはいえ、我々は運がいい。

 パイロットが素人だったことが救いだな」

 

シャアは淡々と視線を資料から外し、

ガルマへ向ける。

 

「それはどういうことだ?」

 

ガルマが問い返すと、

シャアは静かに説明を続けた。

 

「彼らはサイド7での襲撃で、正規のパイロットを含む人員を失っている。

 その際に避難してきた“十五の少年”が操縦している。」

 

ガルマは目を見開いた。

 

「十五……?

 少年が、あの白いMSを?」

 

マリアが資料を確認しながら口を添える。

 

「はい。

 年齢は十五。

 軍籍はもちろんありません。

 避難民の中にいた民間人の少年です」

 

ガルマは信じられないというように息を吐く。

 

「……そんな子供が、あれほどの動きを?」

 

シャアは淡々と、しかしどこか冷たい響きで言葉を継ぐ。

 

「元々いた正規パイロットの動きを学習したのだろう。

 でなければ、あれだけ動かせまい。」

 

ガルマは眉をひそめる。

 

「学習……ということは、

 少年は“正規パイロットの癖”をそのまま使っているのか?」

 

シャアは首を横に振る。

 

「いや、少年自身は理解していない。

 動きを補正しているのは“機体の方”だ。

 素人の操作を、学習型コンピューターが勝手に整えているだけだ。」

 

マリアが資料を確認しながら補足する。

 

「はい。

 ガンダムは正規パイロットが一度起動しています。

 その際の操作データが使われている可能性があります」

 

ガルマは息を呑む。

 

「つまり……

 少年は“自分の腕”ではなく、

 機体の学習機能に助けられているだけ、ということか?」

 

シャアは淡々と頷く。

 

「そうだ。

 少年の操縦は素人そのものだ。

 だが、学習型コンピューターがそれを“正規パイロット並みに補正している”。」

 

シャアは資料を軽く叩き、続ける。

 

「問題はそこだ。

 素人の操作でも補正できるなら――

 学習データが蓄積されれば、前任者の技量を“機体が上回る”可能性がある。」

 

ガルマは息を詰まらせ、視線を落とす。

 

ガルマはしばらく沈黙し、

資料を見つめたまま低く息を吐いた。

 

「……化け物を育てているようなものだな」

 

シャアは静かに目を細める。

 

「ああ。

 連邦は意図せず、だが確実に“怪物”を育てている」

 

ガルマは拳をゆっくりと握りしめ、

決断を迫られるように視線を落とした。

 

「やはり……ここで叩くべきだろうが……」

 

その声には、

若い指揮官としての焦りと、

ザビ家の一員としての責任が入り混じっていた。

 

「まずは兄さん達に上げるべきだろう。

 この情報は……僕だけで判断できるものではない」

 

シャアはわずかに視線を動かし、

ガルマの迷いを見透かすように静かに言う。

 

「判断を仰ぐのは当然だ。

 だが――木馬は待ってはくれん」

 

ガルマは深く息を吐き、椅子にもたれ掛かった。

しばしの沈黙の後、ゆっくりと立ち上がる。

 

「……分かっているさ。

 だか、この情報は早急に報告すべきだろう」

 

その声には、先ほどまでの迷いはなかった。

若い指揮官としての焦りではなく、

ザビ家の一員としての“責務”が宿っていた。

 

マリアはは静かに一礼する。

 

「必要な資料はすべて整えてあります。

 すぐにでもまとめれるかと」

 

シャアもガルマの方を見て

 

「すぐにも動けるようにすべきだろう。

 次は、私も出撃する」

 

ガルマは二人に短く頷く。

 

「……任せる。

 僕は兄さんに状況を上げる。

 場合によってはキシリア姉さんにも協力を要請する必要もある。」

 

その言葉を残し、

ガルマは司令室を後にした。

 

扉が閉まる音が響き、

重い空気の中に、わずかな決意の熱だけが残った。




久しぶりの投稿で語彙力が大丈夫か心配です。
また、少しばかり忙しくなる為、また、空けてしまうかもしれません。
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