ガンダムU.C. Altered Line   作:シャノワール

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とうとう第五話まで進める事ができました。
何処まで書けるでしょうか?なかなか執筆が進みません。


迫り来る影

ファルメル内ブリッジ。

木馬を追跡するファルメルは、静かに加速を続けていた。

艦橋前方の大型モニターには、コロニーを離脱したばかりの木馬の航跡が細い光の線となって伸びている。

 

シャア、ドレン、そしてマリアが並んで立ち、その軌道を見つめていた。

 

「……進路、固定されました。

 このまま行けば、目的地は――」

 

ドレンが分析結果を読み上げる。

 

「ルナツー、ですか」

 

シャアは腕を組んだまま、静かに頷いた。

 

「この宙域で最も近い連邦の軍事基地だ。

 安全に保護してもらうなら、あそこほど適した場所はない」

 

「なるほど。

 ……だから向かっているのですね。

 ルナツーに入られたら、こちらはもう手出しができなくなる」

 

マリアは小さく息を整え、静かに言葉を続けた。

 

(それにしても……何かを見落としている気がする)

 

言葉にならない違和感が、胸の奥に沈んだまま消えない。

理由は分からない。

だが、その“引っかかり”だけが、静かにマリアの心に残っていた。

 

「だからこそ、出来るならばルナツーへ到達する前に叩く」

 

「中将からの通信です」

 

通信機の点滅に気付いたドレンが、シャアへ向き直る。

 

◇ ◇ ◇

 

モニターにドズルが映る。

 

「シャア、パプアを送らせた」

 

補給艦の名前を聞いたシャアは、わずかに眉を寄せた。

 

「パプア補給艦……あの老朽艦でありますか?」

 

「殆どが地球へ回されている。

 現状で使えるのは、それぐらいしかない。

 ザクも二機しか回せん。どこも逼迫しているからな」

 

シャアは淡々とした口調で答える。

 

「問題ありません、中将。

 いただけるだけで十分です」

 

ドズルは意外そうに眉を上げた。

 

「……そうか。ならいい。

 だが気を抜くなよ。木馬は侮れん」

 

「承知しております」

 

通信が切れると、シャアはドレンに指示を出す。

 

「少尉。このまま木馬を追跡しつつ、合流地点へ向かう」

 

◇ ◇ ◇

 

ファルメルは木馬を追跡しながら、補給艦パプアと合流する。

 

「よくもこんなくたびれた艦が、まだ現役でいられるものだな……ドレン少尉」

 

接近してくるパプアを見て、思わず呟くが、すぐに気を取り戻して指示を出す。

 

「映像回線を開け」

 

「はっ」

 

ドレンが操作し、パプアとの映像回線が繋がる。

モニターには壮年の男性――ガデム艦長が映し出された。

 

「あの赤い彗星が補給を欲しがるとはな。

 ドジでも踏んだのか?」

 

「ガデム。

 馬鹿なことを言わないでいただきたい。

 油断したわけではない。敵が予想以上だっただけだ」

 

「ほう、赤い彗星にそこまで言わせるとはな!」

 

ガデムは少し感心したように笑う。

 

「悪いが敵はまだ近くにいる。

 こちらの動きを察知されれば、追撃の機会を失う。

 時間が惜しい。補給を急いでくれ」

 

「ふん、分かっているよ。

 儂をそんな鈍い艦長だと思うな。

 歳の割には素早いはずだ」

 

ガデムはすぐに部下へ指示を飛ばし、

シャアもまた補給受け取りの指示を出す。

 

「ハッチを開け!

 コンベアパイプ、ドッキング急がせ!」

 

「コンベアパイプ、受け取りよーし!」

 

ファルメルとパプアの間にコンベアパイプが固定され、

両艦の間で物資の受け渡しが静かに始まった。

 

マリアは補給作業の様子を見つめながら考えていた。

これから、どのように進むのかを。

 

(ここまでは順調。

 でも、これからはどうなるだろう?)

 

胸の奥に沈んだ違和感が、まだ拭えずにいた。

原作では……この後、どう動いた?

 

(あっ……!)

 

思い出しかけたその瞬間、オペレーターの声が鋭く響いた。

 

「――後方より熱源反応接近!

 ミサイルらしきものです!」

 

「……なに?」

 

「接触まで3秒……3、2、1――!」

 

次の瞬間、固定されていたコルトコンベアが爆発を起こし、

激しい衝撃が艦を揺らした。

 

「コルトコンベアがやられた!」

 

ガデムは一瞬だけ目を見開いたが、すぐに怒号を飛ばす。

 

「コンベアを切り離せ!

 巻き込ませるな!」

 

パプア側の作業員たちが慌ただしく動き始め、

ファルメルの艦橋にも緊張が走る。

 

「第二波来ます!

 ……7……6……5……」

 

「……っ。

 ガデム、運んできたザクは無事だな?

 そのままザクを放出しろ!」

 

「――ああ、何とかしよう!

 すぐに外へ放出する準備しろ!

 なるべくファルメルの近くにだ!」

 

ドレンが怒号に近い声で指示を飛ばす。

次の瞬間、再びパプアに衝撃が走った。

 

「ザクをシャアに渡さにゃならんのだ!」

 

「マチュウ、フィックス!

 船外でザクに乗り移る準備をしろ!

 私は先にMSで出る!」

 

シャアはドレンへ向き直る。

 

「ドレン、これは戦艦によるミサイルではない。

 MSの攻撃だ。パプアをカバーしろ」

 

「了解です!

 ――180度回頭急げ!

 残りのミサイルブロックは全弾、太陽方向へぶちこめ!

 主砲のエネルギー充填、どれくらいだ!」

 

「5分20秒です!」

 

「ええい、それでは遅い!

 補給のためにメインエンジンの出力を落としすぎたか……!」

 

ファルメル全体が補給態勢に入っていたせいで、

推進剤の流量も、ジェネレーターの回転数も抑えられている。

その“わずかな遅れ”が、今まさに命取りになろうとしていた。

 

シャアがMSデッキへ向かい、

自分のザクへ乗り込もうとしたその時――

 

「少佐、私も出撃します」

 

振り返ると、マリアがパイロットスーツ姿で立っていた。

その表情には迷いがない。

 

「……出来るのか?」

 

「はい。今は一人でも人手が多い方が良いでしょう?」

 

シャアは短く息を吐き、わずかに頷いた。

 

「……良いだろう。

 だが、無理はするな」

 

「了解」

 

マリアは即座にザクへ向かい乗り込む。

戦場の空気が、二人を飲み込んでいった。

 

ブリッジでは、緊迫した声が響く。

 

「第3波が来ます。

 7……6……5……4……」

 

シャアは飛来するミサイルへ照準を合わせ、トリガーを引いた。

だが、弾道はわずかに逸れ、ミサイルはそのままパプアへ向かっていく。

 

「……仕損じたか!」

 

次の瞬間、パプアの船体が大きく揺れ、爆炎が上がった。

 

「これ以上はやらせるか」

 

シャアは再び照準を合わせ、ミサイルへ向けて射撃する。

今度は正確に命中し、爆散させた。

 

だが――もう一発が、まだ生きている。

 

その瞬間、別方向から閃光が走った。

 

「――っ!」

 

ミサイルが爆ぜ、破片が散り散りに飛び散る。

 

≪……マリアか。

 よくやった。助かったぞ≫

 

マリアのザクがシャアの横へ滑り込み、

二機は次の敵影を探すように、暗い宇宙へ視線を向けた。

 

マリアは息を整えながら、胸の奥で小さく震える鼓動を感じていた。

ただ、箔をつけるために参加したあの戦闘とは違う。

これが――本当の意味での初めての実戦。

さっき撃ち落としたミサイルの残光が、まだ視界の端に焼き付いている。

 

(……当たった。

 私でも、やれた)

 

だが、安堵は一瞬だけだった。

 

視界の端を、白い閃光が横切った。

 

「……え?」

 

マリアが反射的に振り向くより早く、

鋭い推進音が二機の間をかすめていく。

 

シャアが低く呟いた。

 

「今のは……連邦の小型戦闘機か!」

 

白い機影が旋回し、パプアへ向けて突っ込んでいく。

 

「――来ます!

 敵の戦闘機、左後方!」

 

「迎撃しろ!」

 

次の瞬間、連邦の戦闘機から放たれた弾が、パプアの甲板を穿った。

 

「低く飛べ。

 補給物資は切り離して宙域へ放出しろ!」

 

シャアはすぐに次の判断を下す。

 

≪マリア、行くぞ。

 あれを落とさねば≫

 

≪了解!≫

 

二機のザクが同時に加速し、敵の機影を追う。

だが、その時――さらに強烈な存在感が現れようとしていた。

 

暗い宇宙の奥から、白い巨影がゆっくりと姿を現す。

 

(……来た。

 ガンダム)

 

マリアの喉が、無意識に鳴った。

記憶の中にある“白い悪魔”の姿が、重く胸にのしかかる。

 

(私は……勝てるのか?

 でも――やらなきゃ、生き残れない)

 

震えを押し殺し、マリアは操縦桿を握り直した。




読んでいただきありがとうございます。
原作アニメ第三話でのシャアとガデムってこんな感じなんだろうなという気持ちで書きました。
ドズルが老朽補給艦を送らせた理由も地球に回して足りてないが正解だと思いますから。
あと、原作とは違い、損害が少なめでV作戦の情報も手に入れているのでシャアとドズルの態度はあんな感じです。
一部、ご指摘がありましたので修正をしました。
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