踏み台転生者は死にたくない   作:富竹14号

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 なんかオリジナルモノを書きたくなってしまったので書きます、反省はしないけど後悔はする。


プロローグ

 

 

 悲鳴が響く…無数の悲鳴、男も女も子供も老人も関係無い、誰これ構わず恐怖と絶望に苛まれたような悲鳴を金切り上げていた。

 

 崩れた建物に折れた電線、黒煙を上げながら燃えさかる無数の車にそれによって二次災害の巻き添えを食らった無数の雑貨店…日常的な風景を映し出していたはずのその場は、今では一つの地獄を映し出していた。

 

 転がる人だったモノ…血を撒き散らした遺体、腹から臓器を溢れさせた遺体、崩れた建物に潰された遺体、燃えて黒焦げになった遺体、子供らしき小さな人影が頭を潰された遺体。

 

 無数に有象に転がる無数の死体、中には原形を留めぬものさえ転がるような…そんな地獄の中で、ただ一人ソレは立っていた。

 

 黒いコートを着込んだ男…崩れた建物の残骸の上で一人黄昏れるようにその場に立ち尽くしていたその男は炎の中にあるというのに表情一つ変えやしない…それは、その場に於いての異常だった。

 

 そんな男は、何かに気が付いたようにその視線を動かす…ゆったりとした動作で背後へと振り返る男…その視線の先に居たのは、信じられないと言いたげな表情で自身を見上げる少年の姿だった。

 

 何処ぞの学校の制服だろうか、白いブレザーを着込んだ少年に更に続くように同じような制服を着た少年少女に大人らしき男性女性が次々とその場に降り立っていく…そして、浮かべるその表情は一貫して同じものだった。

 

 信じられないものを見た…そんな目だ、そんな顔だ。

 

 刀に銃、槍やら槌やら色々…少年少女や教職員らしき人間が持つような代物ではない、そんな一般的に武器と認識されている物を持った人間達の姿を目にした男は、くつくつとその口から笑声を漏らし…言葉を紡いだ。

 

 

「遅かったな、人類諸君?」

 

 

 

 炎の中で何処か狂ったような笑みを浮かべながら、男はそう口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めたら路地裏だった……そうとしか言いようのない状況に俺は置かれていた。

 

 

「……はっ?」

 

 気の抜けた声が辺りに響く、現状をまるで理解出来ていない人間が放つ第一声としてはこれ以上無いのではなかろうか…そんなアホみたいなことを反射的に浮かべながらも、俺は目の前に現状が受け入れられずにいた。

 

 暗い路地、ザーザーと降りそそぐ雨にびしょ濡れの服と身体、傘も差さずにその場にいる俺はきっと周囲から妙な目で見られていたことだろう…まぁ、路地裏だからそんなことにはならなかったのだが。

 

 ブルリっと寒さが身体を包む…びしょ濡れであることを今更ながらに思い出す、道理で寒いはずだと俺は駆け出した。

 

 どうしてこんな路地裏にいるのかとか、そんなことは後回しで良い…兎にも角にも家に帰ろう、話はそれからだ。

 

 雨に打たれて水を多分に含んだせいだろうか、服が重く感じて仕方がない、早く家に帰って脱ぎ捨てたい、なんなら全部脱ぎ捨てて風呂場でシャワーを浴びたい。

 

 寒い、重い、気持ち悪い…嫌な事ばかりが思考の中に積み重なる、途中で傘を買うなりした方が良いかもしれないなんてことを思い浮かべながら俺は路地裏の外へと一歩を踏み出し…絶句した。

 

 

「……はっ?」

 

 本日二度目の気の抜けた困惑の声、目の前に広がる光景を前に俺は立ち尽くすことしか出来なかった。

 

 眼前にあるのは無数に立ち並んだ高層ビルの群れ、ザワザワとまるでアリの大群みたいに横断歩道を渡る人に人に人…テレビとかで良く見るような都会の風景を俺の前に広がっていた。

 

 

「…何だ……これ…?」

 

 俺は呆然とその言葉を呟いていた…振りしきる雨の中で、ただ目の前の光景が信じられずに立ち尽くしていた。

 

 だって、可笑しいじゃないか…俺の家は、俺の住んでいた地域は…こんな都会とは縁遠い、ちょっとした片田舎だったのだ…断じて、こんな都会の真ん中みたいな場所じゃなかった。

 

 近くに街と言えるような場所はあった、そこは片田舎と言えない程度には色んな店やら物があった…けど、これは違う、この光景は違う。

 

 俺の知ってる場所じゃない、俺の知ってる街じゃない…何方かと言うと東京とかそう言った類の街だと、俺はそう直感した。

 

 咄嗟にスマホへと手を伸ばす…スマホで調べれば現在地くらいは分かる、もしかしたら俺が知らないだけで地元の近くなのかもしれない…そう考えた俺はポケットからスマホを取り出し、早々に地図を見ようとした…だが───

 

 

「なんでだ…!?」

 

 

 画面に映るパスワード入力画面、そこに何時も通りの数字を打ち込むも、端末は反応しない…映し出されるのはパスワードが違いますという無機質な文字だけ。

  

 何かの間違いかと思いもう一度パスワードを打ち込む、今度は流れに乗せずしっかりと画面を見ながらパスワードを打ち込んだ…だけど───

 

 

───パスワードが違います。

 

 

 

「───なんでだよっ!?」

 

 

 絶叫を上げた、それに周囲の一部が此方へと奇妙なモノを見るような視線を向けてくるが、それも気にせず俺は何度も何度もパスワードを端末に打ち込んだ…しかし、返ってくるのは無情な一言…『パスワードが違います』…という一文だけ。

 

 混乱と恐怖、知らない場所に唐突に置き去りにされて頼みのスマホは使えない状態…怖くて怖くて仕方がない、それが俺の本音だった。

 

 どうしよう、どうしよう、どうしよう…頭の中を巡るのはそんな言葉ばっかりで、落ち着いた思考なんて到底出来ないような状況だった…そのくらいには、ただひたすらに怖かった…知らない場所に一人でいるというのが、こんなにも怖いことなのだと俺は改めて思い知らされた気分だった。

 

 

「…コンビニ……そうだ…コンビニに行こう」

 

 

 ふと、そう思った。

 

 身体が冷たい、寒い…なんでも良いから温かいモノを飲みたかった、温かい場所にいたかった…何でも良いから見慣れた物の近くに居たかった。

 

 混乱と恐怖とついで寒さと服の重さ、それらを背負い込みながらふらふらとした様子で足を進めようとする俺の身体、兎にも角にもこのままじゃどうにもならないと…そう判断してが故の行動だったし、それは別におかしなことでも無いと思った。

 

 

 …けど……今回に限っては、そんなことすら許されなかった。

 

 

「───いぎっ…!!?」

 

 

 突如として、頭に激痛が奔った。

 

 

「ぎっ…! ……なに…痛…い……痛、い……ッギッ…!!!」

 

 

 頭が割れるような痛み、風邪や熱と言うにはあまりにも経験したことのない痛みだった。

 

 持っていたスマホを取り落とす、頭を押さえて痛い痛いと呻く俺の姿は流石に周囲の人間の目にも止まったのだろう…一人の女性が大丈夫ですか? と声を掛けてきた…が、俺はもうその時点でそれをマトモに受け止められるような状態ではなくなっていた。

 

 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い…決して止むことの無い脳へと届く痛みという信号、頭の内側に何かを無理矢理流し込まれているかのような不快感と激痛に俺は最早パニック状態に陥ってしまっていた。

 

 心配してくれた女性を押し退ける…気が付けば俺の異変に気が付いたのか、人集りのようなものが出来ていたがそれを気にする余裕は俺には無い、あるのはただ突然やってきた痛みへの嘆きだけ。

 

 地面を転がり身体を仰け反らせる、頭を教えて痛い痛いと騒ぐ俺の姿に普通じゃないと判断したのかもしれない、携帯片手に救急車を呼ぶ人間まで現れ始めていた。

 

 痛い痛い痛い…徐々に強まっていく声の大きさに比例して頭への痛みはドンドン強くなっていき、次第に俺の頭の中に知らない光景が現れ始めた。

 

 知らない男性に知らない女性、馴染みの無い地理に学校名、家族構成やら友人関係やらスマホのパスワードやらエトセトラ…自分じゃない何かが入って来ているのだと、俺は本能的に悟った。

 

 まぁ…だからどうしたという話ではある、それが分かった所で何も出来ない…結局痛いことに変わりはなく、俺はそれが何時消えるのかと耐えるしか無い…結局は、それだけの話だったのだから。

 

 痛い痛い痛い痛い…痛みに呻き、喘ぎ、その上で耐え凌ぎながらその場で陸に上がった魚みたいにびったんばったんとしていた俺は、口元から何かが垂れ流されていることに気が付いた。

 

 それが泡であることには後で気が付いた…が、当時の俺にそれを知る術は無く、ましてやそれを知ったところで何だという話でしかない。

 

 その後、体感的に約二分から五分後の事だ…俺の意識は、パッタリとそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…知らない天井だ」

 

 

 次に目を覚ました時、俺はそんな言葉を呟いていた。

 

 目の前に映ったのは文字通り知らない天井、開いた窓から風が靡き俺の頬を擽る…身体を起き上がらせてみれば、映り込むのはやはり自分の部屋でもなければ病院のものでもない正しく知らない部屋だったわけで、俺は再び混乱の渦中へと叩き落とされることに…は、ならなかった。

 

 何故か? …その時にはもう、俺は全てのことを理解していたからだ。

 

 知らない場所に知らない部屋、見慣れない道に見慣れない街の風景…その全ての不理解に対して、俺は既に理解しているという認識と結果を埋め込まれるに至っていたのだ。

 

 それを理解し、自覚した俺は思わず顔を手で覆い、呟いた。

 

 

「…嘘やん」

 

 呟かれた言葉は虚空に消える、誰にも聞かれることなく宙を漂ったその声は、俺という人間の心境をこれでもかと表していた…整理に時間の掛かる事実が頭の中にあったからだ。

 

 …それでも、嘘だろうと言いたくなるその気持ちを抑え込んで、現実から逃避したところで何にもならないだろうと自分に言い聞かせて…それでも漏れ出たその弱音の言葉には、俺の心中の全てが込められていた。

 

 

「───踏み台はねぇだろうがよぉ、踏み台はよぉ…」

 

 

 理解してくれただろうか…つまりは、()()()()()()()()()

 

 

 

 では、端的に説明しよう…俺は所謂転生者…或いは憑依者と呼ばれる存在に妥当する…どんな風に死んだのか、そもそも死んでから此方に来たのか、そう言った情報を持っていない類の…まぁ、良くあるタイプのソレである。

 

 そして、あの時の頭痛は簡単な話が俺という器に中身…つまりはこの身体本来の持ち主の記憶やら何やらを一気に詰め込んだ結果として起こったものだったらしい…らしいというのは俺自身がそこまで理解していないからである。

 

 

 そして…肝心要の『今の俺』について。

 

 名前は八坂(やさか)(とおる)…とある『異能使い』を育てる教育機関に所属していた所謂名家の坊っちゃん的な立ち位置の人間で…俺が前世で嵌っていた漫画『イノチガミ』と言う作品にて、踏み台を務めたキャラクターである。

 

 

 

 

 ……まぁ、さっきも言ったが要するに…踏み台転生…というやつである。

 

 

 

 

 

 





 途中で誰視点で書いてるのか分からなくなる作者、一人称とその他がごちゃ混ぜになる。
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