狂気の科学者の妹は機械弄りが大好き   作:LR-8717-FA

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第2話:迫る地上部隊と一方的な殲滅

チェロクアとその他諸々のテストから数ヶ月ほどが経過、その後私がやっていることと言えばいつもと変わらない。

脳みそトリオやヒゲオヤジの要望の為も含め自分の好きなようにラボで機械弄りを繰り返すだけ。

 

「んー……セイン、次は3番資材庫からこれとこれ、ああ、あとこれも取ってきてくれる?」

「あいよーカティ」

 

機械による自動操作じゃ限界があるので直接機械に触れることだって少なくない。

で、現在私の手伝いをお願いしているのは戦闘機人の1人、兄さんの6番目の完成体、セインだ。

今までの子達の中では比較的性格がまともで話もそこそこ通じるなど個人的には仲が良かったりする。

でもやっぱり体型は私よりもナイスバディ、稼働年数私より低いのに何のいじめだろうこれは、いや私は気にしてないったら気にしてない。

 

「お待たせー、これでいいんだよね、私にはよくわかんないんだけど」

「サンキューセイン、あんたの能力ってホントこういうことには便利で役立つよホント」

 

で、そのセインがどこから現れてくるのかと言えば何の変哲も無い壁をズルリとすり抜けてである。

これが彼女の固有能力、IS(インフューレント・スキル)、ディープダイバー。

無機物をまるで水の中を泳ぐかのように自由自在に潜行するというセキュリティ涙目な能力。

移動の手間が省けるしいざという時の緊急避難、その他色々考えるだけでもかなり便利な能力だ。

兄さん曰くセインにこのISが発現したのは突然変異的な物でかなりラッキーだったいうことらしいが。

いや結果論的にはいいんだけどラッキーってどういうことだ? 仮にこれが無かったらセインは全く別物になってたんだろうかね?

 

「それにしてもまたカティはまた面白そうな物作ってるよねー、前のチェロクアも結構凄かったっぽいのに」

「火力追及って面だけでも色々課題が残ってるから私としてはあんまり満足してないのだけどね。で、今作ってるのはその改良型って感じかな」

「ふーん、でもこの設計図見る限りだと見てくれはだいぶ違うっぽいよ? 何というか平べったいというか」

「飛行ユニットの小型化と形状変更にはメドが立ってるからその関係もあるのよ、後は攻撃範囲の拡大やらその他武装の積み込み実験やらやることはいっぱい。こうして貴方が手伝ってくれるだけでもこっちとしては万々歳なんだから」

「あはは、カティにそういう風に言ってもらえるなら私も嬉しいかな」

 

褒めれば素直に照れてくれる、うん、実にいい子じゃないか。

ウーノはこういうリアクション期待できないしセインとかディエチとかチンクは仏頂面、クアットロは根本的にタイプが違う。

いや、私としてはクアットロのああいう趣味嗜好も結構大好きなんだけどさ。

まあ話を戻すが今私が制作中なのは前回の稼働テストで使用したチェロクアの改良型とかマイナーチェンジ版とかそんな感じのヤツ。

火力と装甲に特化していたとはいえ、やっぱり攻撃手段がプラズマ砲一択なのは色々問題があったわけで。

前回のデータを基に飛行ユニットの改造とか、形状の根本的な変更とか、武装の改良・追加とか頭の中には構図が色々出来上がっている。

それを少しずつ形にしていくこの時間が私にとって何よりも楽しい。

 

「ドクターもそうだけどさ、2人とも本当に楽しそうにやってるよねー」

「当然でしょ、私も兄さんもあの脳みそトリオにそうあるように作られた存在なんだから。その感情に従うことの何が悪いのか逆に教えてほしいくらいだよ」

 

また別の倉庫から必要物資を持ってきてくれるセイン。繰り返すけどやっぱこの娘めちゃめちゃ便利だ。

メカ製作に没頭している時もそれを使って管理局の魔導師相手に力を振るうのもみんな私が楽しいからやっている。

イノセント・デザイアなんて御大層なコードネームまで付いているけど、実際問題その通りなんだろうなんて思ったり。

純粋に、ただ自分の気持ちの赴くままに行動を重ねて自分自身を満足させていくことの繰り返し。

その為に無関係の存在がいくつ犠牲になろうと関係ない、というかどうしてそれを咎められないといけないのかというね。

 

「セインだって稼働からそこそこ経ってるしレアスキルだって持っている。兄さんとしてはとても満足な作品だと思ってるだろうしそれだけでも恵まれてるんじゃないのってね。現に私もこうして助かってるんだしさ」

「うーん、私はいっつもトーレ姉やクア姉に怒られてばっかりだしなー、結局のところ私らなんてみーんなドクターの道具でしかないんだし」

「自分の生まれた貴重な道具を愛でる、それのどこにも不純な気持ちなんて無いと思うよ。兄さんも言ってるように突き詰めれば他人なんて自分の為の何かになるか否かで付き合いはどうとでも変わるんだから」

 

単に人の形をしているか機械の形をしているかってだけで私も兄さんもその思考に差は無いのだ。

自分が生み出した実験成果である戦闘機人、その扱いをどうするかは製作者である兄さんが決めることだし私はそのおこぼれに預かっているような物だ。

口さがの無い表の連中はそういった兄さんの研究を馬鹿げてるだの異常だの倫理だ道徳だと色々な言葉で責め立てているがはっきり言ってくだらない。

世の中他人を道具みたいに扱う連中なんて掃いて捨てる程いるのだし、兄さんなんてまだ全然良心的だと思うくらい。

戦闘用の道具とはいえそこそこ自由行動が認められているし自意識もある。

云わば普通の人間と殆ど大差が無いある意味でとても画期的な研究と言ってもいいくらいなんだから。

 

「……ま、こんな小難しいこと考えてる段階で私もまだまだってことかな」

「んー、何か言ったカティ?」

「気にしないで独り言よ、それよりも今度はこっちのこれを持ってきてくれるかな?」

「あいよー了解」

 

兄さんにそんな話をしようものなら大笑いしてこう言うだろう、そんなことは全く気にする必要などないと。

私の先任でもあるあのマッドサイエンティストは私以上に感情の赴くまま好きに実験を続けているだけなんだから。

自分の研究で無関係の人間が、世界がどうなろうと知ったこっちゃ無い。ただ自分の研究の成果を見たいだけ。

その手の思考は兄さんも私も誕生した時から思考の奥底に植え付けられている物だ。

そのことに関して不安や恐怖を抱いたことなんてないし、それを改めようと思ったことも全く無い。

 

「お待たせー、今度はこっち……例の自律機械の部品?」

「そ、自分の研究だけ進めるってわけにもいかないんだよコレが。で、前回の検証結果も含めて色々改良の余地ありって感じなんだよね」

「でも飛行能力に関してはオリジナルにも備わってなかったっけ?」

「前にウーノにも言ったんだけどあれに積んでるシステムはオーバースペックなの、そのまま複製するのは手間だし面倒だしでデチューンが必要なわけ」

 

他愛ない会話を挟みながら別のモニターに映し出されている設計図は例の自律機械の新しいプランについて。

オリジナルとチェロクアのデータも合わせて飛行ユニットの小型化を上手い具合に進めていけば

低コストでそれなりの機動力を持った飛行型自律機械を生み出すのもわけないことだ。

現在主流として量産しているタイプは機動力に難があるし、複雑な地形での調査・戦闘には不向きだ。

飛行能力付きで機動力を高めたこの新しいプランが完成すれば、研究に必要な調査・収集は益々捗ること間違いなし。

そうすれば兄さんも私も研究に益々身が入るというものだ。

 

「出力と機能形状をどうにかすれば人1人乗せて飛ぶくらいわけないだろうしねー、完成すればディエチやセインも移動に便利になるかも」

「おっ、それはありがたいかも。セイン姉やクア姉みたいに空は飛べないから私」

 

隠密先行型のセインはそもそも空を飛んで移動するなんて目立ったことはするだけ無駄なもするけど。

なんて言ったら目をキラキラ輝かせている目の前の無垢な子のハートを傷つけるだろうから一応飲み込んでおいた。

空の戦力が増えるってのはそれだけで結構喜ばしいことは事実である。

管理局も地上主体の魔導師相手ならトップアタックを展開できるだけでそれだけでも一種のアドバンテージ。

AMFも合わせてそれなりの数用意して一方的に上から蹂躙する……ん、想像するだけでも結構楽しいなこれ。

 

『通信、大丈夫かカティ』

「ありゃトーレ姉? どうしたのこんな中途半端な時間に?」

『セインも一緒だったか、まあいい。ともかく少し急ぎの用事だ』

 

などとそんなこんなで盛り上がっている矢先に通信モニターが開いて映し出されるのはまた別の戦闘機人。

兄さんの3番目の完成体トーレ、初期型の傑作で現状では戦闘能力面で最高クラスの実力を持っている。

そして体型に関しても最高クラス……自分で言ってて虚しくなってきた、ぐすん。

 

「それで私に用事ってなにかなー? そっちのプラントからわざわざ私にってだけで大体の察しがつくんだけどさ」

『ご明察の通りだ。現在こっちの研究プラントに管理局の戦力が向かってきている。そこでお前の力をいくらか借りたい』

「んー? トーレやチンクもいるのにわざわざ打診してくるってことはそんなにヤバいの?」

『私達だけでも抑え込めないことは無いが念には念をだ。現に確認できるだけでもSランクが1体、AAランクが2体確認されている』

 

通信先は今私がいるのとはまた違う場所にある実験用プラント、そこで兄さんの実験に付き合うために大半の戦闘機人が出払っているという形。

その出先のプラントから送られてきたトーレの情報もまたなかなか、要するにこの前のなのはちゃん以上の実力者が少なくとも1人はいる。

それに少々劣るがAAランクというのもまた魔力ランクだけで見ても十分に優秀以上の評価を下せる敵が更に2人。

トーレが警戒するのも確かに納得できるかもしれない。

 

「了解了解、そんじゃ3分……いや2分だけ時間を貰えるかな? オリジナル型をいくつかと……うん、リノチェキロンをそっちに送ろう」

『助かる、お前の兵器の優秀さはドクター譲りだからな。1つあるだけでも敵を殲滅するには十分だろう』

「こっちとしても埃を被ってる子を久々に前線に出したいっていう俗な考えもあるからねー、ついでに私もモニター越しで参戦するとしようか」

 

チェロクア以前の作品を引っ張り出すわけだが、別に性能的に劣っているわけでも無し。

それにリノチェキロンは閉所でこそ力を発揮できる殲滅用兵器だから目的にも沿っている。

プラスして過剰戦力もいいところなオリジナル型自律機械もあれば防衛は余裕で可能だろう。

そもそも戦闘機人だけでも戦力的には間に合ってるんだから、これはもはやイジメに近いかな?

うん、私一方的に敵を追い込むのも大好き。

 

「じゃあちょっち待っててねーすぐに支度してきちゃうからさー」

「む、カティも一緒にやるの?」

「もちよもち、せっかくS級の敵もいることなんだし観戦しないのはもったいないじゃん。せっかくだからセインも一緒に見ようよ」

 

何だかんだでセインも興味津々ってところかな。

とりあえずとして向こうに戦力を送り込まないと始まらない。

というわけで自分の作品その他諸々を保管している転送ポートの起動準備を始めた。

 

 

 

*

 

 

 

でもって数分足らずで追加戦力の送り込みが完了して、いつものように私もモニター観戦なわけなんだけど。

何というかこれはひどいの一言に尽きる、もう殲滅とか処理とかそんな言葉すら生易しいというか。

 

『ひ、怯むな! 撃て、撃つんだ! ここで止められなければこっちがやられるだけだぞ!!』

『で、でもあんな巨大な相手、どうすれば……!!』

「はーい、無駄な努力ご苦労様でしたー、というわけでさようなら。ポチッと」

『うわああああああああ!!!』

 

敵の魔導師部隊の一部を罠にかけて地下通路に追い込み、そこで待機させておいた私の作品、ナンバーは15、6前後だったかな?

ともあれ閉所及び地上蹂躙型の無人制圧兵器であるリノチェキロンを使って一方的にぷちぷち潰していくという。

角ばった形状の箱みたいなフォルムのコレなんだけど、無限軌道に障害物破砕用のブレードやら長距離狙撃用の主砲やら色々と積み込んでる。

防御能力はチェロクアに劣るけどそれでも十分に頑丈だし、並の局員の攻撃じゃあ傷一つつきゃしない。

砲撃で吹っ飛ばすも良し、機体のパワーに任せて単純に轢いちゃうのも良し。

実戦で使うのは久方ぶりだけどやっぱり楽しいわこれ、一方的に殲滅するってのは誰だって憧れなんだと思うよ。

 

「いらっしゃいませー、っと残ってるのはお2人だけかなー?」

『ッ……! 敵の戦力を見誤っていたようね、まさか戦闘機人以外にこんな兵器があるだなんて』

「そりゃあね、今し方そっちに送ったばかりのとっておきだもん。せっかく兄さんの貴重な実験場だってのに簡単に廃棄するわけにもいかないんだしさー」

 

尤も、本音を言えば実験用のプラントはまだいくつもあるので1個くらいダメになっても大きな支障はないと思うんだけど。

そんなことよりも大事なのは目の前のことだ。リノチェキロンで只管制圧前進突き進めーしながら魔導師部隊を蹂躙していった結果、

残っているのは目の前に映っている青髪と桃髪の女性局員の2人だけみたいなのだこれが。

リノチェキロンからのモニターを通して参照される推定魔力ランクのデータは共にAA、つまりトーレが言っていた例のアレってヤツだ。

 

『貴方達の目的は何なのですか! どうしてこうも簡単に無関係の人たちの命を弄べるんです!!』

「そんなの知らないよー、というか無関係だから好き勝手してるんだよこっちは。関係してる人間の命を弄ぶ方が後味悪いじゃん」

『なっ……!?』

 

何を言ってるんだコイツはみたいな顔を桃髪魔導師の方にされちゃうけどこういうのもよくある反応だ。

大抵の敵は無関係の命の蹂躙だの道徳だのであからさまな否定感情をこっちに向けてくるけどそんなの本当にどうでもいい。

私は私のやりたいようにやっているだけ、それで知らない人間の命がいくつ犠牲になろうが知るものか。

寧ろ兄さんや戦闘機人の子達みたいな関係のある子たちなら犠牲にしてもいいのかっていうね。

うわ嫌だ、我ながら凄い屁理屈だこれ。元から倫理も道徳もクソも無い私がそんなこと考えるだけ無駄っていうね。

 

『無駄よメガーヌ、どう考えたって話の通じるような相手じゃない。どの道このデカブツを何とかしないと私達が全滅するだけ……』

『クイント……わかったわ、フォローは私が』

『うん!!』

 

などとあれこれこねくり回している間に前に出てくるのは青髪さん――クイントと呼ばれた女性魔導師。

これまでのデータ収集でわかっているが典型的な前衛の近接戦闘特化型魔導師。

それに呼応するように桃髪さん――メガーヌの方も両腕のデバイスから光を放ってクイントに放つ。

形状からしてブーストデバイス、今のはサポート用の魔法、現にクイントの方の魔力量が跳ね上がっている。

このリノチェキロンに真正面から立ち向かってくる気か、その無貌さは結構面白いかも。ならばこっちも真正面から受けて立とうか。

 

『ブーストアップ確認!! でりゃああああああ!!!』

「迎え撃てーリノチェキロン」

 

両腕のナックルを猛々しく唸らせながら突撃してくる青髪魔導師。

負けじと私もリノチェキロンの破砕用ブレードを唸らせて出力を向上させながら真っ向から激突させてみる。

 

 

 

ギギギギギギ……!!

 

 

『くうう……!!』

 

魔力強化もあるとはいえAAランクとは思えない破壊力、まさかリノチェキロンとぶつかって耐えるとはこれまた凄い。

デバイスの性能も良いんだろうけど押されることなく……いや、寧ろこっちが押されているってのはこれまた本当に予想外。

この間のなのはちゃんといい、ホント最近の管理局の戦力は目を見張るものがあるというか。

 

「とはいえ甘い、撃破に至るほどじゃあないってことだね」

『硬い……! 外見以上に頑丈に出来てるみたいね……』

 

でもそれだけの話。今の拮抗で破砕用ブレードはガタガタで使い物にならなくなったが本体へのダメージはほぼ皆無。

真正面からのぶつかり合いとはいえ相手は人間でこっちは機械だ。

多少の無茶をしたところで鋼の装甲を貫くことなど到底できえないことなのだから。

 

「なら……これならどう!!」

 

それでも尚、青髪魔導師は諦めるつもりは毛頭ないらしく、今度はカートリッジの連続ロードを行って更に魔力を高めていく。

体の負担も相応な物だろうに無茶なことをしなさる。まさか本当にリノチェキロンを真正面から潰すつもりか。

などと感心してるのか呆れてるのか自分でもわからんようなそんなことを思い始めた矢先の事。

 

『ぶ、分隊長!! こちらチームC! ゼスト隊長が、ゼスト隊長が!!』

『聞こえてるかカティ、こっちの方は粗方片が付いた』

 

同時に耳に入ってくる2つの声。

片方はモニター先のクイントとメガーヌが映っている場所の更に先での別のモニターに映る別の管理局員の姿。

それにリンクするように映し出されるのはラボ内の別のモニター。

 

「うっわー、派手にやられたねーチンク。流石にSランク相手じゃ分が悪かったかな?」

『少々手傷は負ったが問題ない。姉様たちの力添えもあってこその戦果だ』

 

顔面血まみれで片目が潰されているという何とも痛々しい姿ながら平然と受け答えしている銀髪ちみっこの戦闘機人の1人。

5人目の素体であるチンク。純粋な身体能力こそトーレに劣るが、彼女が持つ金属体の遠隔爆発、ランブルデトネイターの破壊能力は凄まじい物があり、総合しての戦闘能力は機人の中でも上位クラス。

そのチンクが件の、恐らく今回突入してきた部隊の隊長であろうランクSの魔導師を撃破して見せたって言うのはこっちとしても驚きだ。

人造生命体で管理局でも数えるほどしかいないランクS戦力を撃破、この結果は表沙汰にしたら相当に揺れ動くだろうね、そりゃもう半端なく。

 

「つまるところもうこっちが勝ったも同然ってことかなー」

『ゼスト隊長! ―――え……があっ!?』

「まあいくら強化したところでAAランクくらいでこのリノチェキロンを潰せるとも思わないしさー」

 

なんて感じで自分たちのトップがやられて隙だらけの所をリノチェキロンの主砲で狙い撃ち。

それだけでクイントと呼ばれた魔導師は数メートル程吹っ飛んでボールみたいに数回バウンド、壁に叩きつけられてピクリとも動かないっていうね。

うわはははは後ろから狙い撃ちクリーンヒットとかこれ凄い楽しい。リノチェキロンの主砲の威力も馬鹿に出来ないね。

正面から叩き潰すのもいいんだけどこうやって不意打ち気味に間抜け面晒した相手をどっかーんするのも本当に楽しくて仕方ない。

え、油断しているところを後ろから撃つとか卑怯だって? 味方が1人やられたくらいで致命的な隙を晒す方が悪いんだようん。

 

『クイントッ!!!』

「さーて、残っているのはあんた1人だけだねー、どうやっていじめてやろうかなー?」

 

残っているのはメガーヌという魔導師1人だけ、目の前には私の自慢の作品リノチェキロン。

そして背後から迫っているのはオリジナル型の自律機械がそれはもうたくさん。

何かのアニメとかだったらここで未知の力に目覚めるとか強力な助っ人が颯爽登場とかありそうなもんだけど。

 

「そんなことも起こったりはしないよねー、というわけでさようならー、管理局にしては頑張った方だったと思うよー」

 

孤立無援の魔導師1人に容赦のない宣告、リノチェキロンが唸りを上げ背後からガシャンガシャンと迫るのは自律機械の大群。

それでも尚、メガーヌの瞳からは闘志が失われていないのは感心したけど。

 

 

 

*

 

 

 

とまあ、結局気合1つでどうにかなるようなもんでもなくあの後メガーヌの方も呆気なくやられてそれでおしまい。

後始末を担当したウーノ曰く、ゼストとか呼ばれてたSランクの隊長とメガーヌは人造魔導師素体として適応性が高いからこっちで回収。

その他の魔導師に関しては適当に処理しておくという手筈になったわけで。

 

「…そんな感じで事は終わったんだけどさ、あれって地上本局の部隊だったわけじゃん? 一応こっちとそっちは協力関係なんだから手綱はしっかり引いてもらわないと困るよー」

『命令が追い付かなかったようだ、こちらのミスだ、以後気をつける……』

 

で、今私と話しているヒゲオヤジが現在の地上本局の実質的なトップのレジアス・ゲイズ、私達のスポンサーの1人。

地上の平和を守るとかの意気込みで数年前から脳みそトリオの紹介で色々とお付き合いをさせてもらっているんだとか。

私らみたいなのに頼らなきゃいけないって、地上はどれだけ人手に困ってるのかと問い詰めたい気分でもあったり。

地上が平和だろうが混沌としていようがこっちとしては興味ゼロだからこれまたどうでもいいことなんだけどさ。

 

「施設自体はちょっと直せば今後も動かせるらしいから兄さんは特に気にしてないらしいけどさ」

『そうか……』

「それよりも吉報だよ、そっちの要望にあった戦闘機人、今言った襲撃でSランク魔導師を撃破したの。これについては兄さんも大いに喜んでいたな」

『何……ッ!!? そ、その男は……!!』

 

おやこれは意外、例のゼストとかいう魔導師のやられてる映像を出した途端にヒゲオヤジは渋い顔。

もしかして知り合いだったりしたのかな? だとしたらまあ……うん、ドンマイとしか言いようがないねそれは。

元はと言えば命令遅れて勝手にこっちに戦力を寄こしちゃったのが悪いんだから、私悪くない。なんてこれまた凄い言い訳。

 

「あれれ? この人もしかしてお知り合いだったりするのかなー?」

「!!…………い、いや、何でもない……Sランク魔導師の損失はこちらとしても痛手だったというだけだ」

 

わざとらしく聞いてみればわかりやすいくらいにプルプル震えてるから本当に面白い。

そもそも私らみたいなのと手を組んでる時点でアウトなのにどうして多少の犠牲を気にするのかなー?

表の人間が考えていることって未だにわかりかねることが多いから難しい、そして興味深い。

 

『……その男はその後どのように処理した?』

「さあ? その辺のことは兄さん任せだから私は何も。どの道死んだ相手に実験価値は無いから今頃灰になってるんじゃないの?」

 

脳みそトリオは人造魔導師素体にしたことは伏せておけって言ってたけど別に言っても良かった気もするんだけどな。

その辺このヒゲオヤジも含めて管理局も一枚岩じゃないって感じなんだろうかね。

管理局内部の構造がどうであろうとこれまた私も兄さんにも全然関係の無い話ではあるんだけど。

 

「そんじゃまそんな感じだから、こっちが進めてる新型の防衛機構のフィードバックについても近い内に報告できると思うからさ、今日はそんな感じでひとつ」

『ああ……報告ご苦労だった。今後もよろしく頼む』

 

回線を切る直前の落胆っぷりと言ったらそれはもうね。

あのゼストとかって魔導師、ヒゲオヤジとそんなに親しい間柄だったりしたのかなー?

だとするならもし、人造魔導師の個体として蘇生が成功したりしたら……これもこれでまた凄い面白いことになっちゃうかもね。

 

「さてまあ、一通りの仕事は終了したしねー、次のお仕事始めないと」

 

とはいえ生体操作研究については全部兄さんの範疇だから私が口出しできることではない。

仮に私が想像した通りの面白いことになったらそれはそれで儲けものってくらいに思っておけばいいだろう。

なんて風に考えながら私は自分の専門分野の機械研究の続きを始めるのであった。




◆リノチェキロン

閉所及び地上制圧用の無人兵器。
四角形のボディに無限軌道によって大抵の地形は移動可能で、装甲もかなり分厚く作られていて防御力も折り紙付き。
機体全面に備え付けられた破砕用ブレードにより障害物の排除にも対応している。
とはいえ、機動力に関してはそこまででも無いため、開けた場所での高ランクの射撃系魔導師には動く的に成りうることも。
武装は機体上部の大型主砲に両側部の副砲が1つずつ、また破砕用ブレードも加えた巨体による突進だけでも魔導師相手には致命傷になりうる。
尚、主砲については長距離での砲撃、狙撃にも対応している。
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