狂気の科学者の妹は機械弄りが大好き   作:LR-8717-FA

37 / 39
所謂皆さんの要望にお応えして作ったスカリエッティ陣営大勝利なエンドです。
自重なんて遥か彼方なので前話以上に閲覧注意。
そういうの見たくないという方は、次の37話に進んでください。


最終話A:2つの狂気が覆う世界

ズブッ……

 

「が…………」

「ヴィータちゃんッッッッ!!!!」

「くははははははははははははははははッッッッッッ!!!!!」

 

狂気の笑みが止まぬ中、泣き叫ぶなのはが眼前で見せつけられたもの。

シグノリアの放ったエネルギーブレードの一突きはヴィータの抵抗も虚しく、その胸を確かに貫いていた。

今まで以上に激しくを血を吐きだし、一瞬にして命を刈り取られたヴィータ。

ただでさえ限界以上のダメージを負い、今の一撃で心臓を一直線に貫かれたヴィータは即死。

最早物言わぬ屍と化して何の抵抗も叶わずに駆動炉空間の闇の底へと落ちていった。

 

「くひは、くひははははははははははッッッッッ!!!! 遂に、遂に死んじゃったわけだよあのしぶとい鉄槌の騎士がッッッッ!!! いやー感慨深いねえッッッ!!! 強敵を倒せた喜びは一入だよホントッッ!!!」

「……事実、彼女は強敵でした、マスターカティーナ。ですが、マスターに逆らった以上、残念ですがこの結末は逃れえなかったものなのです」

 

これまで鬼神の如き戦いぶりを見せていたヴィータの死。

それまでの戦いぶりを眺めていたベルリネッタや実際に相対していたシグノリアにすら、そこに感心や称賛といった感情も交じっている。

興味深い実験体であり、自分たちの悲願の達成の邪魔をする敵でもあったが、そこに秘めた実力と気迫に純粋に惹かれる物があったのだと。

 

「さて、事実上残っているのは貴方だけですが、それでもまだ抵抗しますか、高町なのは?」

「ッッッ……!!! 許さないッッ!! 絶対に貴方たちを許さない!!!!」

 

最後の仲間を、それも確実に死亡したという形で失ってしまったなのはの心を占めるのは怒りの感情唯一色。

両目を見開き歯を剥き出しにし、怒りで表情を歪ませるなのははほぼ反射的にシグノリアに対して砲撃を放つ。

CMFでカウンターを行うまでも無い、直線的なその攻撃をシグノリアは難なく回避して見せる。

 

「が―――ぐ……!!」

「くふははははッッッ!! 切り札使ったまま無茶するからだよぉ? 怒り狂ったところで何も解決しないってことくらいわからなかったのかなぁなのはちゃんッッッ!!?」

 

だが、直後になのはは全身に走る激痛に苦しそうに胸を押さえながらその場に蹲ってしまう。

止まることない狂笑と共にベルリネッタが指摘した通り、なのはにも限界が訪れてしまっていたのである。

ただでさえ多大な危険を伴うブラスターシステム、リミット3までの完全解放を行っての戦闘の連続。

聖王ヴィヴィオを止める為に、ヴィヴィオを操るクアットロを止める為に、駆動炉内での最終決戦に打ち勝つために。

決して油断を許さない激闘を経ていった結果、なのはの体は内側から確実に破壊されていっていたのだ。

 

「諦めて……たまるもんか……!! ヴィータちゃんや……みんなのことを……傷つけたお前たちだけは絶対に……ッッッ!!!!」

「おお怖い怖い……!! 不屈の心に怒りの心が合わさって凄いことになってるねえッッッ!!! 流石は管理局の誇るエース・オブ・エース。こうまで追い込まれてもまだ折れないとッッ!!」

「クア姉が警戒していたのもわかる気がするよ……見てるだけでゾクゾクしてくる」

「半端ないプレッシャー……シグノリアがいてくれなかったらどうなってたことやらっスよ」

 

痛みに耐えながらもなのははレイジングハートを持つ両手にしっかりと力を入れ直し、倒すべき敵であるベルリネッタ達を怒りと憎しみの込められた瞳で真っ直ぐに見据える。

発せられているあまりにも強烈な重圧は敵対するセインとウェンディを震え上がらせるのに十分な物。

敵は3人、自分は1人、それも魔力も体力も殆ど使い果たして体中がボロボロと今までにないくらいに絶望的な状況。

敵を倒すことも元凶を止めることも倒れた仲間を助けに行くことも、そのどれもが今のなのは1人にとってどれだけ難しいことなのかはこの場の誰もが容易に想像できること。

それでもなのはは折れない、自分の心を決して曲げようとはしない。それどころか怒りと憎しみに支配されより強固に凝り固まっている。

ついさっきまで、はやてが倒された直後に抱いてしまった諦め、それを奮い立たせて自分を庇って散っていったヴィータの姿。

自分自身の情けなさ以上に、大切な仲間を明確な形で奪っていった敵への怒りだけが今のなのはを支えていたのである。

 

「でもでもぉ……? 絶望はまだまだ終わらないんだよなのはちゃんッッ!! 準備の方は上々だよねえ兄さんッッッ!!」

『ああ……君たちが十分に時間を稼いでくれたおかげでバッチリさ』

「!!……ジェイル・スカリエッティ!? どうしてゆりかごに……!!」

『御機嫌よう、高町一等空尉。こうしてお話しするのは初めてということかね?』

「フェイトちゃんやシスター・シャッはが抑えにいった筈なのに……」

『その通り、現に私は彼女たちに敗北寸前まで追い込まれてしまったからね……尤も、間一髪愛しの妹が助け出してくれたのだが』

 

だが、怒りに打ち震えるなのはの言葉すらどこ吹く風、止まることなく狂い笑うベルリネッタのすぐ上に展開される巨大モニター。

映し出されているのは地上のアジトにいる筈のスカリエッティ。

意外すぎる人物の出現になのはの仲には怒りと同等の驚愕と動揺が生まれていく。

 

『まあ、私がどこで何をしていようが今は然程重要ではない……君が気にすべきなのは目の前のことなのだよ……!』

「それは一体どういう……!! あ、ああ……!!?」

「………………」

 

モニターを通して行われるスカリエッティとなのはの対話、視線を促した先になのはが見た光景。

変わることなく宙を漂うシグノリアに、邪悪な笑みを絶やすことないベルリネッタ。

そして……その背後に捕われていた、筈だったなのはが誰よりも助けたいと願っていた人物。

正八面体の障壁からいつの間にか解放されたヴィヴィオが、生気の全く宿らない瞳を携えてそこにいた。

 

「ヴィヴィ……オ…………ヴィヴィオッ!! ヴィヴィオッッ!! 返事をしてヴィヴィオッッッ!!!!」

「くひははは……くひゃはははははは!!!! 無駄だよなのはちゃんッッッ!! クアットロなんかとはレベル違う、新たな意志の下でその子は出てきたんだからねえッッッッ!!!!」

『そうとも……急ごしらえではあるがより強固で確実な命令プログラムの書き換え……戦うための兵器、真なる聖王としてヴィヴィオは生まれかわったのだから!!』

 

なのはの必死の呼びかけにも無反応、玉座の間で相対していた時以上の強烈な敵意とプレッシャー。

クアットロの精神操作も非常に高度な物ではあったが、本家本元とも言えるスカリエッティと比較すると精度は劣っていたということと、

その場の状況をより楽しむために、敢えて感情を残して憎しみを植え付けていたという点に隙があった。

だが、ベルリネッタに救出され、ゆりかご総司令室を通じてヴィヴィオの精神の書き換えを完了していたスカリエッティ。

それによって目覚めたヴィヴィオは本当の意味で精神の大半を消され、ゆりかごを動かすための主として、生きた兵器としての役割を与えらるだけの存在と化していた。

 

「くははははははは!!!! 未だ無傷のシグノリアに戦闘機人が2人、加えて同じく最高戦力たる真の聖王!!! これだけの敵を前にしてもまだ貴方は吠えることができるのかななのはちゃんッッッッッ!!!!」

「そ……んな…………」

 

怒りと憎しみで何とか保たれていた筈のなのはの意志、一瞬にして絶望へと反転するだけの現実がそこにはあった。

勝ち目のほとんど見えない戦いであることは先の強い詩の下での言葉の時でさえなのはにも十分にわかっていたこと。

それでも、目の前にいるのは自分が止めなくてはいけない明確な敵であり、多くの悲しみを振りまいている元凶だからこそ意志だけは強く保つことが出来ていた。

しかし、そこに加えて今まで捕らわれていたヴィヴィオが、何の感情も見せずに敵の1人として立ちはだかっているという現実。

それは不屈の心を持つなのはですら、絶望にその身を打ちひしがれるほどの衝撃。

玉座での戦いも操作を担うクアットロを止め、ヴィヴィオ自身の心を取り戻せたからこそ勝利の一歩手前まで漕ぎ着けていた。

そのヴィヴィオの心が今度はより強固な縛りの支配下にあるという、その一点だけでも何を意味するかは明白。

 

「さあッッッッ!! 呆けているエース・オブ・エースをぶっち殺すとしましょうかッッッ!!! 行きなさいヴィヴィオッッッ!!! 愛しのママを、家族ごっこで貴方を苦しませた元凶を自分の手で叩きのめすのよッッッッ!!!」

 

高揚する精神の下で狂気の命令をベルリネッタは下す。

それを受けたヴィヴィオは指示通りにゆらりと動きだし、完全に動けなくなってしまっているなのはに攻撃を加えるべく動き出す。

 

「ご…………!!!!」

「………………」

 

何の感情も躊躇いも無く飛び出してきたヴィヴィオの拳が、絶望に打ちひしがれて呆然自失していたなのはの腹部に容赦なく叩き込まれる。

痛みを感じる暇すら与えられず、なのははメキメキという不快な音と共にそのたった一撃で骨や臓器ごと内部をズタズタにされる。

衝撃は破壊に留まることなくなのはの体を容赦なく舞わせ、弾丸の如く駆動炉内部の壁の一部に激突していた。

 

「ッハッ!! くははははははははははははは!!!!! ごっこ遊びを楽しんでいた子供にぶん殴られるっていうねえッッッ!!! どんな気持ちかなあなのはちゃんッッッッ!!!!」

「…………っ……ぁ……」

「だけどもだっけど? 貴方は最後の最後に生き残った貴重な貴重な実験動物……だ・か・ら、私の快楽を満たすためにもう少し付き合ってもらうわよッッッッ!!!!」

「ということです、残念ですがご容赦を、高町なのは」

「………………」

 

壁から引きずり出されたなのはは、ヴィヴィオに乱雑に髪を持ち上げられたまま、今のヴィヴィオと同じくらいに光の点らない瞳を浮かべていた。

口から漏れだすのも既に言葉とは程遠い、羽虫が発するような微かな音のみ。

仲間も希望も、怒りさえも塗りつぶす圧倒的なまでの暴力と覆しようのない現実。

その全てがなのはの心の一欠けらまでもを粉々に打ち砕いてしまっていたのだ。

もう今のなのはには何もすることはできない、ただされるがまま、ベルリネッタの悪趣味な快楽を満たすための玩具ににされるだけ。

 

「くふは!! くは!! くははははははははッッッ!!! まだよ、まだまだッッッ!!!! もっともっと痛めつけるのよッッッ!!!! 私達の邪魔をし続けた馬鹿で実直で純粋な子をねえッッッッッ!!!!」

「うわっはあ……あの砲撃エースをああも簡単に……」

「シグノリアといい、あのヴィヴィオって子といい……本当にデタラメっスよねえ……」

 

その後に続く光景は常人なら数秒経たずに目を覆いたくなるような壮絶な物でしかなかった。

それを直視できるセインとウェンディ、挙げ句快楽すら感じて狂笑を続けるベルリネッタは正に異常でしかない。

ヴィヴィオに放り投げられシグノリアに蹴り飛ばされ、それをヴィヴィオが更に殴り飛ばす。

後はずっとその繰り返し、なのはは子供のボール遊びの様に蹴られ殴られを何度も受けて宙を舞い続ける。

ヴィヴィオとシグノリアの一撃一撃で血が吹きだし、骨が折れ、内部がズタズタになっていく。

最早管理局の誰もが憧れていたエース・オブ・エースの姿などそこには無く、狂気の下で弄ばれる哀れな少女が1人いるだけでしかなかった。

体中が傷と血で染まっていきながらも、それでもベルリネッタはその醜悪な"遊び"を辞めようとはしない。

 

「さあさあ!!!! そろそろトドメを刺してあげないとねえッッッ!!! 何だかんだで私は優しいからさッッッッ!!!!」

「了解しましたマスター」

 

そしてその快楽を満たし終えて終了を宣言するのも実に唐突。

ベルリネッタの言葉を受けてシグノリアがヴィヴィオから飛んできたなのはを上空高くに蹴り上げる。

直後にシグノリアは右腕にエネルギーブレードを展開、徐々に落下してくるなのはの真下へと入りそれを突き上げる。

墜落してきたなのはの胸を、心臓を貫きシグノリアはなのはの体を片腕で支えたままそれを振るい、なのはを近くの床へと叩きつけていた。

 

「くひゃはははははは!!!! ミッションコンプリートってねッッッッ!!! ご苦労様だったよッッッ!!!」

「お褒めに預かり光栄です、マスター」

 

駆動炉の最先端、ずっと眺めていただけのベルリネッタが告げる戦いの終わりとそれに答えるシグノリア。

屍累々、地獄絵図、阿鼻叫喚、どのように表現しても決して間違ってはいないだろう。

なのはが、スバルが、ティアナが、ヴィータが、シグナムが、リインが、アギトが、その誰もが自らが流す血の中に沈んでいる。

聖王ヴィヴィオとネロ・シグノリア、2つの狂気の最高傑作の圧倒的な力を前にした機動六課の、管理局の完全敗北であった。

 

「さあさあさあッッッ!!! 時間も頃合い、準備も万端!! 楽しかったお祭りも名残惜しいけどクライマックス!!! だよねえ兄さんッッッ!!」

『クククク…………そうだともカティーナ……!! 軌道上到達まであと1分を切っている……本局の艦隊の到着もまだだ……そう、我らの完全勝利というわけだよッッ!!』

「おおっ、いよいよってわけだね!!」

「いやはや、楽しみっスねえ、ゆりかごの真の力ってやつ」

 

そんな地獄の最中にいながらにしてベルリネッタが意識を向けるのは次なる、最期の、最高の楽しみ。

それを前にして心を躍らせるのはセインとウェンディも同様であった。

モニター越しに総司令室からスカリエッティが告げる、ゆりかごの現在位置。

ゆりかごはとっくの昔にミッドチルダ上空を高く高く飛び上がり、目的ポイントである軌道上まであと僅かの所まで迫っていたのだ。

時間にして残り1分足らず、本局の艦隊も未だ到着していない。

軌道上で付きの魔力を受け、最大の力を発揮してしまえば本局の艦隊やミッド地上を滅ぼすことなど造作もないことなのである。

 

『さあッッッ!! これが祭りの終わり、そして私たちの夢の真の始まりだッッッ!!! 括目したまえよセイン、ウェンディ、そして我が愛しの妹、カティーナッッッッ!!!!』

「あはははははははははッッッッ!!!!! くふはははははははははははははは!!!!」

 

軌道上へと間近に迫るゆりかご、その内部で響き渡る2つの狂気の高らかな笑い声。

それが止むことなく木霊する中、遂に2つの月の魔力を吸収し、その真の力を発揮して眩い光を放出していく聖王のゆりかご。

次の瞬間、止まることない狂気の下でゆりかごはいくつもの光と次元を超える膨大な空間攻撃を放出し、

迫りくる本局艦隊とミッドチルダ地上を次々と焼き払っていくのだった。

 

 

 

*

 

 

 

「……とまあ、これが私達が大いなる一歩を踏み出したゆりかご事変の事の詳細。どう? 楽しんでもらえたかな? ティセイン、ティセット」

「触り程度の話は姉さま方から聞いたことはありましたが……本当に素晴らしいお話でした」

「あはは~カティは昔から何も変わってなかったってこともよくわかったよ~」

 

ミッドチルダ地上、元地上本部跡地にある私たちの第1アジトの一室。

その1室でモニター付きで忘れもしない5年前の最高に楽しかった一時を話してあげているのは、戦闘機人のナンバー26と27。

機械技術研究の幅を広げるという一環で私が初めて基礎から作り上げた作品、ティセインとティセットだ

現状の戦闘機人作品の中では膨大なデータのフィードバックの下、最高クラスの能力を要している、セインやウェンディと同じ私のお気に入り。

因みに当然、体型はなだらかスレンダーだ。当たり前でしょ? 何年経とうがグラマーナイスボディは私の敵だもの。

 

「セイン姉様やウェンディ姉様も、カティと共にずっと戦ってきたのですね」

「あはは~シグノリアの活躍もホントに凄かったからねえ、今も変わらずに動き続けているのは流石だよ~」

「ふふん、そうでしょうそうでしょうとも、もっと褒めてくれてもいいんだよティセット♪」

 

物静かで丁寧に警護なティセインに朗らかに笑いながらぽわぽわと私の功績を褒めてくれるティセット。そのどちらも私にとっては気持ちの良いものだ。

私の最高傑作、機動六課の全てを叩き壊したネロ・シグノリアは調整と改良を繰り返しながら今も私の片腕として活躍している。

ミッド地上の生き残りやら各次元世界の反抗勢力やら、相手にしなくちゃいけない奴らは山のようにいたし今でもそれはあまり変わらない。

そんな連中もシグノリアに任せれば一っ飛び、あっという間に鎮圧してくれるんだからたまらない。

やっぱりあの子は私の期待を絶対に裏切らない、私の最強の子にして最高傑作なんだと。

あの子を止めることができる奴なんて、それこそ同じく最強である兄さんの最高傑作のあの子しかいないんだから事実誰も止められないも同然なんだよ、うふふ。

 

「ここにいたのかティセイン、ティセット……カティも一緒だったか」

「そろそろ訓練のお時間です、申し訳ありませんがカティ様」

「いやいやナイスタイミングだったよトーレ、セッテ。それじゃいつも通りよろしく、ティセインとティセットも頑張るんだよ~」

「勿論ですカティ。私もティセットもより強くなるために全力で励みます」

「あはは~、後で一緒にお茶でもしようねカティ~」

 

と、その段になって部屋に入ってきたのはお馴染戦闘機人近接戦闘最強コンビの古株、トーレとセッテだ。

話を続けている間にもうそんな時間になっていたのかと思いつつ、満面の笑みでティセインとティセットを見送ってあげた。

あの戦いの後、ミッドチルダ地上を粗方壊した後、地上にいた戦闘機人の残りメンバーも無事に回収。

兄さんの指揮下の下で無事に修理も完了し、またあらゆる戦場を駆け回って大忙し。

トーレもセッテもデータの更新と回収の繰り返しでその強さを更に増していってるし、何よりも蓄えられた実戦でのデータが大きい。

それを少しでも私の作品であるティセインとティセットに与えてあげたい一心で、教育係を頼んだりもしているのだ。

 

「ふんふんふーんと……5年かあ……長かったような短かったようなだけど、どうにかなるもんだよねえ。ま、私と兄さんがいるならそれも当たり前なんだけどさっ」

 

モニターやら機材やらの後片付けをしながら、窓の外に見えるミッドチルダ……今は私と兄さんの管轄世界ナンバー1となっているその街並みを見ながら年寄り染みたことを呟いてみたりも。

無敵になったゆりかごの力で全部を終えた後、本局の戦力が追加でやってきたりもしたけどその全てをぶっ壊しまくり。

落ち着いたところで私達が実行したのは管理局本局を運営している各世界の勢力の抱き込みだった。

元より時空管理局という組織は一枚岩ではなく、各管理世界の共同運営の下で成り立っている。

まして、その中には利益の為なら倫理も道徳もどうでもいいという私達に似通っている連中だって少なからず存在している。

そういった奴らをゆりかごという鞭、私と兄さんの無限の知識の供給という飴で上手いこと釣って切り崩していく。

後はもう放っておくだけで内部崩壊、私達に着いた勢力とそれでも尚管理局の秩序を守るために逆らってきた勢力の大規模内乱。

俗に言う、管理局崩壊戦役と呼ばれる3年にも渡る各世界での戦乱は、私や兄さんがゆりかごを中心に手を貸してあげたおかげでこちらの大勝利。

今では殆どの管理世界が私たちの支配下、その全てが遊び場で実験場と言っても同然の状態なんだから超最高ってね。

統治だの何だのは面倒臭いから勢力下の権力者に丸投げしちゃってるし、それで内乱だの飢餓だのなんだの色々混乱したりもしてるみたいだがそんなことはどうでもいいのだ。

私達はただ己の欲望を満たすために、気ままに開発を繰り返して遊び場で遊ばせられればそれでいいのだから。

世界なんていくらでも存在する、使えなくなったら切り捨てればいいんだしね。

 

「さてさてっと……おや、戻ってたんだねクアットロ?」

「ええカティちゃん。46管理世界でうるさい虫が少々暴れていたのでその鎮圧に」

「ご苦労ご苦労だよっ。にしても災難だったねえ? まさかクアットロの部隊に目を付けられちゃうとは」

「とってもいい悲鳴で鳴いてくれましたよ~それも貴女のおかげだものね? なのは」

「……はい、クアットロ様」

 

廊下に出た先でばったり会ったのはいつも通りのニヤニヤ笑いのクアットロと、それに追従する白い魔導師……死んだ魚みたいな目をしてるなのはちゃん。

あの戦いの後、機動六課の連中の死体は回収できるだけ回収し、兄さんの新たな実験素体として活かしていた。

結果、ゼストやルーテシア、ヴィヴィオのデータの蓄積もあって飛躍的に進んでいた人造魔導師研究の下、

機動六課の魔導師連中のほとんどは今や私たちの支配下で完全に戦闘用の駒として操作されている状態なのだ。

クアットロの言いなりになっているあの嘗てのエース・オブ・エース、高町なのはちゃんの姿を見る度に、とても滑稽で笑いが込み上げてきそうになるくらいなんだから。

完成度のより高まった素体として改造されたこの子たちが己の意志を取り戻すことは絶対にないのだろう。

嘗て自分に屈辱を味あわせた因縁の相手をボロ雑巾のようにこき使おうがお構いなし、クアットロの満足げな笑いはいつまでも続いている。

 

「そ・れ・じゃ、久しぶりに今度ヴィヴィオちゃんに会わせて上げますよ~、最近は頑張ってくれましたからね~」

「!!……ありがとうございます、クアットロ様、光栄です」

「くふふふ……私達の支配下になっても相変わらずだよねえ、なのはちゃんも♪」

 

しかも敢えてヴィヴィオのことに関する記憶の彼是だけは残しているんだからクアットロも悪趣味というか何というか。

だが、すれ違い様に見えたなのはちゃんの無機質な笑顔を見てるとそれもまた面白おかしくてたまらないのだ、うん。

私や兄さんに会ってしまったのが運の尽き、死んであの世にいくよりもよっぽど辛い地獄でしかないんだろうね。

ああでも、人形同然とはいえ大切にしていた娘もどきと一緒に居させてあげてるってだけでもなのはちゃん的には幸せだったりするのかな? くふふ。

 

「やあやあみんなお待たせだよっ!! 調子はどうかな兄さん?」

「ククク……順調そのものだよカティーナ……あの日以来から我々の作品は止まることなく増え続けているのだからね……」

「私に続く傑作品たちも、間もなく安定稼働に入る予定です、マスター」

 

そして廊下の先に会った広大な空間、何十個もの生体ポッドや研究機材、兵器類が立ち並ぶメインラボへと私はやって来る。

その中で既に作業を進めていたのは兄さんと私の最高傑作であるネロ・シグノリア。

5年の歳月の下で私たちの本文である生体操作技術、機械技術の研究もますます発展を続けていた。

さっきばったり出くわしたなのはちゃんを始めとする優秀な人造魔導師の安定量産ラインも確保済み。

戦闘機人に関しても簡易量産タイプを始めとして、兄さんが直々に作り出すナンバーズタイプも現在は31、32の開発が進行中。

更にシグノリアが端末を操作して映し出したデータ手……私の本領である兵器開発についても順調そのもの。

シグノリアをベースにした高機能量産機、アンジェロシリーズの新型もいくつかがロールアウト。

各地の小規模な反抗勢力の鎮圧のために各地で戦果を挙げてくれている。

その他、時折趣味で作る火力偏重型や高機動特化型、その他色々の面白メカたちもたくさん。

無限に続く純粋なまでの欲望を満たすための果て無き探究、私と兄さんの夢は今も止まることなく続いているのだから。

 

「また今度一緒にパーティーでもしようよ、クアットロも戻ってきたことだしみんなでさ」

「いいねえカティーナ……その時は各世界のご友人の皆様にも参加していただくこととしよう」

 

兄さんのすぐ横でコンソールを弄り始めながらふと思いついての一言。

もちろん、私たちは単に破壊と研究だけを繰り返してるわけではなくたまには息抜きだってしているのである。

特に戦闘機人やシグノリアみたいな高度な意志を持った無人兵器、更には各世界の統治を任せている権力者を集めてのパーティー。

あれは本当に楽しくてしょうがないんだよね。みんなで食べて飲んで騒いで、余興代わりに実験世界で大暴れして権力者の皆さんがそれを見て大笑いして。

やりたい放題のパーティーを定期的に開くのは今の私の楽しみの1つでもあるんだから。

 

『失礼します、ドクター、カティ。早急にご報告したいことが』

「おやおや、どうしたのウーノ?」

『はい。第124管理世界において反抗勢力による大規模な反乱が計画されているとの情報を、現地視察中のチンクとノーヴェから頂いています。勢力規模から察するに応援を欲しいとのことです』

「ふむ、それもまた珍しい。あそこにはチンクやノーヴェだけでなく妹の兵器や、その他の戦力も大勢配置していた筈だが……」

「くふふ……それだけ元気がある連中がまだいたってのも何よりだよ……なけなしの戦力を私達が真正面から叩き潰した時はたまらないものがあるからねッッ!!!」

 

ゆりかごの管理を任せているウーノがその内部からこのメインラボへと通信を飛ばしてきて話してきたのはそんな内容。

云わば絶対的な力を持つ、神にも等しい……なんていうのは流石に傲慢が過ぎると自分で思うけど。

それでも今の私や兄さんにまだ逆らおうとしている連中がいるっていうのは意外なことであり、望ましいことでもある。

実験代わりに無抵抗の連中を気まぐれに叩き潰していくのもそれはそれで面白いが、やっぱり敵には明確な反抗の意志があってこそだ。

既に幾度の改良を終えてその実力も5年前とは比べ物にならないくらいに高まっているあのチンクやノーヴェが手こずっている。

それだけで今回の反乱規模が予測できるし、それをぶっ潰した時の快感を考えるだけでも今から楽しみで仕方ないんだから。

 

「さーてじゃ……最近表に出てなくて久しいし、私も行ってみるとしますかね」

「クククク……朗報を期待しているよ、カティーナ?」

「もちのろんだよ兄さん。私が出向く以上、敵の皆さんには極限まで絶望してもらわなくちゃだしねえ……?」

 

お互いにお互いが下卑た笑いでコンタクトするのも今となっては慣れたもの。

どんなに理解者が増え、どんなにお気に入りの子や作品が生まれていっても、

やっぱり何だかんだで私のことを真に理解し共感してくれるのはいつの時代でも兄さん1人だけなんだ。

それはこれからもずっと変わらないことなんだろうね、うん。

 

「それじゃ、行くとしようかシグノリア。久しぶりのゴミ掃除にさっ!!」

「了解しました、マスター」

 

元気いっぱい期待いっぱい、私の一声にシグノリアがいつものように答えてくれて私は一緒にメインラボを後にする。

 

 

 

楽しみは続く、永遠に続く、私と兄さんの欲望の下で世界は回り続ける。

夢の終わりは未だ訪れない。私たちの命が尽きるまで、世界の全ては永遠に私たちの遊び場だ!!




というわけでスカリエッティ陣営大勝利なエンドです。
途中のなのはフルボッコも含めて、「これ公開して大丈夫なのか……?」なんて思ったりもしてました。

元は無かった物を無理にねじ込んだ形になってしまったので
皆さんのご期待に添える形になったかはわかりかねますが、
それでもこんな展開でもアリだと思ってくれる方がいてくれたら幸いです。

長々となりましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございます。
そしてバッドもノーマルも両方イケるぜ、という方はこのまま次話以降のノーマルエンドの方へとお進みください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。