南雲原の勇者御一行様   作:ペンギンとクマ

11 / 24
特訓回です。 


第10話 撃ち落とす

 北陽とのミニサッカーバトルも終わり、解散した。

 

 私の必殺技も、桜咲の必殺技も雲明君の言う通り通用しなかった……。やっぱり、春雷の完成を目指さなきゃ……。でも……桜咲、ぜんっぜん合わせてくれないのよね……。どうしよ……絶対完成させなくちゃいけないのに……。

 

 あれ? 裏山の方に向かって歩いてるの光君? 

 

 いつも、練習終わりに裏山に行って練習しているとは聞いているけど……。どんなことやっているんだろう……。

 

 ちょっと付いて行ってみようかな。私は裏山に入っていった。

 

 

 結構ここ迷うなぁ。木が多く生え茂っていて、方向が分からなくなりそう。

 

 歩いていくとだんだんボールの音が聞こえてきた。

 

 そこにいたのは、よく分からない格好をした光君だった。

 光君の身長よりも長い黒い羽のようなストール。赤いズボン。青いブラウスに金の装飾があしらわれている。腕の部分には青白く光ったラインが通っている。そして、背中には大きな黒と白の刀を背負っている。

 

 なんと言うか……とても神々しい……思わず見惚れてしまう美しさ。

 

 というか……何あのサッカーボール……

 光君の木々を避けながら蹴っているボールは黒いし、音が重そう…………。雲明君の言っていた無茶苦茶な特訓ってこれのこと……? 

 そして、いつもは右足で蹴っているのに、今は左足だ……なんでだろう? 

 

「あれ? 来夏? どうしたんだい?」

 

 声をかけられてビクッとする。気付くと光君の衣装はジャージに戻っている。

 

「あれ⁉︎元の姿に戻ってる‼︎あれ何?」

 

 すると困ったような表情で答えてくれる。

 

「いずれ来たる雷門中の戦いに備えた練習だよ。今は秘密だけど、強いて言うなら円堂ハルを越えるための秘策かな。あの状態は相当体力使うから、どれだけ維持できるかの特訓なんだ」

 

 雷門中かぁ。え!? 雷門中⁉︎もうそこ想定してるの⁉︎ってことはあの姿は相当難しい技術なんだろう……。

 

「今は左足を使ってるけど、それはどうして? いつも右足でパスやシュートしてるよね?」

 

「あぁ、それは利き足が左なんだ。普段は右足を使って力をセーブしながらやってるけど、ちゃんと解放することも日常的にやっておかないとね……。いざその力を解放するってなったときに、100%の力も出なくなってしまうから」

 

 西ノ宮戦で力をセーブしていても、円堂ハルのシュートを蹴り返せるぐらいなのはなかなか強い気がするが……。

 

「そっか……。じゃあ、力をセーブしてるのってもしかして、光君のワンマンにならないため? そうなったら、私たちが成長できないし、光君が抑えられたら機能停止するもんね‼︎」

 

 そんな気がする。光君みんなで勝つのが好きだもんなぁ。

 

「あぁそうだよ、来夏。個の光が強ければ周りを焦がす。その個頼りのチームになってしまう。もしそれが抜けてしまったら、そこに待っているのは焼け野原……、チームの大幅な弱体化だ……。俺はチームプレイが好きだし、みんなのことは信頼しているから、背中を思いっきり預けたい! みんなには強くなって欲しいんだ!」

 

「じゃあさ、光君‼︎みんなに強くなってほしいなら、今から練習付き合ってよ‼︎」

 

「あぁもちろん‼︎」

 

 私はそこにあった黒いボールを蹴ろうとしたら止められた。

 

「待ってくれ‼︎それは重いボールなんだ。蹴ると怪我してしまう」

 

 危ない……危ない……。もう少しで蹴るところだった……。手で一回持とうとする。お、重っ!! これを光君蹴って練習してるの‼︎

 

 光君が普通のボールを出してこっちにパスをくれた。

 

「ねぇ、今春雷の完成目指してやってるんだけどさ……どうも桜咲と上手く会わないんだよね……」

 

 私は光君を抜こうと思ったけどすぐに取られた。

 

「どういう風に意識しているんだ?」

 

 もう一度ボールを渡され、抜こうとする……。

 

「うーん……桜咲が合わせやすいようにって感じかな……。あっ、また取られたぁ」

 

 全然抜けない……。

 

「光君はさ、ジェネシスセイバーっていう連携必殺技あるじゃない? どういう感じでやってたの? やっぱり息を合わせにいった?」

 

 光君本当に通してくれない。

 

「いや、合わせにみんなで妥協点を探すっていうよりかは、威力を保ちたいからみんなフルパワー意識だったよ……。威力重視だったからそうなっただけだし、逆に2人が合わせられるところまで下げた方がいい技もあるな……。雲明からは特に聞いてないけどさ、春雷はグラビティデザートを破るための威力重視の技だろ?」

 

「そっか……私、合わせようって思っていたけど、むしろ思いっ切り打った方がいいのかもね」

 

「まだ試合まで期間はあるからな。色々試していくと良いと思うよ」

 

「ありがとっ‼︎なんだか光君にはいっつも助けられてばかりだなぁ」

 

「俺たちはチームメイトだろ? 悩んでたら相談にのるさ」

 

「逆に光君はなんか悩みないの?」

 

「悩み? そうだな……。サンシャインブレードを止めなきゃならないしな、その必殺技をどういう形にしようかなとかかな?」

 

「サッカーの悩みかぁ……。私も形にするの協力するよ‼︎」

 

「ありがとう。俺も春雷の完成に向けて手伝えることがあったらやるよ‼︎」

 

「じゃあさ、今から私、春雷打つからさ、桜咲の代わりにちょっとやってよ‼︎さっき言ってたこと試すからさ」

 

「分かった‼︎」

 

「行くよ」

 

 私は強く回転をかけた。あれ? でも光君、雲明君の春雷の説明のときいないから桜咲がどう打つのか知らないじゃん‼︎

 

「はぁっ‼︎」

 

 光君がミートポイントを見つけたようで、オーバーヘッドで蹴り込んだ……。すると、ボールは大きな風を巻き起こして、巨大な炎の渦になって飛んでいった。全然春雷っぽくないなぁ……。

 

「これ……絶対春雷じゃないよな……」

 

 光君も同じことを思ったみたいだ。

 

「うん……なんか別の技できたね……」

 

「ま……まぁ、丈二もミートポイント見つけて蹴り込んだら春雷できるんじゃないかな……」

 

「そ……そうだね……」

 

 違うものが出来上がり少し気まずい……。

 

「あ! この技なんて名前にしよっか‼︎光君に任せるよ!!」

 

 気まずさをなんとかするため、技名に話をずらす。

 

「じゃあ、どうしようかなぁー。来夏の起こした旋風と俺の炎が合わさったし……ヴォルカニックストームにしようか……」

 

「うん、良いんじゃないかなぁ……ふふっ」

 

 この空気感に思わず笑ってしまった。つられて、光君も笑った。

 

「丈二と完成させる前に俺と完成させてたら明日気まずいことになっちゃうからな。これで良かったと思うよ」

 

 それは本当にそうだ。光君と先に完成させたら桜咲にも、指名してくれた雲明君にも悪い。

 

「うん、そうだね。今日はありがと‼︎私これで、帰るね‼︎」

 

「もう日も暮れてるし、送るよ」

 

 そう言って家まで送ってくれた……。

 

 

 

 ────

 

「ただいま」

 

「おかえり」

 

 来夏を家に送り届けて、帰宅したら、珍しく父さんが早く帰ってきていた。

 

「父さんが早く帰るなんて珍しいね」

 

「あぁ、光に言うことがあってな、早く切り上げてきたんだ」

 

 早く帰って来て言うこと……? なんだろう。

 

「あぁ、社長が様子を見に、暫くこっちに来るんだ。それで、光の次の試合も観に来るそうだ……」

 

「嘘‼︎師匠来るんだ‼︎」

 

 俺は笑顔になる。師匠が試合を観に来る‼︎良いとこ見せられるように頑張らないとなぁ。

 

 そうだ‼︎対空宮征の技に師匠の技を応用しよう‼︎早速明日やるかぁ‼︎

 

 ────

 

 

 ここが南雲原中ですか……とても大きな学校ですね……。

 

(こういうのは無駄に荘厳って言うのよ……)

 

 もう、またそんなことを言う……。でも、天照中からこっちに引越して来て正解だったかもしれません。明日に備えて帰りましょうか。

 

(まぁ、私は眠っているからいつも通りよろしく)

 

 

 ──翌日──

 

 練習開始前に対北陽の作戦会議だ……。空宮征を封じて、タクティクスをシナノフォームに固定させる。守備が薄くなりキーパーと1対1になるところを春雷で突破すると言う作戦だった。

 

 ブロック・ザ・キーマンが空宮征に効くように亀雄とジークとMF陣が守備練習している。我流はキーパー特訓に野球部のグラウンド、丈二と来夏は春雷の練習だ。そんな中俺は、駿河に必殺技練習を手伝ってもらっていた。

 

「で、天空サンダーを打てば良いのか?」

 

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

「参考までに聞くが、なんで俺なんだ……」

 

「それは、サンシャインブレードは空から打つ技、パトリオットシュートも一度空に飛ぶ……。それを封じたい。南雲原でも空中で必殺技を使うのは今は駿河だけだからね」

 

「そうか……イメージはできてるのか?」

 

「あぁできている。流星ブレードとメテオシャワーをシュートブロック用に改良するイメージだ」

 

「流星ブレードって、あの吉良さんの‼︎」

 

 駿河はイナズマレジェンドジャパンに憧れてサッカーを始めたらしい。興奮気味に聞いてきた。

 

「そうだよ。流星ブレードはカウンターシュートにもなるけど、シュートで押し負ける可能性もあるし、それなら始めから使わせないようにしたいんだ」

 

「じゃあやって行くか。天空サンダー‼︎」

 

「はぁっ!!」

 

 失敗した。

 

「少しタイミングが速かったんじゃないか?」

 

「そうかもな。もう少し遅くするよ」

 

 あぁでもない、こうでもないと言い合いながら、30本を超えた。

 

 もう駿河の天空サンダーも天空サンダー改になっている……。

 

「もっと高い方が良いんじゃありません? 上から撃ち落とす技なんでしょう? まだ相手との距離が近いような気がします」

 

 守備練習何終わっていたようで、零由先輩からアドバイスを受ける。俺よりも高く跳べるからこその意見であり、貴重だ……。

 

「ありがとうございます。そうしてみます。駿河もう一回頼む……」

 

「もちろんだ。ふっ‼︎天空サンダー改‼︎」

 

「パニッシュメントレイ‼︎」

 

 大きな光の弾が駿河向かって降り注いでいく。そのまま、天空サンダーは不発になり、ボールはこちらの足元だ。

 

「よっしゃあ‼︎完成だぁ‼︎」

 

 駿河はまるで自分のことのように喜び、俺と肩を組む。

 

「完成できたのは、駿河のおかげだ……ありがとう」

 

「良いってことよ。俺も天空サンダーを強化できたしな」

 

「零由先輩もありがとうございます」

 

「いえ、あたくしは別に提案しただけですわ。実際に成功なさったのは、お2人の力でしょう?」

 

「どうやらあっちもできたみたいだぜ。春雷……」

 

 駿河の言葉に俺たちは振り返る。そこには、粉塵が舞っていた。遠目から見ても分かる……。あれはかなり強烈なシュートだ……。きっと南雲原の武器になる‼︎

 

 来夏がこっちに近寄って来た。

 

「おめでとう。来夏、丈二‼︎」

 

「ありがとう光君‼︎昨日のアドバイスで春雷完成できたよ‼︎」

 

「それは良かった」

 

「でも、光君……。昨日私手伝うって言ったのに柳生に手伝って貰ったんだ……」

 

 あ……。

 

「それはすまない。手伝ってもらうにも向き不向きがあるからな。この技は駿河に手伝ってもらう方が1番良かったんだ……。今度頼むよ」

 

 なんとか許してもらえた。そうして各々の練習メニューに戻った。明日以降もブロック・ザ・キーマンの練習は続けるみたいだ。

 

 今度は鞘先輩と祥子に話しかけられた。

 

「ごめんなさい。ウチらの必殺技の練習に付き合ってほしい」

 

「お願いしますっ‼︎」

 

「もちろん良いですよ!!」

 

 了承して部室前に移動した。




暁光
いったい何アームドなんだ……。いったいどこ産のボールを蹴っているんだ……。

忍原来夏
アドバイスもあり桜咲と春雷が打てた。暁光の必殺技特訓を駿河に取られて少し悔しい。ヴォルカニックストームはまだみんなには秘密。

柳生駿河
イナズマレジェンドジャパンファン。特訓に付き合ったら技を進化させた。

謎の少女
天照中から南雲原中に転校するみたいだが果たして……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。