南雲原の勇者御一行様   作:ペンギンとクマ

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北陽戦です‼︎今の所あんまり雲明と絡ませてられていないです……。


第11話 舐めるなよ金髪男

 鞘先輩と祥子の練習に協力したり、練習試合をしたりして今日は北陽戦だ。午前中、雨が降っていたから、フィールドがまだ湿っている。ベンチで準備をしているが、観客席に師匠いるのかな? 

 

 俺は辺りを見渡す。まだ来てないのか、見当たらない。

 

「先輩、誰か来てるんですか?」

 

 兵太に聞かれた。

 

「あぁ、俺のサッカーを始めるきっかけになった師匠が観に来るって聞いたから、どこにいるのかなってな」

 

「とんでもなく強い光先輩にも師匠っているんですね……」

 

「誰だって始めたては初心者だぜ? 円堂ハルだって、きっと最初は円堂守さんに教えてもらったはずだろ」

 

「なんで先輩こんなに強くなったんですか?」

 

「なんで強くなったかぁ……。師匠たちに頼んで、ひたすら猛練習したからかな。途中7人ぐらいに教えてもらってたよ」

 

 きっかけはさておき、7人に扱かれるのだから、色々な技術を得た。なんとか追いつけそうな兆しがあるが、まだ圧倒的な才能を持つ円堂ハルとは遠く離れている。才能とは言うものの、円堂ハルだって人の子だ。努力はしているはず……。

 

「7人!? ……多すぎません、それ……」

 

「7人もいたから、こんなに強くなったんだよ……まぁ今の強さのままで留まる気はさらさらないけどな……みんなで優勝するためにもっと強くなってみせるよ」

 

 瞳子さんの練習が1番キツかったな……。

 

「おぉ‼︎頼もしい‼︎」

 

「よし、試合始まるし移動するか‼︎」

 

 俺たちはコートに入る。俺は中央に立つ空宮征をみる。もしかして泣いていた? 顔が腫れている……。それよりも試合に集中……。

 

 そういえば、雲明が春雷をまだ使うなと言っていたな。理由教えてあげても良いのに……。春雷は粉塵で見えないことも強みだ。フィールドが湿っていたら、そんなに粉塵が舞わないからだと思うが……。

 

 そんなことを考えている内に試合が始まる。

 

 早速、北陽はタクティクスを使い分け、攻め上がってくる。ボールを空宮征が持っている以上、今はブロック・ザ・キーマンが使えない。どこかで奪わないとな……。

 俺は前線に上がる北陽の選手をマークしていたので、逆サイドにいる空宮征はどうしようもできない……。

 ボールが品乃雅士に渡る。

 

「パトリオットシュート」

 

 ボールが高く飛び、ゴール目掛けてくる。

 

「決めさせない‼︎氷結の舞」

 

 我流が必殺技を出して止めた。夜、ジークと駿河に練習に付き合ってもらっていたらしい。

 

「ナイスセーブ‼︎我流‼︎」

 

「暁君‼︎」

 

 我流からボールが来た。

 

「兵太‼︎」

 

 兵太にパスを出す。よし、この間にブロック・ザ・キーマンだ! 

 

「止める‼︎ザ・マトリックス」

 

 すぐに空宮征が戻って来てボールを取った……。空宮征が速いから、前線まで行って、こちらがカウンターを仕掛けてもすぐに戻って来る……。厄介だ……。今のは品乃雅士がシュートを打ったからというのもあるだろうけど。

 

「決める‼︎」

 

 トライダイブでもうここまで上がって来た。だけど、さっきと違って、俺の近くだ。空宮征が跳ぶ。俺も跳び上がる。

 

「サンシャイン……」

 

「打たせないよ。パニッシュメントレイ」

 

「クッ‼︎」

 

 俺はボールを奪った。今回はまだ、ボールは俺が持っていて、空宮征も前線にいるままだ……。

 

「今だ‼︎」

 

 雲明のサインと俺の声で、みんながブロック・ザ・キーマンを発動させる。よし、これでシナノフォームに移行するはずだ……。

 

 事前に見てはいたが、本当にこの陣形だと守りが薄くなっているな。パスを出したが、取られてしまった。

 

「パトリオットシュート」

 

 再び、品乃雅士がシュートを打つ。

 

「おっと、ゴールの元には行かせへんでぇ」

 

 ジークがシュートブロックする体勢に入る。

 

破天剛勇爆雷昇(スカイハイブレイブサンダー)

 

 跳んで蹴り上げてできた雷撃が、ボールの勢いをとめる。

 

「ワイらDF陣から先には行かせへんからな、小太刀‼︎」

 

 鞘先輩にボールが繋がる。

 

「アトラスソード」

 

 アトラスソードで、騎士部登和を抜き去る。そしてボールは丈二の元に……。まだ地面は乾いていない。

 

「ちっ、まだ許可が降りねぇのか‼︎仕方ない、剛の一閃‼︎」

 

「ぬるいっ‼︎グラビティデザート」

 

 陣内伍兵に止められてしまう。あのグラビティデザート、よく見たら使った後にすごい隙が生まれているな……。

 

 北陽の攻めも、亀雄やジーク、俺のブロックでゴールまで届かず、俺たちは俺たちで決定打に欠けて点が入れられない。0-0のまま前半が終了する。

 

「なんでだよ、雲明! ここは春雷だろ!」

 

 ベンチで丈二が声を荒げる。最初から教えてあげても良いのに、何か他にあるのだろうか……。

 

「まだ使ってはいけない理由があるんです!」

 

「……それって私……」

 

 来夏が言いかける。確かに昨日、来夏が練習中足を痛めていた。平気とは言っていたが、そのことだろうか。

 

「なんでその理由を俺たちに隠す必要があるんだ!」

 

「そうだよ、雲明。俺たちにも話せよ」

 

 丈二の言葉に兵太も続く。

 

「……」

 

 雲明は黙ったままだ。空気は悪い。

 

「ふーん……あなたたちは笹波君を監督役と認めているんじゃなかったの? 自分たちが選んだ監督を信用できなくてチームがまとまるのかしら」

 

「ぐ……」

 

「!」

 

 エグゼクティブマネージャーが釘を刺す。このことを別に隠しておく理由ない気がするけどな……。まぁ雲明が言わないなら、俺も言わないでおくか……。でもみんなを安心させないとな……。

 

「これは一本取られたな桜咲。ここは笹波の戦術眼を信用しようとしようぜ」

 

「分かった」

 

「了解!」

 

 駿河の言葉に2人が頷く。

 

「雲明が理由を言わないし、試合は0-0。丈二と来夏が安心して春雷を打てるようにしなきゃだな」

 

「おう、そうやな。ゴールは四川堂とワイらDF陣が絶対に割らさんから、安心しとき」

 

 俺の言葉に続いてジークも鼓舞する。

 

「雲明、試合を見ていてグラビティデザートの弱点を見つけたんだ。2人が春雷を打てるようになるまでの間、試して良いかい?」

 

「分かりました。良いですよ」

 

 雲明から了承を得た。

 

「上手くいけば2点は取れると思う。鞘先輩協力してください」

 

「ええ、分かったわ。ウチは何をすれば良いの?」

 

 俺は鞘先輩に耳打ちした。

 

 

 

 ────

 

 後半が始まった。ゴールからずっと試合を見てるが、南雲原のDF陣が堅すぎてゴールを入れられねぇ。まぁ、南雲原のシュートは大した威力もねぇから、拮抗状態だ。

 

 金髪男と金髪女が上がって来た。何をする気だ。何を打ってもグラビティデザートで封じるだけだがな。試合前に、空宮からも監督からも金髪男は元々FWで南雲原で1番攻撃力があるから注意しておけと言われ、俺は神経を研ぎ澄ませる。

 

 男がシュートを打ってくる。なんだこのヘボヘボなシュートは……。

 

「グラビティ……なっ」

 

 俺が技を使い始めると俺の目の前でボールがカーブして金髪女の方に向かった。

 

「デザート……」

 

「虚空斬」

 

 金髪女に俺が技を出した後に入れられた。

 

 してやられた……。あいつらハイタッチしてやがる……。そして、FW女に何か話している……。ずっと均衡状態でのこの1点は非常にいてぇ……。付けいる隙は金髪男が前に上がった後、あいつが抜けている穴から攻めること……。

 

 こちらのボールだ。空宮が上がる。

 

「オーバーグロウ」

 

 黒髪女を突破した。眼帯男が立ち塞がるが、ここは品乃にパス。そして友部にボールが繋がる。

 

「シャインドライブ」

 

 打ったが、長髪キーパーにすぐに止められた。

 

「氷結の舞、古道飼君!」

 

 カウンターを仕掛けてくる。今度こそ、止めてやる。

 また、金髪コンビが上がって来た。同じ手には乗らん‼︎

 

 金髪男が蹴った。シュートかと思ったが、FW女にパスした……。ぐるぐるシュートだろ? 何回やっても無駄だ。軌道を捻じ曲げてやる。

 

 シュートを打った。

 

「グラビティ……」

 

 技を出し始めたところで、再びボールは回転し戻っていく。

 

 出し始めて途中で止めることはできない。

 

「デザート」

 

「虚空斬」

 

 また、決められた。俺の技は出した後の隙が大きい。だが、大体は俺の手の中にボールがあるか、もう破られている。だからこそ気にしなかった……。それなのに2回も同じことをして来た。

 

「くそっ‼︎舐めやがってぇ‼︎」

 

 俺は怒号をあげた。

 

「落ち着け、陣内、これだとあの男の思う壺だぞ‼︎」

 

 品乃に宥められる。チッ‼︎こんなにイライラするのは、スプリング杯で円堂ハルに技すら使わせてもらえず、何もできなかったとき以来だ……。

 

 

 湿っていた地面はもう乾いている……。

 

 ────

 2点目が入り、北陽のボールだ。

 

 あのキーパーは完全に俺を意識してしまっている。俺はシュートをグラビティデザート発動から遅らせて打つように仕向けた。次のシュートも何か引っかけてくると思っているだろう……。地面が乾いているから、次は春雷だ。今までの2点とは違う。虚空斬も速くて威力が高い技だけど、春雷はより速く威力も高い。そして粉塵が舞い何も見えない。予測も分析もさせない。

 

 空宮征が兵太を抜いて、兵太が足を痛める。治療のため試合が中断した。そこで、何やら話し込んでいる。多分、使用許可が出たのだろう……。

 

 試合再開だ。カウンターで俺は中盤まで上がったが、先程の2点もあって4人もマークを付けられた。あぁ、それで良い。強い光は周りを見えなくさせる。意識をこちらから離せなくなる。それこそが狙いなのだ……。俺をマークすれば、他の場所が薄くなる。

 

 零由先輩が跳び上がり、空中から来夏にパスをする。

 

 そのまま2人は駆け上がる。

 

「桜咲いくよ!」

 

「来い!」

 

「「春雷」」

 

 粉塵の中ボールがゴールに突き刺さる。陣内伍兵は何もできずに突っ立ったまま、振り返る。

 

「なんだと……これは南雲原の? 今度は普通に打って来やがったか……」

 

「うおっ! すご。雲明、これを狙っていたのか」

 

 空宮征もその雲明の作戦に驚く。

 

 ふと、雲明の方を見ると何か口にしていた。

 

 ん? あ、う、あ、い、う? なんだ? サプライズか……? 

 

「「「「ええ──‼︎」」」」

 

 みんなの声が空へ放たれる。

 

 再び北陽ボールだ。

 

 雲明を見ると俺に指示を出した。

 

 俺がもう1点取って来い? 俺はまた4人マーク付いてるんだけどな。スプリング杯と同じ、矢倉、屯田、騎士部、城壁道だった。どうせならワンマンプレーはあまり好きではないが、1度あのときの円堂ハルと同じように1人旅するか……。

 

「サンダードゥーム」

 

 ジークがボールを奪取する。

 

「こっちだ!!」

 

 中盤にいる俺はパスを要求する。

 

「おう、光絶対取れよ‼︎」

 

 ジークがボールを高く上げた。

 

「もらった‼︎」

 

 背の高い矢倉隆仁が跳ぼうとした。だが俺は先に跳び上がる。屯田万稔が跳んだがボールに届く程ではない。円堂ハルならかわして取っていたな……。

 

「何っ‼︎」

 

 ボールを取って、着地する。

 騎士部登和がスライディングで取ろうとしたが、ボールを蹴り上げもう一度高く跳んでかわす。

 

 途中、空宮征が跳んでカットしに来たが、俺ほどの高度はない……。容易く突破する。もう、ゴール前だ。また、俺は跳んだ。陣内伍兵は構えている。そうだろう、どっちで来るか分からないもんな……。観客席を見た。師匠と目が合う。やっぱり師匠には活躍しているところは見せたいよな。

 

「流星ブレード」

 

 師匠の流星ブレードよりもさらに高く角度を付けている。

 

「グラビティ……うわぁっ‼︎」

 

 陣内伍兵……。悪いね。正解はどストレートに突破だ……。

 

『ゴール‼︎なんと南雲原、北陽学園から4点目‼︎暁光が円堂ハルを思わせる圧巻の空の一人旅から帰って来た‼︎』

 

 俺はみんなとハイタッチする。

 

 試合は再開した。だがすぐにホイッスルが鳴る。

 

 ピッピッピッ────!! 

 

 2回戦突破だ‼︎

 

 試合終了後、雲明が空宮征に抱きつかれているのを尻目に陣内伍兵に話しかけられた。

 

「こんなに散々やられたのは、円堂ハル以来だ……」

 

「円堂ハル以来だと言ってもらえるなんて光栄だ」

 

「だが、円堂ハルが何もさせなかったなか、お前は俺に技を使わせる選択を取った。それも、あのFW2人のシュートを通すために、俺が構えるのを遅らせさせてな……俺の技もまだまだ甘いことを気付かされた」

 

「絶対に通したい技があったからな。相手に対して心理的優位を取れるように色々やろうと心がけてるんだ……」

 

「こんなやつと同じチームでプレイできるとは嬉しいもんだぜ」

 

 ん? 同じチームと言ったか? 

 

「え?」

 

「なんだ知らねぇのか、北陽と南雲原は合併する……」

 

「はぁぁ‼︎」

 

「空宮風に言えばサプライズってやつか」

 

 合併するならレギュラー枠争うことになるじゃないか……。




暁光
雲明の考えを何となく察したが、それで拮抗状態を続けるのはどうかと思い、陣内の弱点を利用した。おかげで春雷が楽に入る。最後は師匠の技を使った。

陣内伍兵
暁光に遊ばれる。今度もズラすんだろと思っていたところに春雷がぶち抜かれた。

小太刀鞘
虚空斬を使うようになった。前方範囲に切り込み、相手を崩すオフェンス兼シュート技。
暁光からとにかく正面からボールが来たら、虚空斬を使うように頼まれた。桜咲と忍原以外のシュート技を持っている中で、地上で隙をついてシュートを打てる選手は、小太刀とジークだけであった。ジークはDFから抜ける古道飼1人とまずいので小太刀に頼む。今回の状況だと、もしあそこにいたのが陣内ではなく円堂守だった場合、途中でゴッドハンドから熱血パンチに切り替えても間に合わない速さの技が虚空斬である。
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