南雲原の勇者御一行様   作:ペンギンとクマ

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今回も西ノ宮戦と同じように雷門からです。東風異国館戦に向けて次回から色々動いていきます……。

テストや実験協力で忙しくなるので、書き溜めていたものがなくなると2月ぐらいまで更新ないかもです……。すみません。


第12話 隣

 今日は南雲原と北陽の試合の日だ‼︎練習終わったし、見よ……。

 

 私はロッカーでスマホを取り出して、試合を見る。

 

 私と同じように戻って来ていた暖冬屋さんに話しかけられた。

 

「何や。どこの試合見とんのや、赤袖」

 

「南雲原と北陽の試合」

 

「北陽ってスプリング杯1回戦の相手か。パーフェクトサッカーやったな、赤袖はどっち勝つと思うんや?」

 

 そんなの南雲原に決まっているだろう。

 

「当然南雲原」

 

「いや普通に南雲原聞いたことないで。ワイは無難に北陽やな」

 

 無名だから仕方ない。

 

「今年できたばかりだから無名だけど、南雲原には暁光がいる‼︎」

 

「暁光? 誰やねんそいつ」

 

「空を裂き大地を割る世代最強FW……」

 

「何やカッコいい2つ名やな。ワイにもほしいでそんなん。でも、その光君世代最強FW言われる割にはDFにおるやんか。それにワイらの世代円堂ハルおるのに最強なんか、そいつ」

 

 そうこう言っているうちに北陽が上がり、品乃雅士がシュートを打つ。

 

「お、パトリオットシュートで1点やな。強豪やしな北陽」

 

『氷結の舞』

 

 四川堂さん、止めている。この前話してみて礼儀正しい人だと思ったけど、すぐに反応できている。

 

「このキーパー中々やるやんけ、でもすぐに空宮にボール渡ったで、もうこれは1点入るやろ」

 

『パニッシュメントレイ』

 

 光が上からサンシャインブレードを押さえ込んだ。光の新しい必殺技だ……。動きが美しい……。私もこの技練習してみようかな。

 

「何やその暁光、空宮からシュート打たせやんってやるやんか」

 

「光ならこれぐらいできますよ」

 

「すごいそいつに肩入れしとるんやな。赤袖の彼氏かなんかか、その暁光君は?」

 

「確かに彼氏ですけど、何か?」

 

「嘘やろ。赤袖彼氏おったんかよ……ワイ特訓始めてくるわ……」

 

 なぜか、しょんぼりして出て行った。どうしたんだろ? 

 

 空宮を封じて北陽が攻撃的なフォームに変形したけど、DF陣がシュートを防ぐため、北陽は点を入れられない。南雲原も南雲原で、得点力がない。だから0-0のまま前半が終わった。なんか、南雲原のMFと FWの雰囲気が良くないように見える。DF陣と四川堂さんは特にそんなこともないけど……。

 

 後半、光が前線に上がって来た‼︎光のシュートが見れるかも‼︎

 光はシュートを打った、打ったのだが……北陽キーパーが技を使い始めるタイミングで回転させて、技をスカした。そして、ボールは金髪の女の人に渡って、隙を晒しているゴールに1点入れた。2点目は、光が打つかと思わせて、FWの子に打たせてもう一度、金髪の女の人が決めた。またタイミングをずらされて、キーパーは悔しそうな表情してる。

 

 やっぱりこういうこともやるのは流石だな。こちらが優位に立てるように、同じことをせずに変化させていく。ハルさんはこのキーパーに技を使わせないという選択をしたけど、光は技を使わせた後に打つという選択を取った。人によって攻略法が変わるよね。

 

『春雷』

 

 南雲原の3点目はFW2人がゴール付近粉塵を舞わせて何も見えないうちに、ゴールを破った。さっきまで、グラビティデザートを使った後にシュートを打つと強く印象付けていたのはこのためか‼︎光本人はいたって真面目にやっているけど、相手からすれば弄ばれている。

 

 光は4人にマークされている。つまり、北陽は光を円堂ハルと同じように警戒しなければならないと認識したということ……。マークされているにも関わらず、ボールは光のもとにくる。跳躍力がある以上、光にとっては何人マークされようとあんまり意味ないよね……。その後は1人でルート・オブ・スカイしながらゴール前……。

 

『流星ブレード』

 

 今度は何の変化もさせずにど真ん中勝負した。いつみても綺麗なんだよね……流星ブレード。やっぱり吉良さんから直接教わっているからかな……。

 

 南雲原は勝って、もう準決勝だ。相手はスプリング杯準決勝で私たちと戦った東風異国館……。負けないと思うけど頑張ってほしい……。

 

 私たちも次は決勝海王学園だ。ちゃんと決勝大会で会えるように、特訓しなきゃ……。

 

 

 

 私はロッカールームから出て、校内を歩く。サッカーコート近くで制服姿のナオとハルさんがいた。何話しているんだろう? 

 ふと、顔を上げると視線に気付いた。窓から監督が、ナオとハルさんを眺めている……。

 

「2人ともどうしたんですか? 道の真ん中で話して……」

 

「あっ、茉莉‼︎今ハル君にジュニアリーグ時代にハル君よりもすごい子いなかったのか聞いてたんだー」

 

「確かにいましたけど、今は俺の方が勝ってますよ……」

 

 ハルさんも稲妻町出身だからここら辺のジュニアリーグ出身だ。いたなら1つ下なのかな? ハルさんと同じレベルとなると光君だけど、稲妻KFC時代、ハルさんとは戦ったことがないので、違う子のはずだ。

 

「ねぇ、その子ハルさんと同じ歳ですか?」

 

「え? そうですけど……それがどうかしましたか?」

 

 光君が前に1つ下に自分よりも上手い子がいるって言っていたっけ? 

 確か名前は……

 

「その子の名前って園崎アイル?」

 

 ハルさんが驚いた顔をする。

 

「えっ!? そうですけど……、何で知っているんですか?」 

 

 園崎アイル、光君がその才能を前にへし折られ最強に至る道を歩み始めたきっかけの子だ。乙女監督の息子さんらしいけど、亡くなっていると言っていた……。

 

「まぁここら辺じゃ有名でしたし……」

 

 少し濁して答えた。ちゃんと彼を知っている訳じゃないし……。

 

 多分、ハルさんはきっと自分をサッカーモンスターじゃなくて、純粋に向き合ってくれる友達を失ったからサッカーへの熱を失ったんだと思う……。雷門でも、みんなハルさんを畏怖する。だから、円堂ハルにとっての友達はいないし、できるはずがない。

 

 逆なんだ……光と……。

 かつては光もハルさんも園崎アイルの横で歩いていた。でも、彼が亡くなった。

 光は彼の思いを背負って前を向いて歩いたけど、ハルさんはそこにはもういない横をずっと向いている。光はサッカー熱を高め続けた。そうすると、隣で沢山一緒歩いてくれる仲間ができた……。

 でも、ハルさんは隣に誰もいない。いるのは、畏怖だったり妬みだったりで、付かず離れず少し後ろで様子を伺っている人たちだけ……。ナオもキャプテンもハルさんと交流しようとしているけど、ナオは推しとして見てるし、キャプテンも後方から見守る保護者という感じで、やっぱり隣にはいないのだ……。隣に対等に立とうとする人がいない。

 

「蓮さんは俺のことサッカーモンスターっていうか、保護者みたいな感じで見てきますけど……赤袖さんもみんなと違った感じで俺を見てますよね?」

 

 ハルさんに聞かれた。そうかもしれない……。私は私としてというか、光を通してハルさんを見ていることもある。光を見ていると、どうしてもハルさんは……

 

「そうですね……ハルさんを……何というか……可哀想な人って見てます……」

 

 そうだ……私は彼を憐れんでいるのだ……。

 

 

 ────

 

 

 試合翌日、南雲原と北陽が合併するという説明を聞いた。1週間後からと言っていたが、態々北陽の人たちが挨拶に来た。でも、何というかレギュラーを奪うという宣言をしに来たようにしか見えない……。そう簡単に渡すつもりもないけどな。それに監督が下鶴改監督になるそうだ……。

 

 それと、千乃エグゼクティブマネージャーから北陽の選手たち以外に加わるメンバーを紹介される。

 

「天照中から来ました! 最先(いやさき)ホムラと言います! よろしくお願いしますね」

 

「彼女には、マネージャー兼選手として入部してもらいます。元々天照中でもサッカー部にいたそうなので……」

 

 赤髪ボブの女の子だった。俺は一目見て感じてしまう……。彼女の後ろから見える圧倒的なオーラを……。こちらが同じ生命として負けていると自覚させられるような強い光を……。

 

「天照中‼︎強豪校じゃん‼︎」

 

「今年に入って南雲原と北陽みたいに世宇子中と合併したところだよな……」

 

 兵太や駿河の言う通り天照中は強豪校だし、何なら合併した世宇子中も強豪校だ……。雷門に近い強さを誇る。そんなところからなぜホムラが転校したのか分からないが、それを聞くのは野暮だ。

 

「確か天照・世宇子は合併の混乱でフットボールフロンティアを棄権したらしいね」

 

「いえ、結局棄権しなかったんです」

 

 え? 棄権していないだと? 

 

「確かに最初はサッカー部で混乱していました……。ですが、それを纏め上げた人がいて、それで結局出ることになったんです……」

 

 ということは、決勝大会、雷門や帝国以外にも、天照・世宇子と戦うことになるかもしれないな……。雷門と帝国は分かるんだが……あの学校のことは何も知らないから不気味だ……。

 

 ということで、まぁ作戦会議も兼ねて港に行くとしますかぁ。

 

 

 

 ────

 

「我が崇拝する絶対神アフロディ様……」

 

 アフロディ帝のやつまたあれか。チッ、っせぇな。

 

「くだらねぇ」

 

世宇子の連中の行動にはイラつかされる……。

 

「まぁ落ち着きなよ、あれは彼らにとってのルーティンなんだよ」

 

 アルヴィースに言われてしまう。ルーティンだろうが何だろうが、鬱陶しいものは鬱陶しいのだ……。相棒もいなくなり気が乗らねぇ。

 

 まぁ良い。次の対戦相手の情報でも収集してやろう。俺は勤勉だからな。まぁ次の相手も俺たち相手に無駄な努力でもしていると良い。俺たちが消し去ってやる……。




赤袖茉莉
北陽戦を観戦。パニッシュメントレイを覚えようとしている。暁光と同じぐらい跳べる。円堂ハルの孤独感を自分なりに分析している。

暖冬屋哉太
暁光や四川堂我流を見て、やっぱ顔かぁと思っている。茉莉に彼氏がおるかおちょくったらいたので、ショック。茉莉はそこまで明るくないので、いないと思っていた。トボトボ歩いているところをナオに目撃される。

円堂ハル
園崎アイルのことを知っている人がいて驚いた。サッカーモンスターとして見られたり、妬まれたりしているが、まさか憐れんでいる人がいたとは思わなかった。まだ自分自身は気付けていないつまらない理由を茉莉は分かっていそうで、教えてほしいが教えてくれそうな気配はない。暁光は園崎アイルと円堂ハルの関係は知らない。逆も然り。

謎の男1
大柄で短髪の男

謎の男2
銀髪の男。
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