南雲原の勇者御一行様   作:ペンギンとクマ

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今回は短めです。雷門中からです。


全国への道
第17話 長崎へ


ハルさんが怪我で練習に参加していないけど、変わらず雷門中の練習は続く……。ハルさんはベンチで座っていて、キャプテンと何やら話しているみたい。何かハルさんが言いたげな様子になってキャプテンが振り返ったとき……

 

「キャプテン、こっちお願いしまーす!」

 

鬼門さんが手を挙げて振る。キャプテンが一旦反応せず、ハルさんに何か言おうと思ったとき……

 

「キャプテーン!」

 

キャプテンを鬼門さんがもう一度呼んだ。キャプテンに1度スルーされたので、寂しそうに……。

 

「ああ今行く!」

 

結局、ハルさんはキャプテンに言いたいことを言えず、キャプテンもハルさんに言えなかった……。その様子をナオと嵐さんは私とは別の場所で見ていた。

 

「あいつ普段から話しかけてほしくなさそうにしてたからな……こうなるよな」

 

「ハルくん……」

 

ナオが心配そうに見つめる。ハルさんはベンチに俯いて座ったままだ。みんな話しかけようとしない……。嵐さんの言うことも分かるが、ハルさんはずっと横にいたはずの友を見ていて、雷門のみんなは後ろにいる。話しかけてほしくなさそうなのは、圧倒的なオーラがあるというように形成させた私たち側だ……。側から見ればみんな一緒にいるように見えるかもしれないけど、実際によく凝らして見ればハルさんは1人ぼっちで友達を欲しがっていた。

 

 

2時間経ってもまだ俯いていたので、話しかけることにした。それとなく気付いていたのに、特段私がハルさんに何かしていなかったことは少し悪かったと思う。話しかけに行く私を見て、みんなは奇異の目で見た。私だって喋ることもあるし、誰かに話しかけることもあるのだ……。

 

「ねぇ、いつまで俯いているつもりですか……」

 

「え……?」

 

ハルさんが驚いて顔を上げる。誰にも声をかけられないと思っていたんだろうな……。私は隣に座った。

 

「ねぇ赤袖さん。赤袖さんは分かっているんですよね。俺がサッカーつまらないって思っている理由……。自分でもなんでそうなったのかよく分からないんです……。でも、確かに熱かったやつだってのは覚えているんです。教えてくれませんか……」

 

「いや、教えないです」

 

「え?どうしてですか?」

 

「そういったものは自分で見つけてこそです。これからどうするにしろ、人から教えてもらったことよりも、自分で見つけた方が良いですよ。今の内に自分自身のことを見つめ直したらどうですか?多分やるべきことが見つかりますよ」

 

「そう……ですか……。俺もう一回考え直そうと思います。赤袖さんって表情動かないし、俺以上に冷めている人だと思ってました……。俺みたいにつまんないのかなぁって……。でも、熱さは雷門の中でも1番あるんですね……。考え直すために、1つ教えてくれませんか?どうして、熱くなれるのか……。」

 

熱い理由か……。それはもちろん……。

 

「私は一緒にサッカーをやりたい人がいるからです。その人は、園崎アイルの才能にへし折られた後、彼を追いかけるように猛特訓を始めました。今にして思えばすごく無茶していたと思います。私もその人も……。私はその人に置いていかれるんじゃないかって、怖くなって、私も始めたんです。今まで以上にサッカーを。その人は色々あって雷門には行かないってことになって、約束しました。また、サッカーをやろうと。再会したときに、情け無い姿を見せたくないじゃないですか……。私の熱さはその見栄とその人を越えたいという思いですよ」

 

私は光を越えたいけど、光には私より強くあれとも思う。今までの試合を見るに本気で試合には臨んでいるけど、そこまで光は力を解放させていない。東風異国館相手にようやく1回左足を使っただけで、化身の1段階目すら出していないのだ……。それは決勝大会で対策されないようにということかもしれないけど。

 

「あの、その人って前に星村さんが言っていた暁光ですか?」

 

「そうです」

 

「じゃあ、暁光は最低でも雷門中で2番に上手い赤袖さんよりも実力が上ってことですか?」

 

ハルさんが1番実力があるのは周知の事実なので、ここは触れないでおこう。私も、私が2番目なのかは分かっていないけど……。

 

「そういうことになりますね……」

 

そう言って、ベンチを立つ。

 

「練習に戻るんですか?」

 

みんなは練習を切り上げて帰っている。いるのは、キャプテンとマネージャーだけ。

 

「いや、明日出かけるのでその準備をしに行きます」

 

そう言ってハルさんの元を去った。明日はデートなのだ。

 

 

 

ーーーー

 

翌日、船に乗って南雲原に向かっていると、ハルさんを見かけてしまった……。

 

「なんでいるんですか?」

 

「蓮さんに旅をしたらどうかって言われて。会いたい人は誰か考えた結果、南雲原に行こうと思いました」

 

それは笹波雲明だろうか……。そうなった場合、南雲原も被ったが、着いてからの行き先も被ってしまっている……。

 

「まさかとは思いますが、無許可で校内に入ろうとか思っていませんよね?」

 

「え?許可いるんですか……?」

 

嘘でしょ。取ってないの。

 

「要りますよ」

 

「赤袖さんは許可もらっているんですか?」

 

「はい、もらっています」

 

光が南雲原の理事長に繋いでくれて、事前に入構許可証を貰うことができた。

 

「まぁ、大丈夫だとは思いますよ。着いてからもらえば……とりあえず向かいましょう。南雲原中に……」

 

「はい……赤袖さん」




赤袖茉莉
デートに長崎に行くと、円堂ハルもいた。努力の結果雷門中で2番目の実力を持つように。

円堂ハル
赤袖茉莉にサッカーがつまらない理由を教えてもらえないもののヒントはもらった。結果、長崎に行く日が被る。
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