南雲原の勇者御一行様   作:ペンギンとクマ

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お久しぶりです。本当にデート回どうするか悩みました……。難しい……。笹波雲明と円堂ハルがペンギンを間近で見ているのを見ると、南雲原は土曜日も学校ある感じなんですかね。


第18話 襲来

 今日は珍しくサッカー部での練習はオフだ。授業が終わり、早々に学校を出る準備をする。

 

「光君何か用事あるの?」

 

「まぁ、ちょっとね。じゃあ行くよ。また、明日」

 

「……怪しい」

 

 来夏の最後の声は聞こえなかった。

 

 

 俺はスマホのメッセージを見る。既に茉莉から場所が送られている。サッカー部の部室前か……。今日は休みだから、誰かいるってわけでもないはずだ。俺は校内を歩いているとき、雲明の姿が横目に見えた。いや、雲明がいることは問題ではない。南雲原の生徒であるからだ。問題は雲明の目の前にいる存在……。円堂ハル……。どうしているんだ……。見かけてしまったし色々話したいが、茉莉を待たせるのもよろしくないので、一言だけ挨拶しておこうか。彼らのもとへ向かう。

 

「やぁ、円堂ハル。今日会えるとは思っていなかったよ」

 

「き、君は暁光……」

 

「先輩」

 

「君に名前を覚えられているなんて光栄だな。色々話したいけどこれから用事があるから、君に1つだけ言いたいことがあるんだ」

 

 俺が話したいこと……。それは1つだけだ。園崎アイルを見て、笹波雲明を見て、そして円堂ハルに告げる。

 

「何があってもサッカーに向き合ってほしい。そして、いつかフィールドに戻って来て、戦おう! じゃあ、俺は行くよ。また会おう」

 

 俺の身勝手なお願いだけど、雲明みたいにサッカーに戻って来てほしい。俺が1番言いたいのはそれだけだ。

 

「ちょっと遅くなかった?」

 

「ごめん。あぁ、円堂ハルを見かけたからな。挨拶だけはしておこうと思って」

 

「見つけちゃったんだ……。なぜか私とここに来る日が被ったんだよね。ハルさんは笹波雲明に会いたいらしい」

 

「そうか……。まずは、改めて決勝大会進出おめでとう」

 

「ありがとう。そっちも予選決勝おめでとう。次勝てば決勝大会だね……」

 

「次は大海原中……。九州代表常連……リズムサッカー、どう攻略するか楽しみだなぁ」

 

 俺なりの対策も考えてはいるが、それ以上に雲明の思いつく作戦が気になるところだ。明日の会議で大体分かるだろう……。

 

「リズムに飲まれなかったら、今の南雲原だと勝てると思う」

 

「そうだな。よし、じゃあ行くか」

 

「うん」

 

 雲明に手伝ってもらったデートプランを頭の中で再確認して、出発することにした……。

 

 

 ────

 

「んー」

 

「唸ってどうしたんだい? 忍原さん?」

 

「怪しいなぁって」

 

 私が光君のことで考えていたら、声に出ていたのか四川堂君に声をかけられた。

 

「怪しいって」

 

「光君が早々に出ていったこと」

 

「まぁ暁君にだって何か用事がある日もあるだろう」

 

「それはそうかもしれないけど、嫌な予感がする」

 

 近々、光君はデートするということは分かっている。もしかして、最初から練習がないと分かっていた今日なのか……。

 

「私、後をつけようと思う! 四川堂君はどう?」

 

「……僕は遠慮しておくよ。これから会議もあるからね」

 

 私は校門を出た。運良く、後ろ姿の光君を見つけることができた。隣にいる白髪の女の子……。白いワンピースを着ている。あれが、恋敵……。赤袖さんか……。

 

「こうやって一緒に下校する感じ……久しぶり」

 

「小学校以来だね。いつもそのまま鉄塔広場に直行だったな」

 

「「で、タイヤに吹き飛ばされる‼︎」」

 

 会話がなんとも微笑ましい。会話は。というか、タイヤ吹き飛ばされるってなに? 怖い……。どんな特訓してたの。

 

「さっき登ったときも思ったけど、階段も坂も大変だね」

 

「結構大変だけど、みんなここで特訓しているんだ」

 

「雷門じゃ、こういう特訓はしないから。小学生の時の無茶苦茶な特訓を思い出す」

 

「南雲原にはサッカー部の設備はないからね。けど実際効果はあるんだよ。ここでの練習。みんなパワーが付いている」

 

「そっか。サッカー部の人たちとは仲良いの? 前にテレビ電話したときに見た四川堂さんとは仲が良いように見えたけど」

 

「南雲原のみんなとは関係良好だよ。まぁ、我流はクラスメイトだし、DFと GKって言うのもあるから、特段良いかもね」

 

 赤袖さん、四川堂君のこと知っているんだ……。待って、それって北陽が視察に来たとき光君に電話来たときってこと⁉︎

 

「南雲原のサッカー部……、女の子が多いけど、大丈夫だよね。告白されるとか、浮気とか」

 

「……大丈夫だよ」

 

 光君、一瞬私のことを考えたな。

 

「何その間……」

 

 すぐに悟られてる。

 

「確かに告白は1回されたけど、丁重にお断りしたから」

 

「どの子?」

 

「それは別に言う必要はないでしょ」

 

「泥棒猫のことは警戒しておく必要があるの。なんとなくだけど、光と同じ2年のFWの子だと思うな」

 

 嘘でしょ。最初から検討つけられてた……。

 

「凄いな」

 

 光君、隠したり否定したりせずに認めちゃっている。

 

「サッカー部ができたのは今年になってから……。となると、一目惚れでもない限り短期間で告白されるということはあまりない。ある程度サッカー部前から関係を持つことができる人になる。ここで、1年と3年の人たちと北陽の人は外れる。2年のサッカー部の女子は忍原来夏しかいないし、光との連携必殺技がある」

 

 確かに私と光君は1年から同じクラスで、よく隣の席だったけど! そこまで分かるものなんだな。赤袖さんには負けたくないなぁ。

 

 

 

 ────

 

 

 俺たちは電車に乗った。

 

 木々に挟まれた先を抜けると一面海が広がっている。

 

「綺麗……」

 

「良い景色だろ」

 

 雲明と事前に回ったから、2回目だが、本当に惚れ惚れする景色だ。茉莉がより輝いてみえる。

 ただ、このデートには1つ問題がある。

 

 

 それは、なぜか雲明と円堂ハルが少し前の方にいるということと、後ろの車両に来夏と空宮征がいるということだ。東風異国館戦後にラーメンを食べに行ったときもそうだが、来夏は俺を、空宮征は雲明をつけているのだろう。まぁそれは良い。雲明にはいつデートするか言っていなかったのは悪かったと思う。そして、雲明は円堂ハルに長崎を案内しているのだろう。俺は雲明の案である程度組んでいる。つまり、行き先が間違いなく被るのだ。流石に順番は被らないと願いたい。

 

 次の駅で降りた。ちょうど、出店があったので買うことにする。

 

「ちりんちりんアイス……バラの形で可愛い」

 

「最近知ったんだ」

 

「それ忍原来夏にじゃないよね?」

 

「違うよ。監督に教えてもらったんだ」

 

「ふーん。ねぇ、それ一口ちょうだい。私のもあげるから。なんだっけそれ、ゆうこう味?」

 

 交換を提案される。茉莉はプレーンだ。

 

「長崎で伝統的に栽培されている柑橘類だそうだよ。はい」

 

 茉莉にゆうこう味のアイスを渡す。俺はプレーン味を受け取った。

 

「あっ。酸っぱいかと思ったけど、後味が爽やか」

 

「プレーンもスタンダードでやっぱり良いな」

 

 ふと後ろに目をやると、兵太が増えていた。来夏はなぜか、顔を手で覆って隠している。でも、指と指の隙間が空いていてガッツリ見ている。そして、空宮征……。雲明はこの駅で降りていないのに、なぜついて来た。

 

「こうやって交換するのも懐かしい」

 

「交換って言っても雷雷軒でだけどな」

 

 茉莉とナオの3人でラーメンは1人一杯だけど、餃子は3人で分けてお金出したなぁ。

 

 食べ終わった俺たちは飛び石の上で亀を見たり、町を歩いたりして、バス停に向かった。次は長崎ペンギン水族館だ。

 

 2人席が空いていたので、そこに座る。斜め前の座席に目をやると、雲明と円堂ハルがいる。これは次の行き先被ったな。このバスに乗って長崎ペンギン水族館じゃないわけがないと思う。俺もそんなに詳しくないけど……。でも、巡回順はズラせるはずだ。2人は会話に夢中で俺たちには気づいていないみたいだ。尾行メンバー3人は1番後ろの座席に座っている。俺たちより後にバスに乗って、後ろの席に座るのはもうバレに行っていないか? 

 

 長崎ペンギン水族館に着いて、バスから降りた。入館するとすぐに、目の前にペンギンが泳ぐ水槽が現れた。

 

「生のペンギン初めて見た!」

 

「いつも見るの必殺技のペンギンだけだもんな」

 

 雲明と円堂ハルはどうやら1階から回るみたいだ。

 

「2階から行く?」

 

「うん。ペンギンと直接触れ合うのは最後に取っておきたい」

 

 ということで、俺たちはエレベーターに乗った。ペンギン広場やふれあいペンギンビーチは1階にある。2階で降りると、早速クラゲや長崎近海で見ることのできる魚が展示されている。

 

「ぷかぷか浮いてる」

 

「幻想的って感じだな」

 

 ふと後ろをちらりと見ると、空宮征はいないが代わりに丈二がいた。1階から見えたペンギンの水槽は大きく、2階からも同じ水槽を見ることができる。そして、1階と違って歩いている様子を近くで見ることが可能だ。

 

「亜南極?」

 

「亜南極のペンギンって書いてあるってことは、それ以外の地域にもペンギンがいるってことかな」

 

「ペンギンって寒いところかサッカーコートにしかいないって思ってた」

 

「今のうちにペンギンを理解しておこうかな」

 

「何言ってるの」

 

「大海原に勝った後に決勝大会で戦うかもしれないだろ。帝国学園。帝国といえば皇帝ペンギン。試合当日に使われたときにペンギンを懐柔する」

 

「それなら雷門にもいるよ。ペンギン」

 

「確か、鬼門悟が使ってたっけ? 彼DFだからあんまり見る機会がなかったけど。まぁ、翻させてカウンターしようかな」

 

「じゃあ、私はそのペンギンの反乱を止めてお返しする」

 

 俺たちに笑みが溢れた。結構実のない話だからっていうのか……。こうやってたわいもない話を茉莉とするのが好きだ。

 

「あれってファーストペンギンって言うんでしょ?」

 

 1匹のペンギンが先頭に立って、飛び込んだ。

 

「先陣を切る感じ光みたい」

 

「じゃああっちのペンギンは茉莉みたいだな」

 

 2匹のペンギンがいる。1匹は積極的に進んで、もう1匹は腕を引っ張られている。

 

「確かに。じゃああっちはナオだね」

 

 他にも1匹だけで佇んでいるペンギンもいる。あれは丈二だな。輪の中心で繋いでいるのは兵太だ。沢山のペンギンに囲まれているペンギンは駿河かな。

 

「ねぇ、こっちの魚大きいよ」

 

 茉莉が指さした方を見る。そこには3メートルぐらいの魚がいた。

 

「プラー・ブックだってさ。日本じゃ3箇所しか見れない魚みたいだ……」

 

「ナマズなんだ……」

 

 そのまま俺たちは水族館の中を進む。

 

「温帯のペンギン……‼︎本当にいた南極以外のペンギン……」

 

 亜南極ペンギンの隣には温帯のペンギンがいた。上から覗く形になっている。こっちは1階から見たほうが良さそうかもな。

 

 後ろを見れば、人鳥情報室と書いてある。

 

「帝国学園のペンギンを理解するならこっちなんじゃない?」

 

「そうかもな。へぇ、ここには18種類いるペンギンのうち9種類いるんだな」

 

 ペンギンについての見識を深めることができた。そして、そのまま隣のバーチャルシアターに入る。

 

「見て画面に沢山ペンギンいるよ」

 

「本当だ。これ、自分が描いたペンギンを映し出すことができるみたいだな」

 

 早速茉莉が描いて見せて来た。

 

「これなんだと思う?」

 

 赤いペンギンだ……。

 

「1号でしょ」

 

「バレたか」

 

「赤いのでバレバレだよ」

 

「じゃあこれは?」

 

「Xと3号じゃん」

 

「く……詳しい……」

 

「ナオがペンギンの変遷についてよく喋ってたからね。覚えてるよ」

 

 ということで、その後も2号や7、パレードのペンギンも増えていく……。多分、後で雲明や円堂ハルがここを見たら驚くだろう……。

 

「コガタペンギンだっけ? 小さくて可愛い……」

 

「そうだな。オーストラリアから来たんだ」

 

 俺たちはコガタペンギン飼育場に来ていた。他のペンギンと比べても小さい。そして、温帯ペンギンがいるところの階段から1階に降りた。

 

「ヌメヌメする……」

 

「ヒトデにも色んな種類がいるんだな」

 

「あ! ヤドカリが動いた!」

 

 タッチプールという場所で、磯に生息する生き物を実際に触れ合うことができた。ヒトデやナマコ、ウニ、ヤドカリがいる。

 

 

 俺たちは外に出て、ビオトープに行った。ビオトープといっても4エリアあり、結構広い。

 

「こういうのどかなところも良いよね。静かで……」

 

 棚田にしろ、池にしろ、稲妻町にいた頃は見ることができなかった。

 

「あぁ、空気も小川のせせらぎも、気分が良くなる」

 

 何よりも、木漏れ日が茉莉の姿をより一層輝かせる。そして、いよいよペンギン広場に向かう。

 

「さっきよりも近くで見れてすごい……可愛い……」

 

 ガラス越しでない分より近く見れる。ペンギンがよちよち歩いているところを真隣で見る。

 

「こんなに近いとは思わなかったな」

 

「かっ! 可愛い〜〜」

 

「本当可愛いですよね。ペンギン」

 

「俺、ペンギン水族館初めて来たぜ。ずっと長崎に住んでるけどよ」

 

「まぁ、なんせ先輩は山景台住みですもんね」

 

 普通に来夏と兵太、こちらに聞こえる声で喋ってるな。尾行していること忘れているのか……? 

 

 ペンギンビーチの方にも行ってみる。ペンギンが自由気ままに砂浜で休んだり、海で泳いだりしていた。

 

 ひと通り回った後、ペンギン食堂に寄った。

 

「私はペンギンパンケーキ2個で、それぞれカスタードとチョコで、飲み物はカルピスでお願いします」

 

 ペンギンパンケーキは文字通りペンギンの形をしたパンケーキだ。

 

「俺は、ウーロン茶と雪どけペンギンでお願いします」

 

「さっきもアイス食べたよ。お腹壊さない?」

 

 ちりんちりんアイスを食べたと茉莉が心配するように雪どけペンギンはミルクソフトクリームだ。ソフトクリームにペンギンパンケーキが突き刺さっている。

 

「大丈夫だよ。茉莉。食べてから結構経つし」

 

「そう? なら良いけど」

 

「んー……」

 

「どうしたんだい? 茉莉」

 

「ソフトクリームを舐めている光って絵になるなぁって」

 

「そう? 茉莉だって、美味しそうにパンケーキ食べている姿も絵になってるよ」

 

 

「何あのラブラブっぷり! でも、なんとしてでも付け入らないと!」

 

「ちょっ! 声漏れてますって! 忍原先輩。俺たち尾行してるんですよ!」

 

「尾行? 誰尾行してんだこれ?」

 

 おい……。思っていることが漏れているぞ……来夏……。俺が言うのもおかしいが、恋は盲目とは言ったもんだ。丈二は知らずについて来たんだな。

 

 そんなこんなで長崎ペンギン水族館から、路面電車を使って南雲原の繁華街まで帰って来た。そして、ケーブルカーに乗って展望台に向かう。

 

「今日はありがとう、光」

 

「満足したようで良かったよ」

 

 茉莉が微笑む。夕日と合わさり美しい。

 

「何? ぼーっとして。私に見惚れてた?」

 

「あぁ、美しくて見惚れていたよ」

 

「ほら」

 

 そう言って、茉莉は俺を抱き寄せて、2人が写るようにスマホを向けた。

 

「今日のこと、写真に残そうよ」

 

 カメラの音が鳴る。そこには南雲原の夕景色を背景に俺たちの姿があった。

 

「写真をナオに送ったら、『いいなぁ、私も行きたかった』だって」

 

「今度は3人でだな」

 

「うん……まぁ2人の方が良いけど……

 

「何か言った?」

 

「なんでもない」

 

ブブブッ!! 

 

 茉莉のスマホが震える。電話だ……。

 

「あ……ハルさんだ」

 

「今日長崎来てたもんな」

 

「水族館行きのバスにも乗ってたもんね」

 

 スピーカーにはしていないので、何を話しているかは茉莉の反応からしか分からない。

 

「もしもし」

 

「もしもし、赤袖さん」

 

「何ですか?」

 

「俺、今から東京へ帰るんですけど、赤袖さんは帰らないんですか?」

 

「私は泊まるから帰らないよ」

 

「え! そうなんですか。てっきり日帰りなんだと思ってました。ん? どうしたんだ雲明? 赤袖さんと話したいことがある? 代わって良いですか、赤袖さん?」

 

「笹波雲明と? ……別に良いですよ」

 

 雲明が茉莉に? 何を話したいんだ……? 

 

「え……!? 何で知っているんですか?」

 

 茉莉について何か調べているようだ。

 

「まぁ、良いですよ。はい、では」

 

 そして電話を切った。

 

「雲明に何をお願いされたんだ」

 

「今は秘密。まぁすぐに分かるよ」

 

「じゃあ待ってるよ」

 

 ケーブルカーから降りて、俺たちは歩いて帰路に着いた。途中で、夜ご飯を作るためにスーパーに寄った。

 

「半分持つよ?」

 

「ありがとう。大丈夫だよ。茉莉は今晩の客人だからね」

 

 もう山景台に差し掛かる。

 

「あとどれくらい?」

 

「5分ぐらいかな。この高級住宅街を少し抜けたら家だよ」

 

 住所的には山景台なのだが、別にそこまで周りの家よりかは豪邸ではない。ゲストルームはあるが父と2人ぐらしの一軒家だ。ちょうど、丈二が家に入ろうとしている。

 

「やぁ、丈二。今帰りかい?」

 

「あぁ」

 

「ペンギンどうだったんだ?」

 

「なっ! 何で知っているんだ」

 

「3人とも目立ってたよ」

 

「そうか……たまには悪くないな」

 

「そうだ。大海原に向けて連携必殺技作ろうぜ」

 

「光のスピードと桜咲さんのバネを合わせるってこと?」

 

「そんな感じだよ、茉莉。大海原にリズムを作らせないほどの、速度とパワーで破壊しようって寸法だ」

 

「いいぜ! 明日の作戦会議の後からだな。じゃあまた明日な」

 

「あぁ、また明日」

 

 丈二は家の中に入っていく。

 

「桜咲さんとはどんな感じなの?」

 

「丈二と? まぁ、サッカー部入るまではそこまで関わりはなかったかな。サッカーを一緒にやり始めて、ちゃんとサッカーに熱いやつだなって感じたよ」

 

 丈二とはそこまで関わりがあるわけでもない。それはFWとDFというのもあるし、元々サッカー経験者ってこともある。サッカー未経験者の子たちとは違って、そこまで一緒にサッカーの話をするわけでもない。春雷の練習中は、駿河とパニッシュメントレイの練習していたし……。とにかく一緒になって練習する機会があまりないのだ。でも、一緒に連携必殺技を作りたいと思うほどに熱いのだ。

 

 そんなこんなで家に着いた。

 

「ただいま」

 

「お邪魔します……お父様はいないの?」

 

「今日は帰り遅くなるって言ってたな。ご飯の準備するよ。茉莉は長旅もあるし、疲れは溜めない方が良いからさ、くつろいで。そうだ、お風呂の準備はできているよ」

 

 帰りは0時超えそうとのことだ。

 

「ありがとう。じゃあ先に入るね」

 

「洗面所はすぐ左の扉だよ」

 

 茉莉が洗面所に向かったので、その間にご飯を作り始める。今日は豪勢にするか。まずは、サラダを作る。普段は絶対に作らないであろう、タイのカルパッチョとカルボナーラを作り始める。

 

「お先にいただきました」

 

 茉莉がリビングに入って来た。

 

「美味しそう……でも、絶対普段作ってないでしょ?」

 

「あ、バレた?」

 

「分かるよ。光のことなら……」

 

「そうか」

 

「「いただきます」」

 

「美味しい……美味しいよ、光」

 

「そうか、良かった」

 

「家でこうして2人で食べていたら、なんか新婚夫婦みたい……だね」

 

 珍しく茉莉が顔を赤らめる。

 

「あ、あぁそうだね」

 

 俺も思わず赤面した。そのまま2人で食べ進める。

 

「ごちそうさまでした」

 

「お粗末さまです」

 

 片付けた後、俺たちは映画を観た。

 

「円堂守伝説1……か」

 

「ナオに薦められたから。ちょっと気になった」

 

「へぇ、15年前にこういうのあったんだな。ちょうど雷門中の監督だった頃か」

 

「そういえば、一時期やってたみたいだね」

 

「ナオから聞いた話と試合しか見たことないからな。その間がどうなっていたのかは興味深いね」

 

 映画は面白かった。1ということで、雷門中創部からFF決勝世宇子戦まで描かれた。

 

「面白かったけど、ジェミニストームによる雷門中破壊で終わるんだ」

 

「これだけ見たらバッドエンドだよね」

 

 この先の展開は知っているのでエイリア学園を倒すのは分かっているけど。

 

「あんまり2は個人的には見たくないな」

 

「師匠たちの黒歴史満載だから?」

 

「まぁそんなところ」

 

「もうこんな時間だし寝るよ」

 

 俺たちは階段を登った。

 

「俺の部屋はこっちだから何かあったら呼んで。後途中家の玄関が開くと思うけど父さんだから心配しないで」

 

「分かった……。おやすみ、光」

 

「あぁ、おやすみ、茉莉」

 

 俺たちは眠りについた……。




暁光
デートした人。特に何もないと思い普通に寝た。

赤袖茉莉
なんとはなしに暁光を狙う存在には気付いていた。デートした人。暁光が寝ているベッドに入ろうと画策。

忍原来夏
尾行していた人1。スーパーに行くところまで尾行していた。

空宮征
尾行していた人2。水族館から雲明の方を尾行し始める。

木曽路兵太
尾行していた人3。いいなぁと思っている。

桜咲丈二
尾行していたらしい。暁光に水族館にいたことを指摘された驚く。連携必殺技の約束をする。

笹波雲明
円堂ハルと約束をした。赤袖茉莉にも何かお願いをしたらしい。デートプランを考えるのに協力した人なので、途中でデート姿を見て行き先が被っていることに気付くが、まあいいかと続行。

円堂ハル
笹波雲明からも、暁光からもお願いされる。笹波雲明との長崎観光を楽しんだ。行き先が被っているということは気づいていない。

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