南雲原の勇者御一行様   作:ペンギンとクマ

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大海原の作戦会議です。10000字を超えてしまったので、次の話と分けました。


第19話 全国の壁

 朝、目が醒めると隣に茉莉がいた……。知らぬ間にベッドに入り込んでいた……。なんで入って来たのかはさておいて、寝顔を見たいところだが、茉莉は朝早い電車で帰るため起こさないといけない。残念ながら、2人して寝過ごしている。

 

「う、うぅ」

 

「茉莉、おはよう」

 

「おはよ……今何時‼︎」

 

 茉莉が伸びをして、目を醒ました。

 

「7時半だ……。ごめん、もっと早く起きていれば……」

 

「大丈夫……。起きれなかった私も悪い……。昨日今日はどのみち休みだったし、今日はこのままいる」

 

 1階のリビングに降りると、父さんはとうに仕事に出かけたようだ……。

 

「どうして、俺のベッドにいたんだ……」

 

 朝食の準備をしつつ、一応わけを聞く。

 

「小さいころは、3人で一緒に寝てたから……昨日は寝ぼけていて……」

 

 寝ぼけていただけか……。そういうこともある……よな……? 

 

「今日は部活、何するの?」

 

「今日は予選決勝、大海原中への対策会議だね」

 

「大海原……リズム乗れないと負けるよね。いないならいないで良いんだけど、いたら厄介というか……」

 

 昨日も茉莉と少し話したが、出たり出なかったり、グルーヴ戦術サッカー、予測不能のリズム……。色々ある学校だ……。今年は普通に決勝まで来たみたいだし、普通に戦うのかな。

 

「茉莉は学校の間何するの?」

 

「私は南雲原でグラウンド借りて、練習しようかな。ほら、ちゃんと入構許可証は昨日と今日で2日分貰ってるから!」

 

 なんで、今日の分の入校許可がすでにあるんだ……。用意周到だけど、最初から今日もいるつもりだったんじゃ……。まぁ、ここについては黙っておこう。

 

「デートもいいけど、やっぱりサッカーがしたいから」

 

「ああ、そうだね」

 

 俺たちは家を出て学校に向かっているんだけど……。茉莉、サッカーがしたい以外に何か狙いがあって今日も残ったのか、俺の腕に抱きついて歩いている。周囲を歩いている生徒からすごい見られている……。

 

「ねぇ、茉莉」

 

「なに?」

 

「歩きにくいんだけど」

 

「私は心配なの。光が他にも女の子を落としていないか……。だから、長崎にいる今のうちにアピールしておかないと……」

 

 俺はそんなことないと思うんだけどな……。いや、1人いるね……。

 

「気持ちは嬉しいんだけど、せめて手を繋ごう?」

 

「……分かった。そうする……」

 

 なんやかんやで学校に着いた。周囲の視線は減るどころか増えていたけど……。

 

「じゃあ、私生徒会室に行くね」

 

「俺も着いていくよ」

 

 大丈夫だと思うけど、一応だ……。俺はノックしてどうぞと聞こえたので扉を開ける。

 

「おはようございます。エグゼクティブマネージャー、我流」

 

「おはよう」

 

「おはよう。暁君、赤袖さん。知っているの? 生徒会室はイチャイチャするところじゃないんだけど……」

 

 まだ茉莉と手を繋いでいる。そりゃ、エグゼクティブマネージャーから咎められる。

 

「それは、すみません。茉莉俺は教室戻るよ」

 

「うん」

 

 生徒会と茉莉に別れを告げて教室に向かう。嫌な予感しかしない……。廊下を歩いていても、俺を見てヒソヒソと今朝の俺と茉莉の話をしている。昨日は放課後になったばかりで学校を出たからそんなに見られていなかった。教室の扉を開けて、窓際の席に着く。

 

「おはよう光君」

 

「おはよう」

 

「ねぇ、いつもより来るの遅くなかった?」

 

「ああ、生徒会室に行っていたから」

 

「まさか、呼び出されるようなことしたの?」

 

「自主的に行ったんだ」

 

「じゃあ、赤袖さんのこと?」

 

「ああ……あ」

 

「返事したらもう遅いよ。昨日赤袖さんと水族館行ってたのに、今日もいるんでしょ?」

 

「なんで昨日水族館に行ったことも茉莉がいたことも知っているんだい?」

 

「あ……い、いやぁ。デート行くならそこかなぁって」

 

 いや、知っている。昨日来夏がみんなとつけて来ていたことは……。

 

「てか、なんで今日もあの人いるの!? 昨日、円堂ハルと帰ったんじゃ」

 

 まぁ普通は日帰りだと思うよな。

 

「茉莉は今日も入構許可証持っているから」

 

「ふぅん」

 

 

 授業中、ふと窓を見たら部室近くのグラウンドで練習している茉莉の姿があった……。来夏に小突かれた……。

 

 

 放課後、野球部棟の一室で作成会議だ。

 

「では、始めていきましょうか」

 

「ちょっと待って!」

 

「どうかしたんですか?」

 

「どうして、赤袖さんがいるのよ」

 

「まさか雷門中がいるわけないだろ」

 

「そうですよ。忍原先輩! いるわけないじゃないですかぁ」

 

 丈二も兵太も朝のことを知らないのか、来夏に対して冗談言うなと後ろを見た。2人とも俺より早く登校しているからな……。その2人の目線の先を他のメンバーも見る。

 

「どうも」

 

 2人と目が合った茉莉は澄ました顔で挨拶した。

 

「「ええ‼︎」」

 

「気づかなかったぞ」

 

「南雲原のメンバーですみたいな顔でいたよね!」

 

「茉莉はチームに馴染むのが上手いからね」

 

「一応先に南雲原の生徒会長と部長からは許可もらってますよ」

 

「僕の方から会議に来るようにお願いしました」

 

 雲明から依頼したのは意外だな……。昨日の電話かな。茉莉は大海原と対戦経験もあるから呼ぶこともあるか……。ということで、茉莉が最初に大海原の話をする。

 

「大海原中はグルーヴ戦術サッカーを主体としています。試合に出るか出ないかは自由気ままですけど、出場する年は毎回しっかりチームが作り上げられています。南雲原が勝つには、作り出されるリズムに対応するか、テンポをずらしてリズムの主体を南雲原が持つようにする必要があります……」

 

「リズムをこちらが掌握する……か。うちはそういうタイプのタクティクスでやっていないから対応が難しいな……」

 

 駿河の言う通り、南雲原はリズムでサッカーはやっていない。自分たちのリズムに乗るというよりかは、対戦相手の長所により生まれる弱点を突いていくチームサッカーだ。

 

「いえ、南雲原にもいますよ。リズムでサッカーをやっている人」

 

 え? そんな人いたっけ? 

 

「それって私? ダンスしてたし……」

 

 そうだ。来夏はダンスをしていたな、そういう意味ではリズムを作り出すことができるかもしれない……。

 

「あなた、今までの試合見たけど、そんなことなかったでしょ? 自惚れないで、泥棒猫」

 

 真顔で煽らないでくれ、茉莉……。

 

「はぁ‼︎泥棒猫!」

 

 挑発に乗らないでくれ、来夏……。

 

「まぁまぁ、来夏、落ち着いて。で、来夏じゃないなら誰がリズムを作っているんだ? 茉莉」

 

「うん、分かったよ」

 

 来夏は怒りを収めてくれた……。

 

「それはもちろん、光だけど」

 

「え!? 俺か?」

 

「光は舞って技を使うでしょ。その間誰も間に割り込むことができない。隙がないの。それはどの技も同じリズムで作り上げているから……光のリズムを中心に組んでいけば、勝てると思う……」

 

 言われてみればそうかもしれない……。そこまでリズムを意識したことはないけど。

 

「暁君の舞ってなんだい、赤袖さん」

 

 我流が俺の舞について聞いた。

 

「それは西ノ宮の4点目と東風異国館の1点目。どうやって取ったか覚えていますか?」

 

「それはあれよね! 暁君がブロック技を使ったと思っていたら、もう相手のゴールにボールを入れているっていう」

 

 鞘先輩の言っていることで合っている。

 

「そうです。そのとき、ゴウマショウハザンでブロックしているのと同時に、ハジャイッセンノヤイバを使ってシュートも使っています。技と技の間にラグが無いんです」

 

「なるほど、技と技のリズムが一致しているから、不協和音がない。だから、ボールを取られることなく次の技へ移ることができる」

 

 我流が仕組みを理解したようだ。俺はここをこうすれば切れ目ないなと思ってやっていて舞と名付けただけなので、そこまで不協和音がないというようには考えてはいなかったんだけど……。

 

「そうしていくにも、俺たちがよりひとつにならなければ成せないな」

 

「はいはーい、質問です。雷門中はどうやって大海原中に勝ったんですか?」

 

 兵太が元気よく質問する。なんか、様子が変だよな……。無理に作っている感じがする。来夏のときとは別の……。今度聞いてみるか……。

 

「去年勝ったのはキャプテンがリズムに乗って、相手のリズムを崩していったからです」

 

「あの雷門のキャプテンがリズムに乗るようなやつには見えなかったけどな……。意外とそういうところもあるのか?」

 

 丈二が疑問を口にする。

 

「いえ、私の言っているキャプテンは月影蓮のことではなくて、前キャプテンのラウラ先輩のことです……」

 

 ラウラという名前を出したとき、茉莉の表情が一瞬曇る……。何かあったのか……。

 

「ということは、あんた1年のときからスタメンだったってことか……。とんでもないな。今年の雷門だって1年スタメンは円堂ハルだけだったんだからな……」

 

 駿河は茉莉が1年時からスタメンであることに驚く。茉莉とナオは俺との約束を果たすためにひとまずスタメン入りを目指して猛特訓した……。そういうこともあり、今の雷門中2年の中だと2人は1番最初にスタメンになった。そのときはまだ、現キャプテンは控えだ。

 

「今から暁先輩をリズムメイカーとして考える作戦を話していきます」

 

 ここで雲明が作戦に入っていこうとする。そのとき、香澄崎先生が野球部棟のミーティングルームに入って来た。

 

「皆さーん! 次の対戦相手大海原中の監督からビデオレターが届きました」

 

「ビデオレター? なんで?」

 

「チッ! 試合前に挑発しておこうってのか?」

 

「どんな挑発でも受けて立つよ!」

 

「ではスクリーンに映しますね」

 

「みんな! 作戦会議は後にして敵からの宣戦布告を聞こうじゃないか!」

 

 そうして雲明が付けた。あれ? 既に1度再生された状態だな……。

 

「あれ? 一回再生されてるな? 香澄崎先生、事前に見ましたか?」

 

「いいえ、私はまだ見てませんよ」

 

 となると……。

 

「ねぇ光、この学校にスパイが潜んでいるんじゃない?」

 

「やっぱり茉莉もそう思うか、まぁそれは一旦後にして見ようよ」

 

 改めて雲明が再生し直す。

 

『こんちわ! 決勝での対戦相手南雲原中の皆さん! 大海原中監督綱海条介です!』

 

 監督って綱海さんだったのか……。

 

「マジかあの綱海さん⁉︎」

 

「そのレジェンドがどう煽ろうってんだ?」

 

『ゴメン!! 本当にゴメン‼︎決勝戦の日とうちらの村の海祭りの日が完全にかぶっちまった! うちらの村では海祭りを休むってのは人間やめるに等しいんだわ。というわけで決勝の日行けません! 棄権ってことでホントご迷惑おかけします』

 

 え? 

 

 大海原中の生徒が割り込んで来た。

 

『こらやめろって! 今撮ってんだろ。じゃあ南雲原の皆さん、全国大会、俺たちの分まで頑張ってくれよ!』

 

『頑張れよー!』

 

『都会もんに負けんなー!』

 

『それじゃあ南雲原の皆さん……』

 

 あ、切れた。

 

「え……」

 

「……ちょ、ちょっと待って……」

 

「どういうことだ?」

 

「つまり……? 私たち……」

 

「全国大会進出……決定?」

 

「決定……ですね」

 

「「「うぉ────‼︎」」」

 

 どっちかと言うと困惑するのだが……。まぁ、大海原だからあり得た話か……。つまり全国大会が始まるまでの1ヶ月間フリーってことか。

 

「おめでとう、決勝大会で会えるね」

 

「ああ、ありがとう。約束を果たすためにも、雷門中とやるまで負けていられない……」

 

「私も負けていられない。ここまで、光を追い越すためにずっと頑張って来たから……」

 

「で、雲明どうする大海原対策会議やる必要無くなったけど……」

 

「そうですね。自由に色々できるようになったので、タクティクスの作成や必殺技の強化に当てられますね」

 

「集中特訓ってところか」

 

「はい、でも今日は赤袖さんがいるので、赤袖さんに相手してもらいましょう。頂上にいる彼女と僕たちが今どのくらい離れているのか確かめる良い機会です」

 

「ねぇ、雲明君。私、赤袖さんと1対1でやりたい‼︎」

 

「まぁ良いですよ。赤袖さんも行けますか?」

 

「私は誰が相手でも良いですよ。まぁ、泥棒猫に光のこと諦めてもらうにはちょうど良いかもしれない。へし折る」

 

「だから誰が泥棒猫よ‼︎とっととグラウンドに出てやりましょ」

 

 バチバチだなぁ。みんなでグラウンドに出た。ボールは来夏からだ……。来夏が早速仕掛ける。

 

「ぐるぐるシュート」

 

 ボールはそのままゴールへ向かう。

 

「旋迅夜叉」

 

 茉莉はボールを蹴り上げて振り下ろしたときに発生した風で軽々とボールの勢いを止めた。

 

「嘘……」

 

「こっちから行く」

 

 来夏がボールを奪いに近づく。

 

「そよかぜステップ」

 

 簡単に抜いた。まぁそよかぜと言うが、茉莉のそれは全然そよかぜじゃない。

 

「クロスドライブ」

 

 来夏がよろけている間にシュートを決める。

 

「ふーん、私にはあの剛来・金剛戦斧、使ってくれないんだ」

 

「あなたに使うほどの技じゃない」

 

「何を」

 

 来夏は悔しがっているようだ。対して茉莉は顔色ひとつ変えない。そのことが余計に悔しくさせるのだろう。

 

「別に光とジーク以外なら、11人相手でも良いですよ」

 

「嘘だろ、俺らが11人でかかってもいけるって言うのか……」

 

「舐められているね」

 

「ああ」

 

 ということで、俺とジーク以外の南雲原メンバーと空宮征と品乃雅士が入った。

 

「ワイら暇やんけ」

 

「俺たちは今の間に例のスパイが本当にいるかどうか調べよう」

 

「ほな、そうするか」

 

 一旦エグゼクティブマネージャーがいるであろう生徒会室に向かう。いなければ、理事長室だ……。

 

「スパイの潜り込ませ方だけど、サッカー部ができたばかりのころからはいないと思うんだよな」

 

「それがあるならお金をちらつかせられたやろうな……まぁ、大海原の人が1回、確認のために再生したなんてこともないやろ」

 

「そうだろうね。なんせ、途中でぶつ切りになっているものをそのまま送って来ているし……」

 

 大海原の性格を考えると1回再生することなどないのだ。

 

「そんで、決勝戦のことを知ろうとしたっちゅうことは相手は……」

 

「全国だな。九州予選の学校が今なお調べる必要がない」

 

「ここ最近の転校生を調べてみよか」

 

 俺たちはノックして生徒会室に入る。先に調べに行っていたエグゼクティブマネージャーがいた。

 

「いましたか? スパイっぽい人?」

 

「そうですね。北陽から南雲原に来た生徒はよいとして、それ以外となると天照中から来た最先ホムラさんしかいないですね」

 

 確かに、俺たちが明確に認知しているところは天照中から来たホムラしか知らない。天照・世宇子は実際決勝大会に来る……。

 

「元々、全国的に強豪と知られている北陽側にスパイを送っていたというパターンはないんか。このまま南雲原の情報を抜けるっちゅうわけで」

 

「それもありそうだな。元々南雲原は無名だし。北陽の校舎に行こうよ」

 

「分かりました」

 

 というわけで、旧高等部校舎に向かう。思ったより遠いんだよな。

 

「いましたよ。帝国学園からの転校生。2ヶ月前に来ていますね」

 

「ふーん」

 

 姿と名前を聞いて調べてみると、どうやらサッカー部のサードチームみたいだ。SNSは簡単には消せないからな。帝国サッカー部関係者じゃないところから漏れている……。

 

「帝国学園か……。帝国はスパイを送り込むのは常套手段だよな」

 

 ナオが言っていたが少なくとも25年前に雷門中に送り込んでいたらしいし……。

 

「ワイらサッカー部として顔割れてんのやないか。見つけても逃げられる気するで」

 

「気付かれないように捕まえるしかないですね」

 

「今頃、茉莉との練習でも取ってるんじゃない?」

 

「今までの情報は抜かれているでしょうけど、いると分かった以上、全国への対策は見られないようにしないといけませんね」

 

「少なくとも学内SNSのアカウントは使えないようにしないとな。追い出したりスマホを没収したりしても、別のデバイスでログインされる」

 

「そうですね。事実確認ができれば、すぐに対応しましょう」

 

 ということで、グラウンドまで戻る……。いた……。木陰に隠れている件の生徒だ。でも、低木で隠れている人は誰だ? 

 

「ワイは会長と帝国のスパイ捕まえるさかい、光はあの低木の坊主頭捕まえて来い」

 

「分かった」

 

 俺は気配を殺して、死角に立つ。坊主頭の彼は熱心に動画を撮って、気付かない。サッカー部の練習を撮る人は最近増えて来て学内のSNSにアップロードする人が多いと聞いたし、さっき歩いているときにエグゼクティブマネージャーが動画を見せてくれた。そのどれもが隠れずに堂々と撮っているように見える。ただ、例外として普通の動画投稿サイトにアップロードしているチャンネルが1つだけあった。それはいかにも隠し撮りしている画角である。多分、君なんだろう? 俺は逃げられない距離まで近づき、彼の両肩に手を置いて話しかける。

 

「ねぇ、こんなところで何してるの?」

 

「なっ!? なんだべあなたは‼︎」

 

「君、動画あげているよね。サッカー部の練習風景」

 

「そっ、そんなことありましぇーん!」

 

「ふーん」

 

 適当に返事をしつつ、スマホで彼のチャンネルを検索して、見せる。

 

「この動画なんか、ここから撮らないと映さないよね。あっ! この動画も同じ画角だ。君、たまたまじゃなくて普段からここで撮ってるね」

 

 彼は冷や汗をかく。この場をどう切り抜けようか焦っているみたいだ。

 

「へぇ、南雲原の情報発信しているんだ……。エグゼクティブマネージャーのブロマイド……。香澄崎先生のこととか……。ん? これってサッカー部の暴行事件の真相? 文字起こし機能使ったけど、話の内容サッカー部と生徒会しか知らないことだよね。君はどうして南雲原の情報を発信しているんだい?」

 

「し、知りましぇーん」

 

「まだ、シラを切るつもりなんだ」

 

 俺は動画を再生してすぐに止める。

 

『マン隊長の……』

 

「この声、君の声じゃない? 加工してなさそうだな……。ねぇ、スマホ見してよ。君のスマホにアカウントがあるかもしれない。もし、無実なら問題なく見せられるでしょ?」

 

 微笑みながら彼を見る。彼の目は右上を向いている。必死に言い訳を探しているのかな? 

 

「す、すみませんでした……」

 

 観念したようだ……。

 

「じゃあ今から生徒会室に行こっか?」

 

 彼を生徒会室へ連行する。

 

 

「ジークさん、暁君、2人は練習に戻ってください。ここは私たちでやっておきます」

 

「分かったよ」

 

「おう」

 

 俺たちは練習に戻るとする。帝国学園からの転校生はやはりスパイだったみたいだ。スパイもマン隊長も捕まえたものの、逃げ出されるかもと心配したが、生徒会室には非常に体格のよい我流の部下もいるので大丈夫だろう。

 

「ありゃ、これから尋問やで」

 

「ちょっと悪いかな。まぁ、敵に作戦がバレない方がいいからね」

 

 俺たちはグラウンドに再び戻った。そこには息絶え絶えのチームメイトがいた。茉莉は涼しい顔で立っている。

 

「みんな調子はどうだい?」

 

「はぁ……はぁ……どうって? 見ての通り遊ばれましたよ暁先輩……」

 

「調子は上々かな」

 

 兵太はボロボロだと訴えて、茉莉は調子が良いみたいだ。

 

「みんな、こんなところで終わってはいけませんよ。全国への壁はもっと厚く高いです。今日の残りの時間、暁先輩とジーク先輩にも赤袖さんの方に入ってもらってやっていきます」

 

「嘘だろ、あっち側に2人投入するのかよ!」

 

「鬼過ぎる……雲明……」

 

「おう、分かったでボン」

 

「あぁ、任せてくれ雲明」

 

「3人チームの方は必殺技は使わないでください。では、始めていきましょう」




暁光
スパイを探して、ついでにマン隊長を捕まえる。朝の登校時の赤袖茉莉との行動は、流石の暁光でも恥ずかしかった。

赤袖茉莉
わざと暁光のベッドに入った人。朝の腕組みは何も恥ずかしくなっていない。

忍原来夏
なぜか帰っていない赤袖茉莉に驚く。サッカーでも恋愛でも負けていて悔しい。

マン隊長
南雲原のゴシップを取り扱う2年生。生徒会室に連行後、彼がどうなったのかはお察しください。笹波雲明とは出会わなかったので、マネージャーになることはない。
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