南雲原の勇者御一行様   作:ペンギンとクマ

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抽選会回です。本作は決勝大会を25年前の無印の時と同じように、8校ではなく16校にしています。


第23話 心の準備ができていない

 朝、テレビを付けたらフットボールフロンティア決勝大会の特集が組まれていた。田部・角馬コンビだ‼︎

 

『明日はいよいよ抽選会! 出場校の中でも注目したい選手を紹介します!』

 

 注目選手か……。誰が紹介されるんだろ。ハル君はいないかなやっぱり……。

 

『まずは、王者雷門‼︎円堂ハルが不在となった今建て直しの中心となるのは、やはりカリスマキャプテン月影選手です! その戦術眼でどう組み立てていくか注目したいですね!』

 

 あ! キャプテンだ……。監督じゃなくて、キャプテンが作戦考えて指揮してるからなぁ。

 

『そして、キャプテンと同じMFの星村選手、赤袖選手にも期待したいですね。星村選手の星光脚、赤袖選手の剛来・金剛戦斧は強力で、2人の連携を崩すのは至難の業ですよ』

 

 私たちだ……。ハル君が不在で私たち中盤が注目されている。ハル君の分まで頑張ろう‼︎

 

『2人は幼馴染だそうで、非常に息が合っていますね‼︎続いて、そんな2人とともに稲妻KFCでプレイしていたとされているこの選手です!!』

 

 お! 光君かな? 

 

『暁選手です‼︎決勝大会初出場、この春創部したばかり、今大会のダークホースとなり得る南雲原のDF!!』

 

 やっぱり光君だ! そりゃぁ、あれだけ活躍してたら注目されちゃうよね。

 

『元々はFWということもあり、南雲原で最多得点を取っています。そして、南雲原の堅さの中心でもあります。今大会、南雲原は円堂ハル以外に点を許しておらず、中でも暁選手は唯一円堂ハルのシュートを止めていますよ‼︎スプリング杯ベスト4の東風異国館にはゴールにすら届かせていません‼︎そんな攻守の要を他のチームはどう崩していくのか注目です‼︎そして、南雲原のFW陣です‼︎南雲原の強力なシュート技、春雷、ヴォルカニックストームを始動させる忍原選手、チーム2番目の得点をあげている桜咲選手、北陽学園元キャプテン空宮選手にも注目していきましょう』

 

 忍原さんを動かせないようにして、春雷、ヴォルカニックストームを封じてもあまり意味ないだろうな……。ここでは紹介されていないジークは自分の必殺技で得点していないし、光君も光君で左足でのシュートをヴォルカニックストーム以外で打っていない。ハル君の注目している笹波雲明君もそうだ……。全然南雲原はまだ底が見えていないなぁ。光君は前半は守りに徹して全然動いてこないから、有り余っている体力を後半の攻めに使ってくる。忍原さんと一緒に連携技を作っていることに茉莉、嫉妬してそう……。

 

『続いて北海道の強豪、白恋です。なんと言ってもエースストライカーのシン選手でしょう‼︎この決勝大会の中でも間違いなく最速‼︎他を寄せ付けない速度でシュートを決めていくでしょう! そんな彼を止められる選手は現れるのか‼︎』

 

 ピッ‼︎

 

 学校に行く時間になったので、リモコンでテレビを切った。他の学校の注目選手も気になるけど、やっぱり南雲原だ……。私も頑張らないとなぁ。茉莉も1人で何か練習してるみたいだし……。

 

 

 ────

 開幕2週間前……。

 

「暁先輩、ちょっといいですか?」

 

「どうしたの?」

 

「抽選会があるんですけど、キャプテンともう1人で来るように言われていまして、一緒に来てほしいです」

 

 抽選会は2人か……。雲明がくじを引くとして俺は何をするんだ? 

 

「俺でいいの?」

 

「先輩は東京出身なので、色々慣れてるかなと思いました」

 

 まぁ、抽選会場への行き方は分かっているけど。

 

「分かったよ。俺は何をするんだ?」

 

「会見があるんです。そこで2人で出るように言われています」

 

 なるほど、会見か……。

 

「了解。じゃあ、明日朝出発して午後からだな」

 

「はい。お願いします」

 

 

 ということで、翌日俺と雲明は抽選を行うホールへと向かった。

 

「雲明、ワクワクしないか」

 

「はい。ここにいる人たちみんな、対戦相手になるかもしれませんから。どう対策していこうか……」

 

「あ! 光君‼︎」

 

 俺の名を呼ぶ声が聞こえたので、振り返るとナオが手を振っていた。隣には月影蓮がいる。

 

「久しぶり、ナオ! 直接会うのは引っ越す前以来かな? 元気にしてたかい?」

 

「うん! 元気だったよ!」

 

「南雲原対西ノ宮以来だな2人とも」

 

「ええ、お久しぶりです」

 

「キャプテン、元気してました?」

 

「俺は問題ないが、君やっぱり、俺のことをキャプテンって呼ぶな……」

 

「南雲原のキャプテンは雲明だけど、雲明は雲明だからな……。ナオも茉莉も世話になっているだろうしってことで。できれば、雷門とは決勝で当たりたいな。そっちの方がドラマチックだろ?」

 

「そうだね。私と茉莉が最後に立ちはだかる幼馴染の光君を決勝で倒す! いいね!」

 

「まぁ、南雲原が勝たせてもらいますよ」

 

「雲明だって、ポエマーなところあるし、ドラマチックな展開の方が好きだろ?」

 

「そうですね。なので、無名の南雲原が優勝するヴィクトリーロードを描いて見せます。お願いしますね、暁先輩」

 

「あぁ、もちろんだ」

 

「じゃあまた後でね! 光君!」

 

 ナオと月影蓮と別れた。

 

 抽選会が始まった。各校キャプテンがくじを引いていく。

 

『京前嵐山中、1B』

 

 ほう、開幕戦は化身の京前嵐山中か……相手は誰になるのやら。

 

『雷門中、5A』

 

 雷門は5か……。なら1〜4を雲明には引いてほしいな。

 

『英愛学園、2A』

 

 AIを用いたデータサッカーを行う。パスやシュートも正確なものばかりだ。

 

『白恋中、8A』

 

 白恋は8か……。戦って見たいけど、雷門と決勝で戦うには逆ブロックだからなぁ。

 

『偉仁銘文堂、5B』

 

 お、雷門の初戦は偉仁銘文堂か。伝統的な戦術が有名だな。研究され尽くしてもなお、強いのは流石と言ったところだ。

 

『法令館中、8B』

 

 法令館は規律に重んじた学校。ラフプレイを嫌っている。

 いよいよ南雲原の番だ。雲明が壇上に登って、くじを引いて会場の観客席に向けた。

 

『南雲原中、1A』

 

 開幕戦じゃん。1番緊張するところだな。とりあえず、雷門とは逆ブロックになって良かった。今大会を占う大事な試合だ。SNSじゃあ、円堂ハル不在の史上最悪の大会と言われているけど、最高の大会にしたい。頑張らないとな。京前嵐山中……。化身を破るには基本的には化身……。俺が化身を使うのは出し惜しみしたいけど、もう決勝大会ってのもあるしそう言うことも言ってられない。

 

『帝国学園、2B』

 

 戦術の豊富な帝国だ。この前スパイを何とかしたし、ある程度は情報が漏れていないはず……。準々決勝で当たるかもしれないし、あのタクティクスの完成を目指していきたい……。

 

 ここまでで8校。折り返しだ。綺麗に3、4、6、7が空いているな。

 

『戦国伊賀島中、3A』

 

 忍術を用いたサッカーをするところだ。変身して、対戦相手の学校に潜り込むこともあると聞く。

 

『木戸川清修、6A』

 

 木戸川清修は関東の中でも強豪校だ。だが、16年前のホーリーロード優勝以来、優勝できていない……。

 

『聖堂山中、4B』

 

 砂木沼さんが監督しているところだ……。全員がエースストライカーになれるほどの超攻撃的サッカーだ。

 

『新雲学園、7B』

 

 パーフェクトプレイと言われる学校だ。近年だと攻撃的なパーフェクトサッカーの北陽があったこともあり、どちらかと言うと守りが堅い。

 

『天照・世宇子中、3B』

 

 天照・世宇子だ……。今年合併したばかり、どちらも強豪であったため、より戦力が強化されている。世宇子の方は近年雷門に次いで強い学校というイメージだ……。

 

 というか、この大会の関東の学校の選出方法がよくわからない。関東4校のうち3校東京だけど、関東地区1の帝国、関東地区2の天照・世宇子、東京地区の雷門……。東京にある学校でも同じ地区に配置されていない。各地区の1位以外は大体準優勝した中から地域性を考慮した抽選と特別招待枠で選ばれる。木戸川清修がそうだ……。

 

『千羽山中、6B』

 

 この学校はとにかく堅いので、失点数が少ない……。確か英愛学園の1点だけじゃなかったか

 

『伐天・陽花戸中、7A』

 

 まさか九州から選ばれるとは思わなかった。大海原は決勝を棄権したということで選ばれず。東風異国館は準決勝、ボールがゴールキーパーまで辿り着けなかったことがあまり良い印象ではなかったようだ。伐天・陽花戸は連携が強い。あとは円堂大介の発祥の地なんだったっけ。

 

『幻影学園、4A』

 

 トリッキーなサッカーで有名だ。中でもマボロシショットの攻略が厄介で、一苦労する。

 

 抽選会が終わったということで、これから記者会見に移る。開幕戦ということもあり、最初に呼ばれた。事前に基本的には雲明が答えて、俺は俺に振られたらと決めていたが、雲明あがってないか……。

 

「まずはキャプテン、創部したばかりでの決勝大会どのようなお気持ちですか?」

 

「それは……嬉しいです」

 

 緊張していて顔が嬉しくなさそうに見える。

 

「南雲原はどのようなチームですか?」

 

「そうですね……。ひとつにまとまったチームワークでできています……」

 

「開幕戦、化身を用いる京前嵐山中です。勝つ自信はありますか?」

 

「えっと、それは……あります!」

 

 実際勝つ自信はあるけど、これ相手に舐められるんじゃないか……。舐めてくれたら舐めてくれたで、こちらもやりやすいので良いのだが。

 

「この大会、戦ってみたい選手、学校はありますか?」

 

「雷門中です! 打倒雷門で一歩ずつここまで歩んで来ました……」

 

「では、暁選手に聞いていきたいと思います。まずは決勝大会進出おめでとうございます。キャプテンについてどう思われますか?」

 

「ありがとうございます。キャプテンですか……。キャプテンなら背中を預けて全国優勝を狙うことができると信頼しています」

 

 あんまり雲明のことを意識されたくはないので、曖昧に答えておく。

 

「この大会、戦ってみたい選手、学校はありますか?」

 

「やはり、雷門中です。決勝で会おうと幼馴染の赤袖茉莉と星村ナオと約束していて、トーナメントも南雲原とは決勝まで合わないことになったので、楽しみですね。中学生になってからずっと対雷門を想定して特訓していたので、南雲原のみんなと倒します!」

 

「暁選手といえば、円堂ハルがデビューしてから唯一、彼のシュートを止めました。そのことについてはどうお考えですか?」

 

「そうですね。彼のシュートは手を抜かれていましたけど、それでも重かったですね。あれがサッカーモンスターかと体感しました」

 

「初戦の京前嵐山中への意気込みをお願いします」

 

「2体の化身を操るということで攻略は大変だとは思いますが、糸口を見つけて勝ちます‼︎」

 

 その後も何分か続いたが、雲明はあがったままで終わった。

 

 席を去って、他の学校の会見を見る。

 

「インタビューとか慣れてないのか?」

 

「はい、初めてで緊張してしまいました」

 

「まぁ、ちょっとずつ慣れていこうぜ。これから勝っていけば、間違いなく増えて行くからな」

 

「はい。善処します」

 

 京前嵐山の俺たちへの意気込みが聞こえる。

 

「ぽっと出の南雲原は化身で叩き潰しますよ」

 

 

「やっぱり舐められているな……。雲明、今日初戦の相手が決まったけど策はどうするんだ?」

 

「京前嵐山は化身共鳴が厄介です。化身のラインを崩す必要があります。南雲原には化身使いになり得る人物がいます。ですが……」

 

「1人で出すことはできないから、みんなのオーラを合わせて出すことになるって感じか?」

 

「はい。そうです。それを木曽路にやってもらいます」

 

「兵太か……いいな。彼ならみんなを繋ぐことができる」

 

「もちろん、暁先輩やジーク先輩が単独でできることは知っていますが、DFだとラインを断ち切ることはできません。それに、入部したときに話したように、2人をFWやMFに置くのは対雷門のあの作戦を実行するまで取って置きたいので……」

 

 ああ雷門を倒すための作戦にな……。

 

「木曽路に参考になるように、練習時に出してもらいます。本番でも出してもらっても構いませんが」

 

「分かったけど、お台場に移るまでに化身が完成するとは思えないし、お台場での練習じゃ、見られる可能性があるな」

 

「はい、なので別の良い場所があると良いんですが……先輩知ってますよね?」

 

「あぁ、知っているよ」

 

 そして俺は電話をかけた。

 

「良いってさ」

 

「ありがとうございます。これで人目に付かずに練習できますね」

 

 それから会見中、各学校を相手するならどうするか会議し続けた。

 

「帝国は戦術の数と切り替えが厄介ですね」

 

「今のうちに前からやっているあれ完成させたいな。こちらも一々切り替えるなら最初からタクティクスも必殺技も封じてしまいたい」

 

 そうこうするうちに雷門中の会見だ。

 

 

「月影選手、注目している選手、または学校はありますか?」

 

「そうですね。俺が注目しているのは南雲原中です。その中でも、特に笹波雲明、暁光が要警戒だと考えています。笹波雲明は円堂ハルが興味を持っていたということもありますが、暁光については対戦してみて、円堂ハルに負けずとも劣らないサッカーモンスターだと実感しました」

 

 

 目つけないでよ。他チームに警戒されるじゃないか。

 

「俺たちラブコール送られているな」

 

「ダークホースのままでいたかったですけどね……。大方先輩がそこそこ暴れていたからだと思いますが」

 

「まぁそれもあるし、雲明が強豪相手に出し抜きまくったのもあるだろ? 円堂ハルしかり、北陽しかりさ」

 

 とりあえず軽口を叩き合う。あの雷門中が警戒しているという余計な箔がついたが、まぁ今までの試合の数値だけ見れば、京前嵐山中は勝てる見込みと思うだろうな。俺の実数値は1回しか分かっていないからまぐれだと思ってくれると良いが。

 

 

「星村選手は注目している選手や学校はありますか?」

 

 ナオの番だ。これも多分俺だろう。

 

「やはり南雲原の暁光君です! 幼馴染で、決勝で戦おうって約束しているのもあるんですけど、ハル君が不在の今光君を完全に止められる選手がいないのは非常にまずいなって思います。MF陣3人でやっと止められるかもって感じなので中軸が動けなくなってしまいます……」

 

 俺は雷門の選手でも止められない存在なのか……? その発言で警戒されるじゃないか……。

 

「先輩持ち上げられ過ぎてますね。雷門中の2人からの発言でこれからうちの注目度が上がってしまいます」

 

 円堂ハルのシュートを初めて止めたってことで少しだけ注目されていたが、雷門中がライバル視ということで対抗として扱われてしまう。今日のそれで完全に無名じゃ無くなった……。

 

「ならもういっそ、起こしてしまおうよ。誰にも止められない旋風を。それでみんなで掴もうぜ、未来‼︎」

 

「はい! そうしましょう」

 

 各学校の会見が終わって、長身の男とすれ違う。白恋のエースストライカー……。

 

「なぁ、南雲原の暁光だな」

 

「あぁ、君は白恋中のシンだろ?」

 

「お前は乙女仙次郎をどう思う?」

 

「どうって、試合中に指示はしないけどメニューは絶妙なものを作成する人って感じかな」

 

「そういったことを聞いている訳ではない」

 

 じゃあ何が聞きたいんだ……? 

 

「お前は南雲原にいるが、乙女仙次郎に何かしら接点があった人物だ」

 

「つまり、乙女監督が行ったことに対して何かしらで共犯しているんじゃないかってことか? 先に言っておくけど、別に関わってはいないよ」

 

「そうか、お前には何か思い当たることがあるんだな。この先の世界を知っているようだ。ならば、自ずと分かるだろう。お前はここまで来てしまった……引き返すことは許さん。だが、ここで止まることは許そう」

 

「いや、俺はそのまま進むよ。君と乙女監督の間に何があったのかは分からない。でも、あの人を止めないとということは分かっている。ねぇ、君も復讐のためにサッカーしているのか?」

 

 シンの表情が一瞬曇った。

 

「……そうだ。あの男の作り上げたサッカーも、雷門中も、選手も全て終わらせる……」

 

「なぁ、今度サッカーやろうよ。サッカーは楽しいものだ。復讐のためだけにするって悲しいじゃないか」

 

「検討しておく……」

 

 そう言って、シンは去って行った……。もしかすると彼は円堂ハルの再起不能について何か知っているのかもしれない。というか心配だ。彼も、雷門の選手も。

 

「さっきから誰か知りませんが、盗み聞きしていますよね?」

 

「おっと、すまない。悪気はないんだ」

 

 出てきたのは、銀髪の男。天照・世宇子のジャージだ。

 

「僕はみんなからアルヴィースと呼ばれている。君とシンが問答しているのが見えてね。何話しているのか気になっただけなんだ。それよりも、妹のホムラは元気にしているのかい?」

 

 ホムラが妹……? 

 

「お兄さんでしたか。元気にしていますよ。白恋のシンのこと知っているんですか?」

 

「そうか、それは良かった。もちろんシンのことは知っている。かつてはホムラと同じチームにいたからね」

 

 シンとホムラがチームメイトだった⁉︎

 

「シンがなぜ復讐に取り憑かれているのか……。君が乙女仙次郎に対してどう思っているのか……。円堂ハルがなぜ再起不能となったのか……。全部知っている」

 

 アルヴィースには全て見透かされている感じがしてならない。

 

「君は、雷門中と決勝で戦いたいと願っている。だけど、このままでは天照・世宇子に大敗する」

 

「大敗すると言われようとも、なんとしてでも勝つつもりだ」

 

「そうか……それでも戦うのかい? 無駄死にであったとしても」

 

「あぁ戦うよ。決勝で会いたい人がいるからな。それに負けたとしても無駄死にはならないよ。俺たちの残した何かが君たちを倒すための楔となるからね。俺たちが成せないなら誰かだ。誰かに託せば良い」

 

「へぇ、面白いね。また会おう」

 

 アルヴィースは去って行った……。何者だ……。掴みきれない人物だ……。

 

「俺たちが成せないなら誰かだ。誰かに託せば良い」

 

「ナオ、俺のさっき喋ったこと真似しないでくれ……」

 

「良いじゃん! それ、私も使おうかな?」

 

「さっき白恋中のシンと喋った……」

 

「どうだった?」

 

「実際見てみて分かった……。オーラが違う。彼は間違いなく俺や円堂ハル以上のプレイヤーだ」

 

 スピードもパワーも俺以上なのは確実。復讐心がそうさせるのか……。

 

「え! 嘘! 光君やハル君よりも凄いの⁉︎」

 

「彼の体力だけはわからないけど、このままだと雷門は負ける……」

 

 今までの試合を見るに後半からしか出ていない。

 

「そっか……じゃあ猛特訓だ‼︎光君たちと戦うためにも超えなくちゃいけない壁だね」

 

「あぁ、俺たちも雷門と戦うための巨大な壁が見えた」

 

「天照・世宇子かぁ。ねぇ今日はこっちで泊まるの?」

 

「泊まるよ」

 

「じゃあこれから一緒にサッカーやろうよ‼︎」

 

「いいね、鉄塔広場でやるか?」

 

「そうしよう! 茉莉にも言っておくね」

 

 そういうわけで、会場から出る準備をした。

 

「ん? お前たちは……、暁と星村ではないか! 息災か?」

 

 声をかけれたので、そちらに顔を向けると砂木沼さんだった。

 

「砂木沼さん、お久しぶりです。問題なく過ごしていますよ」

 

「私も元気です」

 

「暁、お前とは準決勝で戦うかもしれんな。南雲原の試合は全部見た。成長したお前たちと戦うのを楽しみにしている」

 

「ええ、お互い全力を尽くしましょう! なんせ聖堂山は全員がエースストライカーになれる超攻撃型サッカー、迎撃しますよ」

 

「では、これで失礼する。私の言ったメニュー、もちろん今でもやっているな?」

 

「はい、今度試合しましょう! メニューはやってます。一応GKの練習もいつやることになるか分からないので」

 

 砂木沼さんは聖堂山の選手2人を連れて駅に向かって行った。

 

「いやぁ、聖堂山も怖いよね」

 

「15年以上今のスタイルだからな。精錬されている」

 

「待ってくれ、星村」

 

「置いていかないでください、暁先輩」

 

「ありゃ、キャプテンに笹波雲明君? 2人してどうしたの?」

 

「急にいなくなったからどこに行ったんだと思って探していたんだ」

 

「先輩、この後何するつもりですか?」

 

「何って、それは当然練習だよ」

 

「そうそう久しぶりに光君とサッカーしたいからね!」

 

「それならそうと先に言ってくれ、星村。まあ俺はこれから雷門中に戻って監督とマネージャーとで会議だ」

 

「強豪校のキャプテンも大変なんですね。暁先輩、僕も着いていっていいですか? やることは特にないですし、京前嵐山の作成も練っていきたいので」

 

「分かった。いいかい、ナオ?」

 

「いいよ! ハル君が注目している君のこと気になるし!」

 

 

 

 電車に乗って稲妻町に帰って来た。雷門中で月影蓮と別れて、鉄塔広場に向かう。

 

「2週間ぶりだね。光」

 

 先に茉莉がベンチに座って待っていた。

 

「あぁ、そうだな。でももう少しすれば、毎日会えるな」

 

 開幕1週間前からお台場入りだ。そこから、少なくとも決勝戦までは東京にいる。

 

「うん!」

 

「あの練習って何か具体的に決めていますか?」

 

「いえ」

 

「決めてないよ」

 

「何かやってほしいことがあるのか雲明?」

 

「はい南雲原は雷門中の2人の発言もあって注目されてしまいます。なので次の試合、意表を突いて暁先輩にはGKになってもらいます。赤袖さんと星村さんにはシュートを打ってほしいです。さっき、聖堂山の監督にGKの練習一応やっていると言っていましたし、どこまでやれるのか確認したいです」

 

「えぇ⁉︎」

 

「分かった、クロスドライブ」

 

「打つの速いって」

 

 まだ心の準備できてないんだけど!




暁光
次の試合キーパーをすることになった男。赤袖茉莉のクラスドライブを顔面で受けることになる。

笹波雲明
会見で噛みまくりであった。当然緊張している。雷門中から注目されてしまい困ったと思っている。猫には猫の勝ち方があるが、虎だと思われている。

赤袖茉莉
容赦なくシュートを決めた。

星村ナオ
暁光との再会に喜ぶ。もちろん注目選手は暁光。

月影蓮
もちろん南雲原を最も警戒している。これから対戦相手の戦略会議。

砂木沼治
暁光が強くなった元凶その3。久々の再会を喜び、戦うことを約束した。

井伊羅シン
暁光と初邂逅。何かしら乙女仙次郎との接点がある暁光を警戒。

アルヴィースと名乗る男
天照・世宇子に所属。最先ホムラの兄と名乗る。何やら色々と知っているらしい……。
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